結論テキスト
審判費用は、被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 平成10年審判第30792号 |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | other |
本件登録第2112864号商標(以下「本件商標」という。)は、昭和61年10月29日に登録出願され、「イルソープ」の文字を横書きしてなり、第1類「化学品(他の類に属するものを除く)薬剤、医療補助品」を指定商品として、平成1年2月21日に設定登録されたものである。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第3号証を提出した。
(1)被請求人は、本件商標を、その指定商品中「化学品、医療補助品」については継続して3年以上日本国内において使用していない。
また、本件商標について専用使用権者は存在せず(甲第1号証)、通常使用権者として本件商標を使用している者も存在しない。
したがって、本件商標は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、その指定商品中、上記商品につき使用されていないものである。
よって、請求人は、商標法第50条第1項の規定に基づき、上記のとおりの審決を求める。
(2)答弁に対する弁駁
請求人は、本件商標が、被請求人の提出した乙第1号証及び乙第3号証記載の商品「除菌清浄剤」について、審判請求の登録前3年以内に使用されていたことは認める。
しかしながら、乙第1号証及び乙第3号証記載の商品「除菌清浄剤」(以下「本件使用商品」という。)は、以下のとおり、請求に係る指定商品「化学品,医療補助品」には該当しないものである。
請求に係る指定商品「化学品」は、昭和34年商標法に基づく商品区分(以下「昭和34年法商品区分」という。)における包括概念であり、同概念については、特許庁発行「商品区分解説」(甲第2号証)において説明されているとおりである。
すなわち、上記「商品区分解説」によれば、「化学品」には、「(1)工業原料又は実験用として使用される薬品と、(2)他のどの類にも属しない化学的製品とが含まれる。薬剤の大部分も広義の化学品に含まれるであろうが、本商品区分においては別に『薬剤』の概念があるので、これに含まれる。」とされている。
ところで、本件使用商品は、乙第1号証によれば、次のとおりである。
▲1▼「アルコール製剤」であって、「除菌清浄剤」である。
▲2▼成分は「消毒用エタノール、イルガサンDP−300、皮フ保護剤」である。
▲3▼用途は「除菌と消毒」であって、「病院、研究室、会社などの環境、器物、器具、器材など」である。
また、本件使用商品について、乙第3号証からは、次の点が明らかである。
▲4▼「除菌清浄剤」である。
▲5▼成分は「消毒用エタノール、イルガサンDP−300、皮フ保護剤(アラントイン)」である。
▲6▼用途は「病院内の検査、研究室、中央材料室、病棟または食品工場、化学会社などの環境消毒」である。
そこで、上記の特徴を有する本件使用商品が、「化学品」の概念に属するか否か検討する。
前記のとおり、「化学品」の第一の属性は、「工業原料又は実験用として使用される薬品」ということであるが、本件使用商品がこれに該当しないことは明白である。
「化学品」の第二の属性は、「他のどの類にも属しない化学的製品」であるが、「薬剤」の概念に属するものは除かれる。
しかして、前記「商品区分解説」(甲第2号証)は、「薬剤」の項において、次のとおり述べている。
《30.農業用または公衆衛生用薬剤》
「殺菌剤」人間の身体に直接つけて菌を殺す”医薬品”は《10.外皮用薬剤》に属するので、この概念からは除かれる。水稲殺菌、園芸殺菌等の農業用に使用される殺菌剤及び水道殺菌、衣料殺菌、器具殺菌等公衆衛生を目的として用いられる殺菌剤である。
本件使用商品は、前記▲3▼▲6▼記載の用途に用いられる「除菌清浄剤」であるから、上記「商品区分解説」記載の「器具殺菌等公衆衛生を目的として用いられる殺菌剤」にほかならず、「薬剤」の下位概念である上記「農業用または公衆衛生用薬剤」の概念に属するものであることが明白である。
したがって、上述のとおり「化学品」の概念からは「薬剤」の概念に属するものは除外されるから、「薬剤」に属する本件使用商品は、「化学品」の概念には属しないことが明らかである。
なお、本件使用商品が、請求に係る指定商品中の「医療補助品」に該当しないことはいうまでもない。
さらに、登録例に照らしても、本件使用商品が、薬剤に属するものであることが明らかである。
一例を挙げれば、商標登録第4191696号(甲第3号証)の指定商品は、第5類「除菌用アルコール製剤その他の薬剤」とされており、この記載より「除菌用アルコール製剤」が現行商品区分第5類の「薬剤」の概念に属するものとされていることは明らかである。なお、現行商品区分上の「薬剤」は、すべて昭和34年法商品区分上の「薬剤」の概念に含まれるものであるから、「除菌用アルコール製剤」が昭和34年法商品区分の下においても「薬剤」の概念に属することは論をまたない。
しかして、乙第1号証は、本件使用商品について「アルコール製剤」と表示しており(前記▲1▼)、その主成分も「消毒用エタノール」である(前記▲2▼▲5▼)から、この商品は、上記登録第4191696号の「除菌用アルコール製剤」と同一の商品であり、したがって、審査例からも、本件使用商品が「薬剤」の概念に属することは明らかである。
以上のとおり、被請求人は、本件商標を「薬剤」の概念に属する商品について使用していることを示すに止まり、請求に係る指定商品「化学品、医療補助品」について使用しているこを証明していない。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由及び弁駁に対する答弁を次のように述べ、証拠方法として乙第1ないし第7号証を提出した。
(1)被請求人は、各種の商品を販売しているが、例えば、「イルソープDP70」の商品名で商品「除菌清浄剤」を販売している。
「イルソープDP70」は、消毒用エタノールとイルガサンDP−300とアラントインを配合した除菌、清浄剤であり、病院内の検査、研究室、中央材料室、病棟または食品工場、科学会社などの環境消毒に使用される商品であって、指定商品中化学品に属する商品である。
被請求人は、この商品を過去3年間以上継続して販売している。このことは、平成6年6月14日にパンフレットを作成し(乙第1及び第2号証)、さらに、平成7年10月2日にカタログを作成し(乙第3及び第4号証)、使用していること、この商品を平成9年7月31日に神原薬業株式会社に納品し(乙第5号証)、他の商品と合わせて平成9年8月22日に代金を手形にて受領していること(乙第6号証)から明らかである。
乙第1ないし第6号証に記載された表示は、「イルソープDP70」であるが、この表示の内、「DP70」は商品の品番を記載したものと理解されるのが通常であるから、「イルソープ」の部分をもって商標として理解される。
したがって、本件商標「イルソープ」が請求に係る指定商品の化学品に属する商品について、本件審判の請求の登録前3年の間に使用されていたものであって、商標法第50条の規定により取り消される商標に相当しないものである。
(2) 請求人は、被請求人が使用している「除菌清浄剤」について、薬剤の下位概念である「農業用または公衆衛生用薬剤」の概念に属するものである、とする。
しかしながら、被請求人が使用している「除菌清浄剤」は、消毒用に使用されることもある「イルガサン」(乙第7号証)を主たる薬効成分とする化学品であり、本件商標は、化学品についても使用されているものである。
また、請求人は、商標登録第4191696号の指定商品が「除菌用アルコール製剤その他の薬剤」と指定されていることをもって、「除菌用アルコール製剤」が「薬剤」に含まれること明らかであるとしている。
しかし、被請求人が使用している「除菌清浄剤」と「除菌用アルコール製剤」とが同一成分、同一用途であるとはいえず、上記登録例をもって、被請求人の使用に係る商品が化学品に属さないとはいえない。しかも、商標登録第4191696号の登録時の判断が本件商標の指定商品の範囲を拘束するものではなく、個別に判断されるべきものである。
被請求人が本件商標を使用しているとする本件使用商品についてみるに、被請求人の提出に係る乙第1号証の「パンフレット」には、「病院、研究室、会社などの環境、器物、器具、器材などに噴霧するだけで除菌と清浄効果を発揮します。」と、乙第3号証の「カタログ」には、「病院内の検査、研究室、中央材料室、病棟または食品工場、化学会社などの環境消毒に適しています。」とそれぞれ記載されている事実を認めることができる。
また、上記「パンフレット」の品名欄には、「イルソープDP−70(アルコール製剤)」と記載されているところ、「アルコール製剤」は、「日本標準商品分類」(財団法人全国統計協会連合会平成8年9月第3版発行)によれば、中分類87−医薬品及び関連製品の殺菌消毒剤の一つとして掲載されている事実が認められる。
ところで、請求人の提出に係る甲第2号証(「商品区分解説」)によれば、化学品(他の類に属するものを除く。)について、「...この類でいう化学品には大体において(1)工業原料又は実験用として使用される薬品と、(2)他のどの類にも属しない化学的製品とが含まれる。薬剤の大部分も広義の化学品に含まれるであろうが、本商品区分においては別に薬剤の概念があるので、これに含まれる。...」とし、農業用または公衆衛生用薬剤について、「『殺菌剤』人間の身体に直接つけて菌を殺す”医薬品”は《10.外皮用薬剤》に属するので、この概念からは除かれる。水稲殺菌、園芸殺菌等の農業用に使用される殺菌剤及び水道殺菌、衣料殺菌、器具殺菌等公衆衛生を目的として用いられる殺菌剤である。...」としている。
以上の事実を総合勘案すれば、本件使用商品は、その用途等からして上記「商品区分解説」において「農業用または公衆衛生用薬剤」について記載されている「器具殺菌等公衆衛生を目的として用いられる殺菌剤」の概念に属するものとみるのが相当である。
さらに、被請求人は、「被請求人が使用している『除菌清浄剤』は、消毒用に使用されることもある『イルガサン』(乙第7号証)を主たる薬効成分とする化学品であり、本件商標は、化学品についても使用されているものである。」旨主張しているが、本件使用商品は、被請求人の提出に係る「パンフレット」等より、もっぱら病院、研究室等の除菌と清浄に用いられるものといえるから、この点に関する被請求人の主張は認めることができない。
そうすると、本件使用商品は、請求に係る商品「化学品、医療補助品」の範疇に属するものとは認められない。
してみれば、本件商標は、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても、継続して本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、請求に係る商品について使用されていなかったものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「化学品、医療補助品」についてその登録を取り消すべきものである。
よって結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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