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Trademark Appeal Case

使用証拠の有効性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−31019(T2000−31019/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第605847号商標(以下「本件商標」という。)は、「ビオ」の文字を横書きしてなり、昭和36年10月13日に登録出願、第31類「乳製品」を指定商品として、昭和38年2月20日に設定登録されたものである。その後、昭和48年7月9日、昭和58年5月20日、平成5年7月29日及び平成14年10月1日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

第2 請求人の主張(争点)

請求人は、「商標法第50条第1項の規定により、登録第605847号の第31類全指定商品について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第11号証を提出している。

1 請求の理由

本件商標はその指定商品のいずれについても、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は許諾を受けた通常使用権者による使用がなされていないとともに、その不使用についての正当な理由があるとも認められない。また、商標登録原簿(甲第2号証)から明らかなように、専用使用権者及び通常使用権者も存在していない。

よって、請求人は、本件商標における全指定商品について商標法第50条第1項の規定に基づく登録の取消を請求するものである。

2 被請求人の主張に対する反論

被請求人が提出した答弁書における理由及び乙号証のいずれからも、被請求人が本件商標を「乳製品乳酸菌飲料」について使用しているとの確証は得られない。

以下、各乙号証について反論する。

(1)乙1号証について

ア 被請求人は、被請求人が販売している「乳製品乳酸菌飲料」の包装に付しているラベルの現物を提出している。しかしながら、当該ラベルは被請求人の営業部が作成しており、何時、営業部の誰が、どのような指揮監督のもとで、何枚作成したのか不明であり、証拠として客観性に欠けるものである。

イ 「六甲ヨーグルト株式会社(以下「六甲ヨーグルト」という場合がある。)」の文字が常に記載されて、六甲ヨーグルトが製造者である旨主張している。しかしながら、被請求人と六甲ヨーグルト間の商品「ビオ」に関する製造委託契約書、注文書、納品書、請求書及び領収書等の一連の取引書類が何ら示されていない。してみれば、当該ラベルの記載をもって直ちに、六甲ヨーグルトと被請求人間に、「乳製品乳酸菌飲料」とされる「ビオ」に関する製造委託契約があったとはいえず、当該商品「ビオ」が製造されたとはいうことができない。したがって、商品「ビオ」が製造されていなければ、被請求人は当該商品を後述するエヌ・ケー・エム産業株式会社(以下「エヌ・ケー・エム」という場合がある。)に販売することができず、本件商標が「乳製品乳酸菌飲料」に使用されたということができない。

ウ 被請求人は本件商標を「乳製品乳酸菌飲料」に使用している旨主張するが、食中毒が問題となり製造・販売者等の責任等が問題となる昨今において、乳製品のラベルに保存方法の欄の記載があるのが一般的である。また、「食品衛生法第11条」には加工品の包装容器についての表示について業務用か否かの区別なく定めている(甲第3号証の1)。具体的には、乳製品について「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令第7条第2項第3号」において、「常温保存可能品にあっては、常温での保存が可能である旨」を表示しなくてはならない旨定められている(甲第3号証の2)。してみれば、当該ラベルに保存方法の欄の記載がないのは、人の健康維持増進に貢献する製薬会社である被請求人が扱う商品として、現実に取引される「乳製品乳酸菌飲料」に使用されているとはいえない。

なお、「常温保存可能品」とは、常温で保存した場合に品質が急速に劣化しないものをいう。商品「ビオ」が、被請求人が作成した商品規格書に記載されているとおり(乙第3号証)、「保管条件が冷暗所であり、輸送条件が常温流通可能」なものであるならば、商品「ビオ」に、常温保存が可能である旨の表示がされなければならない。

エ 通常、品質表示に係るラベルは、製造年月日を知り得る製造者が商品に付すが、当該ラベルは被請求人の営業部で作成されており、「ビオ」なる商品は六甲ヨーグルトで製造されているとの主張より、当該ラベルが製造から販売までのどの時点で、誰がラベルを付しているのか不明であり、当該ラベルが六甲ヨーグルトが製造したという商品「ビオ」に現実に使用されているとはいえない。

オ 「ビオ」なる商品の販売者と製造者が異なることより、当該商品が如何なる流通経路をもって、製造から販売先に至ったかが不明であり、当該ラベルを付した商品「ビオ」が現実に販売されたとはいえない。

(2)乙第2号証について

ア 通常、乳酸菌飲料の入った包装容器に付されたラベルには、業務用であっても、製造年月日又は品質保持期限等が表示されるものであり、被請求人の提出するラベル(乙第1号証)においても、「品質保持期限」の欄は設けられている。

しかしながら、本号証は、「被請求人が販売している『乳製品乳酸菌飲料』が包装されているものと同一の状態を撮影した写真(本件商標の実際の使用状態を示す。)」であるにもかかわらず、即ち、商品見本ではなく「本件商標の実際の使用状態」を示すとしている「ビオ」なる商品の写真であり、缶の側面に付されているラベルには、明らかに「品質保持期限」の欄が空欄となっている。これは、「ビオ」なる商品が「乳製品乳酸菌飲料」であれば、「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令第7条第2項第3号」に定められる「品質保持期限の年月日」の表示義務による制約(甲第3号証の2)を受けるにもかかわらず、その表示をしないのは不自然なことである。

また、被請求人が作成した商品規格書(乙第3号証)に、「品質保証期間」の記載があることからしても、被請求人は乳製品については品質保証期間、製造年月日等の記載をその包装容器に付さなければならないと認識していると考えられ、ラベルに「品質保持期限」が具体的に示されていないのは、「ビオ」なる「乳製品乳酸菌飲料」が実際に製造されていないことを示すものである。

したがって、当該証拠をもって、本件商標が「乳製品乳酸菌飲料」に使用しているとはいえない。

イ 本号証には、包装された状態のみが撮影されており、中身であるとされる「乳製品乳酸菌飲料」を確認することができないので、この証拠をもって本件商標が、「乳製品乳酸菌飲料」に使用されているとはいえない。

さらに、本号証は平成12年11月14日に被請求人の社員によって撮影された旨答弁書において述べているが、本件審判が請求されたのは平成12年8月31日であり、審判請求が登録されたのが平成12年10月4日であるので、当該証拠をもって審判請求登録前3年以内に本件商標が「乳製品乳酸菌飲料」に使用されているとの証拠とはならない。

ウ 請求人側で、殺菌した乳製品乳酸菌飲料(業務用)の品質表示等について平成13年1月25日に中央保健所食品衛生(東京都中央区明石12−1所在)に問い合わせたところ、通常、常温保存可能で殺菌したものとは、びん詰や缶詰のように密閉されたものが考えられ、内面塗装したブリキ缶(乙第3号証)が包装容器として使用されているのであれば、当該ブリキ缶を更に何らかの方法で密閉処置が施されていなければ、たとえ殺菌された乳酸菌飲料であっても、品質を維持することができないとのことであった。してみれば、本号証からは何ら密閉処置を施した痕跡を確認することができないので、本号証に示された包装容器(ブリキ缶)は、実際に「乳製品乳酸菌飲料」の包装に使用されたものとはいえない。

(3)乙第3号証及び同第4号証について

商品規格書の作成及び価格見積書の作成について、何時、エヌ・ケー・エムのどの担当者より、どのように依頼したのか不明であり、単に商品規格書及び価格見積書を作成したという事実のみを示すのみである。したがって、これらの証拠をもって、審判請求登録日前3年の間に商品「ビオ」を日本国内において販売しているとはいえない。

(4)乙第5号証について

ア エヌ・ケー・エムからの注文書のみを示したのでは、単に注文書が作成された事実を示したにすぎず、当該証拠をもって、審判請求登録前3年以内に本件商標が「乳製品乳酸菌飲料」に使用されているということができない。また、当該注文書に示されているような、各注文書に対応する回答書や、納品書、受領書、請求書、領収書等の一連の取引書類が明示されていないので、現実に商品「ビオ」について販売取引があったとはいえない。

イ 被請求人は、当該注文書をもってエヌ・ケー・エムに「乳製品乳酸菌飲料」である「ビオ」を販売した旨述べている。

しかしながら、請求人側で平成13年1月15日にエヌ・ケー・エムに電話をし、同社の社長の三富氏に乳酸菌飲料等の販売について問い合わせたところ、「乳酸菌飲料は扱っておらず、乳酸菌でも、粉末のものは扱っている」旨の回答を得た(甲第4号証)。

また、平成13年1月18日に同社を訪問し、同氏に取扱商品について尋ねたところ、「液体の乳酸菌飲料は扱っておらず、乳酸菌関係はあくまでも粉末状の乳酸菌である」旨の回答であった。具体的に「ビオ」について尋ねたところ、「うちでは扱っていないですね。ビオは知らないなぁ、ビオって何ですか?」と答え、「ビオ」という商品を知らない様子であった。

さらに、乙第5号証の注文書(宛先は見えない状態にしてあるが、商品名である「ビオ」は確認できる状態)のうち1枚のみを示したところ、注文した商品は「去年2回ばかり試験的にお客さんから仕入れ、まだ製品化しておらず、通常製品化には1年位かかる」旨答えている(甲第7号証)。

乙第5号証の注文書を1枚しか示していないのに、半年程経過した時点において、去年2回注文したことを覚えているのは、「ビオ」なる商品が三富氏にとっては印象深い商品であったといえる。それにもかかわらず、注文した商品「ビオ」について、「乳酸菌」を「乳酸菌飲料」に、「粉末」状のものを「液状」のものであると何ら訂正していないのは、三富氏が商品「ビオ」がどのような形状の如何なる商品であるかを知らないということができる。また、商品「ビオ」に限らず、エヌ・ケー・エムは粉末の乳酸菌はいずれかの「お客さん」からは購入したことがあるが、液体である乳酸菌飲料はどこからも購入したことがないということがいえる。したがって、エヌ・ケー・エムは被請求人が販売したという「ビオ」とい商品である「淡黄色液状」(乙第3号証)の乳酸菌飲料を購入していないことが明らかといえる。

さらに、三富氏が注文したという粉末のものは乳酸菌であり、乳酸菌飲料は国際分類第29類にいう乳製品には含まれるが、乳酸菌は乳製品には含まれず(甲第8号証及び同第9号証)、「ビオ」という乳酸菌の売買があったとしても、これは本件商標の使用には該当しない。

なお、本件商標は旧第31類に属する乳製品であるが、国際分類第29類に属する乳製品とは何ら変わりはない。

さらに、被請求人の「会社案内」(甲第10号証)及び被請求人のホームページ(甲第11号証)には、「ビオ」なる乳製品はもとより、他の乳製品について何らの紹介もされておらず、一般市場においても被請求人が扱う乳製品を見ることがないのに、エヌ・ケー・エムが、如何にして被請求人が乳製品を扱っていることを知ったのかが不思議である。この点につき、三富氏は商品「ビオ」は、「よそからの依頼があって仕入れた」と答え、その用途については検討中であるとのことであった(甲第7号証)。

三富氏の回答からすると、乳製品であれ何であれ商品「ビオ」の用途は検討中であるので、当該商品を更に第三者へ転売することは考えていないということができる。してみると、三富氏の言う「よそからの依頼」とは、第三者ではなく被請求人であるといえ、被請求人からの依頼により商品「ビオ」の注文書(乙第5号証)を作成したと思われる。

仮に、エヌ・ケー・エムが自らの意志によって、被請求人から商品「ビオ」という乳酸菌飲料を購入したとしても、エヌ・ケー・エムが商品「ビオ」を使って如何なる製品を市場へ投入するかという製品計画を何らすることなく、商品「ビオ」を注文すること自体、通常の企業活動からは考えられないことである。これらの注文書(乙第5号証)は本件商標が使用された事実を何ら証明するものではない。

第3 被請求人の主張(争点)

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第5号証を提出している。

1 答弁の理由

(1)被請求人は、本件商標を「乳製品乳酸菌飲料」について使用している。

被請求人は、「乳製品乳酸菌飲料」を包装した缶の側面に「ビオ」の文字を記載したラベルを付して販売している(乙第1号証及び同第2号証)。

乙第1号証は、被請求人が販売している「乳製品乳酸菌飲料」の包装に付しているラベルの現物である。本ラベルは、被請求人会社の営業部が作成しているものである。

本ラベルには、商品名の欄に本件商標「ビオ」の文字が記載されているほか、商品の種類を示す「乳製品乳酸菌飲料」の文字、及び本商品の販売者である「ビオフェルミン製薬株式会社」、製造者である「六甲ヨーグルト株式会社」の文字が常に記載されている。また、乙第2号証は、被請求人が販売している「乳製品乳酸菌飲料」が包装されているものと同一の状態を撮影した写真である。該写真にある包装には、その缶の側面に乙第1号証のラベルが付されている。

よって、乙第1号証ないし同第2号証により、被請求人が商品「乳製品乳酸菌飲料」について本件商標「ビオ」を使用していることが立証される。

乙第2号証の写真は、平成12年11月14日に被請求人の社内で経理担当マネージャーにより撮影されたものである。

(2)被請求人が商品「乳製品乳酸菌飲料」に使用している商標「ビオ」は、本件商標と社会通念上同一の商標である。

また、被請求人が本件商標を使用している「乳製品乳酸菌飲料」は、本件商標の指定商品「乳製品」に含まれる商品である。

(3)乙第3号証は、被請求人が東京都中央区八丁堀に1−3−7所在のエヌ・ケー・エム産業株式会社のために平成12年3月22日に作成した「ビオ」の商品規格書である。

(4)乙第4号証は、被請求人がエヌ・ケー・エム産業株式会社に対して、平成12年4月3日付けで送付した商品「ビオ」の価格見積書であり、乙第5号証は、被請求人がエヌ・ケー・エム産業株式会社から平成12年4月17日及び平成12年7月10日付けで受け取っている、商品「ビオ」の注文書である。

以上により本件審判の被請求人による、平成12年10月4日より前3年間の日本国内における商品「ビオ」の販売事実は十分に立証されている。

以上の立証のとおり、被請求人は、本件審判請求に係る指定商品である「乳製品」について本件商標を審判請求の登録日前3年間に使用している事実が明らかである。

第4 当審の判断

被請求人は、本件商標を「乳製品乳酸菌飲料」に使用していると主張しているので、それについて検討するに被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。

「被請求人が販売している『乳製品乳酸菌飲料』が包装されているものと同一の状態を撮影した写真」であると被請求人が述べる乙第2号証は、商品名「ビオ R−43N」のラベルが貼付された缶を撮影した写真であり、そのラベル(乙第1号証)には、商品名の欄に「ビオ R−43N」の文字、種類別には「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」の文字、製造者に「六甲ヨーグルト株式会社」の文字、販売者に「ビオフェルミン製薬株式会社」の文字が記載されている。該ラベルは、剥離紙をはがして貼付する形式のものである。

乙第3号証は、エヌ・ケー・エム産業株式会社御中と記載された、製造者「六甲ヨーグルト株式会社」、販売者「ビオフェルミン製薬株式会社」と記載された、平成12年3月22日付けの商品名「ビオ R−43N」、種類別「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」の商品規格書である。

乙第4号証は、エヌ・ケー・エム産業株式会社御中と記載された、ビオフェルミン製薬株式会社の社名及び社印、担当者の印が押印された、平成12年4月3日付け品名「ビオ R−43N」に関する「価格見積書送付の件」の表題の文書整理番号の付されている書類である。

乙第5号証は、ビオフェルミン製薬株式会社営業部御中と記載された、東京都中央区八丁堀1−3−7所在のエヌ・ケー・エム産業株式会社の社名及び社印、担当者の印の押印された、平成12年4月17日付け及び同年7月10日付けの品名「ビオ R−43N」に関する注文書であり、これらには、前者の納期が4月27日と記載され、後者の納期は7月19日と記載されている。

一方、請求人の提出に係る甲第7号証によれば、平成13年1月19日(「1日19日」と記載されているが、「1月19日」の誤記と認められる。)付の「調査報告書」であり、該調査報告書の第1頁に、表題などのほか1.被調査先として、 「件名 商標『ビオ』の件(追報)」、商号「エヌ・ケー・エム産業 株式会社」、所在地「東京都中央区八丁堀1丁目3番7号 双鶴八重洲ビル2階」と記載されていて、同調査報告書の第2頁以下には、当該法人の代表の三富氏に面談した内容として、「問題の注文書(宛名の消してある注文書2枚中の1枚のみ)を1枚提示すると、・・・、『これは去年2回ばかり試験的にお客さんから仕入れたものです』と答えた。」、「問題の注文書に捺印されている社判及び三富氏の認印が事実であるかを訊ねた結果、間違いなく三富氏が捺印したものであると認めている。」と記載されている。そして、請求人は、弁駁の理由において、上記「問題の注文書」について、「乙第5号証の注文書(宛先は見えない状態にしてあるが、商品名である『ビオ』は確認できる状態)のうち1枚のみを示したところ」と述べている。

以上の事実によれば、甲第7号証に記載されている上記「問題の注文書」は、乙第5号証の「注文書」であったと認めることができるから、被請求人は、平成12年3月22日付けの商品規格書(乙第3号証)及び同年4月3日付けの価格見積書(乙第4号証)の商品「ビオ R−43N」(乳製品乳酸菌飲料)について、東京都中央区八丁堀所在のエヌ・ケー・エム産業株式会社より、納期を4月27日とする平成12年4月17日付け注文書、及び、納期を7月19日とする同年7月10日付けの注文書により注文を受けたものと認められる。

そして、該エヌ・ケー・エム産業株式会社の代表が、該注文書の2枚のうちの1枚のみを見て、「ビオ」を平成12年に2度仕入れた事実があると述べているのであるから、被請求人とエヌ・ケー・エム産業株式会社間において商品「ビオ R−43N」(乳製品乳酸菌飲料)の売買取引がされ、該商品は、乙第2号証の写真に示された体裁の缶に包装されて納品がされたものと推認できるものである。

該「乳製品乳酸菌飲料」は、「乳製品」に包含される商品であり、また、当該「ラベル」に表された「ビオ」の文字は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標としての使用であると判断するのが相当である。

そうとすれば、被請求人の提出に係る証拠によれば、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人(商標権者)は、六甲ヨーグルト株式会社の製造に係る、本件商標の指定商品の「乳製品」に含まれる「乳製品乳酸菌飲料」を、本件商標を付してエヌ・ケー・エム産業株式会社に販売した事実を認めることができる。

請求人は、乙第1号証のラベルに「保存方法の欄」の記載がない、乙第2号証の包装容器の付されたラベルには「品質保持期限」の欄が空白であり、さらに、包装容器には施さなければならない密封処置の痕跡がない、したがって、当該証拠をもって本件商標が「乳製品乳酸菌飲料」に使用されているとの証拠にはならない旨主張する。

しかしながら、乙第1号証のラベルは剥離紙の付された未使用状態のラベルであることが認められ、また、乙第2号証の写真は、「被請求人が販売している『乳製品乳酸菌飲料』が包装されているものと同一の状態を撮影した写真」であると被請求人が述べ、しかも撮影年月日は本件審判請求後であることからすると、この写真の「乳製品乳酸菌飲料」は、販売された商品の状態を示すために、缶に包装された商品の状態を再現したものと解すことができる。そうすると、請求人指摘の表示あるいは処置がされていないことは、この段階における商品ラベルあるいは商品の写真として必ずしも不自然なものであるとも判断し得ないから、これらの事由は上記判断を左右するものではない。

また、請求人は、被請求人と六甲ヨーグルト間の商品「ビオ」に関する製造委託契約書、注文書、納品書、請求書及び領収書等の一連の取引書類が何ら示されていない。六甲ヨーグルトと被請求人間に、「乳製品乳酸菌飲料」とされる「ビオ」に関する製造委託契約があったとはいえず、当該商品「ビオ」が製造されたとはいうことができない旨主張する。

しかしながら、一般的に商品の製造者と販売者が異なることが少なくないことは広く知られているところであり、乳製品乳酸菌飲料の包装に付しているラベル、包装状態の写真及び商品規格書である乙第1号証ないし同第3号証に不自然な点は見いだせないことから、それらの書類が提示されないとしても、その製造委託契約がなかったものと否定することができないので、上記請求人の主張は採用しない。

請求人は、エヌ・ケー・エム産業株式会社の代表が注文したのは粉末の乳酸菌である旨述べる。

しかしながら、注文書(乙第5号証)に記載されている「品名」の「ビオ R−43N」は、ラベル(乙第1号証)ないし「価格見積書の件」の書類(乙第4号証)の「品名」又は「商品名」の「ビオ R−43N」と符合していて、乙第1号証ないし同第3号証に「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」と明記されているのであるから、被請求人の提出に係る乙第1号証ないし同第5号証により取り引きされた商品は「乳製品乳酸菌飲料(殺菌)」であったということができる。したがって、請求人の主張は採用しない。

以上のとおりであり、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標は、その指定商品について使用されていたものであるから、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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