Trademark Appeal Case
指定役務の記載不備
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−12907(T2001−12907/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ROCKET NETWORK」の文字(標準文字)を横書きしてなり、第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子通信機械器具」、第35類「広告」、第38類「移動体電話による通信,テレックスによる通信,電子計算機端末による通信,電報による通信,電話による通信,ファクシミリによる通信,電子メールによる通信,無線呼出し,テレビジョン放送,有線テレビジョン放送,ラジオ放送,電子データ及びメッセージの保管」、第41類「娯楽サービス,レコーディングサービス,オーディオ・ビデオ・オーディオビデオ・マルチメディア作品のレコーディングスタジオ施設の提供,オーディオ・ビデオ・オーデイオビデオ・マルチメディア作品のオンラインレコーディングスタジオ施設の提供,前記に関する情報の提供・相談及び支援,前記に関するオンラインによる情報の提供・相談及び支援」及び第42類「音楽・マルチメディアレコーディング・作曲・共同制作の分野においてオンラインにより情報を提供するコンピュータサービス,音楽・マルチメディアレコーディング・作曲・共同制作の分野における他のコンピュータユーザーとのリアルタイムインタラクションのためのオンライン施設を提供するコンピュータサービス,データ保管施設へのオンラインアクセスの提供」を指定商品及び指定役務として、平成11年7月28日(パリ条約による優先権主張 1999年1月28日 アメリカ合衆国)に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、以下のとおり認定、判断し、本願を拒絶したものである。
(1)本願の指定役務のうち、第38類の「電子データ及びメッセージの保管」並びに第41類及び第42類の指定役務は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。したがって、本願は、商標法第6条第1項の要件を具備しない。
なお、原審における上記拒絶理由の通知においては、「ただし、カタログを添付し、前記指定役務の内容、効能、提供の方法又は用途の説明等を意見書をもって明らかにするとともに、日本国内において流通する一般的な商品名又は省令表示に即した具体的な役務の表示に補正したときはこの限りでない。なお、具体的な補正の方法が不明なときは、上記意見書をもって指定役務の内容及び範囲を詳細に説明されたい。」として、次のとおりの補正案等が付言された。
(a)第38類「電子データ及びメッセージの保管」が「記録媒体の保管」であれば第39類「寄託を受けた記録済み磁気テープの倉庫における保管」と補正されたい。
(b)第41類「娯楽サービス,レコーディングサービス,オーディオ・ビデオ・オーディオビデオ・マルチメディア作品のレコーディングスタジオ施設の提供」は、「娯楽の提供,レコード原盤の制作,オーディオ・ビデオ・オーディオビデオ・マルチメディア作品の音響用または映像用のスタジオの提供」であればそのように補正されたい。
(c)第41類「オーディオ・ビデオ・オーデイオビデオ・マルチメディア作品のオンラインレコーディングスタジオ施設の提供」は、「オンラインレコーディングスタジオ施設」がどのようなものであるのかを具体的に説明し、その役務の範囲を明らかにされたい。
(d)第41類「前記に関する情報の提供・相談及び支援,前記に関するオンラインによる情報の提供・相談及び支援」は、前記とはなにを指すのかを具体的にし、さらに、「該役務がオンラインによる情報の提供」であれば例えば「オンラインによる・・・に関する情報の提供」のように補正されたい。なお、「相談及び支援」が「情報の提供」でない場合には、具体的に説明されたい。
(e)第42類「音楽・・・・情報を提供するコンピュータサービス」、同「音楽・・・オンライン施設を提供するコンピュータサービス」については、具体的に説明されたい。
(f)第42類「データ保管施設へのオンラインアクセスの提供」は、38類の「電子データ及びメッセージの保管(コンピュータデータベースの作成であれば「35類」)」との関係で整理されたい(電子計算機端末通信におけるサーバーの貸与なのかインターネットにおける検索エンジンの提供なのか)。
(2)本願商標は、登録第836781号商標(以下「引用商標A」という。)、登録第1536323号商標(以下「引用商標B」という。)及び登録第1536324号商標(以下「引用商標C」という。)と同一又は類似の商標であって同一又は類似の商品について使用をするものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
そして、引用商標Aは、「ROCKET」の文字を横書きしてなり、昭和35年4月19日に登録出願、第11類「電気機械器具(回転電気機械、配電用または制御用機械器具、民生用電気機械器具に属するものを除く)電気通信機械器具(ラジオ受信機、テレビジヨン受信機、音声周波機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として昭和44年10月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、引用商標Bは、「ロケット」の文字を横書きしてなり、昭和54年4月13日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として昭和57年8月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
同じく、引用商標Cは、「ROCKET」の文字を横書きしてなり、昭和54年4月13日に登録出願、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具(医療機械器具に属するものを除く)電気材料」を指定商品として昭和57年8月27日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
3 当審の判断
(1)最初に、商標法第6条第1項に係る拒絶の理由を検討する。
請求人(出願人)は、本件審判請求の理由において、「本願につき、第一に、本願指定役務はその内容及び範囲を明確に指定したものとは認められないため、商標法第6条第1項の要件を具備せず・・・として拒絶査定を受けました。」と述べ、上記2(1)の理由が拒絶査定の理由になっていることを認めているが、指定役務の補正や説明をするところがないし、その拒絶理由に対する反論又は意見を述べるところも一切ない。また、請求人(出願人)は、原審においても、同拒絶理由に対して何ら応ずるところがなかったものである。
そして、原審説示の指定役務をその内容及び範囲が明確でないとする上記2(1)の拒絶の理由は、当審においても、妥当と判断し得るものであり、これを取り消すべき理由は見出し得ない。
そうすると、本願について、商標法第6条第1項の要件を具備しているということはできない。
(2)次に、商標法第4条第1項第11号に係る拒絶の理由を検討する。
本願商標は、「ROCKET NETWORK」の文字よりなるが、外観上、「ROCKET」と「NETWORK」の文字の間に間隔を置いてなり、かつ、「ROCKET」と「NETWORK」の各文字が我が国で親しまれた英語であることからすると、看者をして、「ROCKET」と「NETWORK」の二つの語よりなるものと容易に認識し得るといえるものである。しかも、その構成全体より生ずる「ロケットネットワーク」の称呼は、一気に称呼し得るほど簡潔とはいい得ないものであり、加えて、その観念においても、その全体をもって特定の熟語的意味合いが生ずるものとはいうことができないし、全体が一体不可分のものとして取引者、需要者間で周知となっているような事情も見出し得ないものである。
そして、本願商標の後半部の「NETWORK」の語は、「ネットワーク」、すなわち、「ラジオ、テレビなどの放送網」や「コンピューターの通信網」、さらには、「コンピュータや端末装置、プリンター、音声・視覚表示装置、電話などが通信回線や通信ケーブルなどで接続されているシステム」を意味するものとして親しまれているものであり、本願商標の指定商品及び指定役務が、上記1のとおり、そのネットワークを構成するために必要不可欠なコンピュータ機器や通信機器等の商品や、そのネットワークを通じて提供される役務であることから、その指定商品及び指定役務を取り扱う業界においては、自他商品・役務の識別標識としては何ら機能し得ないものといえる。
そうすると、本願商標は、その全体より生ずる「ロケットネットワーク」の称呼のほかに、後半部の「NETWORK」の文字部分を省略して、前半部の「ROCKET」の文字部分に相応した「ロケット」の称呼をも生ずるとみるのが相当である。
この点については、請求人(出願人)に関するものと思しき新聞記事をみても、例えば、2001年12月17日付け日経産業新聞(2頁)には、「リットー、音楽スタジオ、ネットに開設。」の見出しの下に「音楽関連の出版を手掛けるリットーミュージック(東京・千代田、古森優社長)は、インターネット上の音楽スタジオ『アストロセッション』を開設した。複数の音楽家が一カ所に集まらなくてもインターネット上でギターやドラムなどの楽器の音を編集して一つの音楽を作成する。利用者がインターネットを使ってリットー社のサーバーに保存した音をインターネット上で編集し、一つの楽曲に仕上げる。チャットやピアノなどパートごとに音楽家を検索することも可能。今後は新サービスを使い楽器演奏のeラーニングも手掛ける予定。米ロケットネットワーク社のサービスをリットー社が日本語に改良した。料金はロケット社の決済システムを使い、一カ月あたり八・九五ドル(約千百十九円)から。」と、2001年9月13日付け日本工業新聞(7頁)には、「インプレス 仮想音楽スタジオASP 米社に資本参加」の見出しの下に「IT(情報技術)関連出版社のインプレスは、インターネット上で仮想音楽スタジオASP(アプリケーション・サービス・プロバイダー)サービスを提供する米ロケットネットワーク(サンフランシスコ州)に資本参加したと発表した。同社は、ロケットが実施した総額一千万ドルの第三者割当増資のうち、百万ドルを引き受けた。これにより同社の出資比率は二・四三%となる。今回の出資により、子会社のリットーミュージックを通じて、ロケットの仮想音楽スタジオサービス『スタジオ センター』のアジア太平洋地域における運営権を取得。日本向けサービスを十月下旬に開始する。『スタジオ センター』は、複数の利用者がネット上の楽曲ファイルに同時アクセスして、リアルタイムに更新できる音楽制作のASPサービス。」と、2001年9月12日付け日経産業新聞(2頁)には、「顔合わさず楽曲製作、ネット上に音楽スタジオ―インプレス、米社に出資。」の見出しの下に「インプレスはインターネット上で複数のユーザーが楽曲を共同製作できる『仮想音楽スタジオ』サービスを十月下旬から始める。同サービスを手掛ける米ロケットネットワーク社(本社サンフランシスコ、パメラ・ミラー最高経営責任者)と資本・業務提携し、日本を含むアジア・太平洋地域での運営権を取得した。・・・新サービスは会員が演奏データを録音して専用サイトに送信すると、ロケットネットワーク社のサーバーに蓄積される。別の会員がこれに合わせて楽器の異なる新たな演奏データを送信、編集する。サイトでは編集した楽曲を聴けるだけでなく、楽器名や会員名を縦軸、演奏時間を横軸として演奏データが波形で表示される。好きな楽器や演奏部分を選んで組み合わせ、製作中の演奏データを再生できる。他の会員の経歴や得意な楽器を検索したり、特定の会員の間だけで演奏データを編集したりすることも可能。米国などでロケット社が提供しているサービスの会員も含め、会員同士が顔を合わせることなく楽曲を作ることができる。」とあり、同じく、インターネットのホームページ上の記事をみても、例えば、「http://www.asahi.com/english/svn/gillmor/K2002060100234.html」には、「米国海岸時間2002年5月25日 ネットを通じて音楽作り By Dan Gillmor Mercury News Technology Columnist」の見出しの下に「大陸の反対側のサンフランシスコには、ロケット・ネットワーク(http://www.rocketnetwork.com)の本社があり、昔の仲間と使おうと思っている音楽用のコラボレーション・システムを作っている。このシステムでは、中核となるサーバーに、デジタル・メディアのマスター・コピーが置かれる。ロケットは、ネットワークに接続している人々が安全にプラグインして音楽やその他のコンテンツの追加や編集を行えるようにするソフトウェアを提供する。例えば、フランス南部にいる女性歌手が、ロサンゼルスにいるプロデューサーと協力して、ボーカル・トラックを吹き込むこともできる。コンピューターに電源を入れ、市販の音楽制作ソフトとロケットのソフトウェアを読み込めば、それが制作システムの一部となり、心ゆくまでボーカルの吹き込みを行えるというわけだ。ただし、ジャム・セッション用のツールではないと、ロケットの創設者で、ベテラン・ミュージシャンでもあるウィリー・ヘンシャルはいう。録音スタジオでのセッションの一部を模倣し、離れた所にいる人々を結び付けて、共同で作業できるようにするためのものだという。・・・ヘンシャルによれば、ロケットは数年前に、システムを慎重に変更したという。仮想世界で過ごすのとリモート・コラボレーションとは全く違うことが明らかになったからだ。前者は環境であり、後者は目的を達成するための手段なのである。ロケットのシステムを使う人々は、ある意味で、コンピューター間でファイルのやり取りをしているのだということを常に意識させられる。」とあり、請求人(出願人)が実際にネットワークに関連する事業を行っており、しかも、それらの記事においては、請求人(出願人)が「ロケットネットワーク社」と記されるばかりでなく、「ロケット」又は「ロケット社」と省略して記されていることからも裏付けられるところである。
一方、引用商標は、上記2(2)のとおり、「ROCKET」又は「ロケット」の文字よりなるところ、その構成文字に相応して「ロケット」の称呼が生ずるものである。
してみれば、本願商標と引用商標は、「ロケット」の称呼を共通にするものであり、両者の外観及び観念に称呼の共通性を覆すほどの相違点も見出し得ないことから、結局、両者は相紛れるおそれのある類似の商標ということができる。
また、引用商標の指定商品は、本願商標の指定商品である第9類「電子応用機械器具及びその部品,電子通信機械器具」を包含するものであり、本願商標と引用商標はその指定商品においても抵触すること明らかである。
したがって、本願商標と引用商標は、商標において類似し、その指定商品においても同一又は類似の関係にあるから、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当し、登録することができない。
なお、請求人(出願人)は、引用商標について、商標法第50条の規定に基づく取消審判を請求することを検討中であるとし、審理の猶予を求めているが、その後相当の期間が経過しているにもかかわらず、引用商標の商標登録原簿に徴しても、取消審判請求の事実を認めることはできない。その他、請求人(出願人)は、引用商標の存在を理由に本願商標を商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定に反論するところもない。そして、本件の審理をこれ以上遅延させる理由も認められないので、上記のとおり認定、判断することとした。
(3)以上のとおりであるから、本願が商標法第6条第1項の要件を具備しないとともに、本願商標が商標法第4条第1項第11号にも該当するとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。
よって、結論のとおり審決する。
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