結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2002−31446(T2002−31446/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第924986号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、第10類「理化学機械器具、光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、測定機械器具、医療機械器具、これらの部品および附属品、写真材料」を指定商品として、昭和43年9月2日に登録出願、同46年8月23日に設定登録、その後、指定商品中「光学機械器具、写真機械器具、映画機械器具、これらの部品および附属品、写真材料」についての登録を取り消す、との審決が確定し、その登録が平成3年6月28日にされ、また、指定商品を第5類「医療用腕環」、第9類「理化学機械器具,測定機械器具」、第10類「医療用機械器具 」、第12類「車いす」に書換える登録が同14年8月7日にされたものであり、その商標権は現に有効に存続しているものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「測定機械器具」について登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
請求人の調査によれば、被請求人は、本件商標を少なくとも、第9類の指定商品中、「測定機械器具」については、継続して3年以上日本国内において使用していない。また、本件商標について専用使用権者は存在せず、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中上記商品につき使用されていないものである。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、本件商標につき請求の趣旨どおりの審決を求める次第である。
被請求人によって提出された乙各号証によっては、本件商標の使用事実は証明されていないから、本件商標の登録は、取り消されるべきである。
(1)乙第1号証ないし乙第4号証について
被請求人は、「本件商標は、本件審判請求前の平成14年中に、通常使用権者が各種の測定機械器具について現実に日本国内で使用していることは乙第1号証ないし乙第4号証より明らかである。」と主張する。また、当該通常使用権者が、アイコーエンジニアリング株式会社(以下「アイコーエンジニアリング」という。)であると説明する。
しかしながら、商標登録原簿(甲第1号証)をみても、当該アイコーエンジニアリンが、通常使用権者として登録されている事実はない。また、被請求人は、アイコーエンジニアリンが、本件商標についての通常使用権者であると主張するのみで、通常使用権の許諾の事実について、何らの具体的な立証を行っていない。我が国商標法上、本件商標が商標権者又は専用使用権者ないし通常使用権者によって使用されたかどうかの立証責任は、全面的に、商標権者である被請求人にあることはいうまでもなく、被請求人は、この立証責任を尽していないことは明らかである。
よって、乙第1号証ないし乙第4号証までの書証では、被請求人の通常使用権者による本件商標の使用であると認定することはできないことは明らかである。
なお、さらに、付言すれば、本件商標は別掲のとおり一見して認識できる特殊なデザイン化された文字からなる独特の商標である。これに対して、上記乙各号証に表れる文字は、「AIKOH」の通常の活字体からなる文字のみである。両商標は、称呼において同一であるから類似する商標であるとしても、一見して明らかに外観上の印象を顕著に異にしており、同一性のある商標ということはできない。よって、かかる観点からも、上記乙第1号証ないし乙第4号証は、本件商標の使用を立証するものではない。
(2)乙第5号証ないし乙第8号証について
被請求人は、上記各号証を提出し、「本件商標は(被請求人である商標権者が)、本件審判請求前の3年以内に測定機械器具としての絶縁アンプ、血液測定器や温度測定器の主要な電気部品に使用していたことも明確である。」と主張する。
しかしながら、乙第5号証は、「絶縁増幅器」の商品カタログであるとの説明がなされており、また、同カタログの表紙にも、明確に、「絶縁増幅器/AMPET/ISOLATION AMPLIFIERS」の表示がなされている。
乙第6号証は、「対数変換器」の商品カタログとされ、同カタログ表紙にも、明確に、「対数変換器」の表示がある。
答弁書においては、当該商品について、「乙第6号証の商品カタログに掲載されている対数変換器は、測定機器や制御機器などの主要電気部品として使用されている。」との、説明がなされている。この点、同第6号証の商品カタログには、例えば、同2頁において、「UV測定、イオン電流、放射線々量及び入力ダイナミックレンジの広いカラー分析等に最適な増中器であります。」との説明があることからもわかるように、本「対数変換器」は、電気信号の増幅を目的とする一種の「増幅器(アンプ)」であると理解できる。
乙第7号証は、「絶縁増幅器」のカタログであり、また、乙第8号証は、「温度変換器として使用する絶縁増幅器の写真」との説明がそれぞれなされている。
以上のとおり、乙第5号証ないし第8号証は、すべて、「絶縁増幅器」又は「増幅器」に関するものである。
しかしながら、これらの増幅器は、あくまで、電流や電圧等の電気信号を増幅することを目的とするものであり、具体的な数値を計測することを目的とする測定機械器具自体ではないことは明らかである。
請求人は、同増幅器が、測定機械器具の部品として使用される可能性を否定するものではない。しかしながら、当該増幅器は、機械の中で電気信号を増幅することを必要とするもの、たとえば、心電図のような医療用機械器具やその他の機械器具の部品としても使用されるものである。この点、たとえば、乙第5号証においても、同4頁において、「今回、より低価格化を計り、計測、医療等の分野に広くご使用頂ける2ポートタイプ形式2ZO1Hを発売いたします。」との説明がされており、同説明からもわかるように、本商品は、測定機械器具にのみ使用されるものではないし、測定を目的とする測定機械器具それ自身でないことは明らかである。
(3)甲第3号証は、「アイソレーションアンプ(絶縁増幅器)」についてのインターネットを通じて抽出した資料(オリツクスレンテック(株)のホームページからの抽出物である。ここでは、「アイソレーシヨンアンプは、図5のように入力と出力の回路が絶縁された増幅器です。」との説明があり、またその用途については、「アイソレーシヨンアンプは、大きなコモンモードノイズの排除や安全の確保を目的として、工場やプラント、そして医療器具などの様様な場所で用いられています。」との説明がなされている。
(4)甲第4号証は、国際分類第8版からの抽出物であるが、ここでは、「Amplifier」は、「増幅器(電気通信機械)、増幅器(電子応用機械)(11BO1、11COl)」として、「電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」の概念に分類されている。
以上詳述したとおり、甲第5号証ないし甲第8号証に示された、「絶縁増幅器」及び「増幅器」は、我が国商標法上の「測定機械器具」の概念に属する商品ではない。
よって、上記各号証は、本件商標が、その指定商品中、「測定機械器具」に使用されていることを立証するものではない。
(5)以上述べたとおり、被請求人によって提出された乙各号証によっては、本件商標の使用事実は証明されていないから、本件商標は、その指定商品中の「測定機械器具」について、その登録を取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第14号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、登録商標の使用説明書(1)及び(2)によって、本件商標の指定商品中「測定機械器具」について、本件審判請求前3年以内に、日本国内において使用されていた事実を明確にし、本件審判請求が成り立たないことを明らかにする。
(2)登録商標の使用説明書(1)は、通常使用権者であるアイコーエンジニアリングの使用事実を示す説明書である。この登録商標の使用説明書(1)には、乙第1号証ないし乙第4号証が添付してある。
本件商標は、本件審判請求前の平成14年中に、通常使用権者が各種の測定機械器具について現実に日本国内で使用していることは乙第1号証ないし乙第4号証より明らかである。加えるに、本件商標は通常使用権者が10年以上前から現在まで引き続き各種の測定機械器具に使用している商標である。
次に、登録商標の使用説明書(2)は、被請求人(商標権者)であるアイコーデンキの使用事実を示す説明書である。この登録商標の使用説明書(2)には、乙第5号証ないし乙第8号証が添付してある。
本件商標は本件審判請求前の3年以内には、測定機械器具としての絶縁アンプ、血液検査測定器や温度測定器などの主要な電気部品に使用されている。
以上より分かるとおり、本件商標は、通常使用権者が本件審判請求前の平成14年には各種の荷重測定器などに使用していたことは明確であり、また、被請求人である商標権者が本件審判請求前の3年以内に測定機械器具としての絶縁アンプ、血液測定器や温度測定器の主要な電気部品に使用していたことも明確である。
なお、上記した荷重測定器、絶縁アンプ、血液測定器、温度測定器が第9類の「測定機械器具」に属することについては明らかなところである。
(1)通常使用権の許諾
被請求人は、アイコーエンジニアリングが本件商標の通常使用権者であることを証明するため、乙第9号証(通常使用権許諾証明書)、乙第9号証の1(商標権者の報告書)、乙第9号証の2(通常使用権者の報告書)として提示する。
上記乙第9号証、乙第9号証の1、乙第9号証の2より、商標権者である被請求人が昭和51年11月にアイコーエンジニアリングに対し通常使用権を許諾し、また、アイコーエンジニアリングが通常使用権に基づいて商標「AIKOH」を各種の測定機械器具に使用していることは明確である。
なお、通常使用権は許諾によって発生し、商標登録原簿の登録が発生要件ではない。
したがって、乙第1号証ないし乙第4号証は、通常使用権者が製造、販売している測定機械器具に本件登録商標を使用していることを示す証拠として充分なものである。
(2)登録商標の同一性
商標法第50条第1項に規定されている登録商標には、「書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標」が含まれる。
したがって、乙第1号証ないし乙第4号証に使用される商標「AIKOH」は、別掲の本件商標の書体に変更を加えた商標であり、社会通念上同一と認められる商標である。
確かに、乙第1号証ないし乙第4号証に使用されている商標「AIKOH」は、標準文字に近い字体となっており、別掲の本件商標は、大文字と小文字の結合字体にアンダーラインを付した商標となっていることから、物理的に同一商標ではないが、社会通念上同一と認識し得る商標である。
特許庁は、社会通念上同一と認識し得る商標として運用の事例を発表しているので、この運用の事例を乙第11号証として提示する。
この乙第11号証によれば、書体のみ変更を加えた同一の文字からなる商標として、ローマ字の大文字と小文字の相互間の使用、外観において同視される図形からなる商標として、図形商標に多数の横線を加えた商標が登録商標の使用として認められている。
そして、文字にアンダーラインを付した商標とアンダーラインを付さない商標の相互間の使用については、従来から登録商標の使用として認められている。この事例として乙第12号証を提示する。
上記した乙第11号証及び乙第12号証から明確であるように、乙第1号証ないし乙第4号証に使用されている商標「AIKOH」と別掲の本件商標の相互間の使用は、登録商標の使用である。
(3)絶縁増幅器及び増幅器は測定機械器具の主要部品
電圧増幅器、電流増幅器、電力増幅器は一般の増幅器として、「電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」の概念に分類されるが、絶縁増幅器又は対数変換器は、増幅器、DC−DCコンバータ、発振器、絶縁用の変圧器、整流器などが主な構成要部となった多機能化された電気部品であり、「電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」の概念に分類されるとは限られない。
すなわち、商品の中には、同じ商品表示であっても、その用途等によって、複数の商品区分あるいは異なる商品に属することとされているものもある。
本件商標の指定商品である「測定機械器具」に属する商品の中にも、例えば、抵抗器、接続器等の例示のように、基本的には「測定機械器具」に属する商品ではあるが、その形態、寸法等の特殊なもので「電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」の部品としてのみ使用されるものは、電気通信機械器具又は電子応用機械器具の部品に属する商品として、同じ商品表示をもって例示されている。
そして、絶縁増幅器又は対数変換器は、増幅機能、DC−DCコンバータ機能、発振器機能、変圧器機能、整流器機能などの多機能をもった電気部品であり、その用途、形態が多様なものである。
そうとすれば、甲第4号証に示されている増幅器は、その用途等から電気通信機械器具の部品としてのみ使用される増幅器または電子応用機械器具の部品としてのみ使用される増幅器と判断するのが相当であり、これのみをもって、すべて「増幅器」と称される商品が「電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」に属する商品であると判断することはできない。
しかして、被請求人の製造・販売に係る「絶縁増幅器」は、乙第5号証の商品カタログをはじめその他の乙号証より明らかであるように、変圧器、DC−DCコンバータ等の用途のもとに、温度測定器、温度計等に使用され、また、乙第6号証の商品カタログの対数変換器は血液検査測定器などに使用されるものであるから、「測定機械器具」に属する商品であり、「電気通信機械器具」又は「電子応用機械器具」に使用される仕様のものがあったとしても、「測定機械器具」に属する商品として使用されていたことを否定し得ない。
なお、請求人が提示した甲第3号証は、「計測に関する知識」の資料であり、ここに紹介されている「アイソレーシヨンアンプ(絶縁増幅器)」が計測器に使用される商品であることを示しており、また、この資料には、「アイソレーシヨンアンプ」が、工場やプラント、そして医療器具など様々な場所で用いられていることについても記載されている。
したがって、甲第3号証からも、「絶縁増幅器」が用途、形態において多様なものであり、「測定機械器具」の商品として使用されていることが分かる。
乙第5号証の「絶縁増幅器」は、多機能化された電気部品であるから、その機能を生かすことにより、温度測定器等の測定機械器具に使用する商品となる。したがって、測定機械器具の機能部品として使用すれば、測定機械器具に属する商品となる。また、「絶縁増幅器」は測定機械器具それ自体ではないが、「測定機械器具」は包括概念表示であるから、上記した「絶縁増幅器」のような主要部品となるものは、「測定機械器具」に属する商品となることは明らかなところである。
次に、乙第5号証の商品カタログに掲載されている3Z200型の絶縁増幅器を用いて温度測定器が構成された具体例について説明する。
乙第13号証として提示した回路ブロック図は、上記商品カタログに記載されているブロックダイヤグラムに、温度センサー100と表示器200とを備えた温度測定器の回路ブロック図である。
この図において、絶縁増幅器(3Z200)300は、OPアンプ(差動アンプ)301、変調器302、信号用トランス303、復調器304、OPアンプ(電圧ホロア−)305、発振器306、電源用トランス307、入力側整流器308、出力側整流器309が主な構成部となっている。なお、401〜403は抵抗である。
温度センサー100は、熱電対101、室温を基準温度とするための冷接点補償器102、抵抗103から構成されている。
この温度測定器は、端子14、15にDC電源を接続し、発振器306、電源用トランス307を介して整流器308、309に交番電圧を与えることにより、これら整流器308、309によって各回路部が給電される。
そして、温度センサー100の熱電対101によって検出された検出信号(DC信号)は端子1、2、3より絶縁増幅器300に入力し、OPアンプ301によって基準温度の差信号が求められ、その差信号である検出信号が変調器302によって変調される。
したがって、上記の検出信号が信号用トランス303を介して復調器304に伝達され、復調された検出信号(DC信号)がOPアンプ305、端子9、10、11を介して表示器200に送られ、この表示器200により検出された温度が表示される。このように絶縁増幅器300が温度測定器の主要な電気部品となっている。
また、上記した絶縁増幅器(3Z200)300を用いて荷重測定器を構成することができる。この場合には、端子5、7の出力電圧を荷重側定物に印加する。
そして、荷重測定物に荷重を加えることによって生じる荷重測定物の抵抗変化を検出し、この検出信号を端子1、2、3に入力することによって、絶縁増幅器300の上記した動作により、表示器200により荷重測定値を表示させることができる。
次に、乙第6号証の商品カタログに掲載されているLOG6011型の対数変換器を用いて血液検査測定器が構成された具体例について説明する。
乙第14号証は血液検査測定器の回路ブロック図である。なお、図面ではセンサーが省略してある。
この血液検査測定器は、検査する血液光信号をフォトダイオード501によって受光し、基準となる血液光信号をフォトダイオード502で受光する。なお、このような血液光信号はセンサーより出力される。
そして、フォトダイオード501の光電変換信号SIとフォトダイオード502の光電変換信号S2が対数変換器(LOG6011)503によって、それらSI、S2の比の対数が演算され、対数変換信号がバッファ504を介してモード選択器505に送られる。
また、対数変換器503が出力する対数変換信号が今一つの対数変換器(LOG6011)506によって逆対数に演算され、逆対数変換信号がバッファ507を介してモード選択器505に送られる。
したがって、モード選択器505が図示する選択状態にあるときは、逆対数変換信号、つまり、光電変換信号SI、S2の比がアンプ508を介して表示器(DPM)509に送られ、この表示器509によって血液検査値がパーセント表示される。
モード選択器505を切換えると、対数変換信号がアンプ508を介して表示器509に送られ、血液検査値が対数表示される。したがって、高精度で血液検査の測定を行なうことができる。
このように対数変換器が血液検査測定器の主要部品となっている。
また、上記した血液検査測定器は、センサーを変えることにより、比色計として使用することができる。
なお、乙第13号証に示す温度測定器の絶縁増幅器300は、ユーザーの要望によって他の部品を付ける場合があり、このような絶縁増幅器は温度測定器専用部品となる。
乙第14号証に示す血液検査測定器の対数変換器503、506は乙第6号証の商品カタログに記載された回路構成となっているが、この対数変換器についてもユーザーの要望により他の部品を付けることがあり、このような対数変換器は血液検査測定器の専用部品となる。
(4)まとめ
上記したように、乙第9号証、乙第9号証の1、乙第9号証の2よりアイコーエンジニアリングが通常使用権者であることは明白であり、乙第1号証ないし乙第4号証より、通常使用権者が測定機械器具に商標「AIKOH」を使用していることも明らかである。
また、商標「AIKOH」が本件商標の使用であることは、乙第10号証、乙第11号証、乙第12号証によって明らかである。
一方、上記したとおり、「絶縁増幅器」又は「対数変換器」が「測定機械器具」に属することは明白であり、これら絶縁増幅器と対数変換器に本件商標が使用されていることも乙第5号証ないし乙第8号証より明らかである。
また、絶縁増幅器が温度測定器や荷重測定器などの測定機械器具を構成していること、対数変換器が血液検査測定器や比色計などの測定機械器具を構成していることが乙13号証及び乙第14号証より明らかである。
したがって、「各乙号証によっては、本件登録商標の使用事実は証明されていないから、本件商標登録は、その指定商品中の「測定機械器具」についてその登録を取り消されるべきである。」とする請求人の主張は不相当である。
通常使用権は、商標権者又は専用使用権者との使用許諾契約に基づいて発生するものであるところ、右契約は、商標権者と使用者との意思表示の合意によって成立し、口頭による契約も認められるものと解される。
これを本件についてみるに、通常使用権許諾証明書(乙第9号証)によれば、商標権者であるアイコーデンキ株式会社は、昭和51年11月から平成12年12年25日現在までアイコーエンジニアリングとの間で、本件商標について、通常使用権を許諾していることが認められる。
乙第1号証ないし乙第4号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)乙第1号証は、商品カタログであって、表紙左上部に「AIKOH」、「ENGINEERING」(「ENGINEERING」の文字は「AIKOH」の文字の半分程度)及び「VOL.15.0」(「AIKOH」の文字よりやや小さい)の記載、その下上部中央に「車載用電子部品・機構部品/荷重評価測定器」の表題があり、次頁以降に各種荷重測定器の外トルク・角度測定器、電子部品強度評価測定器等の商品表示の下に、商品説明とともに現物写真が掲載され、裏表紙の右下に「02−06・7,000」の記載がある。
(2)乙第2号証は、商品カタログであって、表紙左上部に「AIKOH」、「ENGINEERING」(「ENGINEERING」の文字は「AIKOH」の文字の半分程度)及び「VOL.13.1」(「AIKOH」の文字よりやや小さい)の記載、その下上部中央に「携帯電話・PHS・ノートパソコン/基板実装・電子部品 物性評価試験器」の表題があり、次頁以降に各種荷重測定器の外トルク・角度測定器、電子部品強度評価測定器等の商品表示の下に現物写真が掲載され、裏表紙の右下に「02−05・12000」の記載がある。
(3)乙第3号証は、商品カタログであって、表紙左上部に「AIKOH」、「ENGINEERING」(「ENGINEERING」の文字は「AIKOH」の文字の半分程度)、右上部に「総合カタログ」及びその下に「VOL.10.3」の記載があり5頁以降に各種測定器の商品表示の下に、商品説明とともに現物写真が掲載され、裏表紙の右下に「02−06・3000」の記載がある。
(3)乙第4号証は、2002年(平成12)年9年20日発行の「エレクトロニクス実装技術」の表題がある工業雑誌であって、19頁の左上部に「半導体・電子部品物性評価試験機」、右上部に「アイコーエンジニアリング(株)」の記載があり、商品写真とともにその説明が掲載されている。
(4)以上の乙第1号証ないし乙第4号証によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録日(平成15年1年22日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品中の「測定機械器具」の範疇に属する「荷重評価測定器、トルク・角度測定器、電子部品強度評価測定器」について「AIKOH」の通常の活字体からなる商標を使用していたというべきである。
本件商標は、別掲のとおり、共にややデザイン化した「A」の大文字と「ikoh」の小文字を一連一体に結合させ、該「A」の右下から接続させたアンダーラインを配してしてなるものであって、アンダーラインを有しているとしても一見して「Aikoh」の文字よりなるものであることが明らかである。
これに対し、乙第1号証ないし乙第4号証のカタログで使用されている使用商標は、「AIKOH」の通常の活字体からなる文字を横書きしてなるものである。
しかして、本件商標と使用商標とは、デザイン化、文字の大きさ及びアンダーラインが配されている点において異なるところがあるとしても、書された文字は同一綴りである「Aikoh」と「AIKOH」の各文字であり、共に「アイコー」称呼を生ずるものである。また、配されているアンダーラインも附飾的なものであって、全体を著しく変更するとはいえないものである。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上の同一の範囲内における変更とみるのが相当である。
上記2(4)で認定したとおり、被請求人の使用に係る「荷重評価測定器、トルク・角度測定器、電子部品強度評価測定器」は、本件商標の指定商品中の第9類「測定機械器具」に属する商品ということができる。
したがって、本件商標の指定商品中、第9類「測定機械器具」についての登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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