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Trademark Appeal Case

極寒一本挽の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2000−20451(T2000−20451/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「極寒一本挽」(筆文字書体)の文字を縦書きしてなり、第30類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年10月8日に登録出願され、その後、指定商品については平成12年9月13日付けの手続補正書により「うどんのめん,そばのめん,中華そばのめん」に補正されたものである。

2 原審における拒絶理由の要点

本願商標は、構成中の「極寒」の文字部分は「きわめて寒いこと。また、その時節」の意味を、また、「一本挽」の文字部分は指定商品との関係では「一本挽き粉」(小麦の製粉行程において、上がり粉を採り分けずに全部を混合して製粉としたもの)をいうものと認められるから、これを本願指定商品中そうめんのめん等に使用しても、単に一本挽き粉を用いて極寒の時期に生産したものであることを、また、上記一本挽き粉に使用するときは極寒の時期に製粉したものであることを表示するにすぎないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。

また、本願商標は、「一本びき」の文字からなる登録第1865962号商標(昭和58年2月14日登録出願、同61年5月30日に設定登録され、第32類に属する商品を指定商品とする。)を引用して、本願商標は商標法第4条第1項第11号に該当する。

3 当審の判断

本願商標は、上記のとおりの構成よりなるところ、原審の拒絶理由において説示するように、その構成中の「極寒」の文字が「きわめて寒いこと。また、その時節」を意味する語であることは、例えば、岩波書店発行「広辞苑第5版」の記載から明らかであり、「一本挽」の文字部分については、「丸善食品総合辞典」(平成10年3月25日丸善株式会社発行)の「ストレート粉」の項に「一本挽き粉ともいう。小麦の製粉行程において、上がり粉を採り分けずに全部を混合して製品としたもの。」と解説されていることからも、「一本挽」の文字は製粉方法(挽き方)の種類を意味する語と容易に理解されるものといい得るところである。

そして、商品「麺類」を取り扱う業界においては、極寒の時期に生産された商品であることを示すために「極寒」の語が普通に使用されている。このことは、例えば、以下の新聞報道記事やインターネットのホームページ情報からも首肯し得るものである。

(1)「極寒」関係

a)2002.7.10付「読売新聞、東京朝刊」

[情報ランド]麺の欄中の「奈良」の項における、「極寒のころ、手延べで作る昔ながらの製法も残る。」との記述。

b)1999.4.14付「日本食糧新聞」

「乾麺特集・第2部:淡路島地区手延べ麺」の見出し下に、「淡路島の手延べそうめんは生産は二日工程を守ってつくられており、...1〜2月の極寒製で約100箱ほどが生産された。」との記述。

「同:小豆島手延素麺協同組合・山下正弘専務理事に聞く」の見出し下に、「...伝統的に受け継がれた技術で極寒の時期のみにつくった選び抜いた、こだわりの商品です。」との記述。

c)1997.7.26付「日本食糧新聞」

「乾麺特集・手延べ麺 大矢知手延素麺組合・渡邊組合長に聞く」の見出し下に、「...歴史と伝統に培われた手延べそうめん・ひやむぎの一大ブランド『三重の糸(極寒製)』などを製造・販売している...」との記述。

d)1996.5.18付「日本食糧新聞」

「乾麺特集 播州地区手延べ麺=イトメン『月の輪』」の見出し下における、「『月の輪』は播州の手延べ製法で、10月から4月までの寒の期間に生産される。...極寒製の50gにつき...」との記述。

e)1993.4.28付「日本食糧新聞」

「スズキ麺工 『備中庵そうめん<極寒製>』原料・製法にこだわり4月から発売」との見出しの記述。

f)1992.5.12付「日本食糧新聞」

「乾麺特集=淡路島・御陵糸、増産難しい手作業」の見出し下に、「...『おのころ糸』は12月から2月までの極寒製として生産が行われている。」との記述。

g)「http://www.kcn.ne.jp/~somen/itonami.html」(インターネット情報)

「三輪素麺一年のいとなみ」の表題下における「そうめん作り」の欄に、「極寒期、そうめん作りがはじまります。...」との記述。

(2)「一本挽」関係

そば等の麺類については、一本挽き粉を使用した商品が市場に出回っており、この種業界においては、該商品を表示するために「一本挽き」の語が普通に用いられている。

このことは、例えば、以下の新聞報道記事やインターネットのホームページ情報からも首肯し得るものである。

a)2003.5.31付「日本食料新聞」

「全国麺類特集:長野地区動向=信州そば各社の取組み」の見出し下に、「自社製粉・製麺の一貫体制と製品の全てに『一本挽きそば粉』を使用しているのが特長。」との記述。

b)2003.4.30付「日本食料新聞」

「北海道麺類特集:乾麺=道内生産量3年連続のダウン、本州メーカーの攻勢強まる」の見出し下に、「...、道産小麦100%の『石臼一本挽きうどん』を新発売し、...」との記述。

c)1996.5.31付「日本食料新聞」

「北海道麺類特集 生・ゆで麺、LL・冷凍伸びる 乾麺、細物大きく落ち込む」の見出し下、「...、主力の『夏の味覚・ひやむぎ』『一本挽きそば』...を新発売し、販売拡大を目指している。いずれもチホク小麦を使用した本物の味をアピール...」との記述。

d)「wysiwyg://52/http://www.otokutuhan.com/food/noodles_soba.html」

「そば通販」の表題下の「幌加内乾麺セット(極寒一本挽)」の欄における、「...収穫されたそばの実を丸ごと挽いた”一本挽き製法”そばの実を全て挽くことによって豊かな風味が薫ります。そのそば粉を原料に打ち上げた味わい深い逸品です。」との記述。

e)「http://www.kankou.pref.shimane.jp/more/bussan/nousan/Noua.html」

「出雲そば」の紹介欄における、「出雲地方独特の一本挽き製法によるそば粉は、一番粉から三番粉まで挽きぐるみにし、甘皮も少し加えることより、色濃く香り豊かでコシの強い出雲そばとなります。」との記述。

f)「http://www.ed-sys.co.jp/yamasa/」

「永平寺そば」の紹介欄における、「良質のそば実を厳選し、いまだに量産にはそぐわない石臼による一本挽き」との記述。

g)「http://wwww.maedasyokuhin.co.jp/mametisiki.html」

「小麦豆知識」の表題下における、「『挽きぐるみ』『ロング挽き』『一本挽き』といわれる、一等粉・二等粉のとりわけをしないものもあります。」との記述。

以上の事実からすると、上記意味合いを有する「極寒」の文字と「一本挽」の文字を結合してなるにすぎない本願商標は、その指定商品の取引者、需要者が「一本挽き粉を用いて極寒の時期に生産された商品」の意味合いを容易に理解し認識するものというべきである。

そうすると、本願商標は、これをその指定商品中の「一本挽き粉を用いて極寒の時期に生産された商品(うどんのめん、そばのめん又は中華そばのめん)」に使用しても単に商品の品質、原材料、生産時期を表示するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであり、また、上記商品以外の指定商品に使用するときは商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるとみるのが相当である。

なお、請求人は、「極寒」の文字からなる商標及び「一本びき」の文字からなる商標がそれぞれ登録されていることからすれば、本願商標の登録を認めないことは、整合性で説明がつかず、公平性を欠くものである旨述べている。

しかしながら、「極寒」商標の登録例は、本願商標とは指定商品を異にするものであるから本件と同列に論ずることができないものである。また、「一本びき」商標の登録例は、20年近くも前に登録されたものであり、新商品の開発や製造技術の進展が目覚ましく、商品の製造法や品質、また商品に対する評価、商品の宣伝広告、商標の使用等も時代の推移と共に変化していること等を考慮すれば、唯一「一本びき」商標の登録例を根拠に、本願の拒絶が整合性・公平性を欠くものともいえない。もとより、本件の判断においては、過去の審査例等の判断に拘束されることなく、具体的な事案に即して認定判断されるべきであり、本願商標は上記認定のとおり、商品の品質、原材料、生産時期を表示するものであることから、上記請求人の主張は採用することができない。

したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するものであるから、原査定を取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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