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Trademark Appeal Case

商標不使用取消の正当理由

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−30847(T2003−30847/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第2330763号商標の指定商品中、「眼鏡」については、その登録は取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

1.商標登録原簿の表示部記録事項等

本件登録第2330763号商標(以下「本件商標」という。)は、「SCOOP CLUB」の文字を書してなり、昭和63年10月18日に登録出願され、 第23類「時計、眼鏡これらの部品および付属品」を指定商品として、平成3年8月30日に商標権の設定登録がされたものである。

そして、当該商標権は、平成13年9月4日に存続期間の更新登録がされている。

また、本件審判の請求は、平成15年6月30日にされ、その登録は、平成15年7月30日にされた。

なお、指定商品については、第9類「眼鏡、これらの部品および付属品」及び 第14類「時計、これらの部品および付属品」とする書換が平成16年1月21日に登録されている。

2.商標登録原簿の甲区記録事項

現商標権者は、平成15年3月5日に本権の移転登録がされ、住所を東京都千代田区六番町6番1とする「株式会社快適空間研究所」(以下「快適空間研究所」ということがある。)であり、前商標権者は、住所を東京都千代田区九段北3丁目2番11号とする「株式会社スク―プ」(以下「スクープ社」ということがある。)である。

第2 請求人の主張

請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。

1.請求の理由

本件商標は、その指定商品中「第23類 眼鏡」について継続して3年以上日本国内において、商標権者又は通常使用権者のいずれもが使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2.弁駁の理由

(1) 被請求人は答弁書を提出して本件商標の使用を立証しようとしているが、以下の理由により、商標権者等が継続して3年以上日本国において指定商標中「眼鏡」に本件商標を使用しているとは認められない。

(2) 被請求人が提出した「上申書」は、本件商標の前商標権者であるスクープ社の代表取締役甲賀雅治氏により作成されたもので、この「上申書」からは、「商標権者等が日本国において指定商標中『眼鏡』に使用していた事実」を客観的に立証出来ないこと明白である。

(3) 被請求人が提出した「写真」には、「SCOOP CLUB」のロゴを付した眼鏡が撮影されているが、この商品は、被請求人も述べているように、単なるサンプル品(試作品)であり、このサンプル品がいつ作成されたものであるかも不明である。また、このサンプル品は、同時に提出された株式会社インクス(以下「インクス社」という。)代表取締役糸井義雄氏の「陳述書」の内容、即ち、「伊藤忠ファッションシステム株式会社(以下「伊藤忠ファッション社」という。)との間の「合意確認書」が締結された日(2003年7月1日)以降に商品の作成作業に着手した」旨の記載から鑑みて、予告登録日(2003年7月18日)以降に作成されたものであると考えるのが妥当である。

(4) 被請求人は、上述の「写真」のほかに、インクス社との間で締結した「業務委託基本契約書」、インクス社代表取締役糸井義雄氏の「陳述書」、並びに伊藤忠ファッション社との間で合意した「合意確認書」を提出すると共に、答弁理由中で、「請求人による本件審判請求の意思を知る以前から、本件商標の使用について明確な使用計画があるので、使用していないことについて正当な理由がある。」と主張する。

この答弁理由中で述べている「正当な理由」とは、おそらく商標法第50条第3項のただし書きに規定されている「正当な理由」に該当する、と主張しているものと察するが、上述したごとく、被請求人が登録商標を「眼鏡」に使用している事実はなく、商標法第50条第3項ただし書きの適用の余地はない。

仮に、商標法第50条第2項のただし書きに規定される「正当な理由」に該当すると主張しているとしても、上述の資料では、商標法第50条第2項のただし書きの「正当な理由」には該当しないこと明らかである。

即ち、これに規定される「正当な理由」とは、商標の使用が例えば時限立法によって一定期間その商標の使用が禁止されていた場合や、あるいは天災地変などによって商標を使用できない場合のように、やむをえない場合に限られるべきであって、「本件商標についての具体的な使用計画や準備行為」は商標法第50条第2項のただし書きに規定される「正当な理由」には該当しないというべきである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、上申書、業務委託基本契約書、陳述書、合意確認書、サンプル商品写真、及び手続続行通知書を提出している。

1.答弁の理由

(1) 本件商標の指定商品「眼鏡」については、前商標権者であるスクープ社において、平成14年1月まで、本件商標と商標の構成を同じくする他の分類の登録商標とともに使用されていた(上申書)。このことは、スクープ社において、本件商標について書換登録申請を行っており、被請求人を書換登録申請者として書換手続が続行されていることからも明らかである。

(2) 本件商標を使用していたことが明確でなかったとしても、被請求人は、以下に述べるとおり、請求人による本件審判請求の意思を知る以前から、本件商標の使用について明確な使用計画があるので、使用していないことについて正当な理由があるものである。

(ア) 本件商標は、被請求人がスクープ社から譲り受け、平成15年2月21日に商標権移転登録申請を行い、同年3月5日に移転登録がなされている。

(イ) 被請求人は、本件商標の他の分類についてもスクープ社から譲り受け移転登録を受けているが、本件商標を含むその他の登録商標は、スクープ社が平成14年1月に営業を廃止したことから、スクープ社によって長年にわたって培われたこれら商標のブランドイメージを利用してブランドビジネスを展開するために譲り受けたものである。

(ウ) 被請求人は、本件商標等を利用したブランドビジネスの展開を具体化するために、平成15年3月1日にインクス社との間でブランドビジネス展開のための業務委託契約を締結し(業務委託基本契約書)、同社を通じて総合商社数社との間で交渉を開始し、同年6月中旬ころから、伊藤忠ファッション社との間で本件商標を含む他の登録商標のブランドビジネスを展開するための具体的な協議に入り、6月下旬、同社との間で、基本的な合意が成立した(陳述書、合意確認書)。現在、各商品について本商標の使用を具体化すべく、サンプル品を作成するなど(サンプル商品写真)、細部を協議しているところである。

(エ) したがって、本件取消審判請求には理由がない。

第4 当審の判断

1.商標登録の取消審判(商標法第50条)

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人がその審判請求の登録前3年以内に日本国において、その請求に係る商品の何れかについて、当該商標を使用していることを証明し、又は使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

また、同条第3項の規定により、審判の請求前3月から審判請求の登録日までの間に、当該商標の使用をした場合であって、その使用が審判の請求がされることを知った後であることを請求人が証明したときは、被請求人が当該商標の使用について正当な理由があることを明らかにしない限り、当該商標の使用に該当しないものとなる。

2.被請求人の主張要点

被請求人は、本件審判の請求にあって、(1) 取消し請求に係る商品「眼鏡」については、前商標権者であるスクープ社により、平成14年1月まで、本件商標は使用されていた(上申書)。(2) 請求人による本件審判請求の意思を知る以前から、本件商標の使用について明確な使用計画があるので、使用していないことについて正当な理由がある(業務委託基本契約書、陳述書、合意確認書、サンプル商品写真)。旨述べ、本件審判請求には理由がないと主張している。

そこで、被請求人が述べる上記(1)及び(2)の各点について検討する。

(1) 前商標権者による使用について

被請求人の提出に係る平成15年9月4日付の上申書は、前商標権者であるスクープ社の作成に係るものであって、その記載内容は会社の設立、業務、及び本件商標に関し被請求人への権利移転等の経緯説明ほか、「SCOOP CLUB」の商標は、スクープ社が営業を停止した平成14年1月20日まで使用していたことは事実である旨述べるものである。

しかし、本件商標を取消請求に係る商品「眼鏡」について使用したことの裏付けとなる、例えば、当該商品を宣伝・広告するために用いられた商品カタログ、チラシ、取引の際に通常用いられる納品伝票、仕入伝票、売上伝票等、の取引書類、即ち本件商標の使用の事実を証明し得る客観的な証拠が何ら示されていないものであり、前商標権者の上申書のみをもってしては、本件商標のその指定商品中、取消請求に係る商品「眼鏡」についての使用は証明されない。

なお、前商標権者は、上申書において、使用の事実を証明する資料を提出したいが、営業を停止してから約1年半経過しており、散逸して現在手許に残ってなく、必要であれば何とか探し出したいと思っていると述べているが、先に述べたとおり、商標法第50条第2項の規定は、被請求人が挙証責任を負担することを明らかにしているものであって、この規定に基づく審判については、登録商標が取消請求に係る商品について使用されているか否かの認定判断をもって必要かつ十分とすべきであり、これを考慮することはできない。

また、被請求人は、前商標権者が使用していたことは、本件商標の商標権について書換登録申請ないし申請者として書換手続がされていることからも明らかである旨の述べているが、指定商品の書換制度は、旧区分により商標登録を受けた商標権者に、最新の商品区分への書換登録の申請を義務づけ、商品区分の統一を図るためのものであって、この申請において書換える指定商品について、当該登録商標の具体的な使用を要件(証明)としたものでなく、これをもって登録商標が取消請求に係る商品「眼鏡」についての使用を裏付けるものでないから、これを述べる被請求人の主張は採用できない。

このほか述べる被請求人の主張をもって、本件審判請求に係る指定商品についての使用は証明されないから、(1)の点に関する被請求人の主張は、いずれも採用することができない。

結局、被請求人は、本件商標の使用について主張、立証し得なかったものといわなければならない。

(2) 正当の理由について

被請求人は、請求人による本件審判請求の意思を知る以前から、本件商標の使用について明確な使用計画があるので、使用していないことについて正当な理由があるものである旨述べている。

(ア) そして、被請求人は、本件商標等を利用したブランドビジネスの展開を具体化するために、平成15年3月1日にインクス社との間で業務委託契約を締結し、同社を通じて伊藤忠ファッション社との間で6月下旬に基本的な合意が成立した。現在、各商品について本商標の使用を具体化すべく、サンプル品を作成するなど(サンプル商品写真)、細部を協議しているところである旨述べているところである。

してみると、被請求人は、本件商標を取消請求に係る指定商品「眼鏡」について、商標権者(被請求人)ほか、専用使用権者又は通常使用権者のいずれの者によっても、実際の取引において使用してないことを自ら認めているものとみて差し支えないから、2003年(平成15年)7月1日に契約された合意確認書、平成15年9月4日付の陳述書に記載の6月下旬に基本的な合意の成立、及びサンプル品の作成が上述した商標法第50条第3項に規定の所定の期間内(平成15年4月1日ないし平成15年7月30日)であるとしても、実際に本件商標を眼鏡に使用をしていない以上、同項で規定するところのいわゆる「駆け込み使用」といえるものでないから、たとい、被請求人が同項規定の当該商標の使用について正当な理由があると述べるものであれば、埒外の主張といわなければならない。

(イ) また、上述のとおり、被請求人は、本件商標の不使用についての正当な理由がある旨述べ、かつ、これを明らかにするためのものとして提出された業務委託基本契約書、陳述書、合意確認書、サンプル商品写真によって、商標法第50条第2項の規定による取消請求に係る商標登録の取消を免れるためのものであるとしても、ここでいう「正当な理由」としては、例えば、その登録商標の使用をする予定の商品の生産準備中に天災地変等によって工場等が損壊した結果その使用ができなかったような場合、或いは、時限立法によって一定期間(3年以上)その登録商標の使用が禁止されたような場合等、その責を一方的に商標権者又は使用権者に課すことが酷であると認められる場合をいうものと解されている。

そうすると、被請求人が答弁書においてその理由を述べ、業務委託基本契約書、陳述書、合意確認書、及びサンプル商品写真を挙げているが、上述した商標法第50条第2項の規定の趣旨に照らし、それら理由は、天災地変等の不可抗力事由その他法的規制等によりその責を商標権者又は使用権者に課すことが酷であると認められる場合に該当するものとはいい難く、むしろ、 自己都合による事情の域を出ないものというべきであるから、いずれも採用の限りでなく、その理由をもって本件商標の不使用について正当な理由が存したものということはできない。

即ち、快適空間研究所とインクス社の間における業務委託基本契約書(2003年(平成15年)3月1日付)、インクス社による陳述書(平成15年9月4日付)及び快適空間研究所と伊藤忠ファッション社との間における合意確認書(2003年(平成15年)7月1日付)にあるとおり、いずれもブランドビジネスを開発することを目的とした契約であって、この準備段階にあった事情は窺われるとしても、これら契約は本件商標を自らが使用することを前提とするものでなく、かつ、本件商標についてその取消請求に係る商品「眼鏡」について、具体的にその使用をする使用権者の存在は不確定なものであって、本件商標の不使用の不可抗力的事由とするのは客観性に乏しく合理性に欠けるものといわなければならない。そして、かかる場合、本件商標の不使用の責を被請求人に負わすことは酷であるともいい難い。

そして、サンプル商品写真については、その制作過程、制作日及び第三者についてサンプル品として使用された実績等が不明である(なお、一葉目の眼鏡の下部には「A−9517−4」の型式、規格等を表した刻印と思しきものがあるのに対し、上中部に写されたものにはこれがない。)。

その他、正当な理由があるとの点に関して述べる被請求人の主張は、いずれも妥当性に欠けるものであって、採用することができない。

3.まとめ

以上の(1)及び(2)に示すとおり、被請求人の述べる本件商標の使用についての主張及び不使用の正当理由の主張は、いずれもこれを認めるに十分なものとはいい難いものであるから、結局、被請求人は、本件審判の請求に対し、所定事項の証明をなし得なかったものといわなければならない。

してみれば、本件商標は、本件審判の請求前3年以内に日本国内においてその指定商品中の取消請求に係る商品「眼鏡」について使用がされなかったものであるから、その登録は、商標法第50条により、取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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