sokuhyo

Trademark Appeal Case

炭化機と供給機の類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−30785(T2003−30785/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1930724号商標の指定商品中の「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」については、その登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第1930724号商標(以下「本件商標」という。)は、「カーボナイザー」の文字を横書きしてなり、昭和59年9月17日登録出願、第9類「粉末活性炭自動供給機、その他本類に属する商品」を指定商品として、同62年1月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。

1 請求の理由

本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通使用権者のいずれもが、その指定商品中、「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」について、継続して3年以上日本国内において使用していないから、商標法第50条第1項の規定により取消されるべきである。

2 答弁に対する弁駁

(1)甲第3号証(昭和34年法に基づく「類似商品審査基準」)から明らかなように、被請求人が本件商標を使用していると主張する「粉末活性炭自動供給機」は、甲第3号証のどこにも明記されていない。したがって、「粉末活性炭自動供給機」は、概念的には、「その他の機械器具で他の類に属しないもの」ということになる。その機能からみて、最も近いものは「汚水浄化そう」であろうと思われる。

一方、請求に係る商品「廃棄物炭化機」は、「廃棄物」を材料として「炭」を作る装置(「水」は材料になり得ない。)であるから、概念的には「化学機械器具」に属している。

よって、甲第3号証から、2つの商品は類似関係にないことが明らかである。

なお、「廃棄物炭化機」とはどのような商品であるかを示すため、甲第4号証(株式会社オカドラの総合カタログ抜粋)を引用する。

(2)「粉末活性炭自動供給機」と「廃棄物炭化機」とを、特許庁商標課編「商標審査基準」の商品の類否判断の基準に照らして検討するに、

(a)「粉末活性炭自動供給機」は、廃水処理用機械器具を生産する部門に属するが、「廃棄物炭化機」は、廃棄物処理用機械器具の生産部門に属するから、両者の生産部門は一致しない。

(b)両商品は、いずれも高度な専門的技術知識を必要とする、高価で、大型の製品であり、一般市場の店頭で販売されることはなく、それぞれの専門業者による展示会やカタログ販売等によって個別に需要者に販売されるのが通常であるから、販売部門が一致することはない。

(c)両商品は、互いに品質、用途、需要者が異なる商品であって、また、完成品と部品という関係にない。

需要者の点に関していえば、「粉末活性炭自動供給機」は「浄水場」に限られるが、「廃棄物炭化機」の需要者は「浄水場」ではない。

(3)以上のことから、被請求人が「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」に、本件商標を使用していないことは明らかである。

第3 被請求人の主張

被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した(なお、被請求人は、平成16年1月26日付け答弁書に添付した証拠方法について、「乙第1号証」、「乙第2号証」として提出したが、これらの証拠中、「乙第1号証」は「乙第4号証」と、「乙第2号証」は「乙第5号証」とした。)。

1 使用の事実

被請求人である商標権者は、本件商標を請求に係る商品「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」に含まれる「粉末活性炭自動供給機」に、以下のとおり、日本国内において現に使用している。

(1)乙第1号証(商標権者の取扱いに係る商品の総合カタログ)において、「粉末活性炭自動供給機」に商標「カーボナイザ」を付して使用している。なお、乙第1号証は、2001年10月8日に作成されたものであり、本件審判の請求の登録前3年以内のものである。

(2)乙第2号証(商標権者の取扱いに係る「粉末活性炭自動供給機」に関するカタログ)において、「カーボナイザ」を商標として使用している。

(3)乙第3号証(「粉末活性炭自動供給機(CCF形)」の注文書、製品預り書)は、商標権者が乙第1号証及び乙第2号証を使用して実際に、「粉末活性炭自動供給機(CCF形)」に商標「カーボナイザー」を付して販売したことを示すものである。注文書の発行日は2001年10月17日、製品預り書の作成日は平成13年(2001年)12月21日であり、いずれも本件審判の請求の登録前3年以内である。

(4)なお、乙第1号証及び乙第2号証において使用されている商標「カーボナイザ」は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であって、登録商標の使用に該当する。

2 「粉末活性炭自動供給機」が「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」に類似する商品であることについて

(1)「粉末活性炭自動供給機」は、廃水の中に含まれる有機物や臭気を除去することを目的に使用する機械であって、当該機械の需要者は、浄水場や廃水を処理する必要がある事業所が含まれる。

また、「廃棄物炭化機」は、有機性廃棄物を炭にする機械であって、有機物が含まれる廃水を処理したことにより発生する汚泥などの有機性固形廃棄物を炭にするためにも使用できる機械であるので、浄水場や廃水を処理する必要がある事業所が需要者の一部に含まれる。

(2)請求人は、「粉末活性炭自動供給機」の需要者は「浄水場」に限られるが、「廃棄物炭化機」の需要者は「浄水場」ではないため、「粉末活性炭自動供給機」と「廃棄物炭化機」は需要者も全く異なることは明らかであると主張する。

しかし、食品工場、特に飲料を製造する工場の中にはその工場内に水処理施設を保有し、河川水、湖沼水、地下水などの原水を処理して製品を生産しているところがある。このような工場では、原水に臭気などの異常が発生した場合に粉末活性炭を使用する場合があり、「粉末活性炭自動供給機」を使用することがある。また、事業所や団体のなかには独自の浄水施設を保有し、浄水処理を行っているところがあり、「粉末活性炭自動供給機」を使用することがある。このように、「粉末活性炭自動供給機」の需要者は浄水場に限られないことは明らかである。

また、上記の粉末活性炭使用所の中で、特に食品工場は有機性の廃棄物や排水処理による有機汚泥が発生するため、「廃棄物炭化機」の需要者ともなる。

(3)クラレケミカル株式会社のホームページ(乙第1号証)の末尾の表に、粉末活性炭の用途として排水処理が挙げられており、排水処理に粉末活性炭がし使用されることが記されている。このため排水処理場も「粉末活性炭自動供給機」の需要者となる。有機性排水の処理においては有機汚泥が発生するため、排水処理場は「廃棄物炭化機」の需要者ともなる。

また、「活性炭応用技術」(株式会社テクノシステム発行、437頁:乙第2号証)の「1.はじめに」の箇所に、粉末活性炭が食品工業でいろいろな用途に使用されることが記載されている。このことは食品工場が「粉末活性炭自動供給機」の需要者となることを示している。食品工場においては有機性廃棄物が発生するため、排水処理場は「廃棄物炭化機」の需要者ともなる。

(4)上述のとおり、「粉末活性炭自動供給機」と「廃棄物炭化機」は、需要者が一部で重複するので、同一の商標「カーボナイザー」を、請求人が「廃棄物炭化機」に付して販売した場合、本件商標権者の販売したものと需要者が出所の混同を生じることは明らかであり、両商品は、類似する商品である。

3 したがって、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者により請求に係る指定商品に類似する商品である「粉末活性炭自動供給機」に使用されていた。

第4 当審の判断

1 使用に係る商品について

(1)乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)によれば、以下の事実が認められる。

(a)乙第1号証は、被請求人(商標権者)の取扱いに係る「上水道施設 総合カタログ」(2001年10月8日作成)であるところ、「活性炭処理」(12頁)には、「多孔質の活性炭は、約1gで、内部空間表面が2,000m

2

もある複雑な構造を持っています。一方自然界にあまねく存在する微小物質は、固体表面に近づくと表面エネルギーなどにより、物質が吸収される特性があります。活性炭処理法は、これら活性炭の特殊構造と微小物質の特性を応用し、粒子内に多量の対象物質を吸着させる方式をとっています。」などの説明文があり、また、「カーボナイザ(ウェット炭)」の項目には、「粉末活性炭処理に用いられる50%ウェット炭の貯蔵・自動供給を行う装置です。水質が比較的良好で、限られた時期のみ必要となる小規模施設に最適です。」の説明文がある。

(b)乙第2号証は、被請求人の取扱いに係る「カーボナイザCCF形/粉末活性炭自動供給機」のカタログと認められる。

(c)乙第3−1号証及び乙第3−2号証は、注文番号を「01101743001」とする「カーボナイザー」に関する2001年(平成13年)10月17日付け注文書と平成13年12月21日付け製品預り証であるところ、該商品の納入先は「宇都宮市水道局 今市浄水場」である。

(d)乙第4号証は、クラレケミカル株式会社のホームページと認められるところ、活性炭は、上水道・飲料水産業で使用する原料水等の浄水、下水処理等の排水処理、製糖工業等における商品の脱色・精製などに使用されることが記載されている。

(e)乙第5号証は、「活性炭の応用技術」(株式会社テクノシステム、2000年7月25日発行)であるところ、食品工業(当該頁では、製糖工業と発酵工業についてのみの記載)における活性炭の有する吸着性の利用についての記載がある。

(2)上記(1)で認定した事実によれば、本件使用に係る商品は、上水道施設において使用される「粉末活性炭自動供給機」であり、該商品は、活性炭の物理的な吸着作用を利用して、上水の有機物、臭気等を除去し、水質を改善するための活性炭処理法における、粉末の活性炭の供給を自動的に行う機械であると認められる。また、本件使用に係る商品の納入先は、浄水場と認められ、浄水場以外の例えば、飲料水関連の企業、下水処理施設、あるいは製糖工場等へ納入されたという証拠は見出せない。

そうすると、本件商標が使用される「粉末活性炭自動供給機」は、その目的、用途等からみて、浄水装置の範疇に属する商品とみるのが相当である。

2 請求に係る商品について

(1)甲第4号証によれば、請求に係る商品「廃棄物炭化機(超高速炭化機)」は、ガス燃焼式、ガス冷却式、バッチ型、連続型とに分類され、例えば、ガス冷却式は、「都市ゴミから家畜糞尿まで、あらゆる廃棄物を超高速炭化」、「水冷式の場合は、炭化時に気化したベンゼン系ガスと廃蒸気、有害ガスとスラッジが発生します。これらは、気化ガス冷却塔に運ばれ、ベンゼン系ガスと廃蒸気が冷却され、スラッジと共に除去されます。除去できなかった有害ガスは、間接加熱による白金脱臭器で無害化されたのち放出されます。冷却された物は、液状になり、サイクロンドライヤーに送り込まれ水分が蒸発され、乾燥スラッジとして再利用されます。サイクロンドライヤーから出る廃蒸気は、脱臭熱風発生機炉に送られ、有害物質が酸化分解されると同時に高カロリーの高温多湿ガスになり、カーボナイザーの外周を加熱した後、無害な状態で放出されます。油冷式・水冷式の場合は、炭化時に気化したベンゼン系ガス、廃蒸気、有害ガス、塩素ガスとスラッジが発生します。これらは、まず油冷式の気化ガス冷却器でベンゼン系ガスが、冷却され除去されます。つぎに、アルカリ洗浄による塩素ガス除去器で廃蒸気と塩素、有害ガスが除去されます。塩素は塩水となり、残った有害ガスは、間接加熱による白金触媒脱臭器で無害化され、放出されます。気化ガス冷却器で冷却された油には、多少の水分とスラッジを含んでいるため、三層遠心分離機で油とスラッジと水に分離され、油は燃料等に再利用されます。塩素ガス除去器から出てくる水と、遠心分離機から出される水は、サイクロンドライヤーに送られて乾燥され、塩分だけが固形物として取り出されます。このとき発生する廃蒸気は、脱臭熱風発生炉に送られ、有害物質を酸化分解して無害な高温多湿ガスとなり、カーボナイザーの外周を加熱した後、放出されます。」との説明文があり、「特徴」として、「無酸素状態での熱分解処理なので、ダイオキシンだけでなく、CO2、SOx、NOx等の酸化化合物の発生もほとんどありません。」などの記載がある。また、「廃棄物処理施設比較表」の「カーボナイザー」の欄には、「敷地面積 400坪」、「操作員 4人/日」などの記載がある。

(2)上記(1)の記載内容からすると、上記「廃棄物炭化機(超高速炭化機)」は、化学機械器具的な特徴を備えた商品であって、この化学的作用を応用して、様々な廃棄物を炭化処理する機械と認められる。そして、該商品の規模からみると、その需要者は、廃棄物処理業者、各種製造業者、大型商業施設など大量の廃棄物を取り扱う事業者と考えられる。

そうすると、請求に係る商品「廃棄物炭化機(超高速炭化機)」は、その目的、用途等からみて、廃棄物処理機械器具の範疇に属する商品とみるのが相当である。

3 そこで、本件使用に係る商品「粉末活性炭自動供給機」が、請求に係る商品「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」の範疇に属する商品であるか否かについて検討するに、前記1(2)及び2(2)で認定したとおり、本件「粉末活性炭自動供給機」は、浄水装置の範疇に属する商品であるのに対し、「廃棄物炭化機」は、廃棄物処理機械器具の範疇に属する商品と認められるものであって、両商品は、商品の用途、目的、品質、機構等において大きく異なるばかりでなく、生産者、需要者、設置場所等においても相違する場合が多いとみるべきである。

また、「廃棄物炭化機の類似商品」は、廃棄物処理機械器具の範疇に属する商品内のものというのが相当である。

したがって、本件使用に係る商品「粉末活性炭自動供給機」は、請求に係る商品「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」の範疇には属しない商品といわなければならない。

4 被請求人の主張について

被請求人は、乙第4号証及び乙第5号証を示し、粉末活性炭は、排水処理や食品の脱色等に使用されており、また、排水処理場や食品工場は「廃棄物炭化機」の需要者ともなるから、「粉末活性炭自動供給機」と「廃棄物炭化機」は、需要者が一部で重複し、類似する商品である旨主張する。

しかしながら、商標法第50条による審判の請求においては、被請求人は、請求に係る商品のいずれかについて使用していることを証明しない限り、取消を免れないのであり、請求に係る商品に類似する商品について使用していることを証明するのでは、商標法第50条第2項の要件を満たさないことは、該条文より明らかである。

そして、本件「粉末活性炭自動供給機」は、「廃棄物炭化機の類似商品」の範疇にも属しないことは前記認定のとおりである。

確かに、被請求人が主張するように、活性炭は、その有する強い吸着性という特性から各種商品の製造分野等で利用されることは、首肯し得るとしても、これら活性炭を利用する事業者の全てが粉末活性炭自動供給機をもって利用するのか明らかではない。仮に活性炭を利用する事業者のうち粉末活性炭自動供給機を利用する事業者が、同時に廃棄物炭化機を使用する者であり、粉末活性炭自動供給機と廃棄物炭化機の需要者が一部重複する場合があるとしても、前記認定のとおり、本件商標が使用される「粉末活性炭自動供給機」は、浄水場で使用される商品であることは、乙第1号証並びに乙第3−1号証及び乙第3−2号証から認めることができ、浄水装置の範疇に属する商品というべきであるから、廃棄物処理機械器具の範疇に属する「廃棄物炭化機」とは、商品の用途、目的、品質、機構等において大きく異なるものである。

したがって、粉末活性炭自動供給機と廃棄物炭化機の需要者が一部重複することをもって、本件「粉末活性炭自動供給機」は、「廃棄物炭化機」に類似する商品であるから、該「粉末活性炭自動供給機」の使用により、請求に係る商品の使用にあたるとする被請求人の主張は採用することができない。

5 以上のとおりであるから、被請求人は、商標権者が本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標を請求に係る指定商品「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」について使用していたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、本件商標を上記商品に使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしていない。

したがって、本件商標の指定商品中の「廃棄物炭化機及びこれに類似する商品」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものとする。

よって、結論のとおり審決する。

Next Action

次の一手につながるサービス

類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。

次の一歩へ

商標の登録可能性を無料で確認するか、費用の目安を料金表・シミュレーターで把握できます。