結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30409(T2003−30409/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4192915号商標(以下「本件商標」という。)は、「北の大地」の文字を縦書きしてなり、第30類「米」を指定商品として、平成8年10月22日に登録出願、同10年10月2日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、これを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第4号証並びに本件商標の登録原簿及び公報を提出した。
被請求人は、本件商標をその指定商品である「米」について、日本国内において継続して3年以上、使用していない。したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。
(1)乙号証について
(a)被請求人が、乙第1号証(米の袋)を現在まで使用していることの客観的証拠はどこにもない。
(b)乙第2号証(納品書)の日付は、平成15年4月18日付であり、本件審判請求の登録日である平成15年5月7日より、わずか18日前のものである。
そして、その納品があったことと、商標を指定商品に使用していることとは別の問題である。米の袋が4月18日に納品されても、その使用は、本件審判の請求の登録日後である可能性を否定できない。したがって、この納品書自体が使用証明とはなり得ない。
(c)乙第3号証は、その日付を全く特定できないとともに、これがどこにどのように使用されたかも不明である。
(d)乙第4号証は、4月25日(金)から同月27日(日)までの春の謝恩祭を「北の大地」で行うことを示したちらしのようであるが、これによっても「北の大地」が指定商品について使用された事実は見当たらない。
指定商品につき記載された商標は、「あきた小町」と「ひとめぼれ」と「ミルキークイーン」のみであって、「北の大地」は、「山形のアンテナショップ店頭精米の店」と記載された位置にあり、屋号を表示するにすぎない。すなわち、いわゆる「米屋」の表示であって、店頭で各種ブランドの米を精米する旨を記載しているにすぎず、米のブランドである旨の証拠とはならない。
また、乙第4号証には、蜂蜜、ラーメン、おにぎり、ソフトクリーム等を販売していることが記載され、このことは、「北の大地」が店の屋号を表す証拠となるものである。
(e)乙第5号証は、9月21日(金)から9月22日(土)まで新米の大売出しのちらしのようであるが、米につき、表示された商標は、「なはの舞」、「あきた小町」、「里のうた」、「ひとめぼれ」、「はえぬき」、「ささにしき」、「こしひかり」及び「神室」であって、「北の大地」は使用されていない。
仮に「北の大地」が米のブランドあれば、当然にこの中に列記されるはずである。
しかも、上記のうち、「神室」は、本件商標権者の登録商標であり、現実にこのブランド米は使用されている(甲第1号証)。「北の大地」の米も同様に存在していれば、当然にこの「神室」に並列して表示されているべきである。
また、乙第5号証の左下の「北の大地」の表示は、山形アンテナショップとしての屋号表示であり、山形の産物である米以外の味噌・漬物・ジュース・お菓子等を同時に発売していることが記載されている。したがって、「北の大地」が米のブランドである証拠はどこにも存在しない。
(f)乙第6号証は、原料玄米が「ひとめぼれ」であり、「北の大地」を表示した米袋と思われる写真であり、その撮影月日は平成15年2月6日、撮影者は「農事組合法人 山形リーダーズファーム内 鈴木隆一」と記載されているが、上記鈴木隆一氏は、山形リーダーズファームの代表者であり(甲第2号証)、撮影年月日は、この代表者の自己申告であるから、使用事実の日付の客観的な証拠にはなり得ない。
(g)乙第7号証には、本件商標権者の商標「神室」の表示があることは認める。しかしながら、「北の大地・あじさいの里」は、商標「神室」に添えられたキャッチフーズ的な表現であり、「北の大地・あじさいの里」の地で「神室」が生産された程度の認識が生じるにすぎない。
また、袋の下端に記載の「北の大地 登録商標 第4192915号」は、他の2つの登録商標と一緒に併記され、「山形リーダーズファーム」が3つの登録商標を持っていることを誇示するにすぎず、指定商品に「北の大地」を使用したものではない。
(h)乙第8、9号証は、「山形県のアンテナショップ 北の大地」ののれん又は看板であり、店の屋号を示しているにすぎない。需要者又は取引者が、米のブランド名であると認識し得ない。
(i)乙第10号証は、9月21日(金)から9月23日(日)までの新米の大売出しのちらしであり、「はなの舞」、「あきた小町」、「里のうた」、「ひとめぼれ」、「はえぬき」、「されにしき」、「こしひかり」及び「神室」が記載されているが、「北の大地」の記載はない。
また、乙第10号証は、乙第4、5号証と同様、「北の大地」米が存在しないことを間接的に証明しているものである。すなわち、この時点で、「北の大地」米が発売されていれば、本商標権者のブランド米「禅室」に並んで記載されているはずである。したがって、「北の大地」米は、この売出し時点で存在しないことを意味する。
(2)商標使用状況の調査
(a)甲第1及び2号証は、被請求人のホームページである。甲第2号証に記載された電話番号をもとに電話による調査によると、「神室」のブランド米は存在する旨の応答があったが、「北の大地」のブランド米は存在しない旨の応答があった。自社ブランド米は、「神室」一つだけである旨の回答を得た。
(b)現地調査によると、「山形アンテナショップ 北の大地」(乙第5号証:高島平団地、平成15年6月21日調査)は、乙第8号証の写真に示されたとおりの店であるが、甲第3号証(A)ないし(C)のように、各ブランド米の値段表、値段表が掲示されていたが、「北の大地」米は存在しなかった。
但し、乙第1号証の「北の大地」の袋が、その四周をテープで貼り付けて壁に表示されていたが、「北の大地」にだけは、値段がなかった。店員に、該「北の大地」について尋ねたところ、「お店の名前ですよ」とのことだった。
また、「山形のアンテナショップ 店頭精米の店 北の大地」(乙第4号証:春日部市、平成15年6月22日調査)は、乙第9号証及び甲第4号証(A)に示された所であるが、甲第4号証(A)及び(B)のように、米の銘柄である「あきた小町・はえぬき・ひとめぼれ・ささにしき・こしひかり・神室」の各表示と値段が表示されていたが、「北の大地」米は存在しなかった。
(c)以上の調査結果から明らかなように、「北の大地」のブランド米が存在する事実は、見つけることができなかった。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由及び審尋に対する回答を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第39号証を提出した。
(1)被請求人は、米の袋本体に「北の大地」を使用して、米を販売している(乙第1号証)。(新米、山形アンテナショップ、コシヒカリの部分は袋本体の印刷後にシールを貼ったものである。)
上記米の袋は、逐次補充されるもので、平成15年(2003年)4月18日に、株式会社熊谷より被請求人(商標権者)に1860枚納品された(乙第2号証)が、継続に発注している(乙第14号証ないし乙第21号証)。
「山形アンテナショップ 北の大地」は、被請求人が経営するものである(乙第11号証ないし乙第13号証)。
(2)乙第4号証は、平成15年4月に、乙第5、10号証は、平成13年9月に発行したちらしで、「北の大地」を店名としたものを、また、乙第8、9号証は、店名を「北の大地」としたものを撮影したものであり、「北の大地」ブランド米を販売している。これら店名の販売場所では、米の包装袋に「北の大地」の商標を使用した米を販売している(乙第6、7号証)。
(3)乙第6号証に示した米を購入した顧客の証明書とそのときに発行した伝票により、本件商標の使用の事実は明らかである。
(1)農事組合法人山形リーダーズファームの代表であった田宮俊夫は、平成9年8月31日に、山形県尾花沢市所在の橋本良一との間で、埼玉県春日部市大字大枝89武里団地7〜2〜105北の大地武里団地店(以下「武里団地店」という。)及び東京都板橋区高島平高島平団地店2〜28〜1〜116北の大地高島平団地店(以下「高島平団地店」という。)を店舗所在地とする米穀小売業の営業権を譲り受ける契約を締結した。上記橋本良一は、住宅・都市整備公団の理事との間で、上記の武里団地及び高島平団地の各1戸を、使用開始日を前者は平成8年10月12日とし、後者は平成9年9月27日とする住宅・都市整備公団施設賃貸借契約を締結した(乙第11号証ないし乙第13号証)。
(2)上記(1)の武里団地店及び高島平団地店の入り口には、「山形のアンテナショップ 北の大地」の看板が掲げられ(乙第8号証、乙第9号証、甲第3号証及び甲第4号証)、高島平団地店の店内の品書きには、「今後共、『北の大地』を宜しくお願い申し上げます。」と書かれた下に、「平成13年価格」として「はなの舞、あきた小町、里のうた、ひとめぼれ」などの米の品種名とそれぞれの価格が記載されている(甲第3号証)。
(3)販売者を「農業組合法人 山形リーダーズファーム/山形県新庄市横根山35−2」とし、中央に大きく「北の大地」の文字を縦書きにして表示し、その下に「山形のアンテナショップ」、「北の大地」の各文字を二段にして表示した米の包装袋(表面)には、「原料玄米」欄に、包装袋に入れる米の品種に対応して、米の品種名を記載したシールを貼付することが認められる。また、該包装袋の裏面の右下には、「No.905 空と稲穂」の記載がある(乙第1号証)。
(4)上記(3)の包装袋は、2000年(平成12年)5月8日から2002年(平成14年)10月31日にかけて、及び2003年(平成15年)4月18日に株式会社熊谷(以下「熊谷」という。)から被請求人に納品された(乙第2号証、乙第14号証ないし乙第21号証)。
(5)上記包装袋に入れた米(品種名:ひとめぼれ)は、平成15年1月24日から同年4月27日にかけて、武里団地店(山形のアンテナショップ 北の大地)で販売され、その際に、顧客に「精米、配達伝票」が配布された。そして、該「精米、配達伝票」には、「北の大地・取扱品目」の文字とともに、「コシヒカリ・あきた小町・ひとめぼれ」などの米の品種名の記載がある(乙第6号証、乙第22号証ないし乙第30号証)。
以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品について、本件商標と社会通念上同一の商標と認められる商標を使用していたと推認することができる。
(1)請求人は、乙第2号証(納品書)の日付は、本件審判の請求の登録日のわずか18日前のものであるから、その使用は、本件審判の請求の登録日以降である可能性は否定できないし、納入と本件商標の使用とは別問題であるから、乙第2号証は、使用証明にはならない旨主張する。
確かに、乙第2号証のみでは、本件審判の請求の登録前3年以内に本件商標がその指定商品について使用されたか否かを明確にすることはできないが、前記1(3)、(4)で認定したとおり、米の包装袋の納入は、本件審判の請求の登録前3年以内である2000年(平成12年)5月8日から継続的に行われていたばかりでなく、その包装袋を使用して本件審判の請求の登録前3年以内の期間に、顧客に販売していたと推認し得るところである。
(2)請求人は、乙第6号証(米が包装された状態の写真)の撮影者は、山形リーダーズファームの代表者であるから、撮影年月日は、信憑性がなく、使用事実の日付の客観的な証拠にはなり得ない旨主張する。
しかし、乙第6号証の撮影年月日が虚偽であるとの明確な証拠は存在しないのみならず、乙第6号証は、「北の大地」の文字を表示した包装袋の使用状態を明らかにしたものとみるべきである。
(3)請求人は、武里団地店及び高島平団地店での調査によれば、米の銘柄の各表示と値段が表示されていたが、「北の大地」米は存在しなかった旨主張する。
しかしながら、米の包装袋や店舗内の品書きには、米の各種品種名とともに「北の大地」の文字が表示されていた事実は明らかであり、このことからすれば、「北の大地」の表示は、被請求人が取り扱う各種品種の米について、統一的に使用される、いわば代表的出所標識、若しくは被請求人のハウスマーク的機能を果たしているとみるのが相当であるから、「北の大地」の米が存在しないことをもって、「北の大地」の商標が米について使用されていなかったとすることはできない。
(4)したがって、上記(1)ないし(3)の請求人の主張は、いずれも理由がない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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