Trademark Appeal Case
サイバーセキュリティ管理の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−9049(T2002−9049/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第9類,第16類,第35類,第41類及び第42類に属する願書記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、平成12年2月7日に登録出願されたものであるが、その後、指定商品及び指定役務については、平成13年6月6日、平成14年2月13日、平成14年5月20日、平成14年8月2日及び平成15年4月4日付け手続補正書をもって、第9類「ダウンロード可能な書籍・雑誌,出版物の内容を記憶させたCD―ROM,インターネットに関する文字情報・画像情報の技術情報を記憶させた磁気ディスク・光ディスク・光磁気ディスク・CDーROM・デジタルビデオディスク及び磁気テープ,データベース及びインターネット接続用のコンピュータソフトウェアを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・CD―ROM」,第42類「書籍・雑誌の企画・編集,書籍・雑誌に掲載された記事に関する情報の提供,インターネットその他のコンピューターネットワークを介して会議室・掲示板及びデータベースへのアクセス手段を提供するサービス,インターネットにおけるホームページの閲覧用及びダウンロード用カタログの画像データの作成,インターネットにおけるホームページの設計・作成,インターネットのホームページに関する情報の提供,ファクシミリ・電子メール・インターネットを利用した新聞記事に関する情報の提供,百科事典・辞書の見出しに対応する解説書きの内容に関するインターネットによる情報の提供」と補正されたものである。
2 当審の拒絶理由
平成16年3月10日付拒絶理由通知書をもって通知した理由は、次のとおりである。
本願商標は、「情報通信ネットワークシステムの安全防護」を表す「CYBER SECURITY」の欧文字及び「管理」の意を看取させる「MANAGEMENT」の欧文字を「CYBER SECURITY MANAGEMENT」と横書きに表したものであるが、最近、サイバー(電脳空間)への不正行為が、大幅に増えている状況のもと、日本を含む世界は、高度情報社会に向けての根本的なセキュリティ管理が不可欠になっている。そうとすれば、本願商標を、その指定商品・役務中「情報通信ネットワークシステムの安全防護の管理が施された商品又は役務」に使用するときには、本願商標に接する取引者、需要者は、上記商品又は役務であることを端的に表示したものと理解するに止まり、全体として、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものとみるのが相当であり、自他商品・役務識別力がないものと理解されるものである。かつ、これを上記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。そして、前示の認定、判断は下記(ア)ないし(ウ)の一般新聞情報からみてもその実情が是認できる。
(ア)「北米大停電でサイバーセキュリティーの重要性浮き彫りに 対策の遅れ指摘の声」の見出しの下
日本でも、専門家の間では重要インフラの防護に関するネットワークセキュリティーの立ち遅れが指摘されている。それによれば、日本でサイバーセキュリティーが最も遅れているのは電力と通信であり、世界的なハッカーが日本の原子力発電所に侵入し制御不能にすることも不可能ではないとされる。(電気新聞2003年09月08日版)
(イ)「綜合警備保障、ネットワークセキュリティー事業に進出」の見出しの下
・ ・・ひぼう・中傷サイト検索については社内外でのテストを検討する。また、ひぼう・中傷サイト検索と電子文書長期保存を、日本経営協会が23日から25日まで東京・東京ビッグサイトで開く「自治体総合フェア2001」に出展、企業や自治体の需要を探る。電子認証とサイバーセキュリティーは外部企業と提携し、システムを購入して対応する。(日刊工業新聞社 2001年05月04 日)
(ウ)「緊急性増すサイバー安保 生活に直結、依存高まり社会の弱点」の見出しの下
キャンベル前米国防次官補代理は「サイバーセキュリティーには、プライバシー保護や情報の保秘といった問題が絡む」と指摘している。しかし、それだけではあるまい。サイバーセキュリティーには、コンピューターネットワーク防衛(CND)のほか、攻撃(CNA)の分野もある。米宇宙軍はすでに攻撃能力の開発を宣言し、具体的に動き出している。サイバー攻撃は相手に大きな打撃を与える。憲法に基づく日本の専守防衛政策の枠組みは、CNAを容認しないと考えるのが自然だろう。(東京朝刊 2000年11月05日版)
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。
3 請求人の意見(要旨)
上記2の拒絶の理由に対して、請求人は、次のように意見を述べている。
本願は原審において拒絶理由通知を受けて、当該拒絶理由通知解消の為に、補正・分割等により対応をしてきたが、今回の拒絶理由通知は、全く別の拒絶理由通知である。本願に対する拒絶理由の内容が時間の経過とともに拒絶理由通知となっている。識別性(独占適応性)認定の時期が「査定又は審決時」との法解釈は知悉してはいるが、特許庁のその都度の拒絶理由の内容を解消してきた請求人にとっては、本願商標に対する拒絶理由には納得しがたい。しかしながら、今回の特許庁の認定が、商標「CYBER SECURITY MANAGEMENT」に対する統一的な特許庁の見解の保証とされるならば、当該拒絶理由通知を前提としての審決で明確にされれば、請求人の使用中の商標「CYBER SECURITY MANAGEMENT」の識別性(独占適応性)のないとの特許庁判断のお墨付きとする。
4 当審の判断
本願商標は、別掲のとおり、「情報通信ネットワークシステムの安全防護」を表す「CYBER SECURITY」の欧文字及び「管理」の意を看取させる「MANAGEMENT」の欧文字を「CYBER SECURITY MANAGEMENT」と横書きに表したものである。
しかして、本願商標について示した先の拒絶の理由は、妥当であって、コンピューターネットワーク分野において、本願商標の表示がそれぞれ使用されている取引の実情に照らし、本願商標を、その指定商品・役務中「情報ネットワークシステムの安全保護の管理が施された商品又は役務」に使用するときには、本願商標に接する取引者、需要者は、上記商品又は役務であることを端的に表示したものと理解するに止まり、全体として、何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができないものとみるのが相当であり、自他商品・役務識別力が有しないとすべきである。かつ、これを上記商品又は役務以外の商品又は役務に使用するときは、商品の品質又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号及び同法第4条第1項第16号に該当するものといわざるを得ないから、本願商標はこの理由をもって拒絶すべきものである。
請求人は、本願に対する拒絶理由の内容が時間の経過とともに別の拒絶理由通知となっている旨主張するが、商標の識別力については、商品又は役務に関する流通の実態等の取引の実情に基づき、登録出願に係る商標が指定商品又は役務等に使用された場合、取引者・需要者が何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識することができるか否かを認定、判断すべきものであるところ、商品又は役務に関する取引ないし流通は時代とともに変化するものであるから、それに伴って需要者・取引者の認識にも変化が生ずることはあり得ることであり、査定又は審決時において、識別力の有無については個別、具体的に認定、判断すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
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