Trademark Appeal Case
機能表示の識別性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−17055(T2001−17055/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「加速シャフト」の文字(標準文字による)を書してなり、第28類「ゴルフクラブ,ゴルフクラブ用シャフト」を指定商品として、平成12年6月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、速度を増すことの意味を有する『加速』の文字と、ゴルフクラブ等の柄の部分を意味する『シャフト』の文字とを一連に『加速シャフト』と標準文字で書してなるものであるところ、ゴルフ用具の分野にあっては、ゴルフクラブのシャフト部分に超弾性素材を複合し、インパクト直前にヘッドにスピードがかかる機能を称して『加速』としている事実がある。このことより、これを本願指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は『クラブヘッドに加速がかかることにより、威力あるボールを打つことができ、ボールの飛距離がのびるゴルフクラブ』程度の意味を認識するにとどまり、単に商品の品質、機能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審において通知した審尋
平成15年11月4日付けの審尋書をもって、「本願商標は、『速度を増すこと』を意味する『加速』と『ゴルフクラブ等の柄の部分』を意味する『シャフト』の2語を結合してなるものであること明らかであるところ、本願商標の識別性に関して職権で証拠調べを行った結果、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、新聞記事及びインターネットのホームページにおいて『加速』の語と『シャフト』の語が広く使用されている事実を発見した。そうすると、本願商標の全体からは、『速度を増すシャフト』の如き意味合いを容易に看取し得るとみるのが相当であり、これをその指定商品に使用した場合、商品の品質等を表示するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと認められる。」旨の審尋を通知した。
4 請求人の回答
本願商標は前述のように「加速シャフト」と一連に表記されたものである。本願商標の如く「加速」と「シャフト」とを一体不可分に結合した表記態様の語は、例として挙げられた記事及びインターネットのホームページを含め、本願指定商品を含むゴルフ用具業界における取引者・需要者において用いられている事実は存在しない。また、「加速シャフト」がゴルフ用具の品質の表示として使用された事実もない。
本願商標に接する需要者・取引者は仮に本願商標が「速度を増すシャフト」との意味合いを生じたとしても、それが具体的にはどのようなシャフトであるのかを認識することは困難であり、本願商標には特異性及び自他商品の識別力を有しており、直接的に品質を表示するものではない。
したがって、本願商標は出願人が本願指定商品に使用するために創作した造語であり、直接的に指定商品の品質等を表示するものではなく、指定商品に関して自他商品の識別標識としての機能を十分に果たしうると思料する。
5 当審の判断
本願商標は、前記に示すとおり、「加速シャフト」の文字を書してなるところ、これを構成する前半の「加速」の文字部分は、「速度を増すこと」を意味し(株式会社岩波書店発行「広辞苑 第五版」)、また、後半の「シャフト」の文字部分は、その指定商品との関係からすると「ゴルフのクラブの柄の部分」等を意味するものとして親しまれている外来語であるから、これらの文字を結合させた本願商標の全体からは「速度を増すシャフト」の如き意味合いを容易に看取し得るものと認められる。
そして、「加速」の文字が「ゴルフクラブのヘッドスピードを高めるためにシャフトのしなりを用いて高められた構造」を表す語として取引上普通に使用されている実情としては、例えば、以下のような新聞記事がある。
(1)「シャフトがしなってヘッドスピードが加速するといい、ヘッドスピードが落ちた中高年に最適という。」(新素材ドライバー競演 2001.4.5 日本経済新聞朝刊 29頁)。
(2)「ミズノの『300s2380』は、ヘッドスピードを加速する独自のカーボン(炭素繊維)製シャフトを採用したのが特徴だ。」(「生活型録」ゴルフのドライバー 工夫重ね「より遠く」 航空・宇宙の素材活用 2003.1.21 読売新聞大阪夕刊 8頁)
(3)「振りやすさを追求したカーボンシャフトを装着し、シャフト中央部を重くした設計で、ヘッドスピードを加速させる。」(「ゴルフランド」でました!新製品 新開発シャフトのドライバー 2002.9.4 毎日新聞大阪夕刊 2頁)
(4)「弾力性のあるシャフトを装着してヘッドスピードが秒速40メートル以下の人でもスピードが加速され、飛距離が驚くほど伸びるという。」(「スポーツ新商品」インターネット販売クラブ 2000.11.30 共同通信)。
また、ゴルフクラブを取り扱う業界においては、そのシャフトに様々な素材、構造を用いて飛距離等を向上させることは普通におこなわれている実情にある。
以上よりすれば、本願商標をその指定商品に使用した場合、前記実情からしても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「速度を増すシャフト」であると認識し、商品の品質を表示したものと理解するにとどまるものであるから、本願商標は、結局、商品の品質を表示したものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものというのが相当である。
したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことができない。
なお、請求人は、登録例等を挙げて述べるところがあるが、それらは、本願と事案を異にし、採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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