結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35368(T2003−35368/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4581436号商標(以下「本件商標」という。)は、「Chou Chou」の文字を横書きしてなり、平成12年7月19日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、以下(1)ないし(3)の登録商標を引用した。
(1)「JUJU」の文字を横書きしてなり、昭和25年11月25日登録出願、第3類「香料及び他類に属しない化粧品」を指定商品として、同27年2月18日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続している登録第408630号商標。上記指定商品については、平成14年12月25日に、第3類「化粧品(紅・染毛剤・まゆ墨を除く。),植物性天然香料(芳香油を除く。),合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,におい袋,吸香」とする書換の登録がなされたものである。
(2)別掲(1)のとおりの構成よりなり、昭和50年6月24日登録出願、第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」を指定商品として、同54年3月23日に設定登録され、その後、2回の商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続している登録第1376242号商標。
(3)別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和60年5月9日登録出願、第4類「化粧品、その他本類に属する商品」を指定商品として、同63年6月24日に設定登録され、その後、商標権存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続している登録第2058865号商標。
(上記(1)ないし(3)の登録商標をまとめて、以下「引用商標」という。)
請求人は、「本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)本件商標は、「Chou」の欧文字からなる語を2つ、やや間隔を置いて並べたものである。「chou」の語は、「キャベツ,シュークリーム」を意味するフランス語であるが、この語を2つ並べた本件商標は、造語と考えられる。
一般に、欧文字からなる商標からは、英語読みの称呼が生じるといってよいであろうが、薬品類におけるドイツ語、化粧品におけるフランス語のように、特定の分野では英語以外の読みが慣用されているのは、周知のところである。東京高等裁判所も「欧文字からなる商標については、その構成及びその指定商品の性質、用途・・に応じ、英語風、あるいはドイツ語風、さらにはフランス語風の読み方がされ、これに伴ってそれぞれの称呼が生じるのが一般的であることが推認される。」としている(昭和43年(行ケ)第166号、昭和44年7月22日言渡)。
本件商標は、「せっけん類、香料類、化粧品」を指定商品とするものであるから、この分野で慣用されているフランス語による称呼が、これから生じる自然的称呼というべきである。
音声学上、音声の説明には発音記号が用いられている。発音記号は、義務教育である中学英語の初歩の段階で採り上げられており、英和辞典・仏和辞典・独和辞典などの外国語辞典では、発音記号による表記がなされている。
本件商標の一部を構成する「chou」の意味は、上述のとおりであるが、仏和辞典によると,この語は、片仮名表記では「シュ」となる。したがって、本件商標から生じる自然的称呼は「シュシュ」ということになる。(このことは、後に触れる件外花王株式会社の出願に係る商標の構成中,上段の欧文字「CHOU−CHOU」の下段に表わされている片仮名文字が「シュシュ」となっていることからも、首肯できる。)
(2)本件商標と引用商標とは、いずれも指定商品において抵触する。そして、前者から生じる称呼は、上記のように「シュシュ」であり、後者から生じる称呼は、「ジュジュ」であるから、両者は称呼上、互いに類似する。
すなわち、「シュ」と「ジュ」は、いずれも「シ」又は「ジ」に拗音となる「ュ」が付加されてなるもので、前者は50音サ行に属する清音、後者は50音ザ行に属する濁音で、清音か濁音かの相違しかない極めて密接な関係にある。
そして、これらの音は、いずれも硬口蓋前部と前舌面との間で調音される硬口蓋歯茎音であって、「u」の音を共通にする一音節を構成している。しかも、その近似した「シュ」と「ジュ」が語調を同じくする畳音の形態でそれぞれ繰り返されるのであるから、「シュシュ」と「ジュジュ」とを全体として称呼するときには、語感・語調が極めて近似したものとなり、取引の場において聴き誤るおそれのある極めて紛らわしいものとなる。
したがって、両者は、互いに類似する商標というべきである。
(3)請求人は、件外花王株式会社が出願した「CHOU−CHOU」の欧文字を上段に、「シュシュ」の片仮名文字を下段に併記してなる商標が出願公告となった際に、本件引用商標その他の商標を引用して登録異議の申立てをしたところ、上記出願は、引用商標と類似するとの理由で異議認容の決定がなされた(甲第5号証の1及び2)。
また、請求人は、「シュシュ」の片仮名文字を横書きしてなり、第1類「化学品、薬剤及び医療補助品」を指定商品とする登録商標に対し、「ジュジュ」の片仮名文字を縦書きしてなる登録第477804号商標を引用し、登録無効の審判請求をしたところ、審判請求は成り立たないとの審決がなされた。そこで、東京高等裁判所に,審決取消請求訴訟を提起したところ、同裁判所は請求人の主張を認め、「シュシュ」と「ジュジュ」を互いに類似するものとして,審決を取り消した(昭和52年(行ケ)第89号、昭和52年10月31日言渡、甲第6号証)。
(4)以上述べたように、本件商標と引用商標とは互いに類似するものというべきであるから、その登録は無効とされるべきものである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
(1)請求人は、本件商標「Chou Chou」から「シュシュ」の称呼が生じるとし、本件商標と引用商標とは称呼上類似であると主張する。
しかし、本件商標の称呼は「シュウシュウ」である(乙第4号証)。
「Chou」の語は、確かにフランス語では「シュ」と発音するが、日本人は得てして「シュウ(シュー)」と伸ばして発音しがちである。例えば「Chou」が語源となっている洋菓子は「シュークリーム」であって、「シュクリーム」とは呼ばれていない。これは「Chou」の語は、フランス語を起源としているものの、英語でも使用される言葉であり(乙第5号証)、その発音は「シュー」であることから、フランス語よりもさらになじみがある英語風な発音になってしまうものと考えられる。
(2)本件商標の称呼「シュウシュウ」と引用商標の称呼「ジュジュ」を比較する。
本件商標の「シュウシュウ」は、4音節となるのに対し、引用商標の「ジュジュ」は、2音節となる。
また、「シュウ」の音は、非常にやわらかい音であり、これが「シュウシュウ」と繰り返されることによってさらにゆっくりと、かつ、全体として抑揚の少ない平滑な印象を与えるのに対し、「ジュ」の音は、力強い音であり、これが「ジュジュ」と繰り返されることによってさらにスピディーな、かつ、短く鋭い印象を与える。
さらに、商標識別上重要な要素を占め、かつ、アクセント位置である語頭音が、清音の「シ」と濁音の「ジ」という大きな差異もあり、互いの印象が上記のように著しく相違する全く非類似の商標である。
仮に本件商標から「シュシュ」の称呼が生じるとしても、清音「シ」と濁音「ジ」の差異が繰り返されることによってさらに増幅するため、本件商標と引用商標が実際の取引の場において聞き誤られるおそれは全くないことから、本件商標と引用商標とは明らかに非類似の商標である。
したがって、「本件商標と引用商標が語感・語調が極めて近似している」とする請求人の主張は、失当である。
(3)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
本件商標と引用商標の類否について検討する。
(1)本件商標
本件商標は、前記したとおり、「Chou Chou」の文字を横書きしてなるものであるところ、「chou」が「キャベツ」等を意味するフランス語であり、その発音を片仮名表記すれば「シュ」であるとする請求人主張を否定するものではない。
しかしながら、本件商標の指定商品が、フランス語の使用される頻度がやや高い化粧品等であることを考慮しても、その需要者が本件商標に接した場合、これを自然に「シュシュ」と称呼して商品の取引に当たるものとは認めることはできない。むしろ、我が国で一般によく知られている洋菓子「chou a la creme;最初の「a」と「e」にはアクサン−テギューが付されている。)」を「シュークリーム」と発音する事例からみると、本件商標全体として、「シューシュー」と称呼するか、あるいは英語読み風に「チョウチョウ」と称呼して、商品の取引に当たる場合が多いとみるのが相当である。
そうすると、本件商標より生ずる自然の称呼は、「シューシュー」若しくは「チョウチョウ」であって、構成全体として特定の語義を看取させない造語よりなるものといわなければならない。
(2)引用商標
引用商標は、前記及び別掲(1)、(2)のとおりの構成よりなるものであるから、これより「ジュジュ」の称呼を生ずるものであって、「JUJU」、「ジュジュ」の各文字及びこれより生ずる「ジュジュ」の称呼からは、請求人の略称ないし同人の取扱いに係る化粧品等に使用される商標が想起されるというのが相当である。
(3)本件商標と引用商標との比較
本件商標より生ずる「シューシュー」又は「チョウチョウ」の称呼と引用商標より生ずる「ジュジュ」の称呼は、「シューシュー」又は「チョウチョウ」が4音より構成されているのに対し、「ジュジュ」は、2音よりなるものであるから、構成音数において相違するばかりでなく、「シューシュー」又は「チョウチョウ」の称呼は、第1音と第3音の「シュ」又は「チョ」の帯有する母音を長く伸ばすように、全体の称呼がゆったりとした印象を与えるのに対し、「ジュジュ」の称呼は、簡潔で発音上切れのよい印象を与えるものであるから、それぞれの称呼を全体として称呼した場合は、その語調、語感が著しく相違したものとなり、称呼上互いに紛れるおそれはないものである。
また、本件商標は、造語よりなるものであるから、引用商標とは観念上比較することはできない。
さらに、本件商標と引用商標とは、それぞれ前記した、ないし別掲(1)、(2)のとおりの構成よりなるものであるから、外観上区別し得るものである。
してみると、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても、非類似の商標といわなければならない。
(4)請求人の主張について
請求人は、「CHOU−CHOU」と「シュシュ」の各文字を二段に書してなる商標登録出願と本件引用商標等とが類似するとの判断した登録異議の申立てについての決定、及び「シュシュ」の文字を書してなる登録商標と「ジュジュ」の文字を書してなる登録商標について、非類似と判断した審決に対し、東京高等裁判所が両商標は類似するとの判断し、審決が取り消された事例を示し、本件における本件商標と引用商標とは類似の商標である旨主張する。
しかし、前記認定のとおり、「Chou Chou」の文字よりなる本件商標は、これより直ちに「シュシュ」との称呼が生ずるものではない。したがって、本件商標より「シュシュ」の称呼が生ずるとし、これを前提に本件商標と引用商標とが称呼上類似するとの請求人の主張は、その前提において誤りがあるというべきであって、失当というべきである。
(5)むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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