Trademark Appeal Case
称呼の類似性と要部抽出
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90069(T2002−90069/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4519385号商標(以下「本件商標」という。)は、「NON STOP REVOLUTION」の欧文字と「ノンストップレボリューション」の片仮名文字を二段に横書きしてなり、結論掲記の商品を含む第9類に属する商標登録原簿記載の商品を指定商品として、平成12年9月27日に商標登録出願、同13年11月2日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第2181096号商標は、「NONSTOP」の欧文字を横書きしてなり(以下「引用A商標」という。)、第11類「電子計算機」を指定商品として、昭和54年10月24日に登録出願され、平成元年10月31日に設定登録されたものであり、同登録第2704003号商標は、「ノンストップ」の片仮名文字を横書きしてなり(以下「引用B商標」という。)、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、平成3年7月16日に登録出願され、同7年2月28日に設定登録されたが、その後、指定商品については、同12年1月4日に不使用取消審判(審判番号11−30577)により指定商品中「民生用電気機械器具、テレビジョン受信機、ラジオ受信機、音声周波機械器具、映像周波機械器具」についての登録を取り消すべき旨の審決があり、同12年7月26日にその確定審決の登録がなされたものであって、該商標権はいずれも現に有効に存続しているものである。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、「NON STOP REVOLUTION」の英文字とその表音である「ノンストップレボリューション」の片仮名文字とを上下2段に表したものであるが、「NON STOP」は「途中で止まらない、直行の」を意味する語であり、「REVOLUTION」は「革命、改革」を意味する語であるが、それらの語はわが国でも良く知られている英単語である。そして、「NON STOP REVOLUTION」が全体として特定の意味を有する熟語を形成或いは認識させるものではないから、称呼及び観念において「NON STOP/ノンストップ」と「REVOLUTION/レボリューション」の部分とに分離して認識されると言うのが相当である。したがって、全体として「ノンストップレボリューション」の称呼を生ずるが「ノンストップ」のみの称呼も生ずるものである。
一方、引用各商標は、いずれもその表記に相応して「ノンストップ」の称呼を生ずる。したがって、本件商標と引用各商標は「ノンストップ」の称呼を同じくする類似の商標というべきである。
また、本件商標と引用各商標の指定商品が同一又は類似すること明らかである。
よって、本件商標の登録は、指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について商標法第4条第1項11号に違反してされたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号の該当性について
(ア)申立人会社は、1982年に創立され、以来コンピュータリゼイションの波に乗り拡大し、現在では米国、英国はもとよりヨーロッパ、南米や日本、シンガポール、中国などアジア圏を含む世界の100ケ国以上に生産拠点を有し、また38,000拠点を超える販売網を擁して自社製品を販売している(甲第2号証)。
(イ)申立人が製造・販売する商品のデスクトップ型パソコンについては主にビジネスユーザー向けのDeskproシリーズ、スモールオフィス・ホームオフィス向けのProLineaシリーズを生産、ポータブル型パソコンにはConturaシリーズ、ノート型パソコンにはLTE Eliteシリーズを生産している。またサーバーはProliantシリーズ及びProSignaシリーズを生産している。そして、高性能の並列サーバを使用し365日を通しての停止時間を極限まで少なくできるよう工夫したサーバーシステムとして、シリーズネーム「NonStop」商標を使用し、NonStop HimalayaやNonStop Integrityの商標を付して、高度の無停止運用が求められる金融機関の決済システム、証券取引所、クレジットカードの与信照会システムなどの業務に供給している(甲第3号証)。
(ウ)そもそも「NONSTOP」の名称で周知なコンピュータは、申立人が1998年12月に吸収合併したコンピュータメーカーである夕ンデム・コンピューターズ・インコーポレーテッド(米国カリフォルニア州、以下「タンデム社」という。)が1976年に開発したフォールト・トレラント・コンピュータ(故障に耐えるコンピュータ)で、該コンピュータはオンライン及びネットワークシステムのホストコンピュータであるが、一日24時間一年中休みなく稼動し、また、例え一部に故障を生じてもダウンしないコンピュータであることから通称「NONSTOP」コンピュータと称されタンデム社の主力商品として周知となっていた。夕ンデム社が開発した「NONSTOP」コンピュータは、ライバル企業の追従を許さない画期的なシステムであったことから、販売高が1977年には僅か700万ドルであったのが1980年にはその10倍以上の1億ドルに伸び、その後は前年に比し毎年1億ドル以上の売上増を記録し、1985年には6億ドル以上にまで達し、タンデム社は世界で最も急成長を遂げた企業の一つと言われ1986年全米企業ランキングの409位に登場するところとなった(甲第5号証の1)。なお、申立人は上述のとおり、タンデム社を1998年12月に事業とともに吸収し「NONSTOP」又は「NonStop」商標を継続して使用しているものである。
また、我が国においては、1979年にタンデム社の100%子会社である日本タンデムコンピューターズ株式会社が設立され、企業のオンライン化、ネットワーク化に対応する「NONSTOP」コンピュータを販売してきていたが、現在、コンパックコンピュータ株式会社(申立人の100%子会社である日本法人)に合併されている。
(エ)「NONSTOP」の商標は、その語意からフォールト・トレラント・コンピュータ(故障に耐えるコンピュータ)の品質・普通名称的であるが、他のコンピュータメーカ一であるIBM、NCR、UNIXなどが取り扱う同種のコンピュータは「NONSTOP」とは呼ばれず、「NONSTOP」コンピュータと言えばその性能と圧倒的な市場専有によりタンデム社のコンピュータを示す商標として認識され周知著名となっていた。そして、我が国においても「NONSTOP」商標は、使用による周知性の獲得を認められ1989年に商標法3条2項により登録が認められたものである(甲第5号証の1及び2)。
(オ)ところで、近年コンピュータやインターネットを始めとする情報技術の発展・普及に伴う社会の急激な変化はIT革命(INFOMATION TECHNOLOGY REVOLUTION)と称されその影響は経済活動から家庭生活にいたるまで多岐にわたっており、日本においてもパソコン、インターネットの爆発的な普及とそれに伴う新しい情報メディアの普及、政府によるIT関連事業の推進など様々な変革が起きている。それに伴い、「革命」「改革」を意味する「REVOLUTION」「レボリューション」の語も多岐にわたり使用されるようになり、特に情報技術分野において上記意味合いで多用されている(甲第7号証)。
(カ)上述のとおり、「NONSTOP」商標は本件商標の出願時において既に申立人に係る商品を表示するものとして周知著名の域に達していたものであり、また申立人が「NONSTOP」又は「NonStop」商標をシリーズ商標として他の商標と組み合わせて使用していることは周知の事実である。そして、「REVOLUTION」の語も上述のとおり我が国情報技術分野でー般に使用されている語であるから「NONSTOP」と「REVOLUTION」の語を組み合わせた本件商標を、申立人の使用商品である「コンピュータ」及びそれと密接な関係にあるコンピュータ関連の指定商品である「結論掲記の商品」について使用した場合、申立人或いは申立人と関係ある者の業務に係る商品であるかのごとく、商品の出所の誤認を生ずることは明らかである。
よって、本件商標の登録は、指定商品中「結論掲記の商品」について商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
3 当審の判断
(1)引用各商標の著名性獲得の有無について
申立人は、本件商標は出願時において既に申立人に係る商品を表示するものとして周知著名の域に達していたものである旨主張しているので、この点について検討する。
昭和60年6月9日付け「日本経済新聞」には、「米国タンデム社は地震などの災害で故障が発生しても運転の中断がない『ノンストップ・コンピューター』を開発したことで知られる。」と掲載されていること(甲第5号証の1)、タンデム社の扱うコンピューターとして「NonStopI」「NonStopII」「NonStopEXT」「NonStopTXP」等の商標が新聞記事中に掲載されていること(甲第5号証の1)、コンパックコンピューター社は1998年1月ころタンデム社を吸収合併したこと(甲第8号証)、その後コンパックコンピーター社は、「NonStop Cyclone」「NonStop Hymalaya」等の商標をコンピューターに使用し、「NonStop Kernel」商標をコンピューター用ソフトに使用していること(甲第10号証等)の各事実が認められる。
他方、昭和60年4月26日付け「日刊工業新聞」には、「日本タンデムコンピューターズは25日、小型、低価格のノンストップ・コンピューター・システム『Non Stop EXT』を販売したと発表した。」「ノンストップシステムは故障によるアイドルタイム発生の心配がないコンピューターシステム。」の旨記載され、1985年6月10日発行「NIKKEI COMPUTER」には、「これまで一般的にはなじみの薄かったフォールト・トレラント・コンピュータ(Fault−Tolerant Computer,以下FTCとする)が,いま新たに脚光を浴び始めている。FTCとは文字通り,故障(fault)に耐えられる(tolerant)信頼性の高いコンピュータのことで,日本ではむしろ”ノンストップ・コンピュータ”という呼び名で通っている。」と記載され(甲第5号証の1)、昭和60年8月13日付け「日経産業新聞」には、「米国タンデム社は故障による運転中断のない『ノンストップコンピューター』で独走しているが、日本では思ったような販売実績を上げていない。」と記載され(甲第5号証の1)、昭和60年10月26日付け「日刊工業新聞」には、「故郷の米国や欧州でこそ文字通り”タンデム”のスピードで成長、・・・などビッグユーザーからも絶大な信頼を寄せられるコンピューター会社になった。しかし、日本ではまだ”牛車”の歩み。」の旨記載され(甲第5号証の1)、昭和61年1月31日付け「日経産業新聞」には、「IBMに負けぬノンストップ分野に自信 タンデム社長会見」の見出しの下に「ノンストップコンピューターの日本市場開拓の方針を明らかにした。」「日本でノンストップ型のコンピューター市場がどの程度の規模かはわからないが、とてつもなく大きいと確信している。」「IBMはノンストップコンピューターを自社開発せず、ストレイタス社から供給を受けることを決定した。」と記載され(甲第5号証の1)、昭和61年6月12日付け「日刊工業新聞」には、「日本タンデムコンピューターズは・・・フォールト・トレラント(ノンストップ)コンピューターの最上位機種として『ノンストップVLX』を開発、開始すると発表した。」旨記載され(甲第5号証の1)、昭和61年6月20日付け「日経産業新聞」には、「ノン・ストップ」という魅力あるキャッチフレーズでオンライン向け市場を開拓中なのがタンデム・コンピューター。」と記載され、申立人自身もそのガイドブックで「NonStop Hymalayがその名のとおりノンストップで稼働し続けることのできる最大の理由は、・・・」と記載している(甲第10号証)等の事実が認められる。
これらの事実によれば、タンデム社は、我が国において、遅くとも昭和60年ころまでには、ノンストップコンピューターを生産、販売しているものとして広く知られており、このことはコンパックコンピーター社と合併するまで継続していたものと推察される。しかしながら、「ノンストップコンピューター」の語は、本件商標を登録すべき旨の審決(審判昭58−10582)がなされた平成元年6月12日当時、我が国においては、「フォールト・トレラント・コンピューター」の語と同義の語として、「ノンストップ型」「ノンストップシステム」等の語とともに、広く使用されていたと認められる。このことは、例えば、2001年8月6日株式会社秀和システム発行「最新2002年版標準パソコン用語辞典」によれば、「フォールトトレランス」の項には「フォールトトレランス技術を用いたコンピュータをフォールトトレラントコンピュータという。耐障害コンピュータ、無停止型コンピュータ、ノンストップコンピュータともいう。」と記載され、「無停止コンピュータnon−stop computer」の項には「コンピュータシステムの一部に故障が生じた場合に、すべての処理が停止しないように設計されたコンピュータ。フォールトトレラントコンピュータ、高信頼性コンピュータともいう。」と記載され、「ノンストップシステムnon−stop system」の項には「文字通り停止することのないコンピュータシステム」と記載されており、現在でも前記審決時と同様に理解されていることからも窺われる。「NonStop」「ノンストップ」の各語は、無停止の意味を有し、我が国のコンピューター関連の取引分野においては、故障による運転中断のないコンピューターを指称するものとして「ノンストップコンピューター」「ノンストップ型」「ノンストップシステム」のように広く使用されているため、商品「電子計算機」等について該語単独では商品の品質、機能を表すのか商品の出所を表すのか判然とせず、高い識別力を有するとはいえないものである。そのため、申立人自身が製品カタログ等で商標を表す多くの場合、「NonStop」「ノンストップ」の各語に商品の記号、符号や他の語である「II、EXT、TXP、VLX、Kernel、Cyclone、Hymalaya」等を付加して表示しており、新聞や雑誌等の報道でも、同社の商標を表す場合、鉤括弧内に同様の表示をしている例が多いものと推察される。
以上によれば、引用各商標は、その出願当時はもとより登録審決時においても、周知著名であったとはいえず、申立人の提出した証拠のみによっては著名性を獲得していたとの事実を認定するに足りない。
申立人は、この点について、引用A商標は使用による周知性の獲得により登録が認められたものである旨主張している。しかしながら、引用A商標の登録は、商標法第3条第2項を適用してされたものと認められるが、識別性を獲得した場合には同条項が適用されるとしても、同条項が適用された場合常にその商標の周知性の獲得を認められたことにはならず、本件商標についての出願公告の決定及び審決(甲第5号証の1及び2)によっては、本件商標が周知性を獲得したとして認定判断された事実を認めることができない。
したがって、本件商標は出願時において既に申立人に係る商品を表示するものとして周知著名の域に達していたものである旨の申立人の主張は、採用することができない。
(2)商標法第4条第1項第11号の該当性について
本件商標は、前記のとおり「NON STOP REVOLUTION」の文字と「ノンストップレボリューション」の文字とを上下2段に表してなるところ、構成中の「NON STOP」「ノンストップ」の文字部分が「途中で止まらない、休止(間断)なく行われる」等を意味する英語又は外来語として、また「REVOLUTION」「レボリューション」の文字部分が「革命、改革」をそれぞれ意味する英語又は外来語として我が国において広く知られていること、「nonstop」「ノンストップ」の語が英語においては「a nonstop flit/bus」「a 3−hour meeting nonstop」、日本語においても「ノンストップ飛行」のように他の語を形容するものとして普通に使用されていることに加え「nonstop」「ノンストップ」の語に続く語が不自然でない場合には一体不可分のものとして理解されていることからすれば、構成全体として「絶え間のない革命」等の意味合いを想起させるものであり、また構成全体より生ずる称呼「ノンストップレボリューション」も一気一連に称呼できる長さであって、「NON STOP/ノンストップ」と「REVOLUTION/レボリューション」の部分とに分離して認識されるとすべき特段の事由は認められないものであるから、「ノンストップレボリューション」の称呼及び「絶え間のない革命」の観念を生ずるとみるのが相当である。
他方、引用各商標は、前記のとおり「NONSTOP」又は「ノンストップ」の文字を横書きしてなるものであるから、いずれも「ノンストップ」の称呼及び「止まらない」の観念を生ずるものである。
本件商標より生ずる「ノンストップレボリューション」の称呼と引用各商標より生ずる「ノンストップ」の称呼とは、「ノンストップ」の音を共通にするとしても、「レボリューション」の音の有無の差異を有するものであるから、称呼上十分聴別し得るものである。
また、本件商標と引用各商標とは、構成文字の相違により外観において明確に区別し得るものであり、「絶え間のない革命」と「止まらない」との観念においても意味合いが著しく相違するものであるから明確に区別し得るものである。
したがって、本件商標の登録は、本件商標と引用各商標とが称呼、外観および観念のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標であり、引用各商標が著名性を獲得したとは認められないことを併せ考慮すると、指定商品中「電子応用機械器具及びその部品」について、商標法第4条第1項11号に違反してされたとはいえないものである。
(3)商標法第4条第1項第15号の該当性について
本件商標と引用A商標とは、上述したとおり非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
また、引用A商標は、上述したとおり、申立人の取扱に係る「電子計算機」等を表示するものとして著名性を獲得したとは認められないものである。
したがって、本件商標の登録は、本件商標を指定商品中「結論掲記の商品」に使用したとしても、取引者・需要者がその商品を申立人又は申立人と何らかの関係のある者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じされせるおそれがあるとはいえず、指定商品中「結論掲記の商品」について、商標法第4条第1項15号に違反してされたとはいえないものである。
(4)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び第15号の規定に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
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