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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼の類似性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2002−90306(T2002−90306/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4543076号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4543076号商標(以下、「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成12年5月22日に登録出願、第10類「自慰補助器具,性交補助器具,コンドーム」を指定商品として、同14年2月8日に設定登録されたものである。

2 当審における取消理由の要点

当審において平成15年5月22日付で商標権者に通知した取消理由は、要旨次のとおりである。

登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録第741380号(以下、「引用商標1」という。)は、「JOHNSON」の文字を書してなり、昭和40年3月9日に登録出願され、第1類「化学品(他の類に属するものを除く),薬剤,医療補助品」を指定商品として、昭和42年4月28日に設定登録されたものであるが、その後、存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

同じく、登録第750293号(以下、「引用商標2」という。)は、「JOHNSON」の文字を書してなり、昭和40年3月9日に登録出願され、第10類「理化学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)光学機械器具(電子応用機械器具に属するものを除く)写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具(電子応用機械器具に属するもの及び電気磁気測定器を除く)医療機械器具、これらの部品及び附属品(他の類に属するものを除く)写真材料」を指定商品として、昭和42年8月5日に設定登録されたものであるが、その後、存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである(以下、まとめていう場合は「引用商標」という。)。

本件商標は、別掲のとおり、背景図形の上部に「D」の文字を大きく書した「Doc」の文字を横書きし、その下部に「JOHNSON」の文字を同書・同大・等間隔に書してなるという構成よりなるものであるところ、「Doc」の文字と「JOHNSON」とは書体を異にし、視覚上分離して看取されるばかりでなく、「Doc」及び「JOHNSON」の文字が一連一体のものとして特定の観念を生じ得るとする格別の理由もないと判断されるものであるから、構成中の「JOHNSON」の文字部分自体が独立して自他商品の識別標識として機能し得るとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成中の「JOHNSON」の文字部分より生ずる「ジョンソン」の称呼をもって取引に資される場合が少なからずあるものというべきである。

他方、引用商標は、いずれも「JOHNSON」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「ジョンソン」の称呼を生ずるものと認められる。

してみれば、本件商標と引用商標とは、「ジョンソン」の称呼において相紛れるおそれがある類似の商標といわざるを得ない。

さらに、本件商標と引用商標の指定商品は同一又は類似するものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 商標権者の意見の要点

上記2の取消理由に対し、商標権者は、要旨次のように意見を述べている。

(1)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、いずれも同一の類似群に含まれるものではない。また、コンドームと薬剤や医療補助品は、いずれも薬局において販売されているが、ア.商品の製造販売は同一の事業者により行われておらず、イ.商品の用途も一致せず、ウ.自慰補助器具や性交補助器具については、商品の販売場所も一致せず、エ.需要者の範囲も一致していない。したがって、本件商標と引用商標の指定商品は類似していない。

(2)本件商標においては、円の中央に立体的な白い大文字で独特の手書書体で描かれた「Doc」の文字部分が、円の下部に平面で小さく際立った特徴のない欧文字活字書体で記載された「JOHNSON」の文字部分に比して、顕著に際立った特徴を有する構成部分であることは一見して明らかであり、文字部分のうちでは、「Doc」部分が本件商標の要部をなすことは明らかである。本件商標のうち、要部である「Doc」の文字部分を除外して考えることは相当ではなく、これを本件商標の各文字部分の特徴に照らすと、要部である「Doc」を除外した称呼が本件商標から生じるとは認めがたい(東京高判平成6年12月22日判工28巻7221の52頁参照)。そして、簡易迅速を尊ぶ取引の実情をも勘案すると、本件商標からは、比較的短く、かつ、称呼し易い「ドク」又は「ドクジョンソン」の称呼が生じるものと考えるべきである。

(3)ところで、本件商標は、英語で表示された商標であるが、英語の普及率は他の外国語に比較し圧倒的に高く、商業広告も英語が使用される頻度が他の外国語が使用される頻度よりも高いことから、英語又はローマ字で書かれた商標に接した者は、その発音を知らない場合でも、一般には自己の有する英語の知識に従って英語風に読もうとするものと解され(東京高判平成11年11月16日判工28巻7213の76頁)、かつ、発音の違いに強い注意を払い、その差異を聞き分ける傾向が見られる(東京高判平成5年2月17日判夕829号215頁)。「Doc」とは、主として医師又は博士に親しみを込めて呼びかける場合に用いられる「Doctor」の略語であり、人名の前に付される場合には、医師又は博士であるその人物に対する呼びかけに用いられ、「Doc JOHNSON」という一連の言葉として発音される。このような「Doc」の意味合い及び発音はわが国においても一般的に認識されていると考えられる。また、「ドクジョンソン」は7音であり日本語として称呼した場合であっても淀みなく一連に称呼し得ることは明らかである。本件商標は、「Doc」のすぐ下に「JOHNSON」の文字が配置されており、外観上も一連に称呼することの障害となるような配置ではない。

(4)本件商標の有する観念の側面から考えると、前述したとおり、「Doc」 は主として医師又は博士に親しみを込めて呼びかける場合に用いられる「 Doctor」の略語であり、人名の前に付される場合には、医師や博士であるその人物に対する呼びかけに用いられ、「Doc」と「JOHNSON」に分離されて認識されることはない。

(5)以上から、本件商標と引用商標は同一でなく、類似もしていないから、本件商標登録は維持されるべきである。

4 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、本件商標と引用商標とは、その外観、観念の点を考慮するとしても、称呼において互いに相紛らわしく、かつ、本件商標と引用商標の指定商品についても類似の商品であるというべきである。

(1)商標権者は、「本件商標の指定商品と引用商標の指定商品とは、いずれも同一の類似群に含まれるものではない。また、コンドームと薬剤や医療補助品は、いずれも薬局において販売されているが、ア.販売は同一の事業者により行われておらず、イ.商品の用途も一致せず、ウ.補助器具や性交補助器具については、商品の販売場所も一致せず、エ.需要者の範囲も一致していないので、本件商標と引用商標の指定商品は類似していない。」旨主張している。

しかしながら、本件の指定商品中の「コンドーム」と引用商標1の指定商品中の「医療補助品」及び本件商標の指定商品中の「自慰補助器具,性交補助器具」と引用商標2の指定商品「医療機械器具」とは、それぞれ製造者、販売場所(薬局)、流通経路等を同じくすることから、明らかに類似の商品であるというべきである。

(2)商標権者は、「本件商標の文字部分の要部は、『Doc』にあり、『Doc』の文字は、Doctorの略語であり、人名の前に付される場合には、医師や博士であるその人物に対する呼びかけに用いられ、『Doc』と『JOHNSON』の文字は、分離して認識されることはない。」旨主張している。

しかしながら、本件商標は、別掲のとおり、背景図形の上部に、デザイン化された「Doc」の文字を配し、その下部に「JOHNSON」の文字を同書・同大・等間隔に書してなる構成であるところ、顕著に書してなる「Doc」の文字と「JOHNSON」の文字との書体は、顕著に相違し、視覚上分離して看取されるばかりでなく、かかる構成においては、「Doc」の文字が、「Doctor」の略語(一般的には、「Dr.」である。)とは到底認識し得ない構成であり、さらに「Doc」及び「JOHNSON」の文字が一連一体のものとして把握しなければならない格別の理由もないと判断されるものであるから、構成中の「JOHNSON」の文字部分自体が独立して自他商品の識別標識として機能し得るとみるのが相当である。

そうすると、本件商標は、その構成中の「JOHNSON」の文字部分より生ずる「ジョンソン」の称呼をもって取引に資される場合が少なからずあるものというべきである。

他方、引用商標は、前記のとおり、それぞれ「JOHNSON」の文字よりなるものであるから、構成文字に相応して「ジョンソン」の称呼を生ずるものと認められる。

してみると、本件商標と引用商標とは、「ジョンソン」の称呼を共通にする類似の商標であるというべきであるから、商標権者の上記主張は採用することができない。

したがって、本件商標は、上記2の理由のとおり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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