結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30524(T2003−30524/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4030590号商標(以下「本件商標」という。)は、「インキュベーションセンター」の片仮名文字を横書きしてなり、平成6年6月21日に登録出願され、第35類「広告,会社設立に関する相談を含む経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,転職に関する相談,職業のあっせん,輸出入に関する事務の代理又は代行,書類の複製,文書または磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機およびワ−ドプロセッサの貸与」を指定役務として、同9年7月18日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求める。」と申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
1.取消理由
本件商標を調査したところ、継続して三年以上日本国内において本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定役務についての本件商標又は本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしておらず、かつ使用していないことについて正当な理由がないことが判明した。
従って、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務について取り消されるべきものである。
2.答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、本件商標の使用事実を証明する証拠として、乙第1号証〜乙第4号証の各証拠を提出している。しかしながら、後述するように、これらの証拠によっては、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に、日本国内において、商標権者等によって、その指定役務のいずれかについて使用されていること(商標法第50条第2項)が、客観的に証明されたとは言えない。
(2)乙第1号証について
(2−1)乙第1号証−1として提出された会社案内は、1994年〜1998年迄に使用されたものであることが答弁書に明示されている。したがって、この会社案内が、本件審判請求登録日、すなわち平成15年(2003年)4月25日前3年以内における本件商標の使用事実を証明する証拠となり得ないことは言うまでもない。
(2−2)乙第1号証−2として提出された会社案内は、答弁書の記載によれば、1998年〜2001年迄の間に使用されたものである旨記載されている。しかし、この会社案内には発行年月日が記載されておらず、実際にいつ発行されたものであるか不明である。また、この会社案内が、平成15年(2003年)4月25日の前3年以内に頒布された事実を示す証拠も何ら示されていない。したがって、乙第1号証−2によって、本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に使用されたことが、客観的に証明されたとは言えない。
(2−3)乙第1号証−3として提出された会社案内は、答弁書の記載によれば、2001〜2002年迄に使用されたものとなっている。しかし、この会社案内は、前述の乙第1号証−2の会社案内と全く同じものである。両者の違いは、乙第1号証−3の会社案内の被請求人の住所が、現在のものに書き換えられているだけである。しかも、この新住所の表示は、新たに印刷されたものではなく、旧住所の表示の上に新住所を記載した紙を貼っただけのものである。さらに、その発行年月日も、配布年月日も明確にされていない。したがって、この乙第1号証−3も、本件商標が平成15年(2003年)4月25日の前3年以内に使用されたことを客観的に証明するに足る証拠とはなり得ない。
(2−4)さらに、乙第1号証−4の新聞掲載記事や乙第1号証−5の雑誌掲載記事も、全て1994年〜1998年迄の間に発行されたものであって、本件審判請求登録前3年以内に発行されたものは一つも無い。したがって、これらの証拠も、本件商標が商標法第50条第2項所定の要件を満たすことを証明するものではない。
(3)乙第2号証について
(3−1)乙第2号証−1の会社概要と乙第2号証−2の営業案内には、本件商標「インキュべーションセンター」の表示が見られ、また、これらの表紙には「2002.9.1」の数字の記載を確認できる。しかし、仮に「2002.9.1」の記載が、これら会社概要と営業案内の発行年月日を示すものだとしても、それのみによっては、商標法第50条第2項所定の要件を充足するものと客観的に認められるものではない。なぜなら、同規定にいう、商標権者が自己の商標登録の取消を免れるために必要な「商標の使用」とは、会社概要や営業案内のような印刷物の場合には、これらを実際に展示、頒布等する行為であり、かかる行為が行われた事実が客観的に証明されなければ、商標権者が証明責任を果たしたとは言えず、答弁書には、その点についての証拠が何も添付されていないからである。
(3−2)さらに、乙第2号証−3〜乙第2号証−5の各書類には、指定役務との関係で本件商標が使用されている事実が示されていないから、これらが商標使用の証拠として不十分なものであることは明らかである。
(4)乙第3号証について
(4−1)乙第3号証−1の各写真は、答弁書によれば、本件商標が「建物における来訪者の受付及び案内」に使用されている証拠として提出されているものと解されるが、そもそも本件指定役務中の「建物における来訪者の受付及び案内」とは、他人のために行うものであって、写真のように、自己の事務所への来訪者の受付や案内を行う行為は該当しないものである。しかも、これらの写真は撮影年月日が不明なので、いつ商標が使用されたかも不明である。
(4−2)また、乙第3号証−2の登記簿謄本写しは、本件商標が指定役務について使用されている事実を明らかにするものではないので、やはり、商標使用の証拠としては不十分である。
(5)乙第4号証について
乙第4号証として契約書のコピーが提出されているが、この契約書では、その文頭において、株式会社情報デザイン研究所(甲)と、相手方企業(乙)とが、創業支援業務の利用契約を締結する旨記述されているのに対し、契約書の末尾を見ると、当事者である「甲」と「乙」が逆転しており、極めて不可解である。本来このような契約書が成立する筈はないと解され、その信憑性が疑われるものである。
(6)むすび
以上述べたように、被請求人の答弁書に添付された乙各号証は、いずれも本件商標が、本件審判請求登録前3年以内に、日本国内において、商標権者等によって、その指定役務のいずれかについて使用されていることを、客観的に証明するには不十分と言うべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、証拠方法として乙第1号証ないし乙第4号証(枝番含む)を提出した。
答弁の理由
当社は1986年創業以来コンサルティング業務を専門に手がけてきた。
1994年6月、民間として初の実務機能を備えた「インキュベーションセンター」を恵比寿に開設し、創業・起業家支援ビジネス、新規事業開発支援を目的にビジネス情報提供・起業創業教育・ビジネスコーディネーション・事業家コンサルティング・実務業務代行を基幹業務として行ってきた。
1997年に「インキュベーションセンター」は商標登録がされた。
2001年8月に本社を目黒区に新設し、「インキュベーションセンター」を自社所有建物の名称として業務を継続している。
現在まで、継続的に業務のなかで本件商標を、当社業務の基幹業務とし使用し、更に、現在使用している本社建物の名称として使用している証とし、乙第1号証ないし乙第4号証を提出する。
特に、乙第4号証の証拠書類は、「インキュベーションセンター」創業支援業務の利用契約書を提出する。
この契約書を含め、提出書類の中で取引先企業との関連書類は、業務の遂行上、個人情報及び守秘義務に関する内容がほとんどである為、内容の全てを、請求人に開示することは出来ない事を理解していただきたい。
そこで、被請求人が提出した乙各号証のうち、乙第2号証ー1(現在使用中の「会社概要」)及び乙第2号証ー2(現在使用中の「営業案内」)について判断する。
上記現在使用中の「会社概要」及び同「営業案内」には、本件商標と社会通念上同一の「インキュベーションセンター」の文字が商標として使用されていることが認められる。
そして、これらの「会社概要」及び「営業案内」の右下に「2002.9.1」の数字が書されているところ、当該数字は上記書証が「2002年9月1日」に発行された事実を表しているものと容易に推認されるものである。
さらに、乙第2号証ー2の「現在使用中の営業案内」の第2頁には、その取り扱うサービスとして、「会社設立・広告に関する相談を含む経営の診断及び指導、転職に関する相談及び職業のあっせん、複写機・FAX・ワードプロセッサ・広告用具の貸与」などが記載されており、これらは何れも本件商標の指定役務に含まれることは明らかである。
してみると、本件商標の商標権者が本件商標と社会通念上同一と認められる商標を、その指定役務について、本件審判請求の予告登録(2003年5月21日)前3年以内に使用していたものと言わざるを得ない。
なお、請求人は、「商標の使用」とは、会社概要や営業案内のような印刷物の場合には、これらを実際に展示、頒布等する行為であり、かかる行為が行われた事実が客観的に証明されなければ、商標権者が証明責任を果たしたとは言えず、答弁書にはその点についての証拠が何も添付されていない旨主張している。
しかしながら、通常、「営業案内」のような印刷物は、自己の業務の紹介等のために作成され、利用者に対して、頒布されるものとみるのが相当である。
そして、請求人が主張するように「営業案内」を実際に展示、頒布した事実を示す証拠は提出されていないとしても、被請求人が提出した乙第2号証ー4、同ー5、乙第3号証ー1、同ー2、乙第4号証に示された上記営業を行うための事務所設立の事実(登記簿謄本)、郵便私書箱の使用承認書、建物の写真及びその土地・建物の登記簿謄本、前記したサービスを行うことについての利用契約書等々を総合的に勘案すれば、上記営業案内等に基づいて事業を行っていることは容易に推認できるから、そうとすると、本件商標が使用されている上記営業案内等は、利用者に対し提供又は頒布されていたか、あるいは少なくともこれらを媒体として事業を行っていたことは、容易に推認され得るものである。
してみれば、本件商標は、本件商標の商標権者により本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定役務について使用されていたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標についての登録は、商標法第50条の規定により取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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