Trademark Appeal Case
晩酌の識別力と使用による識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−3277(T2001−3277/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなり、第33類「清酒」を指定商品として、平成11年4月28日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由(要旨)
原査定は、「本願商標は、『家庭で晩の食事の時に酒を飲むこと、またその酒』の意味を有する『晩酌』の文字と、その読みと認められる『ばんしゃく』の文字を普通に用いられる方法で二段に書してなるところ、本願指定商品の使用の方法(晩酌用)、飲む場所(家庭)等の表示にすぎず、これを本願指定商品に使用しても需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張(要旨)
(1)本願商標が登録されるべき理由
請求人は本願商標を昭和52年から継続して使用しており、本願商標が付された商品を相当の費用をかけてテレビ、雑誌、ラジオ等の情報伝達媒体を用いて宣伝してきた。その結果、本願商標「晩酌」は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして広く認識されるに至った。
本願商標が、請求人の継続的な使用及び積極的な宣伝広告により需要者間において請求人の業務に係る商品であると認識されていることを示す資料として、資料1ないし資料131を提出する。
請求人は、少なくとも昭和60年(1985年)から現在まで、新聞、雑誌、テレビ、ラジオの各宣伝広告媒体を利用して商品「晩酌」の宣伝広告を積極的且つ継続して行ってきた。そしてその結果、商品「晩酌」といえば請求人の業務に係る商品であると需要者間において広く知られている。
(2)むすび
本願商標は、請求人の業務に係る商品を表示するものとして需要者間に広く知られるものであり、自他商品識別標識として機能するものであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するものではない。
4 当審の判断
1.商標法第3条第1項該当性について
本願商標は、後掲のとおりの構成よりなるところ、該構成文字である「晩酌」とその読みと認められる「ばんしゃく」の文字は、その指定商品との関係よりすれば、「家庭で晩の食事の時に酒をのむこと。また、その酒。」(広辞苑第5版:株式会社岩波書店)の意味合いを極めて容易に看取させ、これを表したものと認められるものであり、また、一般的によく使用される言葉であるといえるものである。
そして、酒類の業界においては、晩酌用に飲む酒を「晩酌酒」として販売、宣伝、広告している実情があることから、「晩酌」の文字は、上記意味合いに加えて、「晩酌酒」というほどの意味合いをも理解させる語というのが相当である。
そして、上記のとおり使用されている実情としては、例えば、次のような新聞記事及びインターネットによるホームページの情報等により、その一端をうかがい知ることができるところである。
(1)「日本家庭の『酒と食事』実態調査(宝酒造)」(1999.01.13 日本食糧新聞)
「・・・晩酌酒では、『ビール』が六三・三%と過半数を超え、次に『日本酒』(二二・三%)、「ワイン」は四・〇%と少数派。・・・」
(2)「福徳長酒類、2リットル・3リットルパックの『清酒・福笑い』発売」(2003.03.10 日本食糧新聞)
「福徳長酒類(株)(東京都港区、03・5439・6335)は10日、『清酒・福笑い』二リットルパックと三リットルパックを全国発売する。飲み応えのある酒質の晩酌向け大型パックで、大容量商材では数少ないアル分一四度。」
(3)「ただいま奮戦中 筑後銘酒研究会 うまい地酒育てたい=福岡」(2001.10.01 西部朝刊 読売新聞社)
「・・・会がまず、高田町の酒蔵に提案し、造ってもらったのが既存の地酒をブレンドした『峰乃蔵(みねのくら)』。晩酌用の酒として売り出した。・・・」
(4)「化成酒類事業部『富久娘・たっぷり自慢』2l紙パック発売」(1999.11.05 日本食糧新聞)
「旭化成工業(株)酒類事業部(東京都墨田区、03・5610・3648)は10月20日、清酒『富久娘・たっぷり自慢二リットル紙パック』を全国発売した。すっきりした飲み飽きのしない味わいで、“冷や”でも“燗”でも楽しめるのが特徴。毎日の家庭での晩酌に最適だ。」
(5)「『不思議なお酒』 若い女性に好評/一ノ蔵がPR」(1997.12.24 河北新報記事情報)
「・・・ドレスや着物姿の女性は、清酒で洋食を味わいながら、楽しいひとときを過ごしていた。20代のOLたちは『日本酒なのにワインのような感じで、これなら晩酌にもってこい』『飲みやすく、甘くておいしい』と話していた。」
(6)「4日から「細江小町」発売 地元米で本醸造−細江町(日本酒、清酒、米)」(1995.02.02 静岡新聞 朝刊)
「・・・前の二銘柄は純米酒だったが、今回は「毎日の晩酌用にも、手ごろな値段で楽しめる地元の味に」(町役場)と、本醸造酒でいわば廉価版とした。・・・」
(7)「<街かど特捜隊>純米か、本醸造か*アルコール*添加で飲み口良く」(1993.10.28 北海道新聞夕刊地方)
「・・・仕事帰り、会社の宴会、学生コンパ、家庭での晩酌、恋人との二人酒、涙飲み込む一人酒...。現代では飲み方もそれぞれ。しかし、飲み過ぎて周囲に迷惑をかけない、という事は、古今東西変わらぬ基本的なマナーだ。・・・」
(8)「お酒の“新種”次々誕生 ワインと酒の“カクテル” ブランデーの烏龍茶割り」(1993.04.10 東京朝刊)
「不況でウイスキーやビールの消費が伸び悩み、酒税の級別廃止をきっかけに盛り返した日本酒も勢いが衰えつつあるだけに、メーカーは家庭での晩酌や若者、女性の新規需要の掘り起こしを目指している。」
(9)ホームページ「京都府伏見区の地酒 松本酒造(株)」
(http://www.tutitatu.com/sake/matsumoto.html)
「・・・毎日の晩酌酒に最適の一本なのでないでしょうか?」
(10)ホームページ「気軽に楽しめる晩酌酒.2(満寿泉・三笑楽・成政・北洋・よしのとも)」
(http://www.joft.com/e-banshaku2.html)
「このページでは、富山県内のお父様たちの毎晩の晩酌酒として親しまれている本醸造酒や普通酒の中から、いくつかをピックアップしてご紹介させて頂きます。」
(11)ホームページ「石川県の地酒晩酌酒 Aセット」
(http://www.netdear.com/detail/05100/00055.html)
「概要:酒ヒラキがお客様の立場になって選りすぐった冷よし、燗よし、おなじ飲むなら旨い晩酌酒を仕事の後に、忘年会、新年会のおともに!!!お得な5本セットです!」
(12)ホームページ「商品リスト[晩酌酒]」
(http://www.rakuten.co.jp/kikusui/517384/)
「菊水の四段仕込 1800ml」等
(13)ホームページ「毎日健康的に蔵人の晩酌酒を御用聞き 福井地酒【白龍】」
(http://www.jizakegura.com/nabi/mainichi.html)
(14)ホームページ「第74回 関東信越国税局酒類鑑評会入賞蔵! 北雪 北雪酒造株式会社」
(http://www.e-osakeya.com/hokusetu.html)
「*お値段もお手頃な淡麗辛口の晩酌酒です!!!* 佐渡の厳しい自然を思わせるような淡麗辛口の普通酒です。冷やからお燗までこなす万能なお酒で、価格も晩酌のお酒としてうれしい価格です。」
(15)ホームページ「石川県の旨い酒処 酒のこんちきたい」
(http://homepage1.nifty.com/konchikitai/sougenfan2.htm)
「お手ごろな晩酌酒 宗玄 上選 豊潤な旨みが身上の普通酒です。能登ではダントツに売れているお酒です。」
(16)ホームページ「地酒は地酒らしくこの地の個性を... とうじょういずみ 東条泉 山田錦純米酒」
(http://www.inoya.net/tojoizumi.htm)
「・・・季節のしぼりたて生酒、どぶくろ風にごり酒からお燗で美味しい晩酌酒まで、幅広くお楽しみいただけます。・・・」
(17)ホームページ「越乃白銀会」
(http://www.sakeya.biz/cargo/tuyu-seihin.html)
「限定酒 白銀会の酒 吟醸造り 吟醸酒を晩酌価格で飲めたらいいなという地酒ファン、のんべえのための究極の晩酌酒」
以上の事実を総合的に勘案すると、本願商標の「晩酌」及び「ばんしゃく」の文字は、上記したとおり、「家庭で晩の食事の時に酒をのむこと」及び「晩酌酒」の意味合いを理解させるものというのが相当であるから、これをその指定商品に使用した場合、これに接する取引者、需要者は、その商品が家庭で晩の食事の時に飲む酒、すなわち「晩酌用の酒、晩酌酒」であるという程の意味合いしか認識しないものとみるのが相当であり、商品の品質、用途を表示したものと理解するにとどまるものであるから、結局、本願商標は、商品の品質、用途を表示したものであって、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、これをその指定商品「清酒」に使用したときは、単に商品の品質、用途を表示するにすぎないものであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認められ、これと同趣旨で本願商標を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
2.商標法第3条第2項について
請求人(出願人)は、本願商標について使用による特別顕著性を獲得したとして、当審において、平成13年5月28日及び同14年6月3日付け手続補足書により、証拠方法として資料1ないし資料131を提出している。
そこで、請求人提出の各資料について検討すると、本願商標が請求人(出願人)の業務に係る指定商品に使用されてきたことは確認し得るが、それらは全て、請求人(出願人)の著名商標である「日本盛」の文字と共に使用されているものであって、本願商標のみが独立して指定商品に使用されて社会的に自他商品識別標識機能を備えるに至ったという本願商標の使用例は確認することができなかったものである。
また、本願商標の「晩酌」の文字は、毛筆書体で書された文字であるところ、このような表記は通常普通に用いられる平易な文字商標といえるものであるから、これをその指定商品「清酒」に使用したとしても、上記各資料によっては、いまだ、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能、すなわち特別顕著性を獲得していないものであるというのが相当である。
したがって、本願商標が、その指定商品に使用され、請求人(出願人)の業務に係るものとして、取引者、需要者間に広く認識されるに至っているとは認められないものであるから、本願商標が商標法第3条第2項に該当するものであるとする請求人(出願人)の主張は、これを採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
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