Trademark Appeal Case
地名と製法の結合の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2001−22507(T2001−22507/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
第1 本願商標
本願商標は、「鳴門炭干しわかめ」の文字(標準文字による。)を書してなり、第29類「干しわかめ,糸わかめ」を指定商品とし、平成12年9月1日に登録出願されたものである。
第2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『鳴門炭干しわかめ』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ、構成中の『鳴門』は、徳島県北東部に位置する市の名称であり、また、四国と淡路島の間にある海峡の名称であって、わかめの産地としても広く知られているから、本願指定商品との関係においては、商品の産地又は販売地を表示するものである。そして、『炭干しわかめ』は、『収穫後すぐに塩水で洗って、木炭をまぶし太陽の下で干したわかめ』を指称する語であるから、商品の品質・製法を表示したものとみるのが相当である。そうとすれば、本願商標をその指定商品中、前記商品に使用するときは、単に商品の産地又は販売地・品質及び製法を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
第3 当審における職権証拠調べ通知
当審において、本願について改めて証拠調べを行った結果、本願商標をなお、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当すべきものとする新たな証拠を発見したので、同法第56条において準用する特許法第150条第5項の規定により、請求人に対し、期間を指定して意見を述べる機会を与えて通知した証拠調べ通知書の内容は以下のとおりである。
1 株式会社ジー・サーチの提供に係る「G−Search新聞記事情報データベース」により、各紙の新聞報道における以下の記事紹介が認められる。
(1)「『海の恵みは今』(7)鳴門ワカメ(徳島)伝統の灰干しと決別 地方紙8社合同企」の見出しのもと「灰干しの主産地だった鳴門市の里浦地区。今、新たな加工技術が定着してきた。活性炭の粉末を使った方法だ。 活性炭をまぶして、芝の上で天日干しにする。夕方前に水をかけ、また翌日、天日干しにする。これを三、四日繰り返す。その後、冷蔵管理し、出荷する。一連の作業で灰干しとほぼ同じ効果が得られるという。 同地区のワカメ養殖者は八十人。半数がこの『炭干し』を選び、半数は塩蔵の道を進んだ。」との記事紹介。(2003.09.09 高知新聞社 朝刊 24頁)
(2)「<海の恵みは今>(2)ワカメ 徳島県鳴門海峡 伝統製法に新環境基準の壁」の見出しのもと「灰干しの主産地だった徳島県鳴門市の里浦地区。今、新たな加工技術が定着してきた。活性炭の粉末を使った方法だ。活性炭をまぶして、芝の上で天日干しにする。夕方前に水をかけ、また翌日、天日干しにする。これを三、四日繰り返す。その後、冷蔵管理し、出荷する。一連の作業で灰干しとほぼ同じ効果が得られるという。同地区のワカメ養殖者は八十人。半数がこの『炭干し』を選び、半数は『塩蔵』の道を進んだ。」との記事紹介。(2003.08.21 神戸新聞社 夕刊 8頁)
(3)「海の恵みは今 地方紙8社企画 <4> 鳴門ワカメ 時代に適応 ブランド守る」の見出しのもと「灰干しの主産地だった鳴門市の里浦地区。今、新たな加工技術が定着してきた。活性炭の粉末を使った方法だ。活性炭をまぶして、芝の上で天日干しにする。夕方前に水をかけ、また翌日、天日干しにする。これを三、四日繰り返す。その後、冷蔵管理し、出荷する。一連の作業で灰干しとほぼ同じ効果が得られるという。同地区のワカメ養殖者は八十人。半数がこの『炭干し』を選び、半数は『塩蔵』の道を進んだ。」との記事紹介。(2003.08.21 中国新聞社 夕刊)
(4)「<味彩々 ひょうごを食べる>灰ワカメ/潮風と夜露はぐくんだ風味/淡路/(写真、地図付き)【淡路2】【二神】【二阪】【広域版】【広域B】【東播2】【北播2】【播磨版】【第2但馬】」の見出しのもと「数年前、質の良い草木灰が手に入りにくくなり、存続が危ぶまれた。が、活性炭に切りかえることで難を乗り越えた。しかし、三十年前はほとんどの組合員が作っていたという阿那賀漁協でも、現在続けているのはわずかに七業者だけ。」との記事紹介。(2003.02.15 神戸新聞社 朝刊 25頁)
(5)「生き残りへ活性炭で灰ワカメ/生産ピークへ/西淡町・阿那賀/(写真付き)【淡路版】」の見出しのもと「良質な草木灰の入手が困難となり一時は存続が危ぶまれた灰ワカメだが、新たに活性炭を使って生き残りをかける。冷たい西風が吹くなか、生産者は早朝から乾燥作業に精を出している。 地元漁協の要望で二年前、県但馬水産事務所試験研究室(城崎郡香住町)が活性炭をベースにした新灰の開発に着手。昨シーズンは本格的な試験生産に取り組み、ほぼ一年かけて品質をチェックしてきた。 その結果、ワカメの青みと食感が長期間保存できる『従来通りの製品が出来つつあり、あとは灰に含まれるアルカリの度合いの微調整を残すのみ』(同研究室)という。」との記事紹介。(2002.02.14 神戸新聞社 朝刊 24頁)
(6)「[みなと]淡路島の冬の風物詩、灰ワカメづくりが活性炭を使って2年ぶり復活」の見出しのもと「生ワカメに灰をまぶし、さおに干して乾燥させるが、良質の草木灰の入手が難しく昨年は中止され、活性炭を初めて使って復活した。 ▽...灰ワカメは長期保存でき、ゆでて粗塩をまぶす塩蔵ワカメより緑色が鮮やかで歯触りもいい。しかし、灰不足と後継者難で阿那賀漁協ではこの10年で生産量が半減した。 ▽...活性炭に替え再開したのは9軒。今冬は雨が多く、寒さも厳しかったため良質といい、漁業堀秀明さん(59)は『活性炭でもおいしさは同じ』。」との記事紹介。(2001.02.13 読売新聞社 大阪夕刊 19頁)
(7)「冬の訪れ告げる種つけ/影落とす灰ワカメ生産休止/原材料開発 望み託す/西淡町伊毘地区/(写真付き)【淡路版】」の見出しのもと「地元漁協などの要望で兵庫県立水産試験場但馬水産事務所が、食品添加物として認められた活性炭を用いた灰ワカメの製造技術の開発に取り組んでいる。」との記事紹介。(2000.11.23 神戸新聞社 朝刊 22頁)
2 各種商品を紹介するインターネットのホームページにおいて、以下の掲載が認められる。
(1)「本場炭干わかめ」(http://www.jtbsouvenir.co.jp/research/academy/entry.html)
(2)「高級お料理用 炭干し鳴門糸若布 2月から3月に採れる一番採り最高品質の糸若布を、人の目と手で1本1本選別しています。海から採って炭をむらなく付け、天日で乾かし作り上げた逸品です。一度も茹でていないので味も香りも全く違います。江戸時代からの伝統技術『灰干し』が出来ない現在、もっとも近い製法の炭干しを是非、お召し上がり下さい。 セット内容:鳴門 炭干し糸若布80g×3袋(1セット)」(http://www.umai-mon.com/user/scripts/p_product.php?product_id=5913#)
(3)「〜徳島県鳴門市里浦〜 鳴門海峡大磯崎若布漁師の会(2003.8.28訪問) 鳴門炭干しワカメ&減農薬鳴門金時芋 伝統の名産品を新技術で守る」(http://www.fu-do.com/story/sss/naruto/sss.naruto.1.html)
第4 当審の判断
当審において、請求人に対し、新たに上記第3の内容の職権証拠調べの結果を通知し、相当の期間を指定して回答書を提出する機会を与えたが、その後、請求人からは、何らの意見、応答もない。
よって検討するに、本願商標は、前記第1のとおり「鳴門炭干しわかめ」の文字よりなるものであるところ、その構成中「鳴門」の文字は「徳島県北東部に位置する市の名称、四国と淡路島の間にある海峡の名称」として知られているものである。
一方、上記第3の職権証拠調べ通知で提示したとおり、徳島県鳴門市及び兵庫県淡路島において、干しわかめづくりに従来から利用されていた「灰」にかわって「炭」(活性炭)が利用されている事実がある。
以上よりすれば、本願商標を「徳島県鳴門市又は兵庫県淡路島で炭(活性炭)を用いて製造された干しわかめ及び糸わかめ」について使用するときは、単にその商品の産地、品質及び製法を表すにすぎず、またこれを上記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがある。
したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。