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Trademark Appeal Case

不使用取消の証拠と商品解釈

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2000−30527(T2000−30527/J2)
審判種別取消
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第1885102号商標の指定商品中、第9類「保安用ヘルメット及びこれに類似する商品」についての登録を取り消す。
審判費用は、被請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第1885102号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲に示すとおりの構成よりなり、昭和56年10月15日に登録出願、第9類「金属加工機械器具、鉱山機械器具、土木機械器具、荷役機械器具、化学機械器具、食料または飲料加工機械器具、製材・木工または合板機械器具、暖冷房装置および冷凍機械器具、商業またはサービス業用機械器具、保安用機械器具、潜水用機械器具、調律機、遊園地用機械器具、芝刈機、電動式扉自動開閉装置、マーキング用孔開型板(刷込マーク板)、し尿処理そう、汚水浄化そう、塵芥焼却炉、工業用水そう、液体貯蔵そう、ガス貯蔵そう、液化ガス貯蔵そう、機械要素(緩衝器、ばね、管継ぎ手、パツキングおよびガスケツトを除く)」を指定商品として、同61年8月28日に設定登録、その後、平成8年10月30日に商標権存続期間の更新登録がされたものである。

2 請求人の主張

(1)請求人は、結論同旨の審決を求め、概略次のように述べ、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

(2)本件商標は、図形中に横書きしてなる「HOPE」の文字を含む構成からなり、第9類に属する前記1に示すとおりの商品を指定商品として登録されたものであるが、その指定商品中の「保安用機械器具」は、「保安用ヘルメット」を含むものである。

そして、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内にわが国において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが上記指定商品中の「保安用ヘルメット及びこれに類似する商品」について使用していないから、当該「保安用ヘルメット及びこれに類似する商品」の登録について商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。

(3)被請求人の答弁に対する弁駁

(ア)使用時期について

被請求人は、平成12年10月6日付けの答弁書(以下「第一答弁書」という。)の7.(4)の「本件商標の使用商品」の欄(以下「使用商品欄」という。)において、登録商標の使用説明書(以下「使用説明書」という。)に記載のとおり、被請求人自身が本件商標を取消請求に係る商品「保安用ヘルメット」に使用しており、その使用時期は、平成11年12月17日である旨述べている。

しかしながら、当該使用説明書の「商標の使用時期」欄には、「現在使用中」と記載されているので、本件商標の使用時期が被請求人の上記主張と矛盾するばかりでなく、「平成11年12月17日」が本件商標の使用開始時期なのか、それとも、その最終使用時期なのか明確でない。

(イ)写真について

被請求人は、前記使用商品欄において、本件商標が商品の包装に使用されている旨述べるとともに、「商標の使用事実を示す書類」として商品及び包装の撮影された写真(以下「写真」という。)を提出しているが、当該写真は、本件商標を保安用ヘルメットに使用した事実を証明するに足りない。

(a)写真撮影年月日等

使用説明書に添付した「商標の使用事実を示す書類」が写真である場合には、当該写真を貼付した用紙に、その撮影年月日、撮影者の住所(居所)及び氏名(名称)を併せて記載すべきところ、上記写真を貼付した用紙には、それらが記載されておらず、書類として不備である。

(b)「SAFETY HELMET」について

かぶと形の帽子であるヘルメットには各種のものが存在し、例えば、防寒防暑用の帽子として取引されるヘルメット(現行第25類)、球技用ヘルメット及びスキー用ヘルメット(現行第28類)、保安用ヘルメット(現行第9類)等があり、そのうち、球技用ヘルメット、スキー用ヘルメット及び保安用ヘルメットは、いずれも外部衝撃から頭を守り、その安全を確保するために頭にかぶる安全帽である点で共通しており、保安用ヘルメットが前二者と異なるのは、それが上記目的のためにオートバイや主として工事現場で用いられる用途に限定された特別な帽子である点にある。

そして、この「保安用ヘルメット」の英文表示は、商品・役務名リスト(英語版)等の記載によれば、「Protective helmets」と表示されている。

これに対し、上記容器に印刷されている「SAFETY HELMET」なる文字は、市販の英和辞典をひもといても発見することができず、一種の造語と考えられるが、これを強いて直訳するとすれば、「安全ヘルメット」と訳すほかはない。

そうだとすれば、「SAFETY HELMET」は、前記、球技用ヘルメットないしスキー用ヘルメットとしてのヘルメットと解すことが可能であり、これを一義的に「保安用ヘルメット」を意味する語として解釈することは不可能である。

そして、前記写真の被写体中の横長の箱形の包装容器の正面左側寄りの上方部位に「SAFETY HELMET」なる英文字が印刷されているが、該文字が印刷されていることをもって、該容器が「保安用ヘルメット」の包装容器であると認めることは不可能である。

してみれば、上記容器に本件商標と実質的に同一の標章が付されているとしても、「保安用ヘルメット」の包装容器に本件商標が使用されているということはできない。

(c)商品の特定に必要な内部構造部品

前記写真に示されているヘルメットが「保安用ヘルメット」であるか否かを特定するには、ヘルメットを頭部に固定するのに必要なバンドその他の内部構造部品がともに示されていなければならないところ、当該写真には、それらが示されていないことに加えて、当該ヘルメットには、「保安用ヘルメット」の商品名が付されていない。

(d)商品の収納状態を示す写真の必要性

商標が使用に係る商品の包装又は容器のみに付されている場合であって、商標のみの写真では当該商品が不明であるときには、使用商品と商標との関係を明確にするために、当該包装又は容器中に、その商品が収納されている状態の写真と当該商品自体の写真の2枚以上が必要とされているが、被請求人提出の前記写真は、この要請を充足していない。

(ウ)売上伝票について

(a)被請求人は、使用説明書における「商標の使用事実を示す書類」として「商品の売上伝票(写)」(以下「売上伝票」という。)を提出しているが、該売上伝票には、保安用ヘルメットに本件商標を使用した事実を証明するに足る証拠力はない。

因みに、被請求人は、第一答弁書の使用商品欄において、取引書類である売上伝票に本件商標を使用している旨述べているが、納品書や送り状等のように、取引の相手方に手交ないし送付するものと異なり、売上伝票は、本来、商品の売主が商品の売上数や売上高を集計するために自ら保管するものである。

この点、被請求人は、前記使用商品欄において、「取引があったときは納品書の代わりに売上伝票を得意先に発行しているものであって、売上伝票は納品書と同様の取引書類である」と主張している。

しかしながら、取引先に売上伝票を発行するという行為は、我が国の商慣習に照らして極めて異例であり認め難い。

(b)商標の使用事実を示す書類として取引書類を提出する場合には、現物が原則であるところ、被請求人は、写しのみしか提出しておらず、この点においても証拠としての証明力を認めることはできない。

(c)また、被請求人提出の売上伝票には、その商品名の欄に、「HOPE印 ヘルメット S−1 黄」との記載があるが、このような記載では、当該商品が「保安用ヘルメット」であることを明確に特定することは不可能である。

(d)そして、当該売上伝票における商品の単価、金額、合計、総合計欄には、消費税が付加されていないが、被請求人は、本社を東京都千代田区に有し、かつ、本件商標の使用場所であるとされている埼玉県越谷市にも越谷本社を有するところ、その事業規模からみて、消費税を付加することは当然と考えられるにも拘らず、消費税を付加せず、税抜きとすることは、税法違反の疑いが残り、ひいては、売上担当者の検印が欠落していることと相侯って、当該売上伝票の文書としての成立に疑問が残るといわざるを得ない。

(4)以上のとおり、被請求人提出の使用説明書には、本件商標の使用時期が明らかにされておらず、また、商標の使用事実を示す書類も証明力がないから、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標をその請求に係る指定商品に使用した事実を立証したことにはならない。

3 被請求人の答弁

被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、請求人の弁駁に対しては(2)以下のように再答弁するとともに、証拠方法として登録商標の使用説明書[写真及び売上伝票(写)を含む。]及び乙第1号証の1ないし乙第1号証の8を提出した。

(1)被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内にわが国において、本件商標をその指定商品中の「保安用ヘルメット」に使用しており、その使用時期は、平成11年12月17日である。

そして、添付した写真に示すとおり、本件商標を商品の包装に使用しており、取引書類である売上伝票にも使用している。

被請求人は、取引があったときは納品書の代わりに売上伝票を得意先に発行しているものであって、売上伝票は、納品書と同様の取引書類である。

(2)請求人の弁駁に対する再答弁(平成13年2月14日付けの答弁書[第二回])(以下「第二答弁書」という。)

(a)登録商標の使用説明書に添付した写真の撮影年月日及び撮影者並びにその居所について

撮影年月日は平成12年10月2日、撮影者の居所は埼玉県越谷市流通団地3丁目1番19号、撮影者の氏名は林哲夫である。

(b)「SAFETY HELMET」について

保安用ヘルメットの大手企業である東洋物産工業株式会社のカタログ(乙第1号証)の2頁ないし7頁によれば、保安用ヘルメットは、「SAFETY HELMET」と表示されるほか、「保護帽」とか「作業用ヘルメット」といった表示でも通用し、使用されている。

したがって、「保安用ヘルメット」の英文表示が「Protective helmets」でなければならないということはない。

また、写真のヘルメットが保安用ヘルメットであることは、写真をみれば、誰でもすぐに理解できる筈である。

写真のヘルメットは、色彩が黄色で薄手のプラスチックで形成され、縁が全周に亘って外側に反り、黒いバンドの一端もヘルメットの下に見えるので、誰が見ても保安用ヘルメットであって、このような特徴を備えたヘルメットは保安用ヘルメット以外に存在しない。

(c)売上伝票について

被請求人提出の第一答弁書における「また、添付した取引書類である売上伝票に使用されている。被請求人は、取引があったときは納品書の代わりに売上伝票を得意先に発行しているものであって、売上伝票は納品書と同様の書類である。」との文章は、代理人の錯誤で記載したものであって撤回する。

正しくは、売上伝票は納品書と複写可能に重ねられていて、納品書は得意先に発行されるので、被請求人の手元には残っていないから、提出することができない。

そこで、その代わりに売上伝票を提出したのである。売上伝票は取引書類であるが、展示又は頒布しないから、提出した売上伝票のみで商標の使用とはいえないけれども、商標使用の補助的な証拠である。

(d)消費税について

税法違反の疑いは心外であり、1回の取引毎に代金を請求して消費税を預かってもよいし、一定の期間毎にそれまで取引された代金及び消費税をまとめて請求してもよいのであって、そのようなことは各会社の自由である。消費税は請求書に書いて請求すればよく、売上伝票や納品書に書かなければならない義務はない。

(e)検印の欠落について

売上伝票に検印の欄を設けてあるのは事実であるが検印は押していないだけのことである。検印の欄が2つあるので2つの検印を押さなくてはならないということもない。

(f)使用時期について

登録商標の使用時期は、添付した使用説明書に記載したとおり「現在使用中」である。

第一答弁書中に「この使用説明書における商標の使用時期は平成11年12月17日である。」とあるのは、登録商標の使用証明は、審判の請求の登録前3年以内とされているから、登録商標が使用された時期を具体的に記載して、その要件に合致していることについて念を押したまでのことである。

4 審尋書の送付

被請求人に対し、平成14年6月19日付けで、下記の旨の審尋書を送付した。

被請求人は、本件審判請求の登録日前3年以内に我が国において、本件商標をその取消請求に係る指定商品中の「保安用ヘルメット」について使用している旨述べ、その証拠方法として、「登録商標の使用説明書」、「写真」、「売上伝票」及び被請求人が乙第1号証(枝番号を含む。)と称している「カタログ」を提出している。

しかしながら、次の理由により、上記各証拠のみでは、被請求人の上述した主張事実を証明するに充分でなく、その事実を確認できない。

理由

(1)本件審判事件と当事者が同一であり、かつ、使用事実に関する実質的証拠も同一の関連事件[取消審判2000−30526に関する東京高等裁判所 平成13年(行ケ)第550号審決取消請求事件]について、平成14年5月31日に判決言渡があり、不使用との認定がされたこと

(2)被請求人の第二答弁書によれば、前記写真の撮影日は本件審判請求の予告登録日(平成12年6月14日)後の平成12年10月2日であって、それ自体、予告登録日前3年以内に本件商標を商品「保安用ヘルメット」に使用した事実を証明するものではないこと

(3)前記カタログは、製造元を東洋物産工業株式会社、発売元を株式会社トーヨーセフティーとするヘルメットの商品カタログであって、本件商標を付した商品の記載はなく、それ自体が被請求人による本件商標の使用事実を証明するものではないこと

(4)前記写真に見られるヘルメットの形状を前記カタログと照らし合せても、前記写真におけるヘルメットが本件商標の指定商品中の「保安用ヘルメット」に当たると直ちに断定することは困難であること

(5)本件売上伝票には、証明力が乏しいこと

(ア)売上伝票の原本は納品書と複写可能に重ねられていて得意先に発行されるので手元に残らず、その提出ができないから、代わりに、その写しを提出したと被請求人は述べ、かつ、売上伝票は取引書類であるものの、展示又は頒布しないから、それのみで商標の使用とはいえないが、商標使用の補助的証拠である旨述べるが、取引が実際にされたことを客観的に示す書面を未だに提出していないこと

(イ)本件売上伝票をもって真正な取引があり、かつ、その信憑性があるものとは解し難いこと、売上伝票の原本が真実存在するならば、被請求人の提出は容易である筈にも拘らず、未だに提出せず、かつ、提出できない事情は何ら窺われないこと、本件売上伝票の原本が存在し、かつ、真正に成立したことには、多大な疑問の余地があるといわざるを得ないこと

(ウ)売上伝票には、商品名「HOPE印 ヘルメット S−1 黄」と記載されているが、前記写真のヘルメットには、「HOPE」の文字のみからなる標章であって、本件商標と同一性を有しないものが付されているところ、その標章も「HOPE印」と略称されることが充分にあり得るから、たとえ、売上伝票に記載された取引が現実に行われたとしても、「HOPE印」という記載から、直ちに取引されたヘルメットに本件商標が付されていたと認めることはできないこと

(エ)また、売上伝票の最下部には、本件商標と同一の構成よりなる標章が表示されているが、該標章は商品の販売が現実に行われたか否かに拘らず、また、売上伝票が現実に手交又は送付されたか否かに関わりなく、もともと売上伝票に直接印刷された類いのものであり、この標章の存在をもって、直ちに、該売上伝票に記載の「HOPE印」が、この標章を意味するとまでは認めることができないこと

(オ)しかも、売上伝票における「ヘルメット」との記載をもって、その「ヘルメット」が直ちに「保安用ヘルメット」であるとまでは認めることができないこと

(カ)さらに、商品「保安用ヘルメット」についての取引が現実的かつ継続的に行われていたとまでは認めることができないこと

(6)被請求人と門脇機工との間に、「保安用ヘルメット」についての取引が現実に行われたとすれば、当該取引に係る納品書の控え、請求書等の関係書類も被請求人において提出できる筈のところ、これらの文書の提出が何らなされていないこと、また、被請求人が上記取引に係る書類を紛失した等の事情により、関係書類の原本提出が不可能ならば、他の取引書類の提出が可能な筈であること、もしも、取引が上記の1回だけとすれば、それ自体極めて不自然であること

(7)前記関連事件の判決では、原告(本件審判の請求人)作成の陳述書(甲第4号証)の内容、すなわち、「売上伝票に記載の門脇機工の住所地には普通の民家はあるが事務所のような建物は確認できなかったこと、仮に、門脇機工が事務所を持たない個人経営の小企業とすると、被告(本件審判の被請求人)による門脇機工に対するヘルメットの販売は卸でなく小売ということになるが、原告が被告本社を訪れて尋ねたところ、被告従業員から、被告は小売をしていないと言われたこと」との記述を参酌し、それに照らすと、被告が門脇機工に対し、本件売上伝票に記載されたとおりにヘルメットを販売したという事実は疑問であるといわざるを得ないと認定していること。

5 当審の判断

商標法第50条による商標登録の取消審判の請求があったときは、同条第2項の規定により、被請求人において、その取消請求に係る指定商品について当該商標を使用していることを証明し又は使用していないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消しを免れない。

しかるところ、被請求人は、本件商標を取消請求に係る商品について使用していると主張し、第一及び第二答弁書において縷々述べ、各種証拠を提出したものの、本件審判の関連事件についての東京高等裁判所の判決を踏まえて当審が行った上記4の審尋に対し、何らの回答及び補強証拠も提出するところがない。

そして、被請求人主張の全趣旨及び提出に係る全証拠を徴するも、同人が本件商標を取消請求に係る商品に使用していた事実は、何ら立証されていない。

してみれば、本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品「保安用ヘルメット及びこれに類似する商品」について使用されていなかったものと認めざるを得ない。

したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により指定商品中結論掲記の指定商品についての登録を取り消すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。

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