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Trademark Appeal Case

不使用取消と駆け込み使用

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号取消2003−30181(T2003−30181/J2)
審判種別取消
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第3049055(以下「本件商標」という。)は、「福寿来」の漢字を横書きしてなり、平成4年7月31日に登録出願、第30類「野草をブレンドした茶,その他の茶」を指定商品として平成7年6月30日に設定登録がされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張

請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。

(1)取消事由

本件商標は、第30類「茶」について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取消されるべきものである。

(2)答弁に対する弁駁

被請求人は、「平成14年4月9日頃からそのデザインなどの検討を始め、同年12月3日からは商品のティーパック化粧箱に標章を付して使用している」と述べており、乙第1号証ないし同第6号証を提示している。

しかしながら、本請求人は、本審判請求の時点(平成15年2月14日)において、本件商標が被請求人により、指定商品第30類「茶」について使用されている事実は全く確認できなかったものである。

被請求人は、請求人と同じ沖縄県で営業する薬草販売の同業者であり、互いの店舗(インターネットのホームページを含む)についても熟知しており、全国各地で行われる各種の物産展においても互いに出展しており、そのような状況の中においても、被請求人が答弁書で提示する本件商標を使用した商品については、全く確認できていない。

被請求人は、平成14年12月3日より使用していると述べており、その証拠として、乙第3号証ないし同第6号証を提示しているが、これらは、化粧箱に関するものであり、単に化粧箱のみに商標を付しても指定商品第30類「茶」に使用したとはいえない。化粧箱に表示される16種類の薬草をブレンドした茶が製造され、そのブレンド茶がティーパックに詰められて、さらにそのティーパックが化粧箱に入れられて販売されて初めて商標の使用となるものであり、化粧箱に標章を付したのみでは、商標の使用とは認められない。

また、被請求人の主張するティーパック化粧箱に本件商標を付したのは、平成14年12月3日であり、本不使用取消審判請求日は、平成15年2月14日であるから、請求前3ヶ月以内であり、被請求人が本不使用取消審判請求がなされることを事前に知った後に使用されたもので、商標法第50条第3項に該当するものである。

被請求人は、乙第1号証において、商標権侵害についての経緯として述べているが、この中で記載されているとおり、パンフレット「沖縄ブランドのすすめ」に請求人の「福寿来」商品が掲載されたことに対して(社)発明協会沖縄県支部のM事務局長に抗議したことで、該事務局長が請求人に出向き、抗議があった旨、伝言されたとすることは事実である。しかしながら、「これからは使わないという了解を得た」とされているが、これは事実と異なる。事実は、「そのような抗議があったという事実を了解した」ということで、使わないと言ったものではない。

上記のパンフレット「沖縄ブランドのすすめ」は、沖縄県内で一定の知名度を有している商標を紹介するもので、その中に掲載されているように、1974年に創業し、沖縄県内での薬草メーカーの先駆けとして発展してきた会社である。その中で、パンフレットに記載されている「福寿来」商品は、1982年から現在まで販売され、他社商品にはない38種類ブレンド茶として請求人の主力商品の一つでもあり、沖縄県産業まつりや全国各地での物産展への出展や沖縄県優良県産品の推奨も受け、県内のみではなく、全国的にも一定の知名度を有している商品である。

このように、一定の著名性を有し、先使用権を主張できることが明白であるのに対して「抗議に対して使用しない」ということはありえない。と同時に、請求人としては、今後もこのような不合理な問題が発生しないように、対策をとることは当然のことであり、それまで被請求人が本件商標を使用していないことが明らかである場合に、その対策として「不使用取消審判請求」を行うことは、明白である。

従って、この問題の後、被請求人が不使用取消審判請求がなされることを恐れて、駆け込み使用を行おうとしたことは、明白である。

第3 被請求人の答弁

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第6号証を提出した。

(1)請求に対する答弁

被請求人が、本件商標の使用について平成14年4月9日頃からそのデザイン等の検討を始め、同年12月3日からは商品のティーパック化粧箱に標章を付して使用していることは明らかである。(乙第1号証ないし同第6号証)

また、被請求人は、使用開始のとき、請求人から本件商標の取消しの審判請求がされるおそれがあるということを知らなかった。

よって、請求人の本審判請求は失当であり、棄却されるべきである。

第4 被請求人に対する審尋及びその回答並びに回答に対する請求人の弁駁

(1)当合議体は、被請求人に対し、平成16年1月27日付けで要旨次のような審尋書を発した。

(審尋)

本件取消審判事件において、被請求人は答弁書を提出し、本件取消請求に係る指定商品「茶」の使用を証明する証拠書面として乙第3号証ないし同第6号証を提出した。

しかしながら、前記証明書は、いずれも「化粧箱」に関するものであり、本件取消請求に係る指定商品「茶」を商品として実際に取引していた事実を証する書面の提出はない。

しかして、被請求人が提出した乙第1号証(商標権侵害についての経緯の下段7行)において被請求人は「......そこで、当社は早速、本件商標を使用するための準備として企画を開始、平成14年の12月3日に商品が完成、販売をすることにしたが(乙第2号証ないし同第6号証)、販売するにしても後から類似品が出るような形となり逆にマイナスのイメージを消費者に与えることになる。このようなことから当社の商品(福寿来)は県外の物産展での販売を控え、現在においては、通信販売及び直営店のみでしか販売できない状況である。これまでの経緯で当社の商標(福寿来)は使用され続け物産展での販売ができずに損害を被りつづけている状況にある。」旨主張しているところである。

してみれば、被請求人は本件取消請求に係る指定商品「茶」を通信販売及び直営店で販売している事実があるわけであるから、その取引状況を証明する書面(例えば、納品書、領収書等の書面)を提出できるはずである。

よって、被請求人においては、上記書面(本件審判請求の予告登録前3年以内の書面)を、早急に提出されたい。

(2)被請求人の回答は、要旨次のように述べ、(ア)直営店である「平和通り店」及び「ちぐさ漢方堂」に係わる「納品書、日計表、入金伝票」(イ)物産展での販売として「写真、送り状」(ウ)通信販売として「カタログ」(エ)本社(事務所)として「販売取引の例」(オ)「福寿来」を付した商品現物を提出した。

(審尋に対する回答)

現在までの取引き状況

平成14年12月3日に福寿来の商品が完成、販売することにしたが、販売するにしても後から類似品が出るような形となり、弊社にとっては逆にマイナスのイメージを消費者に与えることになる。このようなことから弊社の商品(福寿来)は、県外で開催される物産展のうち最も重要な効果のある沖縄県主催の「沖縄の観光と物産展」での販売は控え、後記の方法に限定された物産展での販売と直営店での販売をいている。

直営店(平和通り店・ちぐさ漢方堂)での販売については、観光客、地元のお客様を対象に販売をし、弊社のシステムとしてお買い求めいただいたお客様にはレシートを渡し、領収書を要求された場合には記入して渡してる。一日の売上を平和通り店は日計表、ちぐさ漢方堂は入金伝票に記入し、日計取引レポートを貼り付け保管している。(日計表、入金伝票、取引ベツ日計レポート、日計取引レポート、領収書を添付)

物産展での福寿来の販売については、沖縄に観光でいらしたお客様が、直営店(平和通り店・ちぐさ漢方堂)で福寿来を買い求められ、気に入って物産展店頭に直接ご注文に来られた場合、次回の物産展の機会に販売させていただいている。ここでいう物産展とは、「九州物産展」や「全国うまいもの大会」、「千草物産販売会」など県外百貨店で行われます販売会のことをいう。なお、物産展の開催は、全国地域によって差があるが、主要都市百貨店へはほぼ毎月出展している。

なお、通常の弊社商品の通信販売に関しては、カタログを作成し、年に2回夏・冬のキャンペーンとしてダイレクトメールで郵送し通信販売をしている。

しかしながら、福寿来に関して、平成14年12月1日〜平成15年1月15日までのカタログには、掲載が間に合わず注文が取れなかった。その後、夏のキャンペーン(平成15年7月1日〜8月31日)カタログに掲載する予定であったが、平成15年3月14日付特許庁より審判請求書が届き、審判中の為夏(平成15年7月1日〜8月31日)、冬(平成15年12月1日〜平成16年1月15日)のカタログにも掲載できず、通信販売による注文が取れなくて困っている。(カタログ添付)

その他、本社(事務所)での取引事例を添付する。

(3)被請求人の回答に対する弁駁は、要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む。)を提出した。

(回答に対する弁駁)

回答書の被請求人の主張において、被請求人は、「平成14年12月3日に福寿来の商品が完成、販売することにしたが、販売するにしても後から類似品が出るような形となり、弊社にとっては逆にマイナスのイメージを消費者に与えることになる。」等と述べている。

しかしながら、薬草茶において、福寿来という名称の商品は、請求人の商品の方がはるかに早く(1982年販売開始)から継続して販売していることは、先の弁駁書にも記載したとおりであるが、さらに、甲第1号証ないし同6号証で説明すると、

甲第1号証は、請求人が現在販売している「福寿来」を商標とする商品であり、合計7種類の商品が販売されている。この「福寿来」商品が請求人の主力商品である。

甲第2号証は、商品別得意先売上表である。2002年11月1日から2003年3月2日までの約5ヶ月間の売上げを示すものである。被請求人の示す小売の納品書や物産展の送り状と比較すれば、その販売数の違いは一目瞭然である。

たとえば、被請求人の示す平成15年の1年間の小売個数と物産展での送り個数は合計でわずかに2百数十箱であるのに対して、請求人の示す売上表では、甲第1号証の商品の中で被請求人の商品にもっとも近い、番号5の商品においても、約5ヶ月で4千箱以上の売上げとなっている。

甲第3号証は、平成15年における関連する各種の物産展の開催状況を示すものである。また、甲第4号証は、これらの物産展における最近の出展状況を示す出店申込書類である。これらの物産展において、請求人の「福寿来」は、常に主力商品として販売されている。

甲第5号証は、請求人の「福寿来」商品がOEMとして、大手化粧品メーカーである(株)カネボウの系列会社である、(株)リサージLOSより、LISSAGE/福寿来として販売された健康茶のパッケージである。健康薬草茶関連業界においては、請求人の「福寿来」は薬草ブレンド茶の先駆けとして広く認知されているものである。

甲第6号証は、1992年9月6日付けの新聞:沖縄タイムスの記事である。この中の「情報発信 はばたく県産品」の特集記事で、「福寿来」が取り上げられた。その記事の中に「全国ネットのテレビ番組でも紹介され、1日だけの注文販売で5千袋の販売実績がある」と記されているが、このテレビ番組は、高島忠夫氏が司会を務める日本テレビの人気料理番組「ごちそうさま」のことであり、当時から大変な注目であった。

甲第7号証は、調味料の大手メーカーである味の素(株)の子会社である(株)アジツウの1990年の通販カタログである。この当時より、請求人の「福寿来」は、高級健康茶として注目を集めていた。

このように、請求人の「福寿来」は、すでに薬草ブレンド茶の代表的な商品として著名であり、薬草茶関連業界や全国の物産展を開催した多くの有名百貨店などでも広く認知されているものである。

被請求人が主張する「後から類似品が出るような形となり」などということはまったく、該当しない。

前回の弁駁書で述べたとおり、請求人としては、被請求人が請求人の主力商品である「福寿来」の商標登録をしたことに大変驚いているとともに、さらに、乙第1号証において示す、そのパンフレット「沖縄ブランドのすすめ」に請求人の「福寿来」商品が掲載されたことに対して(社)発明協会沖縄県支部のM事務局長を通して抗議してきたことは、常識を逸した行為であるとの認識である。

回答書において、被請求人は、取引状況について説明したが、これらは、上記の問題が露呈した後に、被請求人が不使用取消審判請求がなされることを恐れて、駆け込み使用を行ったものである。

また、本件商標を被請求人が使用したのは、平成14年12月3日であり、本不使用取消審判請求日は、平成15年2月14日であるから、請求前3ヶ月以内であり、被請求人が本不使用取消審判請求がなされることを事前に知った後に駆け込み使用されたものであることは明白で、商標法第50条第3項に該当するものである。

第5 当審の判断

(1)被請求人が本件商標の使用の事実を示すために提出した乙各号証及び審尋の回答に添付された各書類によれば、以下の事実が認められる。

(ア)乙第3号証(納品書)によれば、平成14年12月3日に被請求人がACMクリエイティブから「福寿来 ティーバック化粧箱」1000枚の納品を受けていること。

(イ)審尋に対する回答書に添付された書類(日計票、取引ベツ日計レポート、入金伝票、納品書、領収書)によれば、平成14年12月3日付けで被請求人は、同人の直営店である「平和通り店」に宅配業者の丸源急便株式会社によって「福寿来」を24個、同15年3月5日には20個配送していること。そして、同店において、同14年12月8日から本件審判請求の予告登録日である同15年3月12日までの間に合計20個の「福寿来」が売られたこと。同「ちぐさ漢方堂」については、前記「平和通り店」の納品方法とは異なるものの同商品が合計9個売られたこと。また、同人の本社(事務所)においても同14年12月10日付けで滋賀県在住の竹惣物産の竹中忠二郎に4個売られたこと。

(2)以上の事実を総合勘案すれば、本件商標は、被請求人により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標と社会通念上同一と認められる態様をもって、商品「茶」について使用されていたものと推認し得るものである。

(3)なお、請求人は、「本件商標の使用は、所謂『駆け込み使用』である。」旨主張しているので、この点について検討する。

請求人の主張する商標法第50条第3項の規定に該当するか否かについてみるに、該規定は、「商標権者等が本条の審判の請求がされることを知った後に登録商標の使用(所謂『駆け込み使用』)をしたことを請求人が証明した場合には、その使用は同条第1項に規定する登録商標の使用に該当しない。ただし、その登録商標の使用をしたことについて正当な理由があることを被請求人が明らかにしたときはこれを適用しない。」ことを趣旨とした規定である。

すなわち、被請求人による使用が審判請求前3ケ月から審判の請求の登録の日(予告登録日)までの間におけるものであって、本条の審判の請求がされることを商標権の譲渡交渉等何らかの事由によって被請求人が知った後の使用であることを請求人が証明したとき、その使用は、「駆け込み使用」であって同法第50条第1項に規定する登録商標の使用とは認められないことになる。

これを本件についてみるに、確かに、本件商標の使用時期は、前記事実認定のとおり、本件審判請求前3ケ月以内の使用と認められる。

しかしながら、前記法条に該当するための事実の立証は、請求人が責任を負うところ、同人は主張するのみで何ら立証するところがない。

してみれば、本件商標の使用は、商標法第50条第3項の規定の「駆け込み使用」と認めることができない。

そして、この認定を覆すに足りる証拠を見出すことができない。

追って、請求人は、甲第1号証ないし同第7号証(枝番号を含む)を提出しているが、これらの書証は、弁駁の趣旨に照らして、「駆け込み使用」を立証するための証左でないこと明らかである。

(4)むすび

以上のとおりであるから、本件商標は、商標法第50条の規定によりその登録を取り消すべき限りでない。

よって、結論のとおり審決する。

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