結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35026(T2003−35026/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4316984号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成8年1月17日に登録出願され、第11類「電球類及び照明用器具」を指定商品として、平成11年9月24日に設定登録されたものである。
請求人が、本件商標の登録無効の理由に引用する登録第1807914号商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、昭和58年2月8日に登録出願され、第11類「電気機械器具、その他本類に属する商品」を指定商品として、昭和60年9月27日に設定登録されたものである。
同じく、登録第4088460号商標は、別掲(3)のとおりの構成よりなり、平成3年4月16日に登録出願され、第11類「電気機械器具、電気通信機械器具、電子応用機械器具、電気材料」を指定商品として、平成9年12月5日に設定登録され、いずれも現に有効に存続しているものである(以下これらを合わせて「引用商標」という。)。
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第13号証を提出している。
本件商標は、引用商標に類似する商標であって、その商標登録に係る指定商品と同一又は類似の商品を指定しているので、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
本件商標の文字部は、上段「ABiTA」部をデザイン的に強調した書体によって際立たせ、逆に下段「EXCEL」部を細文字で矮小化することによって、外観構成から受ける上下の印象に濃淡が映ずるように配分されている。言い換えれば、「ABiTA」部が主に「EXCEL」部が従に位付けされた結果、両文字部には視覚上の軽重の差が顕著になっている。加えて、文字配列パターンからすると、付記的に配置された「EXCEL」部は、「ABiTA」部(事業主体標章と思われる。)の品位を高めるために加えられた装飾語として理解されるため、脳裏を軽くかすめる程度にしか認識されない。本件商標の識別標識を詮索するに当たっては、ここは無視され、商標の主要部として認識できる「ABiTA」部より生ずる「アビタ」の略称によって特定されることも十分にあり得る。
ところで、被請求人は、拒絶査定不服審判請求書(甲第7号証)において、主張しているように「ABiTA」が本件商標の主要部であることは、被請求人も肯定している事実であり、そうしてみると、被請求人は、本件商標からは、「アビタ」の称呼が生ずることを自認したことに他ならないのである。
翻って、三省堂の最新コンサイス英和辞典において「excel」は、次のように説明されている。
「まさる、ひいでる、ぬきんでる、卓越する、」
而して、取引の実際に沿ってみると、自他商品の識別標識としての機能に劣る(商品の)品質の表示部分等の形容詞的文字が併記されている商標は、被請求人も認めているように、その部分(EXCEL)が割愛され、他の主要部(ABiTA)によって認識され、称呼されることが多い。
この点について、「EXCEL」が主格の商標として使用される場合には、識別標識になり得ることがあっても、本件商標のように「ABiTA」への従属が明確な場合には、識別標識として、評価されることはないと思料する。
以上を纏めると、本件商標からは、「アビタエクセル」の称呼の他に、「アビタ」の称呼が自然に生ずる。
一方、引用商標からは、「アピタ」の称呼が生ずる。
ここで、本件商標の称呼「アビタ」と引用商標の称呼「アピタ」の類否について詳細に検討するに、
「アビタ」と「アピタ」の称呼は、第1音、第3音を同じくし、相違する第2音も、聴感が近似する濁音と半濁音の相違で、しかも、聞き取りにくい語中音における相違に過ぎないから、両者は調音方法を同じくする類似商標であると言わざるを得ない。請求人の称呼の類否についての主張は、甲第8号証ないし甲第13号証の審決によって裏付けられていると確信する。
上述の通り、本件及び引用商標は、外観及び観念については非類似であっても、称呼上類似することが明白であるから、類似する商標である。
そして、本件商標の指定商品「電球類及び照明用器具」は、引用商標の「電気機械器具」に含まれる商品であることが明らかである。
以上の理由により、本件商標は、商標法第46条の規定により登録の無効を免れないものである。
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べている。
(1)本件商標の構成
本件商標の構成は、欧文字で打ち抜きにされ且つ文字を構成する輪郭線に影をつけて立体的に見えるようにした「ABiTA」と、上段の文字より幾分小さい欧文字で表された「EXCEL」とが上下二段に表され、更に上下二段に表された「ABiTA」と「EXCEL」とが枠「□」によって囲まれ、全体として一つのまとまりのある図形を構成している。そして上段の欧文字「ABiTA」中、欧文字の大文字「B」の後ろの文字のみを欧文字の小文字の「i」とすることで「Bi」を際立たせ、「ビ」と間違いなく称呼させる構成を有するものである。
このような本件商標は「ABiTA」と「EXCEL」とが枠「口」によって囲まれ、全体として一つのまとまりのある図形で構成されているため、看者は、文字の構成が上下二段に表されていても「ABiTA」と「EXCEL」とを分離観察することなく、密接不可分に結合した結合商標として認識でき、「ABiTA」に相応して「ア・ビ・タ」の称呼を「EXCEL」に相応して「エ・ク・セ・ル」の称呼を生じ、全体としては「ア・ビ・タ・エ・ク・セ・ル」と一連に称呼し難い理由も見当たらないため、合計7音で一連に「アビタエクセル」と称呼されるものである。
(2)引用商標との対比
請求人は外観、観念、称呼に差異があると認めた上でも、本件商標の主要部は「ABiTA」部であるから「アビタ」の略称によって特定されることがあるとし、引用商標との称呼における類似性について種々述べているので以下、答弁する。
まず請求人は称呼が「アビタ」という略称によって特定される根拠として、被請求人が拒絶査定不服審判請求書においてした主張内容の一部を挙げている。
しかしながら、この請求人の主張はそれまでの本件商標の審査及び審理の経緯、背景を完全に無視したものであり、根拠を欠くものである。
また、請求人は形容詞的文字が併記されている商標は、その部分が割愛され、他の主要部によって認識され、称呼されることが多いことを被請求人が認めていると主張しているが、そのような主張も全く根拠のない我田引水の論理である。もしそのように述べている記載があるとすれば、請求人はその箇所を明確に指摘すべきである。
たしかに「EXCEL」部は形容詞的文字であるといえるが、だからといって識別力を有しない付記的部分ではない。この点については、審査段階において二つの先行登録商標(甲4号証:称呼「アピタ」及び登録第2148857号商標:称呼「エクセル」)とが引用されたことからも裏付けられ、また先行登録商標例(登録第2148857号商標)があるように、単なる形容詞的文字に留まらず「EXCEL」部のみをもっても、自他商品識別機能を有する商標となり得るものであるので、そのような論理からいえば本件商標は要部を二つ有する結合商標として把握されるべきものである。
一方、引用商標と本件商標の一部「ABiTA」部の称呼について、「ア・ピ・タ」と「ア・ビ・タ」とは第2音が「ピ」と「ビ」との相違に過ぎないとする請求人の主張は何等論議するまでもなく自明である。だからといって本件商標が引用商標と類似する。と結論づけるのは、あまりにも論理的に飛躍した議論である。
被請求人によれば先の審決では「ABiTA」と「EXCEL」とは分離観察されることなく、密接不可分に結合した結合商標であるということが認定された結果として登録に至ったものと認識しており、この審決は適法な手続の上で取引の実情に沿ってなされた妥当な判断であったものと信じて疑わないものである。
(3)結論
以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項11号に違反して登録されたものではないから、本審判請求には理由がない。
本件商標は、別掲(1)とおりありふれた輪郭内にややデザイン化した「ABiTA」の文字と「EXCEL」の文字を上下二段に書してなるところ、その文字全体は特定の観念を有するとはいえないものであって、しかも、上段の「ABiTA」の文字は下段の「EXCEL」の文字に比較して大きくデザイン的に強調した書体によって顕著に表されているものであるから、本件商標は、簡易迅速を尊ぶ取引の場において、これに接する取引者、需要者は上段の「ABiTA」の文字部分に着目して、これより生ずる「アビタ」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成文字部分に相応して、「アビタエクセル」の一連の称呼を生ずるほか、「ABiTA」の文字部分に相応して、「アビタ」の称呼をも生ずるものといわなければならない。
他方、引用商標は、それぞれの構成文字に相応して、「アピタ」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、本件商標より生ずる「アビタ」と、引用商標より生ずる「アピタ」の称呼を比較するに、両称呼は第2音において「ビ」と「ピ」の差異を有するが、これも、母音を共通にする濁音と半濁音の相違にすぎないから、この差異が両称呼の全体に及ぼす影響は小さいものであって、両称呼を一連に称呼するときは、全体の語感が近似したものとなり、彼此聴き誤るおそれがあるものといわなければならない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観及び観念について考慮するとしても、称呼において類似する商標であり、かつ、本件商標の指定商品は、引用商標の指定商品と同一又は類似する商品と認められる。
なお、請求人は、「本件商標は『ABiTA』と『EXCEL』とが枠によって囲まれ、全体として一つのまとまりのある図形で構成されているため、看者は、文字の構成が上下二段に表されていても『ABiTA』と『EXCEL』とを分離観察することなく、密接不可分に結合した結合商標として認識でき、...一連に『アビタエクセル』と称呼されるものである。」旨主張しているが、本件については、上記認定のとおり「ABiTA」の文字部分に着目して、これより生ずる「アビタ」の称呼をもって取引にあたることも決して少なくないものとみるのが相当であるから、この点に関する請求人の主張は採用の限りでない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものであって、その登録は同法条に違反してされたものといわざるを得ないから、商標法第46条第1項により、これを無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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