結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30213(T2003−30213/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第794404号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和42年5月11日に登録出願され、「モンテローザー」の片仮名文字を横書きしてなり、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同43年10月3日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1.請求の理由
本件商標の使用の実態を調査したところ、被請求人である商標権者若しくは使用権者によって、その登録に係るすべての指定商品「菓子,パン」についての使用の事実が認められないので、商標法第50条第1項の規定により、その登録は取消されるべきである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、乙第2号証を提出し、本件商標権に対して、通常使用権を許諾した旨を主張しているが、この証拠は、当事者間で作成した書面にすぎず、この事実を立証するための客観的な証拠がないので、使用権者と称するAを本件商標権の正当な通常使用権者とは到底認められない。特に、許諾の日付について客観的な証明がない以上、乙第2号証の日付をそのまま容認することは認められない。
確かに、A自身は、個人で乙第2号証に示される場所で「MONTE−ROSA」の屋号の下に、洋菓子を専門とする主にレストラン風のサービス業を行っていることは認められるが、被請求人の株式会社モンブランは、請求人の調査によって得られた情報(甲第3号証)によれば、営業の実態は既に平成14年3月に存在せず、商号が「株式会社モンブラン」であることもあり、過去に製造した商品「菓子,パン」について、本件商標「モンテローザー」を使用していたことは到底認められない。況や、権利者にとって、その当時は、企業存亡の時期であり、通常使用権を無償で許諾することも、営業上常識では到底考えられない。
(2)通常使用権者と称するAについて、その証拠を考察するに、乙第3号証の納品書及び乙第7号証の包装紙には、「TANABE・SHINMANSHOP PHONE.25−0021」「TANABE・HIGHWAYSHOP PHONE.22−2992」の電話表示があり、また、乙第4号証の領収証及び乙第8号証の包装紙には、「あけぼの店 PHONE.25−0021」「かしま台店 PHONE.22−2992」の電話表示があり、恰も支店とか出店があるように見受けられるが、請求人の調査したところ、「あけぼの店」に相当する場所は、既に平成13年6月15日に、他人に売却されており、現在ではバイクショップが営業しているので、明らかに虚偽の表示がなされていると共に、さらに、Aは、商号「モンテローザ」について、和歌山地方法務局田辺支局への商号登記もなされていない事実が判明しており、登録商標の通常使用権者として最小限遵守されてしかるべき法的手続きを行っていないことも明らかである。
また、商標権者の先代の社長であるBとAとの関係は、客観的な証拠もないので、単なる主張にすぎず、両者間において、本件商標権についての具体的な使用許諾の事実はなかったものと認められる。
また、Aが洋菓子の製造業務を行う上に必要な田辺保健所の製造許可証及びその日付を調査したところによれば、「製造許可」は、平成13年2月22日(平成13年2月21日は誤り、以下同じ)(甲第5号証)であり、それ以前の製造許可は、既に売却した「あけぼの店」が、昭和56年10月2日に得たのみであり、明らかに昭和48年以来30年にわたって本件商標を使用できた事実はなく、したがって、このような商標使用許諾の事実は、先代の死後の現社長であるCが本件審判請求書の受領により、使用事実を立証しなければならないために、慌てて対価を「無償」として作成したものといわざるを得ない。
更にまた、通常使用権者と称するAは、商号としては「MONTE−ROSA」または「モンテローザ」を使用しているが、「菓子,パン」の商品に対して「MONTE−ROSA」または「モンテローザ」の商標を使用した商品は、答弁書の乙各号証を見ても見出せず、店内での飲食を目的としたサービスに対して専ら使用しているものとしか認められない。
この点については、請求人側の調査でも現実に現地に赴いて確認しているところである。
いずれにしろ、答弁書で述べている先代、BとAとの本件登録商標に係る使用許諾の事実関係は、商標登録原簿に記載のないことから推しても、また許諾の使用時期と製造時期との明白な齟齬から考慮しても、到底認められるものではない。
(3)被請求人は、平成12年まで本件商標を使用してきたと証拠提示のない主張をしているが、所謂ケーキなどの洋菓子の製造販売については、平成14年5月1日より営業を停止し、権利者の移転した住所には、会社の実体はなく、建物は書店「ミスターブックマン」(甲第6号証)となっており、CD、ゲーム、書籍のリサイクルショップとその駐車場があるだけで、どこを探しても本件商標権者の株式会社モンブランの標識すら見当たらず、事実上、法人組織は休眠状態であることは明らかである。そのことは、本件商標権者の法人登記簿謄本(履歴事項全部証明書 甲第7号証)においても、役員に関する事項において、取締役の任期が2年であるにも拘らず、平成13年を最後に変更登記がなされていないし、監査役の任期も3年であるにも拘らず平成11年2月を最後に変更登記がされていないことから判断しても明白である。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第15号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、その登録時点から平成12年まで、商標権者が使用するとともに、同時に商標権者の先代社長Bが昭和48年から弟子のA(通常使用権者)に商標の使用許諾を行った。以来、Aは、30年にわたって、和歌山県田辺市神島台1番地21号の現在地において、「MONTE一ROSA」または「モンテローザ」として洋菓子に使用してきたものである(乙第3号証ないし乙第15号証)。
乙第2号証は、先代社長Bが死亡し、現在の社長Cになってから、通常使用権者から文書による許諾を求められたので、平成14年3月1日付で通常使用権契約を交わしたものである。
乙第3号証の納品書綴りは、3枚綴り(納品書控、請求書、納品書)のノンカーボン複写にそれぞれ「MONTE−ROSA」の文字を入れて使用している。元号が「昭和」となっているが、操業した昭和48年以来、昭和の時代に作成した納品書がいずれも「昭和」の元号を入れて印刷し、大量に余っていたので、平成の現在も使用しているにすぎない。このことは、個人営業においてはよくあることであり社会通念上許容されている場合が多い。通常使用権者は、このことに懲りて、領収証(乙第4号証)には元号を入れずに印刷している。
上記のことは、毎月、洋菓子を納品している「老人保健施設あきつの」において容易に立証されることである。
なお、本件商標は「モンテローザー」であり、使用しているのは「MONTE−ROSA」又は「モンテローザ」であるが、商標法第50条第1項括弧書きの規定からすれば、全く使用商標に商標上の問題はない。
以上、本件商標は、通常使用権者において継続して3年以上日本国内において指定商品に使用されているので、本件審判請求は成り立たない。
1.被請求人が提出した乙各号証をみるに、乙第2号証は、平成14年3月1日付で株式会社モンブランとAとの間において交わされた本件商標に係る商標権についての通常使用権許諾に関する契約書であり、地域を「和歌山県」、期間を「権利消滅まで」、内容を「菓子、パン」とし、対価を「無償」とするものである。
乙第3号証は、納品書綴りであり、家の図形と「MONTEーROSA」の欧文字及びその下部に店名と電話番号が表示されているものであって、乙第3号証の1は、14年5月29日付(冒頭に昭和の文字が印刷されているが抹消されている。以下同様)で、「あきつの」に「シュークリーム」を納品した際の納品書(控)と認められるものであり、以下、同号証の2は14年5月30日付、同号証の3は14年5月31日付、同号証の4は14年6月26日付、同号証の5は14年8月30日付、同号証の6は14年9月30日付、同号証の7は14年10月29日付、同号証の8は14年11月27日付、同号証の10は14年12月19日付、同号証の11は14年12月24日付、同号証の12は15年1月26日付、同号証の14は15年2月20日付、同号証の15は15年3月28日付、同号証の16は15年4月28日付の納品書(控)であり、いずれも「あきつの」に洋菓子を納品した際の納品書(控)と認められるものである。また、同号証の9は14年12月10日付、同号証の13は15年2月5日付で、いずれも「浅井」に洋菓子を納品した際の納品書(控)と認められるものである。
乙第4号証は、未使用状態の領収証であり、家の図形と「MONTEーROSA」の欧文字及びその下部に店名と電話番号が表示されている。
乙第5号証は、未使用状態の販売時責任シール(洋菓子販売時に商品期限を示すため化粧箱や包装紙に貼付するシール)であり、該シールには、注意書、洋菓子専門店/モンテローザの文字、責任者Aの氏名が表示されており、販売日付を刻印するための空間が設けられている。
乙第6号証は、ショートケーキを販売する際に入れる化粧箱であり、側面に金色で家の図形と「MONTE−ROSA」の欧文字と「田辺市神島台1−21」の住所及び電話番号が表示されている。
乙第7号証及び乙第8号証は、青色印刷の包装紙であり、白色をもって、家の図形、「MONTEーROSA」の欧文字、店名及び電話番号が表示されている。
乙第13号証はAの店舗において、洋菓子の製造販売の際に使用されている通箱と認められるものであり、通箱の側面には、大きく「モンテローザ」の文字が表示されている。
乙第15号証は、上記化粧箱に納められている洋菓子及び上記包装紙をもって洋菓子が包装された状態を示す写真である。
2.上記で認定した各証拠によれば、乙第4号証ないし乙第8号証、乙第13号証及び乙第15号証は、いずれも、本件商標が現実に使用された事実を示す証拠ではないが、これらの各証拠と乙第2号証及び乙第3号証を総合してみれば、被請求人の通常使用権者と認められるAは、本件審判の請求の登録日(平成15年3月19日)前3年以内である平成14年5月29日から平成15年4月28日にかけて、「あきつの」(被請求人の主張によれば、和歌山県田辺市上秋津字藤谷2310の9「老人保健施設あきつの」の略称である。)及び「浅井」に本件商標と社会通念上同一と認められる「MONTEーROSA」の商標を使用して洋菓子の販売をしていたものというのが相当である。
3.この点について、請求人は、以下の点について反論している。
(1)被請求人の洋菓子製造販売については、平成14年5月1日より営業を停止しており、事実上、法人組織は休眠状態であった。
確かに、甲第3号証の株式会社帝国データバンクの作成に係る株式会社モンブランに関する平成15年8月22日付の調査報告書によれば、株式会社モンブランは、平成14年5月1日より休業となっている旨報告されている。しかしながら、報告書を仔細にみれば、「昭和36年5月設立の(株)モンブランは洋菓子製造販売および軽食・喫茶の経営を目的として3店舗で運営していたが、平成14年3月和歌山市内の丸正百貨店内テナント店として当社の総売上げの40%内外を計上していたが、丸正百貨店が経営不振となりテナント店を撤退することを前提に協議した結果、引き続いて営業することとなり同月新規に製造機械を購入したが、丸正百貨店は事業を支えきれず14年3月末倒産となった。当社は市況の低迷を考慮し14年4月末日全店休業を決断し、和歌山市西浜の工場兼店舗は1階部分を書店に賃貸し、2階部分の工場は設備を温存しており、今後の景気浮揚を見通し洋菓子の再開を検討中・・・」と記載されている。
そうとすれば、被請求人である株式会社モンブランは、本件審判の予告登録(平成15年3月19日)前3年以内である平成14年3月当時までは、少なくとも、同社の売上げの40%内外を計上していた丸正百貨店内のテナント店において、洋菓子の製造販売及び軽食・喫茶の経営を行っていたものといわなければならず、また、甲第7号証(株式会社モンブランについての履歴事項全部証明書)を併せみても、解散している事実は認められない。
(2)A自身は、洋菓子を専門とするレストラン風のサービス業の商号として「MONTE−ROSA」又は「モンテローザ」を使用していたにすぎず、また、乙各号証には、恰もAの支店があるように見受けられるが、「あけぼの店」に相当する場所は、既に平成13年6月15日に他人に売却されていることからみれば、包装紙等には虚偽の表示がなされているとともに、「モンテローザ」については、商号登記もなされておらず、通常使用権者として最小限遵守されてしかるべき法的手続きを行っていない。
しかしながら、請求人の提出に係る甲第5号証(田辺保健所長からの資料情報提供申出についての回答)によれば、Aに係る店舗の田辺保健所における許可状況は、当初の状態として、モンテローザ・洋菓子店(田辺市あけぼの47−2)の菓子製造業の許可年月日は昭和56年10月2日であり、モンテローザ(田辺市神島台1−21)の飲食店営業の許可年月日は昭和60年4月24日と記載されており、現在の状態としては、モンテローザ(田辺市神島台1−21)の菓子製造業の許可年月日が平成13年2月22日であり、モンテローザ(田辺市神島台1−21)の飲食店営業の許可年月日が平成13年2月22日と記載されている。
そうとすれば、Aは、田辺市神島台1−21在のモンテローザにおいて、飲食店の営業の許可とともに菓子製造業の許可も受けており、この種業界においては、喫茶の提供とともに洋菓子の製造販売を行うことは、しばしば見受けられる業務形態であるから、被請求人の提出に係る乙各号証とも併せみれば、Aの経営に係る上記店舗においても、軽食・喫茶の提供とともに洋菓子の製造販売が行われていたものとみるのが相当である。
また、Aの店舗中の「あけぼの店」に相当する場所が平成13年6月15日に他人に売却されていたとしても、本件審判の予告登録(平成15年3月19日)前3年以内である平成13年当時までは、「あけぼの店」が該地において、営業を行っていたことを否定することにはならず、その後の商取引において、納品書や包装紙等の店名表示中に「あけぼの店」の表示が依然として残っていたこと自体の適否の議論は有り得ても、そのことが本件取消審判における本件商標の使用の事実の有無に直接的な影響を与えるものではない。また、個人商店についての商号登記は任意のものと解されるから、モンテローザが商号登記をしていないことをもって、法的手続きを怠っているものともいえない。
(3)Aの田辺保健所の製造許可は、平成13年2月22日であり、それ以前の製造許可は「あけぼの店」が昭和56年10月2日に得たのみであるから、昭和48年以来30年にわたって本件商標を使用できた事実はなく、したがって、商標使用許諾の事実は、本件審判請求を受けたことにより、急遽作成されたものといわざるを得ず、商標登録原簿への登録の事実もないことから、Aを正当な通常使用権者とは認められない。
しかしながら、乙第2号証(商標権の通常使用権許諾に関する契約書)の契約書には、積極的に疑念を抱かせる不自然なところは見当たらないばかりでなく、通常使用権の許諾自体は、口頭の契約であっても有効なものであり、商標登録原簿への登録が効力発生要件でもないから、この点についての請求人の主張も採用できない。
4.まとめ
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、被請求人の通常使用権者と認められる者によって、本件審判の請求に係る指定商品に含まれる「洋菓子」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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