Trademark Appeal Case
引用商標の著名性判断
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90443(T2003−90443/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4666033号商標(以下「本件商標」という。)は、「WILLIAM MORRIS」の文字と「ウイリアム・モリス」の文字とを二段に横書きしてなり、平成13年12月14日に登録出願、第30類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、同15年4月25日に設定登録されたものである。
2 登録異議の申立ての理由
(1)本件商標が指定商品に使用された場合に、本件商標に接した取引者及び需要者が、本件商標を著名商標「WILLIAM MORRIS」(以下「引用商標」という。)として捉え、登録異議申立人(以下「申立人」という。)と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であると誤認して、その出所について混同するおそれは極めて大きいといわざるを得ないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(2)本件商標登録出願は、申立人の引用商標及び申立人の営業努力により蓄積したモリス製品についての名声へのただ乗りという不正の目的の存在を推認させるとともに、ひいては当該引用商標の稀釈化にもつながるものといわざるを得ないから、本件商標は、同法第4条第1項第19号に該当する。
(3)引用商標が、著名なウィリアム モリスという歴史的人物の氏名であることからすれば、たとえ故人とはいえ、その氏名を無断で採択使用することは、ウィリアム モリスの名声を利する行為であって、国際間の一般的慣習に照らしてみても許されるものではないから、本件商標は、同法第4条第1項第7号に該当する。
したがって、本件商標の登録は取り消されるべきである。
3 当審の判断
(1)引用商標の著名性について
申立人は、甲第1号証ないし甲第49号証を提出し、申立人がウィリアム モリスのデザインとその製品に関わるに至った経緯を述べ、1940年の時点で、申立人は、「WILLIAM MORRIS」及び「Morris&Co.」の名のもとに、モリスのデザイン及びそれを利用した壁紙をはじめとする製品の製造販売に関わる営業の全てに関する利権を正式に獲得したものであり、60年以上という長い期間において、モリス製品の製造販売及び宣伝広告活動を行ってきたことにより、本件商標の出願前から、引用商標が、申立人が扱うモリス製品を通して、申立人の業務を表示するものとして需要者の間に広く認識されるに至っている旨主張している。
そこで、申立人の提出に係る証拠についてみるに、甲第2号証ないし甲第6号証は、ウィリアム モリスに関する紹介記事等であり、甲第8号証ないし甲第10号証は、申立人の紹介に関するものであり、甲第11号証は、ウイリアム モリスに関するフェア開催についての申立人への礼状であり、商標としての「WILLIAM MORRIS」について何ら記載はない。
甲第12号証ないし甲15号証は、我が国における商品パンフレットと認められるにしても、該パンフレット中に商標として「WILLIAM MORRIS」が記載されているものはない。
甲第16号証ないし甲第32号証は、イギリス及びアメリカにおける広告及びパンフレット等であって、商標としての「WILLIAM MORRIS」について何ら記載は見受けられない。
甲第33号証ないし甲第36号証は、日本及び世界での各年の売上高一覧であるが、その裏付けとなる証拠書類等が示されていない。
したがって、申立人の提出に係る証拠によっては、引用商標が本件商標の登録出願時には我が国において、申立人の業務に係る商品の商標として取引者、需要者の間に広く認識されていたものとするに充分な証拠とは認められない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり引用商標が申立人の業務に係る商品の商標として広く認識されていたものとは認められないから、本件商標は、これをその指定商品に使用した場合に、引用商標を直ちに連想又は想起するとは認められず、該商品が申立人又は申立人と関係のある者の業務に係るものであるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれのないものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、上記のとおり引用商標が広く認識されていたものとは認められないものであるから、不正の目的をもって本件商標を使用するものとはいい得ない。
(4)商標法第4条第1項第7号について
申立人の提出に係る証拠及び主張を勘案すれば、ウィリアム モリス(William Morris)は、デザイナー、画家、社会主義運動家等として活躍した事実は認められるとしても、その活躍が国民的な英雄とみられるものではなく、死後100年以上も経っており、しかも、本件商標の指定商品である「コーヒー及びココア,コーヒー豆,茶,調味料,香辛料,食品香料(精油のものを除く。),米,脱穀済みのえん麦,脱穀済みの大麦,食用粉類,食用グルテン,穀物の加工品,ぎょうざ,サンドイッチ,しゅうまい,すし,たこ焼き,肉まんじゅう,ハンバーガー,ピザ,べんとう,ホットドッグ,ミートパイ,ラビオリ,菓子及びパン,即席菓子のもと,アイスクリームのもと,シャーベットのもと,アーモンドペースト,イーストパウダー,こうじ,酵母,ベーキングパウダー,氷,酒かす」の分野にまで広く認識されていたものと認めることができない。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品について使用することが他人の名声を利する行為とまではいい得ず、また、国際信義に反するものとも認められない。
(5)結び
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、第15号及び第19号に違反して登録されたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきである。
なお、申立人は、別件の登録第2717783号商標に関して、商標権者が審査継続中に提出した契約書の内容について、「WILLIAM MORRIS/ウィリアム モリス」の商標の使用については何ら言及されていないから、商標権者には、申立人の著名商標「WILLIAM MORRIS」を使用する正当な権原がない旨主張しているが、本件については、原審において、出願人(商標権者)より提出された証拠を勘案すれば、本件商標の使用に関する契約が一般的な手続によりなされたものと推認し得るものとみるのが相当であるから、この点に関する申立人の主張は認めることができない。
よって、結論のとおり決定する。
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