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Trademark Appeal Case

記述的文字の要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35337(T2003−35337/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4177650号商標(以下「本件商標」という。)は、「COUTURE」の文字と「クチュール」の文字を二段に横書きしてなり、平成8年9月30日登録出願、第3類「せっけん類,植物性天然香料,動物性天然香料,合成香料,調合香料,精油からなる食品香料,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同10年8月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 引用商標

請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録第3358375号商標(以下「引用商標」という。)は、「アイ クチュール」の文字と「EYE COUTURE」の文字を二段に横書きしてなり、平成7年12月22日登録出願、第3類「せっけん類,香料類,化粧品,歯磨き」を指定商品として、同9年11月14日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張

請求人は、「本件商標の指定商品中の『化粧品』についての登録を無効とする。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第34号証(枝番を含む。)を提出した。

1 請求の理由

(1)「EYE」及び「アイ」の文字について

化粧品業界においては、「アイシャドー」(eye shadow)、「アイライナー」(eye liner)、「アイブロー」(eyebrow)、「アイメイクリムーバー」(eyemakeremover)といった眼のメーキャップ用化粧品というべき「アイメークアップ用化粧品」が多数取引されていて(1997年7月から1998年6月までの1年間に新発売されたものだけで820品目)、これら商品のうちの多くの商品について、これら商品が眼のメーキャップ用のものであることを表示するものとして、「眼」の意味する英語である「EYE」に通ずる「アイ」の文字が使用されているのが実情である(甲第3号証ないし甲第5号証)。

以上の事実に照らすと、「アイメークアップ用化粧品」との関係に限っては、「EYE」及び「アイ」の文字は、当該商品の用途を表示するものに止まり、自他商品の識別標識としては機能し得ないものというべきである。

ちなみに、特許庁における審判・審査例も、これらの文字を自他商品の識別力を有するものとはみていない(甲第6号証ないし甲第34号証、なお、甲第32号証ないし甲第34号証は、旧第4類の出願商標のうち自他商品の識別力なしと認定されたものを、日本化粧品工業連合会の商標委員会が抽出し収録したものである。)。

(2)引用商標

引用商標は、その表出態様及び「アイ」、「EYE」並びに「クチュール」、「COUTURE」の語義からみて、外観上及び観念上も、それぞれを一連あるいは一体不可分のものとしてのみに把握しなければならないとする格別の事由を見出せないものである。

そうすると、引用商標が、その指定商品中の「アイシャドー」、「アイライナー」、「アイブロー」、「アイメークリムーバー」といったアイメークアップ化粧品について使用されたとき、これらに接する取引者、需要者は、その構成中の「アイ」及び「EYE」の文字は、これらの商品の用途を表示したものと理解し、自他商品の識別標識としては機能しないものというべきである。

一方、引用商標にあって、「クチュール」及び「COUTURE」は、引用商標の指定商品の品質、用途等に係る意味を看取させないので、引用商標に接する取引者、需要者は、これらより生ずる「クチュール」の称呼をもって取引に当たる場合が決して少なくないというべきである。

したがって、引用商標は、「アイクチュール」の称呼の他に「クチュール」の称呼をも生ずるものというべきである。

(3)本件商標

本件商標は、引用商標に存する「クチュール」と「COUTURE」の文字と同一の文字よりなるものであるから、「クチュール」の称呼を生ずるものである。

(4)むすび

したがって、本件商標と引用商標は、「クチュール」の称呼を同じくする類似のものである。

また、両商標の指定商品は、共に「アイメークアップ用化粧品」を含むものであるから、両商標の指定商品が抵触していることは明らかである。

以上によれば、本件商標の指定商品中の「化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものである。

2 答弁に対する弁駁

比較すべき商標を同一又は類似の商品について使用したとき、取引者、需要者がその商品の出所を混同するおそれがあると認められる場合には、両商標は類似の商標であるとされているところ、「クチュール」の称呼を同じくする本件商標と引用商標が「眼用の化粧品」について使用されたときは(すなわち、請求人が引用商標を使用した「眼用の化粧品」を流通させ、一方で、被請求人が本件商標を使用した「眼用の化粧品」を流通させたときは)、これら両商品に接する取引者、需要者は、両商品が同一の出所より出たものではないかとその出所を混同するおそれがあるとみるのが相当である。

このような意味において両商標は、類似のものであり、また、両商標の指定商品は、共に「眼用の化粧品」を含むものである。

したがって、本件商標の指定商品中の「眼用の化粧品」についての登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、同法第46条の規定により、その登録は無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第5号証(枝番を含む。)を提出した。

1 本件商標から「クチュール」の称呼を生ずることは、請求人主張のとおりである。

しかしながら、引用商標は、「アイクチュール/EYE COUTURE」の構成において、全体として一連不可分の「アイクチュール」の称呼を有するものとして登録になったものであるから、「アイクチュール」のみの称呼を生ずる。

2 乙第1号証の1及び2に示す商標(以下「乙第1号証商標」という。)は、請求人の所有に係る登録商標で、片仮名「アイクチュール」を横書きしてなり、その指定商品を旧第4類「せっけん類、歯みがき、化粧品、香料類」とし、昭和59年9月27日に登録出願、同62年6月16日に登録されたものである。

乙第2号証の1及び2に示す商標(以下「乙第2号証商標」という。)は、件外他人の所有に係る登録商標で、英文字「COUTURE」を横書きしてなり、その指定商品を旧第4類「タイル便器洗浄剤、シャンプー、薬用せっけん、化粧せっけん、その他のせっけん類、トイレットウオーター、一般化粧水、乳液、ハンドローション、スキンローション、タルカムパウダー、香水、口紅、その他の化粧品、その他本類に属する商品」とし、昭和58年4月11日に登録出願、同61年4月23日に登録されたものである。

上記乙第1号証商標は、その出願日に照らし、乙第2号証商標の後願である。ところが、乙第1号証商標と乙第2号証商標とは類似しないものとして、併存して登録された(なお、これら商標は、いずれも存続期間満了により現在では消滅している。)。

もし、請求人が本件商標の無効理由として述べているように、引用商標から「クチュール」のみの称呼を生じるのであれば、乙第1号証商標からも「クチュール」の称呼を当然に生じることになり、「クチュール」の称呼を生ずる先登録商標である乙第2号証の1商標と称呼上類似の商標であり、かつ、同一又は類似の商品に使用するものであるから登録にならなかったはずであるが、乙第1号証商標は、乙第2号証商標とは類似しないものとして登録されたのである。

しかるに、乙第1号証商標について、乙第2号証商標とは称呼が異なるとして商標登録を得ておきながら、一方で、新たに出願をして登録を得た引用商標を持ち出して、引用商標からは「クチュール」の称呼も生ずるとする請求人の主張は、余りにも牽強付会である。

してみると、乙第1号証商標と同一の称呼を有する引用商標は、全体として「アイクチュール」のみの称呼を生ずるといわざるを得ない。

3 「クチュール」又は「COUTURE」について、自他商品の識別標識としての機能を有さない語との複合又は結合商標がどのように扱われているかについてみると、およそ次のとおりである。

(1)登録第4274778号商標「フェイスクチュール/FACE COUTURE」(乙第3号証)

(2)登録第4313286号商標「ヘアクチュール/HAIR COUTURE」(乙第4号証)

(3)登録第4403511号商標「ルージュクチュール/ROUGE COUTURE」(乙第5号証)

これらの登録商標は、いずれも全体でまとまりのある商標として成立しており、しかも「顔用」であるとか、「髪用」であるとか「口紅」であるとかの用途や品質についての限定はされていない。また、引用商標も、例えば「眼用」というような用途限定はなされていない。請求人が主張・立証(甲第8号証以下)するように、引用商標中の「アイ/EYE」が「眼用」であるならば、引用商標に係る指定商品は、「眼用」のものに限定されていなければならない。

「アイ/EYE」の文字が引用商標において「眼用」のものに限るものであれば、それ以外の商品をも指定した引用商標は、眼用以外の商品にも使用することになるから、商品の品質の誤認を生じるおそれのある商標であり、商標法第4条第1項第16号に該当し、登録無効の理由を有していることになる。

4 甲各号証について

(1)甲第3号証ないし甲第5号証に記載のものは、いずれも全体として品質又は用途等としての記載のものであって、もともと商標を構成するものではない。

(2)甲第6号証(審決)は、もともと全体としても自他商品識別力の標識として機能しない商標に係るものであって、引用商標のように全体として登録性を有する商標における「EYE」の結合に係るものではない。

(3)甲第7号証(審決)は、「アイ」の文字を有する商標についての判断を示したものではあるが、引用商標のように請求人自身が「アイ」の文字を除いた部分の商標と類似しないものとして登録を得た事例とは意味合いを異にする。請求人は、この審決例に反して、乙第1号証商標を乙第2号証商標とは非類似の商標として登録を得ているのである。

(4)甲第8号証ないし甲第31号証(登録例)は、いずれも指定商品について積極表示がされているということが分るだけであって、上位概念の表示が否定されていることを示すものではない。例えば、甲第31号証のように眼用以外の商品も含まれている登録例も含まれている。また、引用商標は、先にも述べたように、眼用以外の商品も指定されており、眼用以外の商品に使用することを妨げない。したがって、これらの登録例をもって、「アイ/EYE」を含む商標中から常に「アイ/EYE」を除いた部分のみを要部としなければならない証左とはなっていない。

(5)甲第32号証ないし甲第34号証(拒絶文字商標集(一覧))に記載されている商標は、いずれも全体として自他商品の識別標識としての機能を有さないという例であって、全体として登録性を有する商標において、「アイ/EYE」を眼用として用途表示とするということを示唆するものではない。

(6)以上のように、甲各号証のいずれもが、請求人自らが「クチュール」の称呼を生ずる乙第2号証商標とは非類似であるとして「アイクチュール」のみの称呼が生ずるとのもとに登録を得た乙第1号証商標との事実関係を否定するものでないこと、また、「アイ/EYE」の文字を、全体として自他商品の識別標識としての機能を有する商標中から除外して類否の判断をするという必然性には結び付いていないことが逆に明らかになっている。

したがって、甲各号証は、いずれも請求人の主張を裏付ける証左とはならない。

5 両商標の対比

引用商標は、全体として「アイクチュール」のみの称呼を生ずることは、疑いの余地はない。したがって、「クチュール」の称呼を生ずる本件商標は、引用商標に称呼上類似しない。

また、外観、観念においても類似しないものである。

6 むすび

叙上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しないものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものではない。

第5 当審の判断

1 本件商標について

本件商標は、前記したとおり、「COUTURE」の文字と「クチュール」の文字を二段に横書きしてなるものであるから、これより「クチュール」の称呼を生ずるものである。また、「COUTURE」の文字部分は、フランス語で「裁縫」等の意味を有するものである。

2 引用商標について

引用商標は、前記したとおり、「アイ クチュール」の文字と「EYE COUTURE」の文字を二段に横書きしてなるものであるところ、その構成中の「アイ」、「EYE」の文字部分と「クチュール」、「COUTURE」の文字部分は、やや間隔おいて書されているものであるとしても、片仮名文字と欧文字は、それぞれ同一の書体をもって書され、構成全体としてもまとまりよく表されているものである。また、引用商標より生ずると認められる「アイクチュール」の称呼も語呂よく一連に称呼し得るものである。

そうすると、引用商標は、その構成態様及びこれより生ずる称呼からみて、一体不可分のものとして認識されるものである。また、引用商標は、その構成中の「アイ」、「EYE」の各文字部分からは、「目」の意味を、同じく「クチュール」、「COUTURE」の各文字部分からは、「裁縫」等の意味を理解させるものであるとしても、両語が一体不可分に結合された構成からは、特定の観念は生じないものであって、構成全体をもって、一つの造語を表したと理解されるとみるのが相当である。

したがって、引用商標は、その構成文字に相応して「アイクチュール」の一連の称呼のみを生ずるものであって、造語よりなるものといわなければならない。

3 本件商標と引用商標との対比

本件商標より生ずる「クチュール」の称呼と引用商標より生ずる「アイクチュール」の称呼は、語頭部において、「アイ」の音の差異を有するものであるから、該差異音が両称呼全体に及ぼす影響は大きく、それぞれを一連に称呼しても互いに紛れるおそれはないものである。

また、引用商標は、構成全体として造語よりなるものであるから、本件商標とは観念上比較することはできない。

さらに、本件商標と引用商標とは、前記したそれぞれの構成よりみて、外観上区別し得るものである。

そうすると、本件商標と引用商標は、称呼、観念及び外観のいずれの点においても非類似の商標というべきである。

4 請求人の主張について

請求人は、引用商標中の「アイ」、「EYE」の各文字部分は、化粧品の用途表示語として自他商品の識別機能を有しないものであるから、引用商標は、「クチュール」、「COUTURE」の各文字より「クチュール」の称呼をも生ずる旨主張し、「アイ」若しくは「EYE」又はそのいずれの文字をも含む化粧品の使用例、審査例、審決例を挙げている。

しかし、前記2で認定したとおり、引用商標は、構成全体もって一体不可分の造語を表したと理解されるばかりでなく、請求人の挙げる「アイシャドー」(eye shadow)、「アイライナー」(eye liner)、「アイブロー」(eyebrow)、「アイメイクリムーバー」(eyemakeremover)といった商品は、構成する文字全体で一つの商品名を表したと認識されるものであるから、これら商品に「アイ(eye)」の文字が使用されていることをもって、前記構成よりなる引用商標における「アイ」、「EYE」の各文字部分についても同様に、商品の用途を表示したものと理解されるとすることはできない。

また、過去の審査例等において、「アイ」若しくは「EYE」又はそのいずれの文字をも含む商標の指定商品について、目の周辺用の化粧品に限定されたもの、あるいは商標全体として自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないとされたものが存在するとしても、引用商標のように、「アイ」、「EYE」の各文字を含むものでも、その指定商品が目の周辺用の化粧品に限定されていないものも存在するところからすれば、商標中に「アイ」若しくは「EYE」又はそのいずれの文字をも含む商標において、これらの文字部分が直ちに商品の用途表示となるものとはいえない。

したがって、引用商標中の「アイ」、「EYE」の各文字部分は、商品の用途表示語であるから、引用商標から単に「クチュール」の称呼をも生ずるとし、これを前提に、本件商標と引用商標とが称呼において類似するとする請求人の主張は、前提において誤りがあるといわざるを得ない。

5 むすび

以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項の規定により、無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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