結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35242(T2003−35242/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
第1.本件商標
本件登録第4638250号商標(以下「本件商標」という。)は、平成12年11月29日に登録出願され、「MUTSUBISHI RUBBER」(「MUTSUBISHI」と「RUBBER」との間に半文字程の間隔を有している。)の欧文字を横書にしてなり、第7類、第11類、第12類、第17類及び第19類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成15年1月24日に設定登録されたものである。
第2.請求人の引用する商標
請求人が本件商標の登録の無効理由に引用する登録商標は以下のとおりである(以下、次に示す引用商標1ないし引用商標12の登録商標を一括して「引用各商標」という場合がある。)。
(1)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、昭和35年3月31日に登録出願され、第50類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品(指定商品については、平成13年8月24日に書換登録申請、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として書換の登録が同14年11月6日にされた。)として、昭和36年8月19日に設定登録された登録第579190号商標(以下「引用商標1」という。)。
(2)「三菱」の漢字を縦書にしてなり、昭和35年3月31日に登録出願され、第50類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品(指定商品については、平成13年8月24日に書換登録申請、第16類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として書換の登録が同14年11月6日にされた。)として、昭和36年8月19日に設定登録された登録第579191号商標(以下「引用商標2」という。)。
(3)「三菱」の漢字を縦書にしてなり、昭和38年7月17日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和40年11月15日に設定登録された登録第689596号商標(以下「引用商標3」という。)。
(4)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、昭和38年7月17日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和40年11月15日に設定登録された登録第689597号商標(以下「引用商標4」という。)。
(5)「三菱」の漢字を縦書にしてなり、昭和35年3月30日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和42年9月23日に設定登録された登録第755794号商標(以下「引用商標5」という。)。
(6)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、昭和35年3月30日に登録出願され、第1類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和42年9月23日に設定登録された登録第755800号商標(以下「引用商標6」という。)。
(7)「三菱」の漢字を縦書にしてなり、昭和42年7月12日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和52年4月1日に設定登録された登録第1261134号商標(以下「引用商標7」という。)
(8)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、昭和42年7月12日に登録出願され、第9類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和52年4月1日に設定登録された登録第1261135号商標(以下「引用商標8」という。)
(9)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、昭和53年8月8日に登録出願され、第18類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和56年9月30日に設定登録された登録第1482228号商標(以下「引用商標9」という。)
(10)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、昭和53年8月8日に登録出願され、第7類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、昭和57年9月30日に設定登録された登録第1539620号商標(以下「引用商標10」という。)
(11)「MITSUBISHI」の文字を標準文字とし、平成9年4月1日に登録出願され、第7類ないし第12類、第16類、第17類及び第21類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年1月29日に設定登録された登録第4233888号商標(以下「引用商標11」という。)
(12)「MITSUBISHI」の欧文字を横書にしてなり、平成9年4月1日に登録出願され、第1類ないし第34類に属する商標登録原簿に記載のとおりの商品を指定商品として、平成11年10月1日に設定登録された登録第4319478号商標(以下「引用商標12」という。)
第3.請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求めて、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1ないし第19号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第16号に該当するにもかかわらず登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により無効とされるべきものである。
1.請求の理由
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は「MUTSUBISHI RUBBER」の欧文字を書してなものであるところ、その後半の「RUBBER」の文字部分は、その指定商品との関係において「ゴム、ゴム製の」等を意味する英語として一般に知られているものである。(甲第14号証)
そうとすれば、本件商標中の「RUBBER」の文字は、本件商標をその指定商品中、例えば「ゴム、ゴム製の座金、ゴム製のバルブ(機械要素に当たるものを除く。)、ゴム製栓、ゴム製ふた、ゴム製包装用容器、絶縁用ゴム製品、ガスケット、パッキング、防音材(建築用のものを除く。)、ゴム製の建築用又は構築用の専用材料」等の「ゴム、ゴム製の商品」について使用するときは、指定商品を指称若しくはその品質・原材料等を表示する語である(甲第15号証)こと明らかであるから、「MUTSUBISHI RUBBER」の文字よりなる本件商標にあって自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は、前半の「MUTSUBISHI」の文字部分にあるものといわざるを得ない。
したがって、本件商標から全体の構成文字に相応して「ムツビシラバー」の一連の称呼のみならず、これをその指定商品中「ゴム、ゴム製の商品」について使用するときは、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分である「MUTSUBISHI」の文字に相応して「ムツビシ」の称呼をも生ずるものであることは明らかである。
これに対し、「MITSUBISHI」若しくは「三菱」の文字を書してなる引用各商標(甲第2号証ないし同第13号証)は、その構成文字に相応して「ミツビシ」の称呼を生ずるものであることは明らかである。
そこで、本件商標から生ずる「ムツビシ」の称呼と引用各商標から生ずる「ミツビシ」の称呼を比較すると、両者は共に4音で構成されており、そのうちの「ツビシ」の3音を共通にするものであって、わずかに「ム」と「ミ」の音に差異を有してはいるが、この「ム」と「ミ」の音は共に50音図中「マ行」に属する近似した音であるにすぎないから、両商標は、これをそれぞれ一連に称呼するときは、その差異が両称呼全体に及ぼす影響は少なく、
聴者をして聞き誤らせるおそれのある称呼上類似する商標であることは明らかである。
また、本件商標を構成する「MUTSUBISHI」の文字と引用商標1.4.6.8.9.10.11.12を構成する「MITSUBISHI」の文字を比較するに、両者は共にローマ文字(大文字)10文字よりなるものであって、第2文字において「U」と「I」の文字に差異を有しているにすぎず、残りの「MTSUBISHI」の9文字を悉く共通にしているため、全体的な外観の印象が酷似したものとなり、看者をして見誤らせるおそれがあるから、本件商標と上記引用各商標とは、外観上においても類似する商標である(甲第19号証)。
請求人のこの主張の妥当性は、本件商標と同日付けの被請求人の出願にかかる商願2000−128384号商標「MUTSUBISHI」が拒絶の査定がなされていることからも認められるものである(甲第19号証)。
なお、引用各商標が日本を代表する企業グループである「三菱系企業集団」(甲第16号証)を表す極めて著名な商標として取引者・需要者に知られているものである(甲第17号証)ことからみても、本件商標は引用各商標と類似の商標とすべきものであることは明らかである(甲第19号証)。
さらに、本件商標の指定商品と引用各商標の指定商品は互いに同一又は類似の商品である。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第16号について
上述したように、本件商標は「MUTSUBISHI RUBBER」の欧文字を書してなるものであり、その指定商品との関係において「RUBBER」の文字は「ゴム、ゴム製の」等を意味する英語として一般に知られているものである(甲第14号証)。そして、本件商標の指定商品には、「ゴム若しくはゴム製の商品」以外の商品が含まれていることは明らかである(甲第1号証)。
してみれば、「ゴム、ゴム製の」等を意味する英語として一般に知られている「RUBBER」の文字を有する本件商標をその指定商品中「ゴム若しくはゴム製の商品」以外の商品について使用するときは、それが「ゴム若しくはゴム製の商品」であるかの如く、品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
三菱商事株式会社、三菱電機株式会社、三菱自動車工業株式会社、三菱重工業株式会社等の大企業が属する日本最大の企業集団である「三菱系企業集団」は日本を代表する企業グループであり(甲第17号証)、その集団を構成する企業であって社名に「三菱」の文字を有する企業は、下記のように、その社名の英語表記を「MITSUBISHI」に業種名「○○」を付し、本件商標と同様に「MITSUBISHI ○○」として表示し使用している事実がある。
「MITSUBISHI LIQUEFIED PETROLEUM GAS CO.,LTD)」(三菱液化瓦斯株式会社)、「MITSUBISHI KAKOKI KAISHA,LTD.」(三菱化工機株式会社)、「MITSUBISHI GAS CHEMICAL COMPANY,INC.」(三菱瓦斯化学株式会社)、「MITSUBISHI MOTORS CORPORATION」(三菱自動車工業株式会社)、「MITSUBISHI HEAVY INDUSTRIES,LTD.」(三菱重工業株式会社)、「MITSUBISHI CORPORATION」(三菱商事株式会社)、「MITSUBISHI SPACE SOFTWARE C0,,LTD,」(三菱スペース・ソフトウエア株式会社)、「MITSUBISHI STEEL MFG.CO.,LTD.」(三菱製鋼株式会社)、「MITSUBISHI PAPER MILLS LIMITED」(三菱製紙株式会社)、「MITSUBISHI RESEARCH INSTITUTE,INC.」(株式会社三菱総合研究所)、「MITSUBISHI ELECTRIC CORPORATION」(三菱電機株式会社)、「MITSUBISHI CABLE INDUSTRIES,LTD.」(三菱電線工業株式会社)、「MITSUBISHI PRECISION CO.,LTD.」(三菱プレシジョン株式会社)、「MITSUBISHI RAYON CO.,LTD.」(三菱レイヨン株式会社)(甲第18号証の1ないし甲第18号証の14)
しかるところ、本件商標は、日本を代表する企業グループ「三菱系企業集団」を表す「MITSUBISHI」と称呼及び外観上類似する「MUTSUBISHI」のローマ文字と業種を表すものとも認識される「RUBBER」のローマ文字を「MUTSUBISHI RUBBER」と書してなるものである。
してみれば、本件商標は上記「三菱企業集団」を構成する企業の英文表記と酷似するものといわなければならず、本件商標がその指定商品について使用された場合には、これに接する取引者、需要者はその商品が「三菱系企業集団」に属する企業若しくはこれとなんらかの関連のある企業の取り扱いに係るものであるかの如く認識し、その商品の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
2.弁駁の理由
被請求人は、答弁書において、種々述べているが、以下に詳述するように何れもその理由がないというべきものである。
(1)商標法第4条第1項第11号について
(ア)被請求人は、本件商標の商標権者が「六菱ゴム株式会社」であり、本件商標は、商標権者の商号を英語表記したものであるから、「MUTSUBISHI RUBBER」の文字よりなる本件商標を「MUTSUBISHI」と「RUBBER」とに分断して解釈をすることは合理的でないと主張している。
しかしながら、本件商標は、「MUTSUBISHI RUBBER」の文字よりなるもので、その構成中には、商号を表す文字は一切含まれていないものであるから、本件商標に接する者をして、商号を英文表記したものと理解、認識されることは無いというべきものである。
そして、商号と商標とは、法的にも実社会上も全く別の性質、機能を果たしているものである。
本件商標は、商標として出願され登録商標となっているものであるから、商号ではなく、商標としての性質を有し、機能するというべきものである。
したがって、この点に関する被請求人の主張は、非論理的で採用するに値しないものである。
なお、被請求人の主張に係る「東京電力」、「東京ガス」、「日本鋼管」、「日本航空」という事例は、何れも商号の略称として広く知られ、使用されている著名な略称に係るものであって、本件商標の商標権者の略称がこれらの事例と同様に著名であるとは言い得ないことからすれば、この点に関する主張も採用に値しない。
本件商標の構成中の「RUBBER」の文字の部分は、「ゴム」を意味する英語として広く一般に知られているものである。
しかして、取引社会における商標には、自他商品識別標識としての機能を果たすいわゆる社会通念上の商標と、その商標の使用される商品の普通名称や品質、原材料を表示する語を結合した商標が使用されることは、広く一般に行われているところであり、このような商標の類否判断については、その商標の使用される商品の普通名称や品質、原材料を表示する語の部分は、自他商品識別標識としての機能を有しないことから、自他商品識別標識としての機能を果たすいわゆる社会通念上の商標の部分を要部と認定し、この部分をもって類否判断をすることは、商標の審査基準に採択されている類否の判断方法であり、商標の審査、審判において通常用いられる類否判断の手法であって、この類否判断の方法は、査定不服審判事件の審決取り消し訴訟、登録無効審判事件の審決取り消し訴訟、商標権の侵害訴訟等の多くの訴訟事件の判例においても支持されているところである。
(イ)被請求人は、本件商標より生じる称呼「ムツビシ」と引用商標より生じる称呼「ミツビシ」とは類似するものでないと主張し、この論拠として、本件商標の「MUTSU」の部分は「六つ」に由来するもので、引用商標の「Mitsu」の部分は「三つ」に由来するもので、「六つ」と「三つ」とは幼稚園児でも聞き間き誤ることはないと主張している。
しかしながら、この点に関する被請求人の主張は、ことさら「六つ」(ムツ)と「三つ」(ミツ)の部分のみに矮小化し議論をすり替えているもので、採用するに値しないものである。
(ウ)被請求人は、本件商標の構成中の「MUTSUBISHI」の文字と引用商標の構成中の「MITSUBISHI」とは、「六菱」、「三菱」に由来するもので、ローマ字による表記が普及し、これを読むときには「U」と「I」の差異をもって識別し得るものであるから、「U」と「I」の文字を見誤るおそれはないと主張している。
たしかに、「U」と「I」の文字のみを見誤りおそれはないといい得るとしても、請求人が主張しているのは、本件商標の「MUTSUBISHI」の文字と引用商標の「MITSUBISHI」の文字とは、「U」と「I」の文字に差異を有するとしても、他の文字「M TSUBISHI」の文字の配列を共通にしているため、全体的な外観の印象が酷似したものとなり、
看者をして見誤らせるおそれがあるから、外観上類似するとしているものである。
したがって、この点に関する被請求人の主張は採用するに値しない。
(2)商標法第4条第1項第16号について
被請求人は、本件商標が被請求人の商号が「六菱ゴム株式会社」であり、その略称を英文表記したものであることを前提にし、企業の多角化に伴い創業時の商号をそのまま使用しても、商品の品質について誤認を生じさせるおそれはないと主張している。
しかしながら、被請求人の商号が「六菱ゴム株式会社」であり、その商号をこれまで使用していたことは認められるとしても、それはあくまで商号として使用してきたもので、これを商標として使用していたものではない。
ましてや、本件商標は、前述したとおり、商号であることを表示するような文字が付されておらず、商号の略称を英文表記したと理解、認識されるものでないこと明白であるばかりでなく、商号に略称を表示する商標として商号と共に使用されていた事実もないものであることからすれば、被請求人の主張は失当というべきものである。
そして、前述したとおり、取引社会における商標には、自他商品識別標識としての機能を果たすいわゆる社会通念上の商標と、その商標の使用される商品の普通名称や品質、原材料を表示する語を結合した商標が使用されることは、広く一般に行われているところであり、本件商標の構成中の「RUBBER」の文字は、「ゴム」を意味する英語として広く知られていることからすれば、本件商標に接する取引者、需要者は「RUBBER」の文字の部分が商品の品質を表示する部分と理解し、認識するというのが相当である。
そうとすれば、本件商標は、これを「ゴム若しくはゴム製」の商品以外の商品について使用するときは、品質の誤認を生じるおそれがあるといわざるを得ないものである。
(3)商標法第4条第1項第15号について
(ア)被請求人は、「ミツビシ」や「MITSUBISHI」の文字よりなり、若しくはこれらの文字を有する商標が、商標の審査の場において、三菱系企業集団に属するか否かという判断を行わず、別個に類似する否かにより個別に登録されていると主張している。
しかしながら、この点に関する被請求人の主張は誤りというべきである。
これまで、商標の審査の場において、三菱系企業集団に属しない企業、個人が出願した「ミツビシ」や「MITSUBISHI」の文字よりなり、又はこれらの文字を有する商標若しくはこれに類似する数多くの商標が、三菱系企業集団に係る商品、役務であるかのごとく混同を生じさせるおそれがあるとして拒絶されているところであり、かつ「ミツビシ」や「MITSUBISHI」の文字よりなり、若しくはこれらの文字を有する数多くの商標、
商号が、これを使用することは不正競争防止法に該当するとしてその使用を差し止められた数多くの判例が存在するところである。
なお、被請求人の提出に係る乙第1ないし第15号証の登録商標の商標権者は何れも三菱系企業集団に属するものである。
また、乙第16ないし第20号証の商標の商標権者は、三菱系企業集団に属しないものであるが、戦後の特殊事情の下に登録され、長年の使用により一定の周知性を得た商標に係るものであるから、本件商標についての証拠とはなし得ないものである。
(イ)また、被請求人は、その商号「六菱ゴム株式会社」を長年にわたり使用してきたものであり、本件商標はその商号の略称を英文表記したものであると主張して乙第21号証を提出している。
しかしながら、本件商標は、その構成上、商号の略称と認識し得ないものであることは、前述したとおりであるから、この点に関する主張、証拠も採用するに由ないものである。
(ウ)被請求人は、請求人の主張に係る「三菱系企業集団」内に「三菱ゴム株式会社」や「三菱ラバー株式会社」が存在しないから、請求人の主張は単に希望を述べていると主張しているが、「三菱系企業集団」内に存在しない企業による「三菱建設」や「三菱信販」の使用が不正競争防止法において使用を差し止められ、「三菱系企業集団」内に存在しない企業や個人による「ミツビシ」や「MITSUBISHI」の文字よりなり、若しくはこれらの文字を有する数多くの商標出願が請求人ら(三菱企業集団)の業務に係る商品、役務と混同を生じさせるおそれがあるとして拒絶されている多くの審査例があることから見ても、この点に関する被請求人の主張は、採用するに由ないものである。
以上のとおり、被請求人の主張及び証拠は、何れも当を得たものとはいえず、採用するに値しないものである。
よって、請求の趣旨のとおりの審決を求めるものである。
第4.被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。
1.商標法第4条第1項第11号違反との主張について
本件商標と引用各商標とが類似するとして請求人が示めす各論拠は何れも説得力に欠け到底承服できないものである。
(1)まず、本件商標である「MUTSUBISHI RUBBER」が指定商品「ゴム、ゴム製の商品」に関して自他商品識別機能を有する部分は、前半の「MUTSUBISHI」のみであるとされ、この部分と引用各商標との間で類似関係を主張するが、本件商標についてこのような分断を行う合理性は存在していない。
すなわち、本件商標の商標権者が被請求人である「六菱ゴム株式会社」であることは明白であり、とすれば本件商標は実質的には商標権者の商号を英語表記したものであることに疑問の余地はないものと考えられる(法人の種類を示す「株式会社」部分は法人名を略称する場合にはしばしば省略され、
商号の英語表記の場合にも「株式会社」の英訳である「Co.Ltd」の如きを省略する場合が多いことは常識的に理解されるところである)。
そして、商号的商標の場合にその自他商品識別機能を考える上で安易な商標の分断を行うことがまったく不合理であることは商号的商標の若干例を具体的に考察すれば容易に理解できるところである。
つまり、例えば「東京電力」や「東京ガス」、「日本鋼管」や「日本航空」といった実質的に法人名を示す商号的商標が特定範囲の商品や役務に関して自他商品の識別標識としての機能を果たす部分は「東京」や「日本」の部分のみであると言えばそのような解釈が不自然且つ不合理であることは何人にも疑いないと解される。法人名にはその法人の代表的な取扱い商品や役務に関する名称を部分的に含ませることが多いが、その場合、法人名はそのような商品や役務の名称と不可分一体的に把握され、現実の取引を重ねることで信用を蓄積していくものである。したがって、実質的に法人名を示している商号商標においても、これが部分的に商品名や役務名を含んでいるからといってこれを恣意的に分断し、その一部についてのみ自他商品識別機能の有無を解釈することがまったくの無意味であることも明白であり、このことは特許庁における商標登録の実例からも理解できるものである。
(2)請求人は「MITSUBISHI」又は「三菱」の文字を書してなる引用商標1ないし引用商標12を挙げてこれらは「ミツビシ」の称呼を生じるものとし本件商標との類否判断を行っている。しかし、本件商標は上記したように実質的に商標権者の法人名を英語表記した商号的商標でその称呼は指定商品中「ゴム、ゴム製の商品」について使用する場合であっても「ムツビシラバー」と一連のものとして理解すべきであることが明らかである。
したがって、実質的に商号商標であって、その称呼が「ムツビシラバー」である本件商標と「ミツビシ」の称呼を生じる引用商標1ないし引用商標12とは、何ら称呼上の類似性を有しないものである。
(3)請求人の理由に合理性がないことは前記(2)のとおり明らかであるが、仮に請求人主張のようにな理由を前提に立ったとしてもその理由とするところは何ら妥当性を有するものではない。
すなわち、請求人は本件商標から生じる「ムツビシ」の称呼と引用商標1ないし引用商標12により生じる「ミツビシ」の称呼が50音中「マ行」で母音を異にする「ム」と「ミ」の1音違いであり、称呼上類似すると主張している。
しかしながら、引用各商標の「ミツビシ」の称呼が聴者に「三菱」を想起させ、これと比較する本件商標の「ムツビシ」の称呼が「六菱」を想起させ得るものであることは明らかである。とすれば、両者の称呼上の差異は「ミツ」と「ムツ」であり「ミツビシ」及び「ムツビシ」を一連に発音する場合にこの差異部分が聴者に「三つ」及び「六つ」を想起させるものであることも明らかである。したがって、「ミツビシ」と「ムツビシ」が称呼上類似するか否かは聴者が「三つ」と「六つ」を聞き誤るおそれがあるか否かに拠るものと理解されるが、「三つ」と「六つ」を聞き誤るおそれを懸念する請求人の論拠に説得力がないことは明らかである。少なくとも数百年以上続いている数に関する言葉の発音が聞き誤りを生じるおそれのあるものであることは考えられず、事実、「三つ」と「六つ」を聞き間違えることなどは、聴者が幼稚園児であっても有り得ないことである。「ミツビシ」と「ムツビシ」とが聴者をして聞き誤りを生じるおそれのある称呼上類似関係にあるとする請求人の理由は合理性を欠くものとせざるを得ない。
(4)また、請求人は、本件商標の一部を構成する「MUTSUBISHI」と引用商標1、4、6、8、9、10、11、12を構成する「MITSUBISHI」とを比較すると「U」と「I」の文字に差異を有するこ過ぎず看者をして見誤らせるおそれがあるから外観上類似するとしている。
しかし、日本語の発音をローマ字表記する能力を有する者が母音の発音を生じる「U」と「I」とを見誤るとは考えられない。日本語をローマ字表記する場合には「母音を表すローマ字」及び「子音を表すローマ字+母音を表すローマ字」を組合わせることにより行う。この場合、ローマ字表記された日本語を読もうとする者は、左から順に上記のような組合わせを把握しながらその発音を確定するために読み進んで行くものである。
したがって、ローマ字表記された言葉の発音や意味内容を読み取るためにローマ字表記された言葉を看る者にとっては、一文字の違いは大きくこれを外観上類似すると単純に結論付けることは妥当性を欠く。ローマ字表記された言葉を読み取ることができない者にとっては一文字違いは類似しているということになるかも知れないが、「MUTSUBISHI」も「MITSUBISHI」も日本語の単語である「六菱」や「三菱」の称呼をローマ字表記したものであり、これを看る者が「六菱」や「三菱」の意味内容を想起することを期待し、これによって自他商品の識別機能を実現しようとするものである。
したがって、ローマ字表記を読むことができない者を基準に商標としての外観類似を判断することに合理性はなく、また、それぞれに異なる日本語の単語(「六菱」と「三菱」)を想起させるローマ字表記が一文字違いになってしまうからといって、それぞれのローマ字表記が外観類似であると単純に結論されないことは明らかである。
対比する一文字違いのローマ字表記が外観上類似するとされるのは、それぞれのローマ字表記に格別な意味内容を生じさせる発音が存在しない場合や、ローマ字表記に採用する文字のデザインに特徴があり、その特徴が共通している場合が考えられるが、「MUTSUBISHI」も「MITSUBISHI」もその発音に日本語の単語である「六菱」や「三菱」を想起させるものであり、また、本件商標の一部(前半部分)にも引用各商標にも採用している文字デザインに格別の特徴があるものとは理解できない。
したがって、両者が商標の外観として類似しており、看者をして見誤らせるおそれがあるとする請求人の主張は妥当性を欠くものであり、本件商標と上記引用各商標とが外観上何ら類似しないことは明白である。
(5)請求人は、自らの主張の妥当性を示す根拠として本件商標と同日出願にかかる商願2000−128384号商標「MUTSUBISHI」が拒絶査定されていることを指摘している。しかし、商願2000−128384号が審査段階において拒絶査定されていることは本件商標の無効理由として請求人が主張することの妥当性に何ら関係のないものである。
(6)請求人は、引用商標1ないし引用商標12が日本を代表する企業グル一プである「三菱系企業集団」を表す極めて著名な商標として取引者・需要者に知られている、として格別に優位な取扱いを商標制度上受けるべきであると主張しているようである。しかし、このような主張が現行の商標制度上何ら正当性を有しないことは明白である。
すなわち、引用各商標の商標権者は請求人単独又は請求人と三菱電機株式会社との共有であって、決して「三菱系企業集団」などというものではない。請求人のいうように引用各商標が「三菱系企業集団」を表す極めて著名な商標であるとすれば、このような商標を一私企業である請求人が何故に商標権者として商標登録を受け得たのかが疑問であるし、請求人が所有する登録商標を「三菱系企業集団」の各企業に使用させることで著名性を獲得していると言いたいのであれば、引用各商標についての使用許諾の事実などを示すべきであるがこのようなこともされていない。
さらに、請求人が「三菱系企業集団」を代表して引用各商標の如きに関して商標権を取得し、これらを適切に維持・管理しながら「三菱系企業集団」の各企業に使用させて信用を蓄積し主張に言うような商標法上の著名性を獲得したと言いたいのであれば、引用商標や引用商標を含んだ商標はすべて請求人が単一の商標権者となり適切な維持・管理を行っている必要があると理解され、事実、請求人においてもそのような体制が整うように尽力しているように見受けられるが、少なくとも現時点においては実現されていない。
すなわち、「三菱系企業集団」に属する請求人以外の企業が引用商標と同一の商標や引用商標を含んだ商標を独自に登録商標として所有している例が多数見つかるのである(乙第1号証ないし乙第15号証)。これらの登録商標についての指定商品や指定役務は本件商標や引用各商標とは別個のものであるが、請求人が主張する「三菱系企業集団」を表す極めて著名な商標というものが商標法上存在するとすれば、「三菱系企業集団」中の企業が扱う商品や役務である以上、請求人が商標権者としてこれらを管理していなければならない筈である。然るにこのような管理体制が実現していないことは乙各号証に示されるとおりであるとすれば請求人が主張するような引用各商標に関する著名性が商標法上認められるべきものに至っていないことは明白である。このような著名性を不正競争防止法上の争いなどにおいて主張することは有り得るかも知れないが、現行商標法上の無効審判請求事件の無効理由において主張することの不合理は明白である。
また、請求人の主張によれば、引用各商標と同一又はこれを含んだ商標が請求人や「三菱系企業集団」に属する企業以外の者の商標権として成立しない筈であるが、実際にはそのような商標が登録されている(乙第16号証ないし乙第20号証)。してみれば、請求人が言うような著名性は、如何に請求人がそれを希望しているとしても現時点においては商標上まったく確立していないと言わざるを得ない。
さらに言えば、仮に本件商標の前半部分のみに注目するとしても、この部分は明確に一文字相違しており、これに基づいて称呼上、観念上、外観上において十分な差異を認められるべきことも前述したところから明らかである。このことは先行商標登録例からも明らかで、引用各商標と、少なくともその称呼などにおいて、実質的に一文字違いと解釈できるものでありながら、請求人や「三菱系企業集団」所属企業以外の者の商標権として確立しているものが、例えば、登録第244297号商標「三ツ星」、登録第461260号商標「三ツ星」、登録第530188号商標「三ツ星」、登録第530189号商標MITSUBOSHI」、登録第562546号商標「三ツ星/MITSUBOSHI」、登録第1450824号商標「MITSUBOSHI」、登録第2149208号商標「三ツ星/MITSUBOSHI」、登録第2529652号商標「三ツ星」、登録第2575641号商標「三ツ星」、登録第2575643号商標「MITSUBOSHI」、登録第2587912号商標「三ツ星/MITSUBOSHI」、登録第2629443号商標「三ツ星」、登録第2708238号商標「MITSUBOSHI」、登録第501444号商標「松菱」、登録第550809号商標「松菱」、登録第596695号商標「松菱」、登録第1671025号商標「マツビシ/MATSUBISHI」等が容易に見出される。
してみれば、本件商標の前半部分のみに注目するとしても請求人の指摘する引用各商標の存在によって登録を無効とされるようなものでないことが明白である。まして、本件商標は、実質的に法人名称を表現する商号的商標であって恣意的な分断解釈を許すようなものではなく、引用各商標との非類似性は一層明らかなものである。
したがって、本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するという請求人の主張はまったく合理的な理由を有していない。
2.商標法第4条第1項第16号違反との主張について
請求人は、「RUBBER」の文字を有する本件商標を「ゴム若しくはゴム製の商品」以外の指定商品に使用するときは、品質の誤認を生じるおそれがあるものといわなければならない、として商標法第4条第1項第16号に該当するとの主張をしている。
しかし、このような主張は本件商標の商号的商標たる本質を無視したまったく不合理な主張である。すなわち、企業の行う業務が複雑且つ多角化している現代において、法人の名称(商号)に表現される創業時などの専業的事業を離れて新規事業を広く行うことは常識的になされているところである。
そして、創業時の専業的事業を継続することにより蓄積された社会的信用を利用して新規事業に進出することは何ら不都合なことではなく、この際に創業時の専業的業務を想起させる法人名称を含んだ商標を新規事業のために利用するために商標権を取得することも当然のこととして認められているものである。本件商標の実質が商号的商標であり、被請求人(本件商標の商標権者)が乙第21号証から理解されるように80年以上にわたって同じ法人名称(商号)を使用して社会的信用を蓄積してきていることからすれば、商号的商標である本件商標において「ゴム若しくはゴム製商品」以外の指定商品についても登録商標として認められたことに何の不思議もない。
さらに言えば、請求人の主張が正当であるとすれば、請求人の言う「三菱系企業集団」の所属企業が個別に所有している前記乙第1号証、乙第2号証、乙第11号証、乙第13号証、乙第14号証、乙第15号証に示す各商号的商標ついても現状の指定商品・指定役務の記載のままでは請求人が言う品質の誤認を生じるおそれのあるものとして無効理由を有していることとなってしまう。また、「三菱系企業集団」所属企業以外の者が商標権者である例として挙げた乙第17ないし第20号証に示す商号的商標についても無効理由が存在することになり、その他の商標登録を受けている商号的商標の多くも無効理由を有することとなる。
このような解釈が現行商標制度上極めて妥当性を欠くことは明らかであり、したがって、この請求人の主張は、不当なものであって何ら説得力を有していないものである。
3.商標法第4条第1項第15号違反との主張について
請求人は、「MITSUBISHI」と「MUTSUBISHI」が称呼及び外観上類似すると主張するが、前記に説明したように実質的な根拠を欠いている。請求人は称呼を問題としているので、ローマ字表記の発音を読み取れないような者を類似判断の基準とはしていないものと理解できる。そして、両者の語頭部分の発音である「ミツ」と「ムツ」は「三つ」及び「六つ」という数を想起させる称呼として日本人であれば幼稚園児であっても聞き間違えることが考えられないことも前記したとおりであり、両者が称呼上類似するという主張に合理性はない。
また、外観についても類似判断の基準として考えられるべき者が当然にローマ字表記を読めることを前提として考えるものである以上、両者の読み間違いが現実的に起こらないと理解されるのであるから、両者は外観においても類似するものではないと結論されるべきでる。一文字違いのローマ字表記が外観上類似すると考えられるのは、その一文字同士の表記がにかよったものであったり、ローマ字表記全体のデザインに特徴があり両者がそれを共通する場合などに限られるべきであるが、本件商標においてそのような事情はまったく認められない。
また、乙第3号証、乙第6ないし第10号証、乙第12号証にあるように「三菱系企業集団」に所属する企業自体が独自に「MITSUBISHI」やそれを冠した商号的商標の商標権を取得しており、他の多くの請求人所有の商標権についても元来は別の権利者が商標権取得していたものを譲渡によって取得しているものと推察される。
つまり、商標出願の審査においては「三菱系企業集団」に属するか否かという判断は行われず、出願商標が全体として先行商標に類似するものでなければ各商標登録出願人に別個の登録を認めているものと理解される。乙第16号証ないし乙第20号証において「三菱系企業集団」に属しない者に「ミツビシ」や「MITSUBISHI」を冠した商号的な商標登録を認めていることからも理解される。また、請求人の言う「三菱系企業集団」内に「三菱ゴム株式会社」や「三菱ラバー株式会社」が存在しているわけでもなく、結局のところ、「三菱系企業集団」内においても請求人の主張を首肯させるような商標登録の管理体制が整っているわけでもなく、その主張に反する商標登録が妥当なものとして通用しているにも係わらずなされているこのような主張は、何ら説得力を有する無効理由とはなっていない。
4.結論
以上述べたとおり、請求人の主張は何れも成り立たず、本件商標は商標法第46条第1項の規定により無効とされるものではない。
第5.当審の判断
1.商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前項第1.で述べたとおり「MUTSUBISHI RUBBER」の文字よりなるところ、その構成は、全体として、同じ書体、同じ大きさで表されていて、文字間の間隔も「MUTSUBISHI」と「RUBBER」の「I」と「R」の間が半文字程の間隔となっている他は等間隔に表示されている構成態様上一連一体のものであり、これらの文字全体より生ずる「ムツビシラバー」の称呼も冗長に亘ることなく、よどみなく一気に称呼し得るものとなっていることから、このような構成よりなる本件商標にあっては、例え、その後半部の「RUBBER」の文字部分が「ゴム」を意味する英語として広く知られていたとしても、その全体の構成文字をもって一連に称呼され把握・認識されるものと判断するのが相当である。
しかして、上記判断の妥当性は、商標権者(被請求人)の商号が「六菱ゴム株式会社」であり、大正11年(1922年)11月に神戸市に工業用ゴム製品を製造することを目的に前身である「六菱ゴム製造所」が設立されて以来80年の長きにわたり、本件商標と実質的に等しい法人名称を一貫して使用してきていること、かつ、本件商標の指定商品がどれも一般の消費者が使用するというより、各業種の専門家(取引者・需要者)が取り扱うといえる商品であること等を合わせ考えると、より裏付けられるといえるものである。
してみれば、本件商標は、外観上も一体的に表示されたその構成文字の全体が自他商品識別標識としての機能を果たすものとみるのが相当である。
したがって、本件商標からは、その全体を称呼した場合の「ムツビシラバー」の称呼及び「六菱ゴム」の観念を生ずるものと判断するのが相当である。
これに対し、引用商標1ないし引用商標12の引用各商標は、前記したとおり「MITSUBISHI」又は「三菱」の文字よりなるものであるから、「ミツビシ」の称呼及び「三菱」の観念を生ずること明らかである。
しかして、本件商標より生ずる「ムツビシラバー」の称呼及び「六菱ゴム」の観念と引用各商標より生ずる「ミツビシ」の称呼及び「三菱」の観念とを比較した場合、称呼においては音構成、構成音数が明らかに相違するものであり、また観念においても上記のとおりであって相紛れるおそれは認められない。さらに、外観上も十分に区別し得る差異を有すものと認められる。
そうとすれば、本件商標と引用各商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても類似する商標ということはいい得ないものである。
2.商標法第4条第1項第16号について
本件商標は、上記1.で認定したとおりであって、これに接する本件の指定商品を取り扱う取引者・需要者には、被請求人(商標権者)の商号的な商標を英文字で表示したものとして看取され得るといえるものであるから、本件商標をそのいずれの指定商品について使用しても、直ちに、商品の品質について誤認を生ずるおそれがあるものとは認められない。
3.商標法第4条第1項第15号について
請求人より提出された証拠によれば、引用各商標の構成に係る「三菱」が請求人を含む三菱電機株式会社、三菱自動車工業株式会社、三菱重工業株式会社等「三菱系企業集団」(企業グループ)の社名の代表的出所標識であり、また、「MITSUBISHI」の欧文字はその英語表記として、取引者・需要者間に周知著名なものであることは認められるとしても、本件商標の指定商品等を取り扱うこの種業界における取引の実情を考慮すると、本件商標は、前記認定のとおり引用各商標とは十分に区別し得る別異の商標として把握・認識されるといえるものであるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、直ちに、請求人ら企業グループを連想・想起させるものではなく、その商品が請求人ら(三菱系企業集団)の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものとは認められない。
4.むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第16号に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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