結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−31428(T2003−31428/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第605498号商標(以下「本件商標」という。)は、「ケロンパス」の文字を横書きしてなり、昭和31年12月22日登録出願、第1類「薬剤」を指定商品として、同38年2月15日に設定登録され、その後、3回にわたり商標権存続期間の更新登録がなされているものである。また、指定商品については、平成15年3月12日に、第5類「薬剤(蚊取線香その他の蚊駆除用の薫料・日本薬局方の薬用せっけん・薬用酒を除く。)」として、書換登録されたものである。
請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べた。
本件商標は、継続して3年以上、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによってもその指定商品について使用された事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(1)請求人が、被請求人に、電話で「ケロンパス」なる商品を販売しているかどうかを問い合わせたところ、「ケロンパス」なる商品名は使用しておらず、「コリパス」という商品名に変わっているとのことであった。したがって、被請求人が本件商標を使用しているとの主張には重大な疑義がある。
(2)乙第1号証(商品写真)からは、写真に撮影された商品が実際に販売されているかどうかは不明である。これは、乙第8号証の包材についても同様である。
(3)乙第3号証の1及び2(医薬品製造承認申請書及びその承認書)は、昭和63年当時にそのような承認を受けていたことを示すのみで、本件商標が使用されていたことの証明にはならない。
(4)乙第4号証(包装資材の印刷についての証明書)によっては、本件商標の使用には直ちに結びつかないものである。しかも、このような書面は適宜作成が可能なもので、裏付けもなく、その内容を直ちに信じることができない。これは乙第5号証も同様であり、東和製薬株式会社(以下「東和製薬」という。)が「ケロンパス・パップ」なる商品を納品したとあるが、その数量は年間平均60,000個という極めて雑ばくな数字でしかなく、これも信じるに足りない。
(5)乙第6号証(納品書控え)についても、適宜作成することが可能であり、直ちに信じることはできない。しかも「ケロンパス・パップ」なる商品の納品枚数は6枚と極めて少なく、これが仮に事実としても、本件商標を実質的に使用したとはいえないものである。
(6)乙第7号証(リーフレット)に掲載された「ケロンパス・パップ」の商品名がいつまで使用されていたか不明であり、本件審判の請求前3年以内の使用を証明するものではない。
(7)上記(1)ないし(6)によれば、被請求人が提出している証明書や納品書は信憑性が疑わしいものであるから、乙第6号証(納品書控)に相応する受領証や経理台帳の提出を求める。
(8)本件商標は、片仮名文字で「ケロンパス」と書してなるものであるが、乙第1号証、乙第3号証の1、乙第4号証ないし乙第8号証に表示されているのは「ケロンパス・パップ」(以下「使用商標」という。)であって、中黒「・」と「パップ」の文字が付加されており、本件商標とは構成が異なっている。そして、本件商標の称呼は「ケロンパス」であるのに対して、使用商標の称呼は「ケロンパスパップ」であるから、称呼も異なっている。
したがって、本件商標と使用商標には同一性がなく、本件商標の使用とは認められないものである。
してみれば、被請求人は本件商標の使用を立証していないから、本件商標は取り消されるべきである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
(1)被請求人は、「うちみ、ねんざ、筋肉痛、腰痛」の効能を目的とした「パップ剤」について使用商標(ケロンパス・パップ)を付して販売している(乙第1号証)。
使用商標は、そのうちの「パップ」(乙第2号証)が薬の業界ではパップ剤と同意語に使用されており、したがって、その要部は、「ケロンパス」であるから、本件商標の使用であるといえる。
(2)被請求人は、パップ剤の製造を東和製薬(住所:和歌山県那賀郡貴志川町丸栖1229)に委託している。
東和製薬は、パップ剤に関し、昭和63年4月30日に、厚生大臣(当時)に製造承認申請書を提出し(乙第3号証の1)、平成1年3月8日に承認を得て(乙第3号証の2)、平成2年(1990年)から製造を始め現在に至っている。
なお、乙第4号証は、パップ剤の印刷包材の各年度毎の納入数量を示す証明書である。
(3)被請求人は、製造元の東和製薬よりパップ剤の納品を平成2年から現在に至るまで年間60,000個割合で受け(乙第5号証)、該商品を、例えば南予日産チェリー販売株式会社に販売しているものである(乙第6号証)。
(4)被請求人の商品案内の「外皮用薬」において、パップ剤が紹介されている(乙第7号証)。
本件使用に係る商品であるパップ剤が収容されている実際の包材を添付する(乙第8号証)。
以上のように、被請求人は、本件商標を指定商品について使用していることは明らかである。
(1)乙第1号証は、「うちみ・ねんざ・筋肉痛・腰痛に」、「ケロンパス・パップ」、「発売元 第一薬品工業株式会社」などの文字が表示された包装箱と包装袋の写真である。また、そのうちの包装袋には、「6枚入」の文字が表示されている。
(2)乙第2号証(「大辞林」1988年11月3日 第1刷発行)の「パップ」の項には、「麦・亜麻仁・薬草などの粉をといて糊状にし、紙や布につけて患部の皮膚にはりつけて治療すること。」とあり、また、「パップ剤」の項には、「医薬品の粉末と精油成分を含む、湿布に用いる泥状の外用剤。」などの記載がある。
(3)乙第3号証の1は、昭和63年4月30日に、和歌山県那賀郡貴志川町丸栖1229番地に所在の東和製薬が厚生大臣に提出した「医薬品製造承認申請書」であるところ、該申請書には、「販売名/ケロンパス・パップ」、「効能又は効果/腰痛、打撲、捻挫、肩こり、関節痛、筋肉痛、筋肉疲労、しもやけ、骨折痛」、「備考/一般用(配置)/本製剤は、成型パップ剤冷感タイプである。」などの記載がある。
乙第3号証の2は、上記乙第3号証の1に対してなされた、平成1年3月8日付けの医薬品製造承認書である。
(4)乙第6号証は、平成15年10月8日に、被請求人が南予日産チェリー販売株式会社に宛てた納品書の控えであるところ、「No.6」の項目に、「品名 内容」として「ケロンパス・パップ 6枚」、「数量/100」などの記載がある。
(5)乙第7号証は、「2001.10作成」に係る被請求人の「商品案内」(リーフレット)であるところ、「外皮用薬」の見出しのもと、乙第1号証で示された包装袋に入った商品が掲載されている。
(6)乙第8号証は、乙第1号証の包装袋の原物と認められるところ、包装袋の裏面には、「ケロンパス・パップ」の文字のほか、「医薬品」、「製造元:東和製薬株式会社」、「発売元:第一薬品工業株式会社」、「配置期限 2008.04」などの記載がある。
そして、上記パップ剤は、請求に係る指定商品に含まれるものである。
(1)前記したとおり、本件商標は、「ケロンパス」の文字よりなるものであるのに対し、使用商標は、「ケロンパス」と「パップ」を中黒を介して書してなるものである。
そして、使用商標は、「パップ剤」について使用されることは、前記認定のとおりであるから、使用に係る商品との関係からすると、その構成中の「パップ」の文字部分は、使用に係る商品を表したと理解されるばかりでなく、中黒の存在により「ケロンパス」と「パップ」とが視覚上分離して看取されることも相俟って、使用商標に接する需要者は、造語よりなる「ケロンパス」の文字部分に強く印象づけられるというのが相当である。
そうすると、使用商標の要部は、「ケロンパス」の文字部分であるといわなければならない。
したがって、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標と認めることができる。
(1)請求人は、商品の包装袋等からは、商品が実際に販売されているかどうかは不明である。また、納品書の控えは、適宜作成することが可能であり、直ちに信じることはできないし、「ケロンパス・パップ」なる商品の納品枚数は6枚と極めて少なく、これが仮に事実としても、本件商標を実質的に使用したとはいえないものである。さらに、商品案内に掲載された「ケロンパス・パップ」の商品名がいつまで使用されていたか不明であり、本件審判の請求前3年以内の使用を証明するものではないなどと主張する。
しかし、乙第1号証及び乙第8号証の包装袋に入った商品が、本件審判の請求の登録前3年以内に、被請求人の取扱いに係る商品を広告するための商品案内(リーフレット)に掲載され、かつ、被請求人により日本国内に所在の者に100個納品されたことは前記認定のとおりである。そして、上記納品書の控えが一般の商取引からみて、格別不自然なものということはできないし、また、これが不使用による商標登録の取消しを免れるためにのみ作成された虚偽の証拠であると認めるに足りる証拠の提出はない。
加えて、本件においては、商品案内(リーフレット)に掲載された「ケロンパス・パップ」が、いつまで使用されていたかが問題となるのではなく、本件審判の請求の登録前3年以内の期間に使用されていたか否かが問題となるというべきものである。
(2)請求人は、医薬品製造承認申請書及びその承認書は、昭和63年当時にパップ剤の製造承認を受けていたことを示すのみで、本件商標が使用されていたことの証明にはならない旨主張する。
しかし、医薬品製造承認申請書及びその承認書は、販売名を「ケロンパス・パップ」とするパップ剤が東和製薬により、1989年から製造を開始したという被請求人の主張を裏付けるものであり、その製造、販売が本件審判の請求の登録前3年以内においても、継続して行われていたことは、前記認定のとおり、納品書の控え、商品案内によって、あるいは商品の包装袋に記載の配置期限等によって優に推認され得るものである。
(3)請求人は、被請求人に対する電話での問い合わせで、「ケロンパス」なる商品名は使用しておらず、「コリパス」という商品名に変更したとの回答を得たから、被請求人が本件商標を使用しているとの主張には重大な疑義がある旨主張する。
しかし、請求人の上記主張を裏付ける証拠の提出はないのみならず、被請求人の商品案内よれば、外皮用薬には、「ケロンパス・パップ」と並んで「コリパスL」なる商標の商品が掲載されていることが認められ、これよりすれば、少なくとも2001年10月の時点において、「ケロンパス・パップ」とは別に「コリパスL」なる商標の商品が存在したことが認められる。
(4)そうすると、上記に関する請求人の主張は、いずれも理由がなく、採用することができない。
したがって、乙第6号証(納品書控)に相応する受領証や経理台帳の提出を求めるまでもなく、被請求人による本件商標の使用の事実は立証されたというべきである。他に、前記認定を覆すに足りる証拠の提出はない。
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品中の「パップ剤」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていたことを証明したと認め得るところである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すべきものではない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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