Trademark Appeal Case
氏名商標の使用による識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−285(T2002−285/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「ヒライ」の片仮名文字を横書きしてなり、願書記載の商品を指定商品として、平成12年7月11日に登録出願、その後、指定商品については、同13年6月25日付け手続補正書により、第30類「おべんとう」に補正されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定において「本願商標は、ありふれた氏と認められる『平井』(例えば、日本電信電話株式会社:発行、『東京都23区全区版50音別個人名電話帳’92.〜’93.2』には、500件を超える掲載例が認められる。)のカタカナ表記と看取される『ヒライ』の文字を、普通に用いられる方法で表示してなる標章のみからなるものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第4号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。
3 請求人の主張(要旨)
本願商標は、当該商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり、使用による識別性を有するに至ったものである。
すなわち、本願商標は、出願人である株式会社ヒライの前身である有限会社平井商店の会社設立時の昭和43年5月(甲第1号証及び同第2号証)より商品「べんとう」に使用し、現在に至るまで業務を継続すると共に本願商標を継続して使用しているところであって、現在、熊本県を中心に福岡県、佐賀県にわたって全73店の営業店舗を有しており(甲第3号証)、平成12年度(34期)には約101億円の売上高に達している(甲第4号証)。
設立時より、本願商標を継続して使用し(甲第5号証〜同第13号証)、新聞等にも取り上げられ(甲第号15証)、また、テレビやラジオのコマーシャルは継続して行い(甲第14号証・最近の放送確認書の一部を提出)、その他、広告(甲第16号証)等を繰り返し行った結果、現在では需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものとなっている(甲第17号証〜同第18号証)。
以上より、本願商標は商標法第3条第2項の規定に該当し登録されるものである。
4 当審の判断
(1)本願商標は、「ヒライ」の片仮名文字よりなるところ、該文字は、ありふれた氏である「平井」の片仮名文字表記であることは、容易に認識されるところである。
そして、「平井」の氏を有する者が多数存在することは、原審で挙げた電話帳のほか、例えば、佐久間英著「日本人の姓」(六藝書房)の「多い姓の六千傑」の記載に徴しても認められるところである。また、日常の商取引において氏を表す場合、必ずしも漢字のみに限らず片仮名文字をもって表示する場合も決して少なくないのが一般の商取引における実情であるといえる。
しかして、本願商標は、「平井」の文字を片仮名文字で普通一般的に用いられる態様の書体をもって書してなるものである。
してみれば、本願商標が商取引の場において使用されるときは、これに接する取引者・需要者は、該文字がありふれた氏「平井」を片仮名文字で表したものと理解するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものといわなければならない。
(2)請求人(出願人)は、本願商標がありふれた氏を片仮名文字で表記したものであるにしても、「本願商標は、当該商品に使用した結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものであり、使用による識別性を有するに至ったものである。」旨主張し、甲第1号証ないし同第18号証を提出している。
しかしながら、これらの証拠(甲第1号証ないし同第15号証)からは、本願商標が熊本県及び福岡県という一定地域において、一定程度の周知性を獲得したことは窺えるものの、日本全国において著名になったものであるとはいえないものであり、本願のようなありふれた氏と認められる商標について、使用により識別力を取得したというには、長期間に亘って、全国的な範囲で独占的に使用されている状態が継続し、その結果、例えば、その商標に係る文字の態様から取引者、需要者の間から自然に想起される一定の出所表示としての観念が生ずるほどにそれらの者の間において、識別標識として通用していることが必要というべきであるから、上記証拠によっては、いまだ、本願商標が請求人の業務に係るものとして需要者間に広く認識されているに至ったものものとしては十分なものと認められないから、同人の主張は採用することができない。
(3)したがって、本願商標は、商標法第3条第2項に該当するものではなく、ありふれた氏を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標といわざるを得ないから、本願商標を同法第3条第1項第4号に該当するとして、その登録を拒絶した原査定は妥当であって取り消す理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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