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Trademark Appeal Case

要部抽出と称呼観念類否

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90508(T2003−90508/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4675601号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

1 本件登録

本件登録第4675601号商標(以下「本件商標」という。)は、「ゆず蔵のゆずコショウ」(「ゆず蔵の」の文字は、「ゆずコショウ」の文字に比べて小さく表されている)の文字を書してなり、平成14年6月11日に登録出願され、第30類「ゆずコショウ」を指定商品として、同15年5月23日に設定登録されたものである。

2 引用商標

登録異議申立人が、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであるとして、引用する登録第4222313号商標(以下「引用商標」という。)は、「ゆずの蔵」の文字を横書きしてなり、平成9年3月24日に登録出願され、第30「香辛料」を含む商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同10年12月18日に設定登録されたものである。

3 本件商標に対する取消通知

当審において、商標権者に対し平成16年1月16日付で通知した本件商標の取消理由は、次のとおりである。

本件商標と引用商標の構成は前記ないし後掲のとおりである。そこで、両商標の類否についてみるに、本件商標「ゆず蔵のゆずコショウ」中の「の」の文字は、所有・所属・同格・属性等を表す格助詞であり、また、「ゆずコショウ」の文字部分は、その指定商品を表示したものと理解されるものであるから、本件商標において、自他商品の識別標識としての機能を果たすのは「ゆず蔵」の文字部分にあるということができる。

他方、引用商標は、前記したとおり、「ゆずの蔵」の文字からなるものであって、その構成中の「の」の文字は、上記と同様、格助詞を表したと認められるものである。

そうすると、本件商標と引用商標とは、「ゆず」と「蔵」の文字を主たる構成要素とし、格助詞「の」の有無に拘わらず、いずれも「ゆずを貯蔵するための蔵(倉庫)」の如き意味合い(観念)を共通にするものであり、また、それぞれから生ずる「ユズグラ」の称呼と「ユズノクラ」の称呼にしても、観念の共通性とも相俟って、彼此相紛らわしく、聴者をして、混同を生じさせるおそれがあるものというべきである。

してみれば、本件商標と引用商標とは、その観念及び称呼において、互いに相紛らわしい類似の商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品中に包含されているものである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものであるといわなければならない。

本件商標

引用商標

4 商標権者の意見

前記取消理由に対して、商標権者は、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではない旨、その意見を要旨次のとおり述べている。

(1)本件商標は、「ゆずコショウ」の文字を、「ゆず蔵の」の文字に比べて大きく表示しているのは、本件商標が示す商品は「ゆずコショウ」であることを消費者に強く印象づけるためである。そして、この「ゆずコショウ」は「ゆず蔵」(商標権者の屋号)で製造されたことを示すために「ゆず蔵の」なる文字を「ゆずコショウ」の前に持ってきて、「ゆず蔵のゆずコショウ」なる商標として出願し、登録されたものである。

これを別の表現で述べれば、「ゆずコショウ」なる商品の出所を明らかにするために、「ゆず蔵のゆずコショウ」なる商標としたものである。

(2)本件商標の「ゆず蔵のゆずコショウ」の、「ゆずコショウ」なる商品の製造元を示す「ゆず蔵」は、商標権者の父がゆずの粉末とこしょうの粉末とを混練して、堺市香ケ丘二丁目にて、昭和40年3月頃より「ゆず蔵のゆずこしょう」として売り出して今日に至ったものである。

本件商標では、「ゆずコショウ」のうち「コショウ」を片仮名で表示しているが、全部が平仮名のみよりも消費者に印象が大きいと考えたからである。したがって、本件商標のように、「ゆず蔵」なる屋号と相俟って、「ゆず蔵のゆずコショウ」なる商標とすることで、商品の出所を明らかにしたものである。

(3)「ゆず蔵」なる屋号は、昭和40年3月頃より「ゆず蔵のゆずこしょぅ」として売り出すときから使用しているものであり、引用商標が登録出願された平成9年3月24日よりも約30年以上前から使用され、今日に至っている。

(4)前記(2)でも述べているように、「ゆずコショウ」なる文字は、平仮名と片仮名で表示されている点に注目してもらいたい。このような表現は「ゆず蔵の」なる商品の出所を示す文字と一体となって自他商品の識別標識としての機能を現状においても十分に果たしている。

(5)本件商標の一部の「ゆず蔵」は「ゆずコショウ」がどこで製造されたかを示すための固有名詞であり、そのための屋号である。そのために「ゆず蔵」の後に 「の」を入れて、「ゆず蔵の」としている。このような表現は日本語として普通に用いられている。例えば、「銀座の三越」とか「三越の洋服」とか「虎屋の羊羹」というように用いられている。

これを「ゆず」と「蔵」とに別けることは、あたかも「日本海」と「日本の海」を対比比較する時、「の」の文字は、所有・所属・同格・属性等を表す格助詞であるからとして、「日本」と「海」とに別けて対比検討するようなものである。このような見地に立つと、「日本海の魚」と「日本の海の魚」とが区別できないことになってしまうので、両者を対比比較することは無意味と言わねばならない。このような例としてもう一つあげると、「銀の座」と「銀座」とを比較する時、「銀座」を「銀」と「座」とに別け格助詞「の」の有無に拘わらず、いずれも「銀の席」の如き意味合い(概念)を共通にするものである、と解されるということと同意義であり、対比比較することの意味をなさない。これらは、そもそも固有名詞をさらに別けて比較することに問題がある。特に屋号や地名などの固有名詞は、それを別けて比較するのではなく、全体としてそのまま比較すべきものであると思料する。

(6)以上述べたように、本件商標の「ゆず蔵のゆずコショウ」と引用商標の「ゆずの蔵」を比較すると、本件商標の「ゆず蔵のゆずコショウ」は十分に引用商標の「ゆずの蔵」とは商品の出所が明らかに識別できるものと思料する。なお、平仮名の「ゆず」と片仮名の「コショウ」が一体となっている商品は、市場では見掛けないことを付言する。

5 当審の判断

本件商標についてした先の取消理由は妥当なものであって、本件商標と引用商標とは、「ゆずを貯蔵するための蔵(倉庫)」の如き意味合い、及び前者から「ユズグラ」、後者から「ユズノクラ」の称呼を生ずるものであり、その観念及び称呼において互いに相紛らわしく、同一又は類似の商品に使用する場合、その出所について混同を生ずるおそれのある類似の商標といわなければならない。

(1)「ゆずコショウ」について、

商標権者は、意見書において、「ゆずコショウ」なる文字は、平仮名と片仮名で表示されている点に注目してもらいたい。また、平仮名の「ゆず」と片仮名の「コショウ」が一体となっている商品は、市場では見掛けない旨述べている。

しかしながら、本件商標構成中の「ゆずコショウ」の文字自体からは、香辛料との関係からみれば、これに接する主婦層をはじめ一般需要者は「柚(ゆず)」と「胡椒(こしょう)」を主材料とする商品であると容易に認識するものであって、これ以上に表示方法が特異なものとして印象づけられるものともいい難いところであり、かつ「ゆずコショウ」の文字が日刊紙等の報道において、例えば、「[キハチ流幸せの食卓]小グジの原始揚げぴり辛...=熊谷喜八(日曜くらぶ)」(1999.01.17 毎日新聞 東京朝刊)の見出しの下、「・・・鴨(かも)の網焼きゆずコショウ添えなど、・・・」の掲載、「山あいに息づくコイ料理専門店 佐賀の小京都・小城」(1999.07.30 朝日新聞 西部夕刊)の見出しの下、「【写真説明】で・・・店特製の酢みそにゆずコショウをたっぷりに入れるのが『定番』という・・・」の掲載、「業務用『CookDoカリー醤用』発売(味の素)」(2001.08.06 日本食糧新聞)の見出しの下、「・・・〈ゆずこしょう使用〉は、全卵マヨネーズをベースにゆずコショウ、ハーブニンニク、からしなどをブレンドした、新しいスタイルの和風ダレ。1リットルボトル入り、オープン価格。・・・」の掲載、「全国県人会まつり2002 35道県、お国自慢が大集合 名古屋・栄で=特集」(2002.09.12 読売新聞 中部朝刊)の見出しの下、「・・・佐賀 特産の丸ボーロ、ゆずコショウ、ようかんなどを佐賀弁で販売。・・・」の掲載、「特産品などで佐賀自慢 名古屋で全国県人会まつり=佐賀」(2002.09.15読売新聞 西部朝刊)の見出しの下、「・・・中京佐賀県人会(会員七百五十人)は、特産のゆずコショウ、ようかんなどを、お国言葉で販売し・・・」の掲載、及び「[山際千津枝の今晩のおかず]もう一品 疲れた日の鍋物」(2004.01.28 読売新聞 西部夕刊)の見出しの下、「・・・ゆずコショウを入れると食が進んで困るくらいたくさんいただける。・・・」の掲載等、或いはインターネット上のホームページ情報において、レシピの紹介に材料の一として「ゆずコショウ」の記載のほか、例えば、「特産品・お土産情報 九州・沖縄」(http://www.yadovice.jp/html/miyage/kyushu.html)を表題として、「□大分のお土産リスト中に ●ゆずコショウ 大分の名産物。風味は格別。鍋物やラーメンなどに。」の記載、「くじまふれあい市 〜新鮮・良品、安値でふれあい、対話を〜」(http://www.chushi.maff.go.jp/iti/hirosima/saiki/saiki.htm)を表題として、「●主な産品と価格 ・・・ゆずコショウ(100円/70g)・・・」の記載、及び「高知県 特産品 販売 ...」(http://www.5-3.co.jp/daicho/ko.htm)を表題として、「高知県特産品販売(株)にかかる商品として『高知特販 土佐の香味 ゆずコショウ』」の記載等がある。

そうしてみると、本件商標構成中の平仮名と片仮名による「ゆずコショウ」の表示自体が格別に商標権者のみによる特異な表示方法といえるものでないばかりか、香辛料の一を表すものとして普通に使用されているものであるから、本件商標を指定商品「ゆずコショウ」に使用する場合、その構成にあって自他商品の識別標識としての機能を果たすのは「ゆず蔵」の文字部分にあるとしたその認定・判断に誤りはない。

(2)「ゆず蔵」について、

商標権者は、意見書において、「ゆず蔵」なる屋号は、昭和40年3月頃より「ゆず蔵のゆずこしょう」として売り出すときから使用しているものであり、「ゆず蔵」は「ゆずコショウ」がどこで製造されたかを示すための固有名詞であり、そのための屋号であるとし、また、これと引用商標「ゆずの蔵」とを対比比較することは、「日本海(の魚)」と「日本の海(の魚)」及び「銀の座」と「銀座」とを対比検討するようなものである旨述べている。

しかしながら、「ゆず蔵」ないしはこれと大きく書した「ゆずコショウ」の文字とを一連にした上記構成の「ゆず蔵のゆずコショウ」なる商標が、たとい、引用商標の登録出願より約30年以上前から使用されているものであるとしても、商標権者の屋号ないしはその取扱いにかかる香辛料として、この種需要者間に認識されているとの点は不明というほかなく、その証左も見出せない。また、本件商標構成中「ゆず蔵」の文字、及び引用商標の「ゆずの蔵」の文字が、それぞれ既成語ないしは固有名詞として知られ、理解されているとの事由もない。

そうすると、本件商標に接する需要者等は、「ゆず蔵」の文字部分を自他商品の識別標識として認識し、その構成要素である「ゆず」と「蔵」の文字を把握し、それより生ずる観念(ゆずを貯蔵するための蔵)と「ユズグラ」の称呼をもって取引に資する場合が決して少なくないものといわなければならない。

この点を商標権者は、「日本海(の魚)」と「日本の海(の魚)」等を例に挙げて両者を対比比較することは無意味と言わねばならないと述べているが、本件商標構成中「ゆず蔵」の文字自体は、上述のとおり、屋号や地名などの固有名詞として認識されているものといえない以上、商標権者の主張は採用できない。

(3)結語

以上のとおり、商標権者の述べる意見はいずれも採用し得るものでなく、その他、商標権者が述べる製造元を示す「ゆず蔵」(商標権者の屋号)の採択の経緯ほか、「ゆずコショウ」の文字を「ゆず蔵の」の文字に比べて大きく表示しているのは、本件商標が示す商品は「ゆずコショウ」であることを消費者に強く印象づけるためである旨述べるところの意見は、いずれも商標権者の内心的事情というほかなく、こをもって両者間において商品の出所の混同を生ずるおそれのない事由ともいい難い。その他に前記認定を覆すに足りる事由及び証左は見出せない。

したがって、本件商標は、商標法第43条の3第2項の規定により、その登録は取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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