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Trademark Appeal Case

コイルフィルタの記述性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−10385(T2000−10385/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「コイルフィルタ」の文字及び「COILFILTER」の文字を二段に横書きしてなり、第9類「サージ保護装置,ノイズフィルター,火花消去器,コンデンサ,コイル,インダクタ,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成11年3月4日に登録出願されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点

原査定は、「本願商標は、『らせん状に巻いた電気の導線』を意味する『コイル』『COIL』の文字と、『フィルタ』『FILTER』の文字を一連に『コイルフィルタ』『COILFILTER』と2段に書してなるところ、指定商品中、主にモータを駆動・制御するインバータ等から発生する電磁波ノイズを制御するために使用される『ノイズフィルター』との関係においては、ノイズ対策のためにコイルを使用した商品も各種販売されていることより、これを本願指定商品中『ノイズフィルター』に使用しても、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断

(1)本願商標は前記したとおりの構成文字よりなるところ、その構成中の前半部の「コイル」「COIL」の文字は、「【科技】曲げやすい材料を、螺旋状または渦巻き状にしたもの」「【電磁】導線を数回巻いたもの、電気回路中にインダクタンスを導入したり、磁束をつくったり磁束の変化に応動する目的で使われる。」(マグローヒル 科学技術用語大辞典 改訂第8版)、「一般的には絶縁体の表面上に導体を巻いて作った自己インダスタンスをもつ部品。渦巻き状に形成されたプリントコイルを含む。」(JIS工業用語大辞典 第4版 財・日本規格協会)との記載がなされ、同様に「フィルタ」(フィルターと語尾に長音を付して記載する場合がある)「FILTER」の文字は、「【音工】他の周波数範囲の音は通過させるのに対し、特別の周波数範囲の音を拒否するような装置。」「【情報】指定された基準に一致したデータあるいは信号を、他のものと分離する装置またはプログラム。」「【電気】周波数によって入力信号を分離する変換器。その挿入損失は、ある周波数帯域内の波に対しては比較的小さく、それ以外の周波数に対しては比較的大きい。」(マグローヒル 科学技術用語大辞典 改訂第8版)、「特定の周波数帯域の信号を通過させ、それ以外の周波数の信号を阻止する装置」(JIS工業用語大辞典 第4版 財・日本規格協会)との記載がなされ、さらに付言すると通信や音響の分野で「ノイズ」「noise」については「特に通信チャンネルで、データ系列から無視されるか、取り除かなければならない無意味な間違いのビット」(マグローヒル 科学技術用語大辞典 改訂第8版)、「一般に不規則な性質をもち、明確な振動数成分を示さない信号。音響関係では、望ましくない音を騒音(noise)といっている。」(JIS工業用語大辞典 第4版 財・日本規格協会)との記載がされている。

そうすると、本願商標は、「コイル」「COIL」及び「フィルタ」「FILTER」の文字を「コイルフィルタ」及び「COILFILTER」と一連に二段に表示してなるものであり、その指定商品中には、ノイズフィルターなどが含まれていることを踏まえると、その全体としても、取引者、需要者をして、「ノイズ対策のためにコイルを使用した商品あるいは、ノイズを分離(防止)するためのコイル状のフィルター」程度の意味合いを容易に認識させるものといえる。

したがって、本願商標は、その指定商品中、ノイズフィルターなどに使用したときは、その商品の品質を表示するにすぎないものといえる。

(2)特に、「ノイズフィルター」、「コイルフィルタ」、「コイル」の文字について、各種新聞記事やインターネットのホームページの記事をみても、次の(a)ないし(g)のとおりの記載があり、それらの文字が種々用いられていることから、これらの記載によっても、「コイルフィルタ」の文字が上記(1)のとおり商品の品質表示として認識されるものであることが裏付けられるといえる。

(a)2002年9月2日付け日刊工業新聞28頁には、「三映電子工業、2倍の耐久性実現した縦型コイルの製造技術を開発」の見出しの下に「【長野】三映電子工業(長野県小諸市)は、丸い電線を巻いた一般的なコイルに比べ、2倍の耐久性と3割の省エネ・小型化を実現した縦形コイルの製造技術を確立した。縦形コイルは平角線の1層巻き構造で、独自の圧延方式により平たん度を高め、線幅と厚さ比50倍、厚さ50マイクロメートル以下の極薄コイル巻き線が可能となった。大手繊維メーカーがヒーターコイルに採用し、月間約150個の出荷を開始。自動車、電子機器、家電メーカーなど30社にサンプルを出している。

三映電子工業はハイブリッドおよび燃料電池車のコンバーターやモーター、パソコンの電磁ノイズフィルターなどの需要が拡大していることに着目。それらに使用されるコイルの省エネ・長寿命化研究に8年をかけて、基本となる圧延技術と絶縁技術を確立、日米特許も取得した。

従来の丸線コイルに比べ、平角線にして巻き線していくため密度が高く容積が約3割減少。独自の圧延技術により薄型から厚型まで優れた平たん度で巻き線できる。さらに、四角形をはじめ多様なコイル形状に対応。

絶縁皮膜はセラミックス塗布により500度Cまでの耐熱性がある。また、ポリイミドやエポキシの電着、粉体塗装などの後付け絶縁処理においても、放熱性が6割高まり、平たん度に優れる圧延方式のため、従来の2倍の耐久性を実現した。

同社は自動車のコンバーターやモーターコイル、電力トランスやインバーター、パソコンなど幅広い需要を見込んでおり・・・・・。」の記載がある。

(b)2003年2月18日付け日刊工業新聞11頁には、「岡谷電機、中国でのノイズ対策部品生産を大幅拡大」の見出の下に「岡谷電機産業は中国でのノイズ対策部品の生産を大幅に拡大する。PDP(プラズマ・ディスプレー・パネル)用ノイズフィルターやOA機器などのスイッチング電源用ノイズフィルターなどの需要が増大しているため。すでに中国工場を増強中で、03年度にはPDP用ノイズフィルターの生産能力を前年度(見込み)比2倍の月産6万本に、フィルムコンデンサーの生産能力も同約1・2倍の同3500万個規模に引き上げる。

岡谷電機産業は広東省東莞にある委託加工工場「東莞東坑岡谷電子廠」でノイズ対策部品のひとつであるフィルムコンデンサーを中心に生産している。ここへきてパネルメーカーがPDPを相次いで増産し、ノイズフィルターの需要が拡大しており、生産能力を引き上げることにした。一方で、OA機器などの中国生産拡大に伴い、スイッチング電源に用いられるフィルムコンデンサーも増産することにした。

また、非対称デジタル加入者線(ADSL)サービスの普及に伴い需要拡大しているチップタイプの小型サージアブソーバーも4月から中国工場で生産を始める。生産増強後の同工場ではフィルムコンデンサーの生産能力は月産5000万個規模まで増産可能という。ただ今後、ノイズフィルターなどコンデンサー以外の製品の需要も増大していることから、新工場建設も検討していく。

同社は02年4月まで長野工場(長野県岡谷市)でフィルムコンデンサーと発光ダイオード(LED)を、埼玉工場(埼玉県行田市)で産業用のPDPおよびサージアブソーバーを生産してきた。長野、埼玉の両工場は技術センターとして同年4月に組織変更し、技術開発に特化。量産機能は東北地域にある生産子会社や中国工場へのシフトを加速している。」の記載がある。

(c)2003年4月4日付け日刊工業新聞の8頁には、「松下部品、高速差動伝送回路用ノイズフィルターを発売」の見出しの下に、「松下電子部品はUSB2・0などデジタル機器間をつなぐ高速差動伝送回路用のノイズ対策部品「コモンモードノイズフィルタ=写真」を製品化した。製品寸法は縦1・25ミリ×横1ミリ×厚み0・5ミリメートルと業界最薄形状で重量も約3ミリグラムと業界最軽量を実現。各種機器の小型・軽量化に貢献できる。サンプル価格は30円。6月に月産500万個規模で量産する。

内部素子の構造最適化で業界最薄形状ながらUSBに必要なコモンモードインピーダンス(コイル並列結線時に発生する抵抗成分)が100メガヘルツで90オームと、ノイズ抑制に優れる。独自のフェライト材料技術採用で歪みの少ない伝送波形品質も実現。」の記載がある。

(d)2003年8月7日付け日本工業新聞の17頁には、「三菱マテ、世界最小クラスのノイズ除去フィルターを量産化」の見出しの下に、「三菱マテリアルは6日、デジタル機器内のノイズ除去フィルターであるLC複合EMIフィルタで世界最小クラスの小型化に成功し、量産を始めると発表した。

2種類を開発し、3端子型で長さ2ミリメートル、幅1・25ミリメートル。2端子型は長さ1ミリメートル、幅0・5ミリメートルを実現した。また、組み立て時に生じる基盤のたわみで実装したセラミック部品の損傷を避けるために従来比2―3倍の高強度化を図った。携帯端末のカラー液晶画面のノイズ除去など向けに月2000万個の生産を見込む。・・・・・」の記載がある。

(e)インターネットの「http://www.krfm.co.jp/japanese/pdf/RF.pdf」のホームページには、「RF信号を広い周波数帯域に渡りカット」の見出しの下に「RF信号を広い周波数帯域に渡りカ ット コイルフィルタ / パワフィルタ コイルフィルタ KF1シリーズ KF2シリー ズ パワフィルタ KHLCシリーズ 広い周波数帯域に対応 当社フィルタ(標準品 ・・・・・」の記載がある。

(f)インターネットの「http://www.okayaelec.co.jp/products/introduct.html」のホームページには、「岡谷電機製品紹介」の見出しの下に「イズサプレッションキャパシタ. ノイズフィルタ/サージトラップフィルタ. コイルフィルタ. 等が紹介されており、さらに、ノイズ対策部品の紹介欄にもノイズサプレッションキャパシタ、ノイズフィルタ/サージトラップフィルタ、コイルフィルタ等が」記載されている。

(g)インターネットの「http://www.daikodenshi.jp/practice/toko/toko_1.html」のホームページには、「大興電子通信/ユーザー事例/東光株式会社」として「コイル業界の先端を走ってきました。現在は、コイル応用商品、セラミック商品、半導体の3つが事業の柱。特に、テレビ、ラジオや通信機器に欠かせない高周波コイル・フィルタでは、世界トップの地位を確立しています」の記載がある。

(3)請求人は、登録商標の事例を提示し、本願商標も登録すべきである旨主張するが、該登録商標と本願商標は構成及び態様が異なり、事案を異にするといわざるを得ないものであり、しかも、商標登録の事例の有無によって取引者、需要者が本願商標を如何に認識するかが左右されるとも考え難いことから、この点の請求人の主張は採用することはできない。

また、請求人は、本願商標は、造語商標であり、自他商品識別力を有する旨も主張するが、「コイル」「COIL」及び「フィルタ」「FILTER」の文字が上記(1)のような意味合いで取引者、需要者に認識されるものと認められるのに加え、「コイルフィルタ」(コイルフィルターと語尾に長音を付して記載する場合がある)が上記(2)の新聞記事やインターネット上に使用されている事実からすれば、本願商標がその指定商品中、ノイズフィルターなどに使用されたときは、取引者、需要者にその商品の品質を表示するにすぎないものと理解、認識されるといわなければならないから、請求人の上記主張を採用することはできない。

(4)以上のとおり、本願商標は、その指定商品中、ノイズを防止するためのノイズフィルターなどに使用したときは、その商品の品質を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記以外の商品に使用したときは、その商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、同法第4条第1項第16号に該当するといえる。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であり、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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