結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−31138(T2003−31138/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第1792484号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第4類「薫香、その他香料類、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和57年4月7日に登録出願、同60年7月29日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。
本件商標は、その指定商品について過去3年間使用されていない。また、商標登録原簿には、専用使用権及び通常使用権の設定登録はなされていない。さらに、本件商標を使用していないことについて正当な理由は存しない。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定によりその登録は取り消されるべきである。
(1)乙第1号証ないし乙第8号証のいずれにおいても、そこに掲載されているのは、別掲(2)の図形標章(以下「使用商標」という。)だけであって、本件商標の重要な構成要素をなす片仮名「マルニ」の文字部分は全く含まれていない。
本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであって、全体がまとまった1つの商標として認識されるべきものである。
(2)商標法50条の規定の趣旨は、商標は本来使用されることで市場における商標権者の取引上の利益が保護され、かつ、競業秩序の維持が図られるところ、そのような法目的に沿って使用されない登録商標は権利の上に眠るものであって、却って他人の取引の自由を阻害するものであるから、これを権利として特定人に独占させておく必要性がない、という点にある。したがって、3年以内の不使用を理由として特定の登録商標を取り消そうとする場合に、商標法50条1項の解釈は厳格になされるべきものである。
この点につき、被請求人は、乙第9号証ないし乙第13号証により、本件商標と使用商標は、社会通念上同一と思われる旨を主張する。
しかし、仮に被請求人が主張するように、円輪部を「マル」と称する習慣があり、また、小田原所在の会社の屋号を「マルニ」と称する事実があるとしても、それが故に、使用商標と本件商標とが、社会通念上同一であるとの帰結に到るものではない。
特に、乙第12号証(審決例)は、拒絶査定に対する不服審判事件のものであって、このような商標出願の審査・審判手続で活用される商標類否の判断のスタンダードと、本件のような不使用取消審判の場において、現実に使用されている商標の態様をもって登録商標の使用といい得るか否かを判断するスタンダードとは自ずと大きく異なるものである。
(3)ところで商標法50条1項で規定する「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標」は、例示であって、その後に続く「その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」は、前掲の例示された内容に準ずる内容と解すべきものである。
この点につき、特許庁審判部の編さんの審判便覧(改訂第8版)は、「登録商標の使用の認定に関する運用の事例」という項目を掲げ、その認定に当たっては登録商標に係る指定商品の属する産業分野における取引の実情を十分に考慮し、個々具体的な事例に基づいて判断すべきものであると述べると共に、「登録商標の使用と認められる事例」と「登録商標の使用と認められない事例」とを挙げている。
平成8年の一部改正により、商標法50条で登録商標の使用と認められる範囲が拡大されたといっても、上記商標法50条1項で規定するように、いずれも社会通念上同一と認められるに充分な合理性を有する範囲に限定されている。
(4)このような観点に鑑みると、本件商標は、前記したとおり、全体がまとまった1つの商標として認識されるものであるから、使用商標が構成中の最も重要な要素である片仮名「マルニ」を欠いている以上、本件商標の使用と同一視することは、明らかに「社会通念上同一と認められる」との事実を支持する充分な合理性を欠如しているといわざるを得ない。
また、使用商標は、極めて小さく併記されているに止まり、取引者の視覚上の注意を全く惹かないものであるから、商標としての不可欠の機能である出所表示機能、品質保証機能及び広告宣伝機能の何れをも欠如するものであり、商標の使用自体として認めることができない。
(5)以上のとおり、本件商標は、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録は取り消されるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第14号証を提出した。
本件商標は、以下のように、本件審判の請求の登録日(平成15年10月1日)前3年以内に日本国内で、商標権者により指定商品中の「薫香、その他香料類」について使用されていたものであるから、商標法50条1項の規定により取り消されるべきものではない。
(1)商品包装袋(乙第1号証)
(2)商品包装箱(乙第2号証)
(3)株式会社長川仁三郎商店「2003〜2004年度 休業日のお知らせ」(乙第3号証)
(4)株式会社長川仁三郎商店自社封筒(乙第4号証)
(5)リンデン株式会社に対する平成12年12月30日付け納品書(控)(乙第5号証)
(6)雑誌への薫香・香料類についての宣伝広告(乙第6号証ないし乙第8号証)
本件商標中、片仮名「マルニ」は、図形部分の称呼を特定するために付されたものである。現実に本件商標は、永年にわたり、被請求人屋号として使用され、「マルニ」と称呼されてきたことから、本件商標より生ずる称呼は「マルニ」として今や需要者間に定着している。
審決例から明らかなように、一般的にも円輪郭内に漢字の1字を表わした暖簾記号にあっては、円輪郭を「マル」と称して先に読むことが慣習となっている(乙第9号証ないし乙第12号証)。
また、別掲(2)の商標とほぼ同一構成よりなる商標が、「マルニ」の称呼を生ずるとした審決例も存在する(乙第13号証)。
さらに、小田原市に所在する有限会社マルニ水産は、屋号として、別掲(2)の商標とほぼ同一構成よりなる商標を使用し、これを「マルニ」と称呼している(乙第14号証)。
以上よりすれば、本件商標中の図形部分が「マルニ」と称呼されることは慣習としても自然であると思料する。
よって、本件商標と使用商標は、社会通念上同一と思われる。
そこで、使用商標が本件商標と社会通念上同一の範囲内の商標であるか否かについて、以下検討する。
そして、円輪郭(○)内に「善」、「八」などの漢字や「は」などの平仮名が書されている暖簾記号は、一般的に、先に円輪郭(○)を「マル」と読み、全体として「マルゼン」、「マルハチ」、「マルハ」と称呼して、取引に当たる場合が多いといえるから、使用商標にあっても、これより生ずる自然の称呼は、「マルニ」であるというのが相当である。
これに対して、本件商標は、別掲(1)のとおりの構成よりなるものであるから、これより「マルニ」の称呼を生ずるものであり、暖簾記号の一つとして認識されるものである。
そうすると、使用商標は、本件商標と称呼及び観念を同じくするものであるから、外観において多少の差異を有するものであるとしても、本件商標と社会通念上同一と認められる商標であるといわざるを得ない。
確かに、証拠中の使用商標は、小さく表示されているものも存在する(乙第2号証、乙第6号証ないし乙第8号証)が、全く確認できないというほどのものではなく、乙第2号証ないし乙第8号証に表示された使用商標は、いずれも被請求人の名称と併記されており、被請求人の屋号であることが理解されるものである。
したがって、使用商標は、被請求人の屋号として、十分自他商品の識別標識としての機能が発揮されているものといわなければならず、請求人の上記主張は理由がない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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