Trademark Appeal Case
ダイバージョナルセラピーの普通名称性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90240(T2003−90240/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4640618号商標(以下「本件商標」という。)は、「ダイバージョナル セラピー」の片仮名文字と「DIVERSIONAL THERAPY」の欧文字を上下二段に横書きしてなり、平成14年1月29日に登録出願、第35類「医業又は介護事業に関する経営の診断及び指導,家政婦のあっせん,看護婦のあっせん,介護人のあっせん」、第41類「介護方法に関する知識の教授,在宅・老人介護に関するセミナーの企画・運営又は開催」、第43類「高齢者・老人・在宅療養者に対する養護・介護,介護に関するコンサルティング」及び第44類「医学的治療を要する在宅療養者に対する看護・介護及び医療相談」を指定役務として、平成15年1月31日に設定登録されたものである。
なお、「学校法人 アイジイエル学園」から「特定非営利活動法人 日本ダイバージョナルセラピー協会」への商標権の移転登録は、平成16年2月12日にされた。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下、「申立人」という。)は、本件商標は商標法第3条第1項第1号ないし第3号、同法第4条第1項第10号及び同第19号に該当するとして、甲第1号証ないし甲第9号証を提出し、その登録は取り消されるべきである旨登録異議の申立ての理由を述べている。
3 本件商標に対する取消理由
本件登録異議の申立てがあった結果、本件商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものとして商標権者に対して通知した取消理由は、次のとおりである。
<取消理由>
本件商標は、「ダイバージョナル セラピー」の片仮名文字と「DIVERSIONAL THERAPY」の欧文字よりなるものであるところ、申立人の提出に係る新聞、雑誌(甲第1号証ないし甲第6号証)によれば、「ダイバージョナルセラピー(DIVERSIONAL THERAPY)」の文字(語)は、豪州で行われている「レクレーションや創作活動など楽しむことを生活もしくは介護の中に取り入れながら高齢者や痴呆症、精神的ケアを必要とする人々の自立、活性のために生かしていく心理的(精神的)ケアー」の手法として使用されている用語であることが認められる。
さらに、我が国においては、この「ダイバージョナルセラピー(DIVERSIONAL THERAPY)」の文字(語)が「気晴らし療法」と訳され普通一般に使用され、前記した療法を実際に取り入れ行っていることが認められる。
してみれば、本件商標は、「ダイバージョナル セラピー」、「DIVERSIONAL THERAPY」の文字よりなるものであって、本件商標をその指定役務中「介護に関する役務」に使用するときは、取引者、需要者をして、該役務が「気晴らし療法取り入れた介護(気晴らし療法介護)」を認識、理解するに止まるものというのが相当である。
そうすると、本件商標をその指定役務中、上記の気晴らし療法に関する役務に使用するときは、該役務の質(内容、方法等)を表示するにすぎないものといわなければならない。また、本件商標を前記以外の役務に使用するときは、該役務が「気晴らし療法を取り入れた介護(気晴らし療法介護)」であるかの如く、役務の質の誤認を生ずるおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反して登録されたものと認める。
4 商標権者の意見
上記3の取消理由に対し、商標権者は要旨次のように意見を述べて、参考資料1ないし参考資料9を提出した。
(1)本件商標は、日本ダイバージョナルセラピー協会(東京)の永見憲吾代表者理事が1994年にオーストラリアに行き、同国の公共機関と協力して「ダイバージョナルセラピー」という標章を作ったのであり、日本ダイバージョナルセラピー協会(大阪)の芹蓮隆子専務理事は、永見憲吾代表者理事の作った標章「ダイバージョナルセラピー」を勝手に流用したものである(参考資料2:「DT」(「DS」は誤記と認め訂正した。)はダイバージョナルセラピーの短縮形である。)。
(2)フランス語の初学者の知っている(参考資料3)、形容詞「最良の」を意味する「TRESBIEN/トレビアン」、色彩「赤い」を意味する「ROUGE/ルージュ」、色彩「白い」を意味する「BLANC/ブラン」及び色彩「黄色い」を意味する「JAUNE/ジューヌ」が登録されている(参考資料4ないし参考資料9)。
「DIVERSIONAL THERAPY/ダイバージョナルセラピー」(「DIVERSLONAL THERAPY」は誤記と認め訂正した。)は、どの英和辞典や国語辞典、現代用語辞典にも掲載されておらず、参考資料3ないし同9に照らしてみても、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号により拒絶されるべきではないと考える。
5 当審の判断
本件商標についてした取消理由の通知(上記3)は妥当であって、本件商標の登録は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に違反してされたものといわざるを得ない。
商標権者の述べる意見は、以下に述べる理由により、いずれも採用の限りでなく、先の認定を覆すことはできない。
(1)商標権者は、オーストラリア国の公共機関と協力して「ダイバージョナルセラピー」という標章を作ったのであり、日本ダイバージョナルセラピー協会(大阪)の芹蓮隆子専務理事は、これを勝手に流用したものである旨述べている。
しかしながら、永見憲吾代表者理事が「ダイバージョナルセラピー」という標章を作ったとする点は、参考資料2(陳述書)に添付の乙各号証、及びその外、商標権者の提出に係るいずれの書証からも、これを見出すことはできない。
むしろ、参考資料1の内閣総理大臣に宛てた「設立認証申請書」の「この法人は、高齢者・障害者・痴呆症など精神的ケアを必要とする本人や家族に対して、ダイバージョナルセラピー(DT:気晴らしやレジャーの活動、各人のニーズに応えた経験)を提供するための・・・」とする目的への記載、「設立趣旨書」の「・・・そのことを具体的に実践しているのがオーストラリアのDT(ダイバージョナルセラピー:気晴らし療法)・・・」の記載、及び参考資料2の乙第7号証とするIGLグループ特集ページには「・・・私にとっての今回の研修の目的は、DT(ダイバージョナルセラピー)についてより深く学ぶという事でした。DT(ダイバージョナルセラピー)は日本語で「気晴らし療法」と訳します・・・」等の各記載内容からして、取消理由で述べた「ダイバージョナルセラピー(DIVERSIONAL THERAPY)」の文字(語)が「気晴らし療法」と訳され普通一般に使用されていることが認められるとの点が裏付けられるというべきである。
そうである以上、これら療法或いは介護手法を紹介或いはこれに関する役務をする場合において「ダイバージョナルセラピー」の文字(語)を使用することは当然であって、勝手に流用したものであるということはできない。
したがって、この点を述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用することができない。
(2)商標権者は、「TRESBIEN/トレビアン」、「ROUGE/ルージュ」等が登録されていること、「DIVERSIONAL THERAPY/ダイバージョナルセラピー」はどの英和辞典や国語辞典、現代用語辞典にも掲載されていない旨述べ、これに照らしてみても、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号により拒絶されるべきではないと考えると主張する。
しかしながら、たとい、現在「DIVERSIONAL THERAPY/ダイバージョナルセラピー」という語が英和辞典や国語辞典等に掲載がないとしても、前述のとおり「ダイバージョナルセラピー(DIVERSIONAL THERAPY)」の文字(語)は、「レクレーションや創作活動など楽しむことを生活もしくは介護の中に取り入れながら高齢者や痴呆症、精神的ケアを必要とする人々の自立、活性のために生かしていく心理的(精神的)ケアー」を内容とするこの種の療法或いは介護手法を指称するものとして使用されている実情よりすれば、かかる表示は将来とも一定の療法或いは介護手法に関する役務を取引過程に置く場合において、当業者であれば何人もその使用をする必要性が生じ得るものであり、また、そうとすれば、何人もその使用を欲するものとみるのが相当であるから、かかるものを特定の一私人に商標登録しその独占的使用に委ねることは、商標本来の機能・役割(自他商品の識別標識)と商標使用者の業務上の信用の維持・保護を目途とする法目的(商標法第1条)に照らし、妥当性を欠くものといわなければならない。
したがって、この点を述べる商標権者の主張は妥当でなく、採用することができない。
(3)結語
以上のとおり、商標権者の述べる意見はいずれも是認し得るものでなく、本件商標の登録は前記法条の規定に違反してされたものといわざるを得ないから、その登録は商標法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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