Trademark Appeal Case
著名略称「シティ」の類否
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2002−90247(T2002−90247/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4536211号商標(以下「本件商標」という。)は、「ニューシティコーポレーション」の文字を標準文字により書してなり、第36類、第37類及び第42類に属する商標登録原簿に記載のとおりの役務を指定役務として、平成12年8月10日に登録出願、同14年1月18日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人シティコープ(以下「申立人」という。)の引用する多数の商標は「CITIBANK」をはじめとして共通に「CITI」の語を語幹に有して成り、これらは100カ国を超える国々で使用され、また非常によく知られている世界的に周知・著名の商標である。日本でも「CITI」「シティ」を共通に語幹とする引用商標がシティグループ企業のみによって多数登録され、使用されている。金融・保険、その他経済の分野は勿論のこと、これらを含めた広範なサービスや商品について、現在も継続的に使用されているため、「CITIBANK」「CITICORP」「CITIMONEY」「CitiDirect」「CitiSopping」「CitiTravel desk」「CitiSpecial Loan」「CITIPORTFOLIOS」等々多くの商標は、日本を含め広く世界の国々において需要者・取引者の間で広く知られるに至っており、すでに国際的に周知・著名の域に達している。
更に、シティコープを親会社とする「シティバンク」、そして、合併後の「シティグループ」が単に「シティ」と略称されていることも新聞・雑誌等の記事・見出しでの使用例から明らかである。
そうしてみれば、「シティバンク」または「シティグループ」企業の商号並びに接頭語として有名な「シティ」と類似の本件商標は、「CITI」を語幹とする引用の一連の商標群と極めて紛らわしい商標であると考えなければならず、また、本件登録商標がその役務に使用された場合には、相互の商品・役務の出所について混同を生ずるおそれがあるので、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
また、上述のように、本件商標は、申立人である「シティコープ」または「シティバンク」の著名な略称、ひいてはその企業グループ「シティグループ」の著名な略称「シティ」を含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
よって、本件商標の登録は、指定役務中第36類全指定役務について、商標法第4条第1項第8号及び第15号に違反してされたものであるから、取り消されるべきものである。
3 取消理由の通知
当審は、商標権者に対し、平成14年11月12日付けで、本件商標の登録は、指定役務中第36類全指定役務について、取り消すべきものである旨の取消しの理由を通知した(通知書発送日同月22日)。
その理由の要旨は次のとおりである。
申立人の提出した甲各号証によれば、次の各事実が認められる。
申立人は、シティバンクなどの企業を保有する米国の持ち株会社である。シティバンクは、1812年ニューヨークに設立され、個人金融事業及び法人金融事業を行っており、株式時価総額及び純利益が米国銀行中第1位であり、世界で最大規模のカード事業を行っており、世界的に広く知られた米国の銀行である。同銀行は、我が国においては1902年に横浜支店を開設し、その後1997年には19支店を有するに至り、個人金融事業及び法人金融事業を行っており、最近では他行に先駆けてATM24時間サービス、海外口座、外貨預金、自由返済型住宅ローン及びリテールサービスなどのサービスを提供しており、これらのことが新聞や雑誌などで報道されているので、我が国においても「シティバンク」の名称をもって広く知られている。ちなみに、シティバンクは、我が国における外資系金融機関の知名度及び外国銀行人気度が第1位である。
同銀行は、「CITIBANK」「Citicard」など「CITI」の文字を含む商標を自己の業務に長年使用している。また、上述したとおりシティバンクに関して新聞や雑誌などで多数報道されているが、この場合シティグループ又は同銀行を指称するものとして「シティ」の略称が相当数使用されている。
これらの事実からすれば、「CITI」、「シティ」の語は、シティグループ又はシティバンクの略称若しくは同銀行の使用する商標として本件商標の出願時及び登録査定時はもとより、その後においても取引者・需要者間に広く認識されているというのが相当である。
加えて、申立人は、我が国において、関連会社として「シティコープ カードサービス インコーポレイテッド」、「シティコープ証券会社」、「シティコープ・クレディット株式会社」等、その社名に「シティコープ」の文字を含む法人を有している事実を認めることができる。
しかして、本件商標は、前記のとおりの構成からなるところ、その構成中の「ニュー」の語は、英語「new」のカタ力ナ表記であって、役務の質を誇称するものとして、しばしば用いられており、又、「コーポレーション」の語は、株式会社を意味する英語「Corporation」のカタ力ナ表記であって、商号の表記中にしばしば用いられている語であり、これらの語は、識別力の点においては極めて弱い語であるということができる。
そうとすれば、本件商標の要部は「シティ」の文字部分にあるものというべきであり、「シティ」の文字部分をもって自他役務の識別標識として認識され、あるいは、新しい業態の「シティコーポレーション」の如く認識されるにとどまるものといわなければならない。そして、申立人は、銀行業はもとより、クレジットカード、投資、証券取引、資産管理、損害保険、生命保険等、広範な金融サービスを手掛けているものであり、本件商標の指定役務中の第36類に属する役務は、それらのサービスを含み、あるいは、それらと密接な関連を有するものである。
以上のことよりすれば、本件商標は、構成中にシティグループ又はシティバンクの略称若しくは同銀行の使用する商標としてその出願時及び登録査定時はもとより、その後においても著名な「シティ」の文字を有するのみならず、申立人「シティコープ」あるいは「シティコープ」を冠した申立人の傘下企業を連想、想起させる構成よりなるものであるから、商標権者が本件商標をその指定役務中の第36類に属する役務について使用するときは、取引者・需要者において、その役務が申立人あるいはシティバンク若しくはシティグループ又はこれらと経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれがある。
したがって、本件商標の登録は、指定役務中第36類全指定役務について、商標法第4条第1項第15号に違反してされたものである。
4 商標権者の意見
上述した取消しの理由に対し、商標権者は意見を述べるところがない。
5 当審の判断
本件商標の登録は、指定役務中第36類全指定役務について、上述した取消しの理由により、商標法第4条第1項第15号に違反してされたと認められるから、同法第43条の3第2項により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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