Trademark Appeal Case
ダイレクト計上の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−12554(T2002−12554/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ダイレクト計上」の文字(標準文字による商標)を書してなり、第36類に属する願書記載の役務を指定役務として、平成12年3月2日に登録出願されたものである。
そして、願書記載の指定役務については、平成13年6月29日受付の手続補正書により、第36類「損害保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害保険に関する情報の提供,損害保険についての相談及び助言,生命保険の引受け,生命保険契約の締結の媒介,生命保険に関する情報の提供,生命保険についての相談及び助言,資金の貸付け及び手形の割引,債務の保証及び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属その他の物品の保護預かり,債券の募集の受託,割賦購入あっせん,前払式証票の発行,株式市況・金融市況・金融市場に関する情報の提供,その他の金融情報の提供,企業に関する公的年金及び企業年金に関する情報の提供,企業の信用に関する調査についての情報の提供,有価証券の売買・有価証券先物取引・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・国債証券等及び外国国債証券に係る有価証券先物取引・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・国債証券等及び外国国債証券に係る有価証券先物取引・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場における国債証券等及び外国国債証券に係る有価証券先物取引・有価証券指数等先物取引・有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,商品市場における先物取引の受託,国債証券等の引受け,国債証券等の募集又は売出しの取扱い,抵当証券に関する債務の保証,有価証券に係る投資顧問契約に基づく助言及び投資一任契約に基づく投資,有価証券の価値又は有価証券の価値の分析に基づく投資判断に関する助言の提供,証券投資信託受益証券の発行・募集・売出し,証券投資信託に係る信託財産の収益分配金・償還金及び解約金の支払い,投資運用指示,証券投資信託に係る信託財産の運用指図,有価証券・金融先物取引・証券先物取引・商品先物取引に係る投資と運用に関する助言・情報提供,慈善のための募金,クレジットカード発行の取次,プリペイドカードの委託による発行,中小企業育成の為の委託による株式引受けによる資本の投資,企業の信用に関する調査,建物の管理,建物の貸与,建物又は土地の鑑定評価,土地の管理,建物又は土地の情報の提供,骨董品の評価,美術品の評価,宝玉の評価,商品先物取引の受託,中古自動車の評価」と補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、『直接の、直の』等を意味する外来語の『ダイレクト』の文字と、『全体の計算の中に含めて、ある物・事を数え上げること。』を意味する『計上』の文字を、『ダイレクト計上』と書してなり、全体として『直接計上する』の如き意味合いを容易に看取させるものであるから、これを指定役務中、例えば『保険料率の算出、クレジットカードの発行者に代わってする支払代金の清算、クレジットカードの利用者に代わってする支払代金の清算、保険料徴収の代行』等の『計算』を伴う役務に使用しても、単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断して、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
本願商標は、前記したとおり、「ダイレクト計上」の文字よりなるところ、これは「直接的なさま」を意味する外来語の「ダイレクト」(広辞苑 第五版 株式会社岩波書店発行)と「全体の中に、ある物事を数え上げること。」を意味する「計上」(広辞苑 第五版 株式会社岩波書店発行)の2語を結合してなるものであること明らかである。したがって、かかる2語を結合してなる本願商標からは、原審説示の如く「直接計上する」の意味合いが容易に想起されるものと認められる。
しかして、本願指定役務中、「損害保険契約の締結の代理,生命保険契約の締結の媒介」などの代理店による役務においては、保険会社に対して、顧客と交わした保険契約の締結内容の報告、締結件数・金額の計上等の業務を伴うところ、代理店と保険会社がインターネットに接続している場合には、代理店が上述した業務を保険会社のホストコンピュータに直接計上することが可能となることから、かかる代理店業務及び社会情況を考慮するときは、本願商標の「ダイレクト計上」に接する取引者、需要者は、「保険会社のホストコンピュータに顧客と交わした保険契約の締結内容の報告、締結件数・金額を直接計上する業務」の意味合いの語として容易に理解し把握するというを相当とする。
そして、以上のことは、例えば、以下の新聞記事情報及びインターネットのホームページ情報からも十分に裏付けられるところである。
(ア)2000年3月14日付 日刊工業新聞 27頁
「外資系保険会社の挑戦(3)エース損害保険社長・大川隆司氏「中堅企業に軸足置く」 ・・・社内全組織の再編やインフラ整備による効率化経営を目指している。支店の統合では首都圏の営業店を44店から33店に減らした。またこの2月1日からは都内に損害サービス・センターを開設した。サービスの効率化が狙いだ。・・・代理店システムも昨年下半期から開発を進め、すでに第1フェーズを立ち上げた。今年6月からは現場でダイレクト計上ができるようにもなる。基幹システムも全面的な入れ替え時期に差し掛かっており、全体で20億円程度の投資を考えている。・・・」
(イ)2001年1月12日付 金融専門紙ニッキン 17頁
「大成火災、新代理店システムがスタート、年度内4000店導入へ。大成火災海上保険は12月25日、新代理店システム「CONTACT」をスタートさせ、3月末までに4千の代理店への導入・接続をめざす。このシステムは代理店の契約計上業務の効率化や代理店のホームページ作成を支援するほか、既存の契約照会や保険料試算機能の種目を拡大するなど機能を大幅に拡大したもの。代理店のパソコンに搭載するソフト「CONTACTマネジャー」をベースに、見積書、申込書、承認書作成、契約管理、代理店ダイレクト計上などの業務支援が図れる。同時に、各種ポータルサイトと直結しビジネスモデルを構築することでネットビジネス参入を狙う。」
(ウ)http://village.infoweb.ne.jp/~fwht5422/dictionary/ta.html
「直接計上(ちょくせつけいじょう) 保険契約申込書のデータ入力を、営業課支社を経由せず、AGの現場でダイレクトに行ってしまうこと。証券発送が速くなる、社員のリストラにも効果がある・・・などと利点が多い。ただこれを行うにはAGにとって、設備投資等のそれなりの負担が必要ではあるが。【同】ダイレクト計上・D計上」
(エ)http://www.hitachi.co.jp/Prod/comp/cyberfront/finance/d_teiki/inews/html/015/topix1.htm
「保険業界(特に損保)のIT化の流れは早い。ほぼ5つの保険グループに収斂しつつある国内損保の動きも実に速い。BtoB(ネットを使った企業間取引)と言われる保険会社と代理店間のWebオンライン化のインフラ整備を保険会社各社とも急ピッチに進めている。膨大な帳票類を消費し「紙の無駄遣い産業」のレッテルを貼られてきた産業構造が一気に変わる。顧客接点にあり長らく損保営業のリーダーチャネルできた代理店のバックオフィスも、ダイレクト計上や、キャッシュレス化、ダイレクト精算への移行に伴い、様変わりしそうだ。2、3年で営業周りのコストは激減する。「保険募集の2重構造」とも言われ続けた古く属人的で不可侵かつブラックボックス化した高コストの代理店チャネル問題に本格的なメスが入り、一挙に体質転換が進む。問題は、営業現場の情報リテラシー(読み書き能力)を含めた人間系の部分の格差、温度差だ。」
(オ)http://xml.fujitsu.com/jp/casestudy/easi/index_2.html
「システム(補足3)間の連携が可能お客様と代理店の間はHTML形式でデータがやり取りされます。代理店と保険会社の間はXML形式でデータがやり取りされます。このデータは、履歴管理や顧客管理のデータとして、代理店のバックエンドシステムに入力されます(二次利用できます)。【補足3】保険会社の代理店オンラインシステム(見積書作成機能、申込書作成機能、ダイレクト計上機能など)や代理店のバックエンドシステム(顧客管理、コンタクト管理、満期管理機能)です。」
(カ)http://www2.biglobe.ne.jp/~cho/coiumDG/ren6.html
「6 ケーススタディー代理店支援システム 金融の自由化の進行による競争激化に伴い、料率の自由化に基く保険商品の多様化・複雑化、外資系を中心としたコンサルティングセールスの導入等、保険代理店を取り巻く業務はますます複雑になっている。したがって代理店は、保険会社からも顧客からも高度な情報活用能力と同時に高い事務生産性が要求されるようになる。すなわち代理店支援システムやインターネットの活用なしには、よほどの差別化要素を持たない限り、生存競争を勝ち抜けないことを意味している。損保代理店はこれまで、契約・入金等の各種事務手続きに多大な労力を費やしてきた。だが代理店支援システムはこれらの事務処理を軽減すべく代理店からの契約・入金等のダイレクト計上の機能を取り込みつつある。また顧客検索機能等のマーケティング機能も充実させてきている。さらに系列生保のシステムもメニューに加えてきている。ただ各社とも工夫を凝らしたシステムを提供してはいるが、十分に使いこなしている代理店は少ないのが現状である。」
そうすると、本願商標をその指定商品中、「損害保険契約の締結の代理,生命保険契約の締結の媒介」などの代理店による役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、「保険会社のホストコンピュータに顧客と交わした保険契約の締結内容の報告、締結件数・金額を直接計上する業務」の意味合いの語として、その役務の質若しくは提供の方法を表示したと認識するにとどまり、自他役務の識別標識とは理解しないものというべきである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであり、これと同旨の理由をもって本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
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