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Trademark Appeal Case

不使用取消と商標の同一性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2001−31244(T2001−31244/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第2221773号商標(以下「本件商標」という。)は、「DON」の欧文字と「ドン」の片仮名文字とを上下二段に横書きしてなり、昭和62年12月7日に登録出願、第4類「せっけん類(薬剤に属するものを除く)歯みがき、化粧品(薬剤に属するものを除く)香料類」を指定商品として、平成2年4月23日に設定の登録がなされ、その後、同12年4月11日に存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

1 請求の趣旨

「商標法第50条第1項の規定により本件商標の登録は、その指定商品中『せっけん類(薬剤に属するものを除く)』についてこれを取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

2 請求の理由

本件商標は、その指定商品中「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」について、商標権者、専用使用権者及び通常使用権者のいずれによっても本件審判請求前3年間わが国において使用されていないから、本件商標の登録は、上記商品について、商標法第50条の規定により取消されるべきである。

3 弁駁の理由

被請求人は、平成14年1月21日付提出の答弁書において、乙各号証を提出して、「被請求人は、審判請求前3年以内に、商標『DON』を商品『シャンプー』に使用しているので、本件審判は成り立たない。」と主張する。

しかしながら、以下述べるように、被請求人によって提出された上記乙各号証によっては、「被請求人によって、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以内に本件商標が使用されていた」事実は証明されていない。

(1)乙第1号証及び同第2号証の検討

乙第1号証は、「シャンプー」の容器と包装箱の写真(本号証の2及び3)及び撮影データ(本号証の1)であり、同第2号証は、「シャンプー」の容器の写真であるが、当該「シャンプー」が実際に販売されたことは証明されていない。したがって、本号証は、本件商標が使用されたことを証明していない。なお、乙第1号証及び同第2号証の示す使用商標「DON」は、ローマ字のみからなるものであるから、カタカナ文字「ドン」を含む登録商標「DON/ドン」と同一ではない。上記ローマ字「DON」は、「ドン」の他「ディーオーエヌ」とも読めるところ、本件商標は、上記ローマ字の読みをカタカナ文字で「ドン」に特定しているものであるから、ローマ字「DON」のみの使用商標では、本件商標を使用しているとはいえない。

(2) 乙第3号証の検討

本号証は、被請求人の商品の1998年(平成10年)の総合カタログであるが、このカタログ中には、本件商標は表示されていない。したがって、本号証も、本件商標が使用されたことを証明していない。また、本号証の商品カタログ中には、「シャンプー」の容器及び包装箱の正面だけが表示されているから、この「シャンプー」の容器の背面及び包装箱の側面が第1号証の写真に表示されている「シャンプー」の容器の背面及び包装箱の側面と同一であるかどうかは明らかではない。むしろ、第1号証の2の写真中の当該容器及び包装箱の正面の下方の表示が「ピロクトンオラミン配合」であるのに対し、上記商品カタログ中の表示は「水溶性ヒノキチオール...」となっていることよりすれば、第1号証の2及び3の写真の容器及び包装箱と本号証中に表示されている容器及び包装箱とは異なるものであると考えられる。それゆえ、乙第3号証の商品カタログは、第1号証の写真の容器及び包装箱に入った「シャンプー」の市場流通を証明するものではない。さらに、上記商品カタログが1998年(平成10年)のものであるからといって、このカタログに表示された商品が、その年の12月まで実際に市場流通していたとはいえない。ちなみに、上記商品カタログの最終頁の主要商品リストには「平成10年3月1日現在」の表示があり、このカタログの商品に関する情報は、平成10年3月1日、すなわち、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以前のものである。それゆえ、乙第3号証の商品カタログは、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以内に、すなわち、平成10年12月5日から平成13年12月5日までの間に、本件商標が使用されていたことを証明していない。

第3 被請求人の答弁

1 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし同第9号証(枝番号を含む。)を提出した。

2 答弁の理由

被請求人は、商品「シャンプー」に現在「DON」を使用している。添付の写真に示す通り、商品の容器(ボトル)の下の部分に「医薬部外品」「DON」と表示されている。

商品の容器(ボトル)シャンプーには2種類の製品があり、

その1は、カタログ掲載の商品であり、「DON」の使用はない(乙第3号証)。

その2は、「直販品」であって「DON」が使用されており、「宝塚の売

店」等で売られている(乙第2号証)。

勿論、注文販売としても扱っている。

撮影年月日及び撮影者は次のとおり。

撮影年月日 平成13年8月23日

住所 神戸市中央区熊内橋通3丁目3番25号株式会社加美乃素本舗内

撮影者 川俣幸三

焼き増しの年月日は現時点である。

次にカタログから最終使用年月日は、1998年12月であることが判る。当時は、出荷された製品が市場に流通していたこと明白である。1998年12月は、本審判の請求日の2001年11月より、3年以内である。

3 第二答弁の理由

請求人提出の平成14年5月1日付け弁駁書に対し、次の通り答弁する。(1)請求人は、被請求人が提出した証拠によっては、本件商標が使用されていた事実は証明されないと主張している。

しかしながら、乙第1号証ないし同第3号証との関連は次の通りであって、本件商標は商品「シャンプー」について使用されていることは明らかである。

以下これを説明する。

(2)乙第1号証と同第2号証について

乙第1号証の2〜3に示す「薬用加美乃素シャンプー」(以下「当該商品」という。)の包装用箱(パッケージ)は、光印刷株式会社より継続して納品され(乙第4号証)、このパッケージにシャンプー容器を包装して販売されていたものである(乙第5号証)。そして、乙第1号証に示す当該商品の容器及び包装箱の正面下方にある表示が「ピロクトンオラミン」配合であるのに対し、乙第3号証の総合カタログ掲載の商品(写真)のそれらが「水溶性ヒノキチオール」と相違していることについては、以下の事情によるものである。すなわち、昭和50年11月28日付けの医薬部外品製造承認書(乙第6号証の1)に示すように、被請求人は、「加美乃素薬用シャンプー」の名称で、成分として『水溶性ヒノキチオール』を配合したシャンプーについて承認を得た。したがって、その後、平成6年6月10日付けの医薬部外品製造承認書(乙第7号証の1)に示すように、被請求人は、「薬用加美乃素シャンプー」の名称で、成分として「ピロクトンオラミン」を配合した当該商品について承認を得た。当該商品は、先の「シャンプー」の改良品として販売されたもので、その容器及び包装箱のデザインを踏襲していたため、平成6年の次年以降においても総合カタログ(乙第3号証)掲載の商品(写真)には、「水溶性ヒノキチオール」の記載が入ったまま印刷を継続してしまったものである。平成7年以降の商品用パッケージには乙第1号証に示すものである。当該商品用パッケージの側面には「DON」の記載がある。請求人は、これは登録商標「DON/ドン」と同一ないし、「ディーオーエヌ」とも読めるので、本件商標を使用しているとはいえないと主張している。 しかしながら、登録商標と同一性のある商標の使用は、登録商標の使用であり、登録商標「DON/ドン」の場合、その上段「DON」のみの使用も、下段の「ドン」のみの使用も同一性ある商標の使用であり、このことは「登録商標の使用義務の強化を図った更新時の使用証明の運用」においても是認されていたところである。

したがって、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以内にあたる平成12年12月22日及び平成13年6月11日に販売していたことが示されている。

したがって、乙第2号証の容器及び包装箱でこの商品が販売され、本件商標が使用されたことは明らかである。

なお、この商品の容器に使用されているDONは、前項で述べたように登録商標と同一性を有する。

(3)乙第2号証と同第3号証について

「加美乃素薬用シャンプーB&P」については、問屋経由の商品と、直販の商品とがある。乙第3号証に示すものが問屋経由のものであり、同第2号証に示すものが直販の商品である。直販商品には、「DON」の商品が使われている。乙第2号証に示すこの商品は、阪急電鉄株式会社の販売店舗にて、平成13年11月1日以前から現在まで販売されていたのである(乙第8号証)。また、この商品の販売の事実は、被請求人提出の売上伝票(乙第9号証の1及び2)から明らかである。すなわち、この売上伝票(写)には「ヤクヨウシャンプーB&P」(加美乃素薬用シャンプー)を宝塚レビューショップにて、本件審判請求予告登録前3年以内に当たる平成12年12月2日及び同13年6月11日に販売していたことが示されている。したがって、同第2号証の容器及び包装箱でこの商品が販売され、本件商標が使用されたことは明らかである。なお、この商品の容器に使用されているDONは、前項で述べたように登録商標と同一性を有する。

4 なお、請求人は、乙第3号証の総合カタログは、「1998年(平成10年)のものであるからといって、このカタログに表示された商品が、その年の12月まで実際に市場流通していた」ことは証明されず、カタログ最終頁の主要商品リストに『平成10年3月1日現在』の表示があることから、「このカタログの商品に関する情報は、平成10年3月1日、すなわち、本件審判請求の予告登録(平成13年12月5日)前3年以前のものである」と主張している。

しかしながら、被請求人の総合カタログは、代理店、小売店で1年間は保管することとなり、その間に掲載商品の注文があれば販売する体制にある。

第4 当審の判断

1 商標法50条によれば、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品等に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができ、同審判請求があった場合においては、その審判請求に係る指定商品等についてその登録商標の使用をしていないことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにした場合を除き、その請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者等のいずれかがその請求に係る指定商品等のいずれかについての登録商標の使用をしていることを被請求人が証明しない限り、その指定商品等に係る登録商標は取消しを免れないとされている。

2 そこで、本件審判において、被請求人より提出された乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)について検討する。

乙第8号証の「証明願」と題する書面は、その記載からして、阪急電鉄株式会社創遊事業本部の担当部長が特許庁に提出すべく原告の依頼を受けて平成14年8月23日付けで作成したものであり、乙第9号証の1及び2は、売上伝票の写しであるところ、被請求人は、その製造に係る「加美之素/薬用シャンプーB&P」という名称のシャンプー(商品コード4987046870025。指定商品中の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」に属する商品)を平成12年(西暦2000年)12月22日ころ及び平成13年(西暦2001年)6月11日ころ、阪急電鉄株式会社の「創遊営業部 宝塚営業課/パラダイス レビューショップ」に販売・納入しており、同商品を平成13年11月1日以前から少なくとも平成14年8月ころまで継続して、阪急電鉄株式会社の上記営業部に販売納入していたこと、そのシャンプーの包装容器の表面下部には「医薬部外品」の横に本件商標の構成中の「DON」の標章が表示されていたことが認められる。

3 次に、本件商標の構成部分である「DON」の使用が社会通念上本件商標の使用と同一視できるか否かについて検討する。

(1)本件商標は、「DON」の欧文字と「ドン」の片仮名文字とを2段に横書きしてなるものであるが、その構成のうち欧文字の「DON」の語は、英語読みで「ドン」と発音するとされているところ(旺文社「英和中辞典 普及版」1986年重版発行。)、現在の我が国における外国語使用の実情にかんがみれば、商標が欧文字等外国語で表示されている場合、その外国語は通常英語風の発音により称呼されるものと認められるから、「DON」の語も一般には「ドン」と発音されるのが自然であると考えられる。そして、「DON」を英語風に発音した「ドン」の語はスペイン語に由来する外来語として我が国に定着しており、広辞苑第5版(1998年11月第5版第1刷発行。)では、(a)スペインなどの男子に対する敬称、(b)首領、ボスの意味を有するものとされ、「外国からきた新語辞典[第6版]」(1989年4月第6版第1刷発行。)では、首領、親分、大人物を意味するものとされ、「昭文最新外来語辞典」(昭和57年5月第8刷発行。)では、スペインなどで使われる尊称、首領の意味を有するものとされている。

上記認定事実によれば、我が国においては「DON」の語は、一般の取引者及び需要者には、「ドン」と称呼され、また、「スペインなどの男子に対する敬称」、「首領、ボス」といった観念を生じさせるものと認めるのが相当である。そして、本件商標は、「DON」の欧文字が一般的に上記のとおりの称呼、観念を生ずるものであることを前提に、「DON」の語の下段にその一般的な称呼である「ドン」の文字を付加したものと認めるのが相当である。

請求人は、「DON」の語は、「ディー・オー・エヌ」の称呼も生ずる旨主張するところ、我が国では複数の語を連ねてなる外来語等の複合語については、これを構成する各語の頭文字(欧文字)を並べてこれを当該複合語の略称とすることがよく行われ、その意味において、「DON」の語について、これを複合語の略称であるととらえて、「ディー・オー・エヌ」と称呼する取引者及び需要者が存在する可能性を否定することはできない。しかしながら、我が国において、「DON」の語が何らかの複合語の略称であるとする記載は公知の一般辞書類には見出せないのであって、取引者及び需要者の中に、「DON」の語を上記の複合語の略称としてとらえ、これを「ディー・オー・エヌ」と称呼する者がいるとしても、それは例外に属すると認めるのが相当である。

(2)上記説示から明らかなとおり、「DON」の欧文字と「ドン」の片仮名文字とを2段に横書きしてなる本件商標とその構成部分である「DON」とは、称呼、観念を同じくするものであり、外観も類似していると認められるから、社会通念上、「DON」の語の使用は、本件商標の使用と同一視できるものと認めるのが相当である。

4 以上によれば、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標をその指定商品である商標法施行令1条別表第4類の「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」に属する「シャンプー」に使用していたことを証明したものというべきである。

したがって、本件商標の指定商品中、請求に係る指定商品「せっけん類(薬剤に属するものを除く)」についての登録は、商標法50条の規定により取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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