Trademark Appeal Case
コイルチップフィルタの識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2000−10386(T2000−10386/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「コイルチップフィルタ」の片仮名文字と「COILCHIPFILTER」の欧文字を2段に横書きにしてなり、第9類「ザージ保護装置,ノイズフィルター,火花消去器,コンデンサ,コイル,インダクタ,配電用又は制御用の機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成11年3月4日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『らせん状に巻いた電気の導線』を意味する『コイル』『COIL』の文字と、『誘電体チップフィルター』を認識させる『チップフィル夕』『CHIPFILTER』の文字を一連に『コイルチップフィル夕』『COILCHIPFILTER』と2段に書してなるところ、指定商品との関係においては該商品が『コイルを使用した誘電体チップフィルター』であることを理解するに止まり、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)本願商標は、前記したとおり、「コイルチップフィルタ」と「COILCHIPFILTER」の文字を2段に横書きしてなるところ、その上段の「コイルチップフィルタ」の片仮名文字は、下段の「COILCHIPFILTER」の欧文字の読みを表したものといえる。そして、広辞苑(第5版)によると、「コイル/COIL」の文字は「螺旋状に巻いた電気の導線。インダクタンスをもつ回路素子や磁場の発生に用いる。」を意味し、「チップ/CHIP」の文字は「細片」を意味するほか「一組の集積回路の乗った半導体基板の単位」を意味し、また「フィルタ/FILTER」の文字は「電気回路で、ある範囲の周波数の電流を通過させ、他の周波数の電流を阻止するための回路または装置。濾波器」を意味するものとして、いずれもよく知られた語といえるものである。
しかして、それらの語は、特に、本願商標の指定商品を取り扱う業界においては、親しまれた技術用語であり、「2001−02年版 機電・情報用語辞典」(株式会社技術評論社平成12年12月25日発行)の「フィルタ」(filter)」の項には、「通過させる周波数帯により、低域フィルタ、高域フィルタ、帯域フィルタ、帯域消去フィルタがあり、また構成するL(コイル)、C(コンデンサー)の配列によって種々の型式がある。」と記載されている。また、電子機器や無線機器等から発生する電気ノイズの対策又は電磁波に対する対策部品〔EMC「electromagnetic compatibility」:電磁環境両立性。マイクロコンピューターなどのノイズによる電磁環境の悪化を防止すること(「コンサイスカタカナ語辞典」2002年11月1日三省堂発行)〕その他の電子部品として「フィルタ」が使用されていることは知られているところである。
それからすると、上記用語を連結させて「コイルチップフィルタ」又は「COILCHIPFILTER」と一連に表されているとしても、全体として「コイルによるチップ状のフィルタ」と容易に理解されるものといい得るものである。
(2)以上のことは、例えば、以下の新聞報道記事やインターネットで公開されている情報からも裏付けられるところである。
a 「TDK、体積23%削減した積層チップフィルター発売」の見出しの下、「・・・積層チップフィルターを新リーズとして商品化、サンプル出荷した。新リーズはノイズ対策用の3端子フィルタアレイで回路方式の1種であるL型4連と呼ばれるタイプ」と記載(日刊工業新聞2001.9.13発行)。
b 「東光、高周波対応誘電体チップフィルター発売。GSP仕様で大きさ4分の1」(見出し)と記載、そしてその記事内容からすると、該フィルターは外形寸法が5.7ミリ、横4ないし10ミリ、高さが2ミリの底背型と高さ3ミリの2種類あることが記載されている(日刊工業新聞1994.12.24発行)。
c インターネット情報において、「Panasonic コイル型EMIフィルタ」の題名で、「DCラインから高周波信号ラインのノイズ対策に最適なEMIフィルタ」「コンデンサとコンポジットフェライト磁性材コイルによるT形チップフィルタ」と説明している(http://industrial.panasonic.com/www-data/pdf/AEI0000/AEI0000CJ2.pdf)。
d インターネット情報において、「TDK」の「EMC対策製品」として「信号ライン用LCフィルタ」が紹介され、チップ形状のもの等があることが記載されている(http://www.tdk.co.jp/emc/index.htm)。
(3)上記実情からみても、「コイルチップフィルタ」、「COILCHIPFILTER」の文字からなる本願商標は、全体として、「コイルを使用した(型式の)チップ状のフィルタ」であることを十分に理解、認識され得るものであり、これを本願指定商品中「コイルを使用した(型式の)チップ状のフィルタ」又は「コイル型のチップ形状のフィルタを部品として使用している商品」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、その商品が「コイルを使用した(コイル型式の)チップ形状のフィルタ」であり、又は同フィルタを使用した商品であることを把握・認識するに止まるものとみるのが相当である。
この点に関し、請求人は、本願商標は、一連一体に「コイルチップフィルタ」「COILCHIPFILTER」と表されていて、「コイル」「COIL」と「チップフィルタ」「CHIPFILTER」に分離認識されなければならない根拠は存在しない造語商標に係るものである旨主張している。しかしながら、本願商標については、指定商品との関係において、前記の認定を妥当とするところであるから、これを採用することはできない。
してみれば、本願商標は、これをその指定商品中「コイルを使用した(型式の)チップ状のフィルタ」及び「コイル型のチップ形状のフィルタを部品として使用している商品」に使用するときは、その商品の品質、形状を表示しているにすぎないものであり、また、その指定商品中上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
(4)したがって、本願商標を商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
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