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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と要部抽出

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35215(T2003−35215/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4473951号商標(以下「本件商標」という。)は、「GOLDEN & LABRADOR」の文字(標準文字)を横書きしてなり、平成12年4月6日に登録出願、第25類「カナダ製の被服,カナダ製のガーター,カナダ製の靴下止め,カナダ製のズボンつり,カナダ製のバンド,カナダ製のベルト,カナダ製の履物,カナダ製の仮装用衣服,カナダ製の運動用特殊衣服,カナダ製の運動用特殊靴」を指定商品として、平成13年5月11日に設定登録されたものである。

2 引用商標

請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第2202445号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲に表示したとおりの構成よりなり、昭和62年12月24日に登録出願、第17類「被服、その他本類に属する商品」を指定商品として、平成2年1月30日に設定登録されたものである。同じく、登録第4452988号商標(以下「引用商標2」という。)は、「Labrador」の文字(標準文字)を横書きしてなり、平成11年12月17日に登録出願、第25類「被服(毛皮製を除く)」を指定商品として、平成13年2月16日に設定登録されたものである。同じく登録第4243627号商標(以下「引用商標3」という。)は、「GOLDEN RETRIEVER」の文字を横書きしてなり、平成7年10月5日に登録出願、第25類「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,乗馬靴」を指定商品として、平成11年2月26日に設定登録されたものである。

3 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録はこれを無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、また、被請求人の答弁に対して弁駁をし、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第14号証を提出した。

A.請求の理由

(1)本件商標の称呼、観念について

本件商標は、その構成文字に対応して「ゴールデンアンドラブラドル」あるいは「ゴールデンアンドラブラドール」の自然的称呼を生じるが、これに限るものではなく、「ゴールデン」又は「ラブラドール」(若しくは「ラブラドル」)の称呼も生じる。

すなわち,本件商標を構成文字中「&」が2つの単語を結びつける記号であることは良く知られているところであり、本件商標は構成要素上も「GOLDEN」と「&」と「LABRADOR」の間に間隔があり、「GOLDEN」、「&」、「LABRADOR」に分けられるだけでなく、15文字からなる一語とするには長い語であり、しかもその自然的称呼「ゴールデンアンドラブラドール」は14音から構成され、一読するには長すぎから、迅速を重んじる取引者、需要者の間においては、これを「GOLDEN」あるいは「LABRADOR」に分離して観察し、それぞれに対応する「ゴールデン」あるいは「ラブラドール」(若しくは「ラブラドル」)と称呼することも多いものというべきである。

そして,これらの「GOLDEN」(ゴールデン)に対応して「金色の」という観念が生じる。また、「LABRADOR」に対応して「ラブラドル地方」あるいは「ラブラドールリトリーバー犬」の観念が生じる(甲第6ないし第8号証)。

(2)本件商標と引用商標1との対比

引用商標1は、英文字部分である「Labrador Retriever」に対応して「ラブラドールリトリーバー」という称呼と「ラブラドールリトリーバー犬」という観念が生じるが、これられの称呼と観念しか生じないということはできない。外観上、「Labrador」と「Retriever」との間に間隔があり、しかも17字からなる、一語とするには長い語であるから、同英文字を構成する「Labrador」と「Retriever」とを分離して観察することも多いというべきである。

したがって、引用商標1からは「ラブラドール」(若しくは「ラブラドル」)の称呼も生じる。

そして、この「Labrador」(ラブラドール若しくはラブラドル)からは、前述したとおり、ラブラドル地方あるいはラブラドールリトリーバー犬の観念を生じる。

したがって、本件商標と引用商標1とは、「ラブラドール」(若しくは「ラブラドル」)の称呼を共通にし、ラブラドル地方あるいはラブラドールリトリーバー犬の観念を共通にするものであって、類似の商標といわざるを得ず、かつ、本件商標の指定商品のうちの「カナダ製の被服」は引用商標1の指定商品「被服」と同一のものである。

よって、本件商標をその指定商品「カナダ製の被服」について使用するときは、出所の混同を生じるおそれがある。

(3)本件商標と引用商標2との対比

引用商標2は,「Labrador」の英文字を横書きしてなるものであり、「ラブラドール」(若しくは「ラブラドル」)の自然的称呼を生じ、前述したとおり、ラブラドル地方あるいはラブラドールリトリーバー犬の観念を生じる。

したがって、本件商標と引用商標2とは、「ラブラドール」(若しくは「ラブラドル」)の称呼を共通にし、ラブラドル地方あるいはラブラドールリトリーバー犬の観念を共通にするものであって、類似の商標といわざるを得ず、かつ、本件商標の指定商品のうちの「カナダ製の被服」は引用商標1の指定商品「被服(毛皮製を除く)」と同一のものである。

よって,本件商標をその指定商品「カナダ製の被服」について使用するときは、出所の混同を生じるおそれがある。

(4)本件商標と引用商標3との対比

引用商標3は、「GOLDEN RETRIEVER」の英文字を横書きしてなるものである。この引用商標3の英文字に対応して「ゴールデンリトリーバー」という称呼と「ゴールデンリトリーバー犬」という観念が生じるが、これらの称呼と観念しか生じないということはできない。

外観上、「GOLDEN」と「RETRIEVER」との間に間隔があり、しかも15字からなる、一語とするには長い語であるから、同英文字を構成する「GOLDEN」と「RETRIEVER」とを分離して観察することも多いというべきである。

したがって、引用商標3からは「ゴールデン」の称呼も生じる。

そして、この「GOLDEN」(ゴールデン)からは、金色のという観念を生じる。また、「GOLDEN RETRIEVER」に対応する称呼から生じるゴールデンリトリーバー犬については「ゴールデン」という略称されるが、本件商標からゴールデンリトリーバー犬の観念が生じるとまではいえないので、ここでは対比しない。

したがって、本件商標と引用商標3とは、「ゴールデン」の称呼を共通にし、金色のという観念を共通にするものであって、類似の商標といわざるを得ず、かつ、本件商標の指定商品のうちの「カナダ製のガーター,カナダ製の靴下止め,カナダ製のズボンつり,カナダ製のバンド,カナダ製のベルト,カナダ製の履物,カナダ製の運動用特殊衣服,カナダ製の運動用特殊靴」は引用商標3の指定商品「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,乗馬靴」と同一または類似のものである。

よって、本件商標をその指定商品「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,靴合わせくぎ,靴くぎ,靴の引き手,靴びょう,靴保護金具,げた,草履類,乗馬靴」について使用するときは、出所の混同を生じるおそれがある。

(5)以上の次第で、本件商標は、その指定商品について、商標法第4条第1項第11号の規定に該当し、同法第46条第1項第1号の規定によってその登録を無効とされるべきである。

B.弁駁の理由

被請求人の主張によれば、要するに、本件商標「GOLDEN & LABRADOR」からは「ゴールデンアンドラブラドール」の称呼しか生じないのであって、ラブラドールリトリーバー犬の観念を生じないというものである。

しかしながら、本件商標の構成文字の「GOLDEN」、「&」自体について格別の識別力がないとすれば、本件商標を構成する「LABRADOR」が独立して識別力を発揮し、認識されることは取引の実情からすれば当然である。まして、一般消費者を基準として判断するとき、本件商標「GOLDEN & LABRADOR」をもって、「ゴールデンアンドラブラドール」としか称呼しないというのは極めて不自然ある。

よって、少なくとも本件商標は引用商標1、2とは類似関係にある。

4 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証を提出した。

(1)「&」の文字は、その前の語と後の語を結び付ける役目を果たすものとして広く認知され、かつ、そのように使用されている。

当然のことながら、それを含んだ商標は、その前後の語が結合されて初めて1つの商標としての個性を発揮するものであり、本件商標の採択者も、当然そのような意図の下に本件商標の構成を採用している。したがって、そのような商標においては、「&」の前後の語のいずれかが強調されているとかいった格別の事情のない限り、「&」の前後の語を切り離して把握すべきではなく、それを切り離したものは、もはやその商標とはかけ離れたものとなってしまう。

(2)請求人は14音という本件商標の音の長さをいうが、本件商標の称呼「ゴールデンアンドラブラドール」は、その音の長さに関わらず、よどみなく一連にかつ自然に称呼し得るものであり、これを途中で分離して称呼する必然性はない。

(3)したがって、本件商標の称呼は、あくまで「ゴールデンアンドラブラドール」であり、単に「ゴールデン」又は「ラブラドール」と称呼されることはないし、また、単に「GOLDEN」又は「LABRADOR」の部分から独立した観念を生ずることもない。

(4)無効2000−35315号の審決及び東京高等裁判所平成13年(行ケ)第114号事件判決において、比較判断対象となったのは、それぞれリトリーバー犬の犬種を表わす「Golden Retriever」と「Labrador Retriever」であって、共に後半に強い識別力を有する「Retriever」の文字を共通に含むという特殊事情があったものである。そして、その認定は、「Golden Retriever」からは、後半の「Retriever」の文字部分のみが独立して認識される場合があるといっているだけで、前半の「Golden」の文字部分のみが独立して認識される場合もあるとは認定していないし、同様に、「Labrador Retriever」からは、後半の「Retriever」の文字部分のみが独立して認識される場合もあるといっているだけで、前半の「Labrador」の文字部分のみが独立して認識される場合もあるとは認定していない。しかも、請求人も認めているように、「Labrador」は単なる地名であって、それ自体に識別力はなく、引用商標1の場合は、それと後半の「Retriever」とが結合して初めて、商標としての機能を発揮し得るのである。

(5)請求人は、引用商標3は、外観上、「GOLDEN」と「RETRIEVER」との間に間隔があり、しかも15文字からなる、一語とするには長い語であるから、同英文字を構成する「GOLDEN」と「RETRIEVER」とを分離して観察することも多いというべきであり、したがって、引用商標3からは「ゴールデン」の称呼及び金色という観念を生じるとし、その認定は、上記審決(判決)においてなされているとする。

しかし、その審決(判決)の内容は上記のとおりであって、そのような認定はなされておらず、また、本件商標からは単なる「ゴールデン」なる称呼、並びに、「金色の」なる観念は生じないことは上述したとおりであるので、本件商標と引用商標3とは、「ゴールデン」の称呼を共通にし、金色のという観念を共通にするものであって、類似の商標といわざるを得ないとする請求人の主張には、理由のないことが明らかである。

(6)本件商標は、その全ての指定商品について、商標法第4条第1項第11号の規定に該当するものではなく、その登録は無効とされるべきものではない。

5 当審の判断

本件商標は、上記のとおり、「GOLDEN & LABRADOR」の文字からなるものである。

ところで、近年、我が国では、以前に増して一般家庭において犬を飼うことが多くなってきており、犬を飼うにあたっては、犬の飼い方や犬種が掲載されている出版物を参考にすることが少なくないことは顕著な事実といえる。そして、甲第9号証ないし甲第14号証によれば、ゴールデン・レトリーバー(Golden Retriever、ゴールデン・リトリーバーと表記される場合もある。)及びラブラドール・レトリーバー(Labrador Retriever、ラブラドール・リトリーバーと表記される場合もある。)いう犬種は、我が国においても比較的に知られている犬種であること、また、犬に関する出版物にゴールデン・レトリーバーを「ゴールデン」と、ラブラドール・レトリーバーを「ラブラドール」とそれぞれ簡略して記載している例が認められる。

そうしてみると、前記の犬種を知っている者が本件商標に接した場合は、その「GOLDEN」の文字はゴールデン・レトリーバーを、「LABRADOR」の文字はラブラドール・レトリーバーをそれぞれ意味することを容易に看取し、本件商標全体から「ゴールデン・レトリーバーとラブラドール・レトリーバー」との意味を理解するものとみるのが相当である。

また、前記の犬種を知らない者を想定した場合、本件商標の構成文字全体から特定の意味合いを看取することは困難と認められるが、「&」は、その前後にある語を並列的に結合する用法の文字記号であることから、少なくとも、本件商標において「GOLDEN」と「LABRADOR」の文字で表現されるものは、並列しており、対等というべき関係にあり、主従の関係又は一方が他方を形容している関係にある文字(語)としては理解されないものというのが相当である。

このようにみてくると、本件商標は、特段の事情がない限り、その「GOLDEN」の文字又は「LABRADOR」の文字が独立して、自他商品の識別機能を果たすとは認めることができないものであり、また、これを称呼する場合においても、対等というべきその「GOLDEN」と「LABRADOR」の文字の一方のみを称呼したのでは、これらの文字が「&」で結ばれている意味が失われるので、本件商標は、その構成文字全体をとらえて、多少音数が多いとしても「ゴールデンアンドラブラドール」とのみ称呼されるものというべきである。

そして、本件商標については、その「GOLDEN」の文字又は「LABRADOR」の文字が独立して、自他商品の識別機能を果たすとすべき特段の事情はみあたらない。

一方、引用商標1は、「Labrador Retriever」の文字と黒塗りで表した犬を組み合わせたその構成から、これよりラブラドール・レトリーバー(ラブラドール・レトリーバー種の犬)を観念し、「ラブラドールレトリーバー」又は「ラブラドールリトリーバー」と称呼されることが多いものと認められる。引用商標2は、「Labrador」の文字よりなり、これよりラブラドール・レトリーバー(ラブラドール・レトリーバー種の犬)又は地名としてのラブラドール(ラブラドルと表記される場合もある。)を観念し、「ラブラドール」又は「ラブラドル」と称呼されることが多いものと認められる。引用商標3は、「GOLDEN RETRIEVER」の文字よりなり、これよりゴールデン・レトリーバー(ゴールデン・レトリーバー種の犬)を観念し、「ゴールデンレトリーバー」又は「ゴールデンリトリーバー」と称呼されることが多いものと認められる。

そして、本件商標と引用商標1ないし3(以下「引用各商標」という。)を比較すると、本件商標は、これより、ゴールデン・レトリーバー(ゴールデン・レトリーバー種の犬)とラブラドール・レトリーバー(ラブラドール・レトリーバー種の犬)の双方が並列的に観念され得るものであるが、引用各商標は、いずれもその一方のみが観念され得るものであって、引用各商標と観念において類似するものということはできない。また、本件商標の「ゴールデンアンドラブラドール」の称呼と引用各商標から生ずる前記称呼は紛らわしいものでないから、本件商標は引用商標と称呼において類似するものでない。そしてまた、本件商標と引用商標とは、その外観も明らかに異なるから、非類似の商標といわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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