結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35387(T2003−35387/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4627026号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、第1類「カルシウムを主材とする肥料」を指定商品として、平成13年10月5日登録出願、同14年12月6日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第4504536号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、第1類「石膏その他のカルシウムを主材とする肥料」を指定商品として、平成12年10月3日登録出願、同13年9月7日に設定登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、甲第1ないし12号証を提出し、参考資料として、参考資料1ないし3を提出した。
引用商標は、顕著に表した「畑のカルシウム」の文字に相応し、「ハタケノカルシウム」の呼称及び「畑のカルシウム」の観念によって取引に当たられるものである。
(1)登録の経緯
本件商標は、審査の段階で、本件引用商標が引用され、商標法第4条第1項11号に該当する旨の拒絶理由通知を受けたところ、本件商標の出願人(被請求人)は、意見書において、本件商標と引用商標の構成中の「畑のカルシウム」の部分は、指定商品の関係においては、「畑等の土壌の酸度を矯正するために用いられるカルシウム(石灰)」等のように理解させるものであるから、自他商品の識別機能を有しないものである旨主張し、商標登録されたものである(甲第3、4号証)。
しかしながら、原査定は、以下に述べるとおり、商標識別性有無の判断を誤ったものである。
(2)商標法第4条第1項第11号該当性について
「畑のカルシウム」という表現が仮に商品の用途、品質を表示するにすぎないとしても、本件商標は、引用商標に類似するものであって、商標法第4条第1項第11号に該当する事実はいささかも影響されない。
したがって、本件商標の登録を認めた特許庁の判断には、法文適用の間違いがある。
また、本件商標の「畑のカルシウム」の文字部分は、その指定商品である肥料を取り扱う業界並びに取引場裡において、商品の用途、品質等を表示するものとして使用されていないから、その指定商品について使用しても、自他商品の区別標識たる識別性を充分に具有するものである。
商品(「商標」の誤記と認める。)がその指定商品との関係において、識別性を有するか、否かの判断は、商標が指定商品を取り扱う業界及び取引場裡において、商品の品質、効能、用途等を直接的かつ具体的に表示し、かつ、商品の品質等の表示として普通に使用されているものは識別性を有しないが、それ以外のものは、識別性を有するものであり、この解釈は、商標法第3条第1項第3号の規定に照らし明らかである。
また、多数の審判決においても、「或る語が商品の品質を表示するから識別性を欠くというためには、商標が使用される商品の品質、効能、用途等を具体的かつ直接的に表示し、加えて此の種業界において現に商品の品質表示として、普通に使用されている事実証左がなければならない。」と判示している。
(3)被請求人のホームページに記載されている「カルテック資材解説」には、「畑のカルシウム」の記載があるのは「製品名」の欄のみで、「内容」欄及び「主な使い方」欄は、それぞれ「醗酵性・有機カルシウム(弱アルカリ性)」、「野菜・花・果樹の元に60kg、調節に30〜60kg(植物の栄養バランス調整に)」と記載されている(甲第6号証)。
このことは、被請求人が実際の取引においては「畑のカルシウム」を識別機能のある「製品名」として使用していることを示しており、本件商標の審査段階での意見書(甲第4号証)における主張が誤りであることを裏付ける証拠になっている。
また、被請求人は、その包装袋に「畑のカルシウム」の文字を大きく表示したり、取引書類に「畑のカルシウム」の文字のみを記載していることからも、実際の取引では、「畑のカルシウム」の文字を要部として使用しており、自他商品の区別機能を有していることを示している(参考資料1及び2)。
請求人は、「畑のカルシウム」の商標を該肥料袋(甲第7号証)で使用しており、さらに、パンフレット(甲第8号証)やその他の刊行物(甲第9ないし12号証)にみられる様態でも使用しているが、この様態の使用は、自他商品の区別標識たる識別性を持つものとして市場で流通している根拠になっている。
甲第7ないし12号証にみられる「畑のカルシウム」なる商標は、引用商標と同一性のないものも含まれているが、「畑のカルシウム」なる文字のみの商標であっても、自他商品の識別表示として通用していることは明らかである。
「畑のカルシウム」は、農作物のカルシウム欠乏症に有効な肥料で、請求人は、平成11年度から販売を開始し、東北地方(青森、秋田、岩手、宮城、山形、福島)、関東地方(茨城、栃木、千葉、群馬、埼玉、東京、神奈川)、中部地方(山梨、長野、新潟)のJA(農協)に供給し、これまでに8,502トンを販売している。
また、請求人は、顧客との取引において、「畑のカルシウム」の文字のみで行っており、自他商品の識別機能を有するものとして、認識されている(参考資料3)。
したがって、本件商標は、引用商標と類似のものであって、引用商標の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
よって、本件商標の登録は、商標法第46条の規定により無効とされるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べた。
引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分は、指定商品との関係においては、「畑の土壌酸度を矯正するカルシウム(石灰)」等のように理解させるものであるから、単に商品の用途、品質を表示するにすぎず、識別力のないものである。
このことは、被請求人が本件商標より先に出願した商標「畑のカルシウム」(商願平10−27490号)が、商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして拒絶査定となったことからも明らかである(甲第4号証)。
引用商標は、文字の大きさが相違する2つの文字部分からなるが、小さく表示された識別力のある「コープケミカル株式会社」の文字部分から称呼又は観念を生ずるものである。
なお、請求人は、甲第5号証として審決例を取り上げているが、該審決例は本件とは事案の異なるものである。
また、甲第7ないし12号証における「畑のカルシウム」の記載は、引用商標を表示するものではない。
本件商標は、略同じ大きさの「カルテック」と「畑のカルシウム」の各文字を二段に配した構成よりなる。
ところで、被請求人は、前記したとおり、引用商標の出願前である1998年(平成10年)に、カルシウム肥料の名称として「畑のカルシウム」の文字を有する商標を採用し、同年3月31日に商標「畑のカルシウム」について商標登録出願し(前記商願平10−27490号)、同年7月には「畑のカルシウム」名の肥料について紙上に発表し(甲第4号証)、同年8月から肥料に「畑のカルシウム」を付して使用しているものである。
そして、前記商願平10一27490号が拒絶査定となり、「畑のカルシウム」のみでは商標登録を受けることができないことに鑑み、被請求人の商号の要部である「カルテック」と「畑のカルシウム」との二段構成で再度本件商標を出願したものである。
本件商標は、引用商標と同様に、「畑のカルシウム」の文字部分には識別力がなく、識別力のある「カルテック」の部分から称呼又は観念を生ずるものである。
なお、請求人は、被請求人のホームページにおける記載を取り上げている(甲第6号証)が、該ホームページ掲載のものは、被請求人の取り扱う資材解説であって、被請求人の提供する製品の単なる製品名であり、商標でないことは他の製品名を見ても明らかである。
以上のとおり、本件商標と引用商標の構成中の「畑のカルシウム」の文字部分は、識別力のない部分であって、本件商標は、「カルテック」の文字部分、引用商標は「コープケミカル株式会社」の文字部分が、それぞれ識別力のある部分であり、両商標は、外観、称呼、観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない、互いに非類似の商標であるとするのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に何ら違反するものではない。
(1)本件商標は、別掲(1)のとおり、「カルテック」の文字と「畑のカルシウム」の文字を二段に横書きしてなるものであるから、「カルテック」の文字と「畑のカルシウム」の文字は、視覚上分離して看取されやすいばかりでなく、その構成中の「カルテック」の文字部分は、特定の観念を有しない造語よりなるものと認められるから、「畑のカルシウム」の文字部分とは、観念上密接な関係にあるものではない。また、本件商標を構成する文字全体から生ずると認められる「カルテックハタケノカルシウム」の称呼は、冗長にわたるものである。
そうすると、本件商標中の「カルテック」の文字と「畑のカルシウム」の文字は、外観、観念及び称呼の面からみて、一体のものとして把握、認識すべき要素は見出せず、他に、これらの文字を常に一体ものとして把握、認識しなければならない特別の事情は存在しない。
(2)ところで、肥料取締法第2条によれば、「肥料」とは、「植物の栄養に供すること又は植物の栽培に資するため土じょうに化学的変化をもたらすことを目的として土地にほどこされる物及び植物の栄養に供することを目的として植物にほどこされる物をいう。」と定義されている。
一方、植物の栄養分として与える肥料には、その三大要素ある「窒素、リン酸、カリ」のほか、カルシウム、マグネシウム、イオウなどの要素が不可欠であることは、肥料を取り扱う事業者やその需要者の間では、周知な事実といえる。そして、上記栄養素のうち、カルシウムは、酸性土壌のpHを調節するために土壌に施されるもの(石灰)が一般的によく知られている。また、酸性土壌のpHを調節するために土壌に施されるカルシウム(石灰)は、不溶性カルシウムであるから、土壌に大量に施しても、植物にあまり吸収されず、植物のカルシウム欠乏症を起こす場合があるから、これを防ぐため、近時、水溶性カルシウムを土壌に施したり、植物に施す方法が採用されている実情にある。
(3)カルシウムが肥料として用いられる場合、上記のような方法が採用されている状況のもとで、本件商標中の「畑のカルシウム」の文字部分について検討するに、該「畑のカルシウム」の文字は、「水をたたえないで、野菜や穀類を栽培する農耕地」を意味する「畑」と、本件商標の指定商品との関係から、肥料の栄養素の一つを表したと理解される「カルシウム」を、格助詞「の」を介して結合したと理解されるものであって、全体として、「作物の生長を促進させるため、畑に施されるためのカルシウム」なる意味合いを認識させるというのが相当である。
そうすると、「畑のカルシウム」の語は、肥料を取り扱う業界で普通に使用されているという事実は見出せないとしても、カルシウムが肥料として、現実に直接畑などに施されているという実情からすれば、本件商標に接する需要者は、その構成中の「畑のカルシウム」の文字部分について、上記した意味合いをもって、商品の用途、品質を表示したものと理解するにとどまるものといわざるを得ない。
(4)したがって、本件商標は、これをその指定商品について使用した場合、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、造語よりなる「カルテック」の文字部分であるというのが相当であるから、これより「カルテック」の称呼を生ずるものといわなければならない。
(1)引用商標は、別掲(2)のとおり、「畑のカルシウム」の文字を上段に大きく横書きし、その右下に「コープケミカル株式会社」の文字を、上記「畑のカルシウム」の文字に比べやや小さく横書きしてなるものであるから、「畑のカルシウム」の文字と「コープケミカル株式会社」の文字とは、視覚上分離して看取されやすいばかりでなく、両文字が結合されて親しまれた熟語的意味合いが生ずるものとも認められない。また、引用商標を構成する文字全体から生ずると認められる「ハタケノカルシウムコープケミカルカブシキガイシャ」又は「ハタケノカルシウムコープケミカル」の称呼は、冗長にわたるものである。
そうすると、引用商標中の「畑のカルシウム」の文字と「コープケミカル株式会社」の文字とは、外観、観念及び称呼の面からみて、一体のものとして把握、認識すべき要素は見出せず、他に、これらの文字を常に一体ものとして把握、認識しなければならない特別の事情は存在しない。
(2)引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分は、前記1(2)(3)で認定したとおり、肥料との関係においては、それ自体自他商品の識別標識としての機能を有しない部分といわざるを得ない。
そうすると、引用商標は、これをその指定商品について使用した場合、自他商品の識別標識としての機能を果たし得るのは、「コープケミカル株式会社」の文字部分であるということができるから、該文字に相応して、「コープケミカルカブシキガイシャ」、若しくは「株式会社」の文字部分を省略した場合の「コープケミカル」の称呼を生ずるものといわなければならない。
(1)外観
本件商標と引用商標は、それぞれ別掲(1)及び(2)のとおりであり、自他商品の識別機能を有する「カルテック」及び「コープケミカル株式会社」の各文字部分において、明らかに区別し得る差異を有するものであるから、外観上互いに見誤られるおそれはない。
(2)称呼
本件商標より生ずる「カルテック」の称呼と引用商標より生ずる「コープケミカルカブシキガイシャ」又は「コープケミカル」の称呼は、構成する音数、各音の音質等の差異により、それぞれを一連に称呼しても、明らかに聴別し得るものである。
(3)観念
本件商標中の「カルテック」の文字部分は、前記したとおり、造語を表すものであるのに対し、引用商標中の「コープケミカル株式会社」の文字部分は、社名を表すものであるから、両者は、観念上相紛れるおそれはないものである。
(4)そうすると、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点においても非類似の商標というべきである。
(1)請求人は、「畑のカルシウム」という表現が仮に商品の用途、品質を表示するにすぎないとしても、本件商標は、引用商標に類似し、商標法第4条第1項第11号に該当するものであるから、本件商標の登録を認めた特許庁の判断には、法文適用の間違いがある旨主張する。
しかし、本件商標及び引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分は、前記認定のとおり、これらの指定商品である肥料との関係からみれば、商品の用途等を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を有しない部分である(この点に関し、請求人は、上記のとおり、「商品の用途、品質を表示するにすぎないとしても」としている。)。
そうすると、両商標における「畑のカルシウム」の文字部分は、自己の取扱いに係る商品と他人の取扱いに係る商品とを区別する標識とはなり得ないから、これより生ずる称呼、観念をもって商品の取引に当たることはないというのが相当である。
したがって、本件商標と引用商標は、「畑のカルシウム」の文字部分を共通にするとしても、これらの要部たる「カルテック」、「コープケミカル株式会社」の部分において、大きく異なるものであるから、類似しない商標というべきであり、本件商標を登録したことに何ら違法性は存しない。
(2)請求人は、商標がその指定商品との関係において、識別性を有するか否かの判断は、商標が指定商品を取り扱う業界及び取引の実際において、商品の品質、効能、用途等を直接的かつ具体的に表示し、加えて商品の品質等の表示として普通に使用されているか否かにより決すべきである旨主張する。
請求人の上記主張それ自体は正論といえるものである。しかし、前記したとおり、両商標中の「畑のカルシウム」の文字部分は、これらが使用される指定商品との関係、特に、肥料としてのカルシウムが現実にどのような方法で使用されているかとの観点から考察すれば、その需要者をして「畑へ施されるカルシウム」なる意味合いを理解させる以上に格別顕著なものとはいえない。他に、例えば、引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分が、それ自体独立してその需要者に認識されているという特別の事情も認められないものであるから、両商標中の「畑のカルシウム」の文字自体には、自他商品の識別標識としての機能を有しないとみるべきである。
(3)請求人は、請求人の取扱いに係る商品における「畑のカルシウム」の文字の使用例及び被請求人の「畑のカルシウム」の文字の使用例を挙げ、「畑のカルシウム」の語は自他商品の識別機能がある旨主張する。
しかしながら、甲第7ないし12号証における請求人の取扱いに係る商品の包装袋、カタログ、新聞への広告に表示された「畑のカルシウム」の文字は、極めて看者の注意を引く擬人化された骨の図形とともに表示されているか、骨の図形の上に重ねるように、装飾的に縁取りされた文字をもって表示されているものであり、引用商標とは、その構成態様において大きく異なるものである。したがって、これらの使用をもって、引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分が自他商品の識別機能を有するとする請求人の主張は、その前提において誤りがある。
また、請求人若しくは被請求人の作成した取引書類等に「畑のカルシウム」の文字を記載し、これをもって、商品の取引に当たっていたとしても、本件商標及び引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分が自他商品の識別標識機能を有するか否かは、本件商標及び引用商標に接する需要者が、これらの構成中の「畑のカルシウム」についてどのように認識するかの観点から検討すべきであるところ、両商標中の「畑のカルシウム」の文字部分は、前記認定のとおり、肥料の取引の実情からすれば、自他商品の識別標識としての機能を有しないとするのが相当である。
なお、請求人は、同人の取扱いに係る「畑のカルシウム」の文字を使用した商品について、該商品は、農作物のカルシウム欠乏症に有効な肥料であって、平成11年度から販売を開始し、東北地方、関東地方、中部地方のJA(農協)に供給し、これまでに8,502トンを販売している旨主張するが、その主張を裏付ける客観的証拠はないばかりでなく、仮に上記主張が真実であるとしても、上記のとおり、甲第7ないし12号証に示された商品の包装袋等における「畑のカルシウム」等の表示は、引用商標と構成態様において異なるものであるから、その事実をもってしては、引用商標中の「畑のカルシウム」の文字部分が自他商品の識別標識としての機能を有するものとすることはできない。
(4)したがって、請求人の上記(1)ないし(3)の主張は、いずれも理由がない。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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