Trademark Appeal Case
著名商標と混同のおそれ
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90306(T2003−90306/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本件商標
本件登録第4648656号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成14年4月12日登録出願、第35類「建物又は土地に関する市場調査,建物又は土地に関する事業の企画,事業経営にかかる増改築など設備投資に関する相談」、第36類「金銭・有価証券・金銭債権・動産・土地若しくはその定著物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受け,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供」を指定役務として、平成15年2月28日に設定登録されたものである。
第2 登録異議の申立ての理由(要旨)
1 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、以下(1)ないし(3)に示す各登録商標(以下まとめて「引用商標」という。)と「ロフト」の称呼及び「登録異議申立人(以下「申立人」という。)の略称」若しくは「申立人の経営する店舗の屋号又はその略称」又は「屋根裏部屋」の観念において同一又は類似の商標であり、また、本件商標の指定役務は、引用商標の指定役務と相互に抵触するものである。
(1)登録第3123772号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日登録出願、第35類「広告,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,財務書類の作成又は監査若しくは証明,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,速記,筆耕,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、平成8年2月29日に設定登録されたものである。
(2)登録第3172256号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、使用に基づく特例の適用を主張して平成4年9月28日登録出願、第36類「クレジットカード利用者に代わってする支払代金の精算,資金の貸付け」を指定役務として、平成8年6月28日に設定登録されたものである。
(3)登録第3283726号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、平成4年9月29日登録出願、第36類「株式市況に関する情報の提供,生命保険契約の締結の媒介,損害保険契約の締結の代理,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又は媒介,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募金」を指定役務として、平成9年4月18日に設定登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第8号について
申立人は、1987年11月に渋谷ロフトを開店して以来、大型雑貨専門小売業では、我が国最大規模の店舗数を誇り、九州・東北地方を除く全国各地に24店舗を展開している。申立人の経営する店舗は、「渋谷ロフト」のように、地名等と「ロフト」又は「LoFt」を結合して使用しており、全店舗を総称して「ロフト」又は「LoFt」と呼ばれており、「ロフト」又は「LOFT」といえば、申立人の略称又は申立人の店舗名称若しくは店舗名称の略称であることは広く知られている。
しかるに、本件商標は、申立人の著名な店舗名称等を含み、かつ、その登録に際し、申立人の承諾を得ていないものである。
3 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、その構成中に申立人の使用に係る「ロフト」又は「LoFt」を含むものであるところ、該「ロフト」又は「LoFt」は、申立人の略称又は申立人の店舗名称若しくはその略称として、需要者に広く認識されているものである。
また、申立人は、大型雑貨専門小売業のほか、フランチャイズ契約に基づくFC店舗も有しており、経営診断・経営指導の役務も行っている。さらに、金融関連の役務は、業法緩和により多くの企業の参加が考えられるばかりでなく、建物又は土地の管理等についても、業種に関わらず、多くの企業が手がけている事実がある。
したがって、本件商標は、これをその指定役務について使用するときは、申立人の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせる。
4 商標法第4条第1項第7号について
前述のように、本件商標は、著名な商標である「ロフト」又は「LoFt」と同一の称呼、観念を生ずるものであるから、本件商標を登録すれば、店舗営業主体と役務の提供主体との混同等を生ずるのみならず、役務又は商品についての質・品質の誤認を生ずるおそれがあり、競業秩序維持・需要者の保護を目的とする商標法の趣旨に反する。また、他の法律で使用が禁止されている標章の登録をすることは妥当でない。
5 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第8号、同第15号及び同第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
第3 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるところ、その構成中の「L」と「LOFT」の間に「.」の記号があるとしても、欧文字部分は、同一の書体をもって、同一の大きさで書されているばかりでなく、その下の書された「エルロフト」の片仮名文字部分は、欧文字部分全体の読みを特定したものと理解されるものである。そして、本件商標は、構成全体が外観上まとまりよく一体的に表されており、これより生ずると認められる「エルロフト」の称呼もよどみなく称呼し得るものである。
そうすると、本件商標は、構成全体をもって、「エルロフト」と称呼される一種の造語商標を表したと理解されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標は、その構成文字に相応して、「エルロフト」の一連の称呼を生ずるものであって、特定の観念を想起させない造語よりなるものといわなければならない。
(2)引用商標
引用商標は、別掲(2)及び(3)のとおりの構成よりなるものであるところ、その欧文字において、「L」を大文字で書し、その「L」の内側に入り込むように小文字の「o」を書し、さらに、「F」を大文字にし、次の「t」を小文字で書した独特の表現方法よりなる商標は、「ロフト」と称呼され、申立人の業務に係る雑貨専門小売店の名称を表示するものとして、一般の消費者に知られているものである。
そうすると、引用商標は、その構成文字に相応して、「ロフト」の称呼を生ずるものであって、申立人の店舗名称又はその略称を表したと理解されるものである。
(3)本件商標と引用商標との対比
本件商標より生ずる「エルロフト」の称呼と引用商標より生ずる「ロフト」の称呼は、語頭部分において「エル」の音の差異を有するものであるから、それぞれの称呼を一連に称呼する場合においても、明瞭に聴別し得るものである。
また、本件商標と引用商標の観念は、それぞれ前記したとおりであるから、相紛れるおそれはないものである。
さらに、本件商標と引用商標は、それぞれ別掲のとおりの構成よりみて、外観上明らかに区別し得るものである。
してみると、本件商標と引用商標とは、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきである。
(4)申立人の主張について
申立人は、審決例を示し、本件商標はその構成中の「LOFT」の文字部分は、他の部分と区別して看取され、識別力の点においても「L」とに軽重の差があり、かつ、我が国で知られた英単語である。しかも、本件商標中の「LOFT」又は「ロフト」は、申立人の略称又は申立人の店舗名称若しくはその略称であるから、該文字部分に着目する。したがって、本件商標は、「ロフト」の称呼及び「申立人の略称」若しくは「申立人の経営する店舗の屋号又はその略称」又は「屋根裏部屋」の観念を生ずる旨主張する。
しかしながら、本件商標の構成が一体不可分のものとして看取されることは、前記認定のとおりである。そして、本件商標の指定役務は、土地、建物等不動産に関連する役務であり、本件商標中の「LOFT」(ロフト)の文字部分が、一般的に「屋根裏部屋」の意味を有する英単語として知られているものであることからすると、その指定役務との関係からすれば、自他役務の識別機能を有しないか、きわめて弱いものということができる。そうすると、本件商標は、その構成中の「L」と「LOFT」との間に、識別力の点において軽重の差は見出せない。
また、「LOFT」(ロフト)の語は、上記したように、一般的には、「屋根裏部屋」の意味を有する英単語として知られているものであり、申立人の店舗名称又はその略称を表すものとして、一般の消費者に知られている商標は、上記(2)で認定したとおり、特異な構成態様からなる欧文字及びその片仮名表記であるから、本件商標中に「LOFT」及び「ロフト」の文字を含むことをもって、これが直ちに申立人の店舗名称又はその略称を表したと理解されるものではない。
したがって、本件商標は、その構成中の「LOFT」、「ロフト」の文字部分のみに印象づけられるものではないから、申立人の上記主張は理由がない。
2 商標法第4条第1項第8号及び同第15号について
(1)「LoFt」及びその片仮名表記である「ロフト」は、本件商標の登録出願時において、申立人の店舗名称又はその略称を表示するものとして、一般の消費者に知られていたことは認め得るところである。
しかしながら、本件商標は、前記したとおり、構成全体をもって一体不可分の造語よりなるものであり、その構成中の「屋根裏部屋」の意味を有する一般的用語である「LOFT」、「ロフト」の文字部分のみに強く注意が惹かれ、印象づけられることはないというべきであり、加えて、申立人の営業する雑貨専門小売店と本件商標の指定役務とは、業種が著しく異なるものであることをも併せ考慮すれば、本件商標のかかる構成において、「LOFT」、「ロフト」の文字部分から、直ちに、申立人の店舗名称又はその略称を想起させるものとはいえない。
したがって、本件商標は、他人の名称の著名な略称を含む商標と認識されることはないものであり、かつ、これをその指定役務について使用しても、その需要者をして、該役務が申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものと判断するのが相当である。
(2)申立人は、同人は大型雑貨専門小売業のほか、フランチャイズ契約に基づくFC店舗も有しており、経営診断・経営指導の役務も行っている。さらに、金融関連の役務は、業法緩和により多くの企業の参加が考えられるばかりでなく、建物又は土地の管理等についても、業種に関わらず、多くの企業が手がけている事実がある旨主張する。
しかし、申立人が経営診断・経営指導の役務を行っているとの的確な証拠の提出はないのみならず、仮に上記役務の提供をしているとしても、「LoFt」及びその片仮名表記である「ロフト」が申立人の上記役務を表示するものとして、需要者の間に広く認識されているという事実を立証する証拠の提出もない。他に、本件商標は、これをその指定役務に使用した場合に、申立人の業務に係る商品との間に出所の混同を生じさせるおそれがあるものと認めるに足りる具体的証拠は見出せない。
3 商標法第4条第1項第7号について
本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの申立人の主張は、本件商標より「LOFT」、「ロフト」の文字部分のみが独立して認識されることを前提とするものである。
しかし、本件商標は、一体不可分の商標であり、申立人の「LoFt」及びその片仮名表記である「ロフト」とは、非類似の商標であること及び本件商標をその指定役務に使用しても、申立人の業務に係る商品との間に出所の混同を生じさせるおそれはないものであることは、前記認定のとおりであるから、申立人の主張は、前提において誤りがあり、失当である。
4 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号、同第8号、同第15号及び同第7号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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