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Trademark Appeal Case

NASDAQの周知性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2002−35483(T2002−35483/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4341445号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、1998年7月14日イタリア共和国においてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、平成10年8月28日に登録出願され、第9類「原動機付き自転車・単車乗用車運転用の保安用ヘルメット,その他の保安用ヘルメット,スキー用ゴーグル,競泳用ゴーグル,航空機操縦士用ゴーグル,原動機付き自転車・単車乗用車用ゴーグル,ウエイトベルト,ウエットスーツ 」、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,スキーブーツ,その他の運動用特殊靴」及び第28類「スキー,スキーエッジ,締め具,スクレーパー,ストック,スキー板用震動防止板,その他のスキー用具,スノーボード,ヘルメット,運動用固定式自転車,その他の健康の維持・増進を目的とする運動具,その他の運動具,スキーワックス」を指定商品として、同11年12月3日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第43号証を提出した。

1.請求人は、米国のNASDAQ(ナスダック)店頭株式市場を運営する法人であり、日本においてもナスダック・ジャパンの主要株主となっているものである。「NASDAQ」の語は、請求人が運営する店頭株式市場を意味するものとして、また、請求人の業務に係る証券取引の役務を表示する商標(以下「引用商標」という。)として、日本及び米国を含む全世界において周知、著名となっている。

2.「NASDAQ」の周知性、著名性について

(1)全米証券業協会は、1971年2月8日、アメリカ合衆国で「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」、すなわち、「全米証券業協会による店頭株式相場自動表示システム」を確立した。このシステムは、その頭文字をとって「NASDAQ」システムと名づけられた。請求人は、全米証券業協会が全株式を保有する同協会の子会社として、同システムを用いて取引を開始し、現在までこれを運営している。また、同システムによる店頭株式市場は、「NASDAQ」(ナスダック)と呼ばれているところである。

「NASDAQ」システムは、コンピューター上に株式市場を設け、投資家や証券業者は、店頭での株式に関する取引や情報の取得を全てコンピューターを通じてオンライン上で行うものである。同システムは、投資家や証券業者が自己のコンピューターから同市場にアクセスするだけで容易に株式取引や情報の取得ができる利便性があり、極めて画期的であった。また、このような画期的な株式相場であるため、日本においてもその新規性や将来性に注目が集まり、日本国内においても大きく報道されてきている。

「NASDAQ」市場における証券取引量は、1995年に取扱株式数量においてニューヨーク証券取引所を抜き、更に、1998年には取扱金額においてもニューヨーク証券取引所を抜き、世界第1位の規模を誇るに至っているものである(甲第2号証)。また、同市場においては、経済のグローバル化に伴って、米国企業に限らず世界各国の優良企業の株式も広く取引されている。日本企業としては、三井物産、日産自動車、三洋電機、NEC、富士写真、麒麟麦酒、イトーヨーカドー、CSK、ワコール、その他の株式が取引されているところである。

(2)日本と米国との緊密な経済関係からも、ナスダック株式市況についての情報は、そのナスダック創設時から日本においても常時報道されてきているものである(甲第3号証及び甲第4号証)。同株式市況の記事は、ナスダック市場が営業を行った翌日には必ず掲載されているものである。また、ナスダック株式市況については、テレビやラジオの経済ニュースにおいても以前から常時報道されているところである。

「ナスダック」の語は、請求人の略称又は請求人の電子市場システムを表示するものとして、数多くの辞典類にも掲載されている(甲第5号証ないし甲第7号証)。

また、米国のナスダック市場についての記事は、日経ビジネス等の雑誌においても、本件商標の出願前から頻繁に掲載されているところである。

ちなみに、請求人は日本において、引用商標及びそれに関連する商標について種々の商標登録出願をなしているが、現在までに日本及び外国でも多数の商標登録を得ている(甲第8号証ないし甲第35号証)。

なお、日本においては、ナスダック・ジャパン市場の開設を目的として1999年6月18日に、全米証券業協会とソフトバンク株式会社が主要株主となって、ナスダック・ジャパン株式会社が設立された。ナスダック・ジャパン市場は、大阪証券取引所との業務協力規約に基づき、大阪証券取引所内の既存市場から独立し、かつ並存した市場として、2000年6月19日から取引が開始されてきているものである。ナスダック・ジャパン市場創設に関するニュースは、本件商標出願前から、折にふれて取り上げられ報道されてきているところである(甲第36号証ないし甲第38号証)。

(3)上述のように、「NASDAQ」の語は、請求人の略称又は請求人の電子市場システムを表示するものとして、また、請求人の業務に係る証券取引の役務を表示する商標として、本件商標の先願権発生日のはるか以前から、米国及び日本等において広く知られているところである。

さらに、引用商標「NASDAQ」は、ジャンパー、セーター、トレーナー、Tシャツ、ヴェスト、帽子、シャツ、スカーフ、マフラー、ネクタイ、タオル、コーヒーカップ、マグカップ、タンブラー、ゴルフボール、バスケットボール、その他のスポーツ用具、ナイフ、バッグ、傘、人形、双眼鏡、時計、計算機、ラジオ、CDケース、写真たて、ボールペン等広範囲の商品に商標として使用されており、これらの商品は、請求人が開設するNASDAQのインターネット・サイトにおいて販売されている(甲第39号証及び甲第40号証)。当然ながら、日本においてもこれらの商品を購入することができる。また、請求人は、以前から「NASDAQ」と題するビジネス月刊誌を発行しており、同誌は日本を含む世界各国において広く購読されているところである(甲第41号証)。

3.商標法第4条第1項第19号について

引用商標は、「NASDAQ」というアルファベットの大文字からなるものであるところ、本件商標も「NASDAQ」というアルファベットの大文字を要部とするものであり、日本語では、いずれも「ナスダック」として表記され称呼されるものであって、全く同一である。請求人の略称又は商標であるという観点又は上記店頭市場であるという観点を離れた場合には、「NASDAQ」という語は、何ら特定の意味合いを有するものではない。また、イタリア語や日本語において「NASDAQ」や「ナスダック」という固有の語が存在しないことは明らかであり、本件商標の出願人が独自に引用商標と無関係に独自に「NASDAQ」という語を考え出すということは、現実には全く考えられないところである。

したがって、被請求人が「NASDAQ」という極めて特異な名称をその商標として選択したという事実は、同人が請求人の「NASDAQ」(「ナスダック」)を前提として、それをそのまま剽窃したものであるという事実及び同人において、請求人が運営する店頭市場の名称、商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的を有するものである事実を如実に物語るものである。

このように、本件商標は、請求人の業務に係る役務を表示するものとして日本国及び米国における需要者の間に広く認識されている「NASDAQ」(ナスダック)商標と同一又は類似の商標であり、かつ不正の目的をもって使用をなすものであり、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。

4.商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、請求人が運営する「NASDAQ」(ナスダック)店頭市場の名称及び請求人の引用商標の著名性にフリーライドしようとする不正の目的の下に、それをそのまま剽窃しようとするものであることは、前述のとおりであり、被請求人のこのような行為は、公正な競業秩序の維持を旨とする正常な取引慣行に違反するものであって、商標法第4条第1項第7号に該当するものである。

5.商標法第4条第1項第15号について

「NASDAQ」(ナスダック)という名称及び商標の著名性及びその称呼の特異性からしても、本件商標がその指定商品である被服や運動用具等に使用された場合には、その商品が請求人の業務に係る商品であるとか、又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるとの誤認、混同を生じさせるおそれが極めて高いものであり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。

ちなみに、本件商標は、第9類の「原動機付き自転車・単車乗用車運転用の保安用ヘルメット、その他の保安用ヘルメット、スキー用ゴーグル」等、第25類の「被服、履物、運動用特殊衣服」等及び第28類の「スキー、スキーエッジ、締め具、スクレーパー、ストック、スキー板用震動防止板、その他のスキー用具」等を指定商品とするものであり、一方、請求人の「NASDAQ」は、第36類の役務に関する商標及び店頭市場の名称として極めて著名なものであるが、引用商標「NASDAQ」は、前述の通り、「ジャンパー、セーター、トレーナー、Tシャツ、ミニバスケットボール、ミニフットボール」等の被服類や運動用具等に現実に使用されており、また、その他の商品にも広範囲に使用されているものである(甲第39号証及び甲第40号証)。このような事実と共に、「NASDAQ」の著名性及びその称呼の特異性を前提とすれば、本件商標が「被服」、「スキー用具及びその他の運動具」及びその他本件商標の指定商品に使用された場合には、その業務が請求人の業務に係る商品であるとか、又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるとの誤認、混同が生じるおそれのあることは、明らかである。

6.答弁に対する弁駁

(1)被請求人は、本件商標は英語で「New sport Articles of High Quality」を意味するイタリア語の「Nuovi Articoli Sportivi Di Alta Qualita」の頭文字を結合させた造語商標であって、引用商標の「NASDAQ」と同一の綴りになったのは全くの偶然としている。

仮に、本件商標がイタリア語の綴りの頭文字をとったものとした場合でも、それらの頭文字の結合は「NASDAQ」となるのであるから、著名な引用商標と同一となることは最初から明らかなところである。そして、被請求人は、引用商標が「証券取引」の分野で著名な商標であることを自認しているのであるから、被請求人が本件商標を採用するに当たり、著名な引用商標「NASDAQ」の存在を事前に認識していた事実は明白である。

商標選択の過程で、商標が全く同一の綴りとなる場合には、抵触を避けるため、異なった商標を採用するのがごく普通である。被請求人は、その商標採用に当たり、本件商標とは別の綴りからなる商標を容易に選択できたにもかかわらず、被請求人があえて「NASDAQ」という綴りを選んだという事実は、引用商標の著名性に便乗しようとする被請求人の意図が極めて濃厚に窺われるところである。

被請求人は、本件商標をスキー用のヘルメット等に使用しているとして外国語によるカタログを提出しているが、それらのいずれにも、本件商標がイタリア語の「Nuovi Articoli Sportivi Di Alta Qualita」の頭文字をとったものとの記載はなされていない。したがって、本件商標がイタリア語の綴りの頭文字をとったものと理解するものは、取引者及び需要者間においては皆無である。要するに、本件商標がイタリア語の綴りの頭文字をとったものであるという主張は、何ら被請求人による本件商標選択の正当性を根拠付けるものとはならないのであり、本件では、本件商標と引用商標の綴りが全く同一であるという事実のみが重要なのである。

(2)被請求人は、本件商標と同一の構成からなる商標を米国において出願したが、これに対して、請求人は異議を提出し、平成15年6月30日に米国特許商標庁により、被請求人の同出願を拒絶する決定が出されている(甲第42号証)。同決定では、異議申立人(本件の請求人)の「NASDAQ」商標は極めて著名であるとの認定の下で、混同(confusion)と希釈化(dilution)の両面から、本件商標の登録は認められないと判断されている。

なお、同決定の原文41頁においては、1998年4月12日の被請求人の取締役会議事録には、それまで被請求人が使用していた「NAFTA」ブランドに問題があることが判明したので、「NAFTA」商標に代わるものとして、被請求人の取締役会は「NASDAQ」を選んだことが述べられている。

被請求人が本件商標を採用する前は「NAFTA」というこれまた著名な用語をその商標として使用していたという事実は、著名な用語を無断でその商標に採用するという被請求人の特異な体質を物語るものである。本件において、被請求人が「NASDAQ」という著名な商標を選択したことも、そのような体質の延長線上にあるものである。

(3)被請求人は、「nasdaq」にかかる商品をヨーロッパ諸国や日本で販売しているとし、その英文の商品カタログとして、乙第15号証を提出している。なるほど、これらのカタログには、「nasdaq」という用語が使用されているが、それらは本件商標とは異なっており、本件商標を付した商品は一つも見当たらない。

また、被請求人は、日本における販売高は1999年が65万円、2000年が60万円と主張して、上記商品についての「nasdaq」の日本での使用により、請求人と誤認されたことはないと主張しているが、日本への輸入額は、年間でせいぜい60万円程度に過ぎないのであり、このような極めて微々たる数字をもって誤認の有無を論じるのは論外である。また、被請求人は、2001年以降の日本への輸入金額を明らかにしていないが、これは輸入実績がないという事実を示すものと思料されるところである。要するに、日本での使用に関して誤認のおそれがないという実質的な資料は何ら存在しないのである。

7.よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に該当するものであり、同法第46条第1項の規定により、その登録は無効とさるべきものである。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第18号証を提出した。

1.「NASDAQ」が請求人の役務「証券取引」について使用され、取引者、需要者に広く認識されている著名な商標であることは、被請求人も否定しない。しかしながら、仮にそうだとしても、本件商標は、請求人の「NASDAQ」とは全く無関係に採択されたものである。

(1)本件商標は、第9類、第25類及び第28類に属する前記のとおりの商品を指定商品とするものであるところ、本件商標に係る商品は、請求人が行っている「証券取引」とは全く関係ない商品である。これに関して、今日では、企業経営の多角化から、一企業がさまざまな分野の商品を扱っている事実を被請求人は否定するものではない。しかしながら、かかる事実は、全ての企業について当てはまるものではない。すなわち、銀行や証券会社等は、極めて限られた分野の業務を行っているにすぎず、たとえ、規制緩和が進んだとしても、これらの企業が、本件の指定商品のような「ヘルメット、被服、運動具」等、一般の消費財まで製造、販売することは一般的にはない。 これに関し請求人は、商標「NASDAQ」をセーター、帽子等に現実に使用し、これらの商品を販売していると主張しているが、このような事実は、我が国の本件商標の需要者、取引者の間では知られていない。また、請求人は、インターネット上で「NASDAQ」が使用された商品を掲載しているが、これは、単にインターネットにより、我が国で当該商品を購入することができるというだけにすぎず、我が国の者に対し積極的に宣伝し、広告しているわけではない。したがって、請求人が「NASDAQ」を使用した「セーター、帽子」等を販売し、これがインターネットを通じて購入することができるという事実では、「セーター、帽子」等の一般の商品について、「NASDAQ」が請求人の商標として広く認識されているということにはならない。いいかえれば、我が国の需要者、取引者により、請求人の「NASDAQ」は知られているが、それは「証券取引」に関するものとして知られているにすぎず、請求人がそれ以外の業務を行っている者としては知られていない。したがって、「NASDAQ」は、「証券取引」といった極めて限られた狭い範囲の分野における商標として著名なものにすぎないから、「NASDAQ」が請求人との関係で認識される範囲は一般の商品等を対象とした著名商標と比べて極めて狭いものである。それ故、「証券取引」と全く関係のない本件商標の指定商品について、「NASDAQ」を含む本件商標が使用されたとしても、これに接する需要者、取引者がこれを請求人の「NASDAQ」であると誤認することはあり得ないというべきである。

(2)本件商標は、英語で「New sport Articles of High Quality」を意味するイタリア語の「Nuovi Articoli Sportivi Di Alta Qualita」の頭文字「N・A・S・D・A・Q」を結合させて独自に作り上げれられた造語商標であって、請求人の商標と同じ綴りになったのは全くの偶然である。被請求人は、ヨーロッパを中心に本件商標と同一の商標を出願し、これらの商標は、1998年7月14日に登録第759423号としてイタリアで登録されたのを筆頭に、連合王国、デンマーク、ノルウェイ、スウェーデン、フィンランドにおいて登録されている。さらに、被請求人は、上記イタリア国登録759423号を基礎として、ドイツ、オーストリア、ベネルックス、中国、クロアチア、スペイン、旧ユーゴスラビアのマケドニア、ロシア連邦、フランス、ハンガリー、リヒテンシュタイン、モナコ、ポーランド、ポルトガル、朝鮮民主主義人民共和国、チェコ共和国、ルーマニア、サンマリノ、スロバキア、スロベニア、スイス、ユーゴスラビアを指定国として国際登録第704780号を取得している(乙第1号証ないし乙第7号証)。

被請求人は、1999年から日本、フランス、オーストリア、スイス、モナコ、英国、イタリアで商品の販売を開始し(乙第9号証ないし乙第15号証)、我が国においては、千葉県のロベット コーポレイションを通じて、1999年から商品の販売が開始された。1999年における我が国での「nasdaq」に係る商品の販売高は65万円、全世界では4570万円、2000年における我が国での販売高は60万円、全世界では3050万円である(乙第16号証)。このように、本件商標は、請求人とは全く関係なく、被請求人が独自に創造して採用した商標であり、更に、現実にヨーロッパの国々及び日本で現実に使用されているものであり、この使用について請求人と誤認されたことはない。

また、被請求人は、自己の商品に関する商品カタログについて、本件商標を使用しているが、これに接する需要者、取引者がこれを「証券取引」の請求人と混同したり、請求人を連想することはあり得ない。

2.以上述べた理由により、被請求人は、本件商標の採用について、請求人の商標に蓄積された信用や顧客吸引力を利用するような不正の目的は全くないから、本件商標の登録が公正な競業秩序を阻害し、公の秩序又は善良の風俗を害するようなことはあり得ない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第19号に該当しないというべきである。

3.本件の指定商品は、請求人の業務にかかる「証券取引」とは全くかけ離れた商品であるから、本件商標が指定商品について使用された場合、本件商標の指定商品にかかる需要者、取引者が請求人の業務にかかる商品であるかのごとく、商品の出所について誤認、混同を生じることはあり得ない。

よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。

第4 当審の判断

本件商標は、別掲のとおり、翼を拡げた鳥と思しき図形の中に「NASDAQ」の文字を配した構成よりなるものであり、全体として特徴のある図形と「NASDAQ」の文字とをまとまりよく結合した構成の商標と看取させるものである。そして、本件商標の指定商品は、第9類「原動機付き自転車・単車乗用車運転用の保安用ヘルメット,その他の保安用ヘルメット,スキー用ゴーグル,競泳用ゴーグル,航空機操縦士用ゴーグル,原動機付き自転車・単車乗用車用ゴーグル,ウエイトベルト,ウエットスーツ」、第25類「被服,履物,運動用特殊衣服,スキーブーツ,その他の運動用特殊靴」及び第28類「スキー,スキーエッジ,締め具,スクレーパー,ストック,スキー板用震動防止板,その他のスキー用具,スノーボード,ヘルメット,運動用固定式自転車,その他の健康の維持・増進を目的とする運動具,その他の運動具,スキーワックス」とするものである。

これに対し、引用商標は、請求人の提出に係る甲各号証によれば、全米証券業協会(NASD)が1971年に完成させたシステムで、売り値、買い値に関する情報をコンピューターを介して端末機に自動表示し、投資家や証券業者は、これによりいつでも店頭での相場を知ることができるシステムであって、これは上記システムを表す「National Association of Securities Dealers Automated Quotations」の頭文字に相当する造語と認められ、我が国においても請求人の運営する店頭株式市場そのものを意味するものとして、また、請求人の業務に係る証券取引の役務を表示する商標として需要者の間に広く認識されていたものと認められる。

そこで、本件商標の上記した指定商品と引用商標の役務「証券取引」とを検討するに、両者の商品又は役務は、当該商標の使用に係る事業者及びこれに接する需要者の範囲のみならず、取引場所、形態が大きく異なるものである。してみると、たとえ、請求人に係る引用商標が証券取引関連役務分野において広く認識されたものであるとしても、その周知、著名性が直ちに本件商標の指定商品の分野にまで及ぶとみるのは困難である。

そうすると、本件商標をその指定商品に使用した場合、その構成中の欧文字部分における綴りが引用商標と同じであるとしても、これより直ちに請求人の引用商標を想起、連想し、その商品が請求人又は請求人と関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないとみるのが相当である。

また、本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的な印象を与えるような文字からなるものでなく、本件商標を指定商品について使用することが社会公共の利益、一般道徳観念に反するものでもないし、他の法律によって、その使用等が禁止されている商標でもない。さらに、本件商標は、上記認定のとおりであり、請求人の業務に係る役務に使用する引用商標の出所表示機能を希釈化させたり又はその名声を毀損させ、他人に損害を加えることを目的に使用するなど不正の目的をもって使用するものとはいえないほか、本件商標が引用商標をそのまま剽窃したことを裏付ける確たる証左も見出せないところである。

したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第15号及び同第19号に違反してされたものではないから、商標法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。

よって、結論のとおり審決する。

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