Trademark Appeal Case
容器形状の機能性と識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−5170(T2002−5170/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、別掲に示すとおりの構成よりなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成12年9月6日に立体商標として登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶の理由
原査定は、「本願商標は、その指定商品との関係よりすれば、商品の容器の一形態を表したものと認識されるものであるから、これをその指定商品に使用しても、単に商品の容器の形状を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1)立体商標は、商品若しくは商品の包装又は役務の提供の用に供する物(以下「商品等」という。)の形状も含むものであるが、商品等の形状は、本来それ自体の持つ機能を効果的に発揮させたり、あるいはその商品等の形状の持つ美感を追求する等の目的で選択されるものであり、本来的(第一義的)には商品・役務の出所を表示し、自他商品・役務を識別する標識として採択されるものではない。
そして、商品等の形状に特徴的な変更、装飾等が施されていても、それは前記したように、商品等の機能又は美感をより発揮させるために施されたものであって、本来的には、自他商品を識別するための標識として採択されるのではなく、全体としてみた場合、商品等の機能、美感を発揮させるために必要な形状を有している場合には、これに接する取引者・需要者は当該商品等の形状を表示したものであると認識するに止まり、このような商品等の機能又は美感と関わる形状は、多少特異なものであっても、未だ商品等の形状を普通に用いられる方法で表示するものの域を出ないと解するのが相当である。
また、商品等の形状は、同種の商品等にあっては、その機能を果たすためには原則的に同様の形状にならざるを得ないものであるから、取引上何人もこれを使用する必要があり、かつ、何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そうとすれば、商品等の機能又は美感とは関係のない特異な形状である場合はともかくとして、商品等の形状と認識されるものからなる立体的形状をもって構成される商標については、使用をされた結果、当該形状に係る商標が単に出所を表示するのみならず、取引者・需要者間において、当該形状をもって同種の商品等と明らかに識別されていると認識することができるに至っている場合を除き、商品等の形状を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標として商標法第3条第1項第3号に該当し、商標登録を受けることができないものと解すべきである。
(2)これを本願についてみるに、本願商標は、別掲のとおり、縦長の白色本体の上半分を斜めに傾け、その傾斜部上部に赤いキャップを設けた立体的形状よりなるものである。
そして、液状等の薬剤を収納する容器は、例えば、以下(a)ないし(d)のように、いずれも容器の写真とともに使用されている。
(a)「クワイトIDクール液、発売元:資生堂薬品」の表題の下に、「...手の届きにくい背中にも塗りやすい首曲がりタイプの容器入り。」、(b)「アクテオン液1.0%、発売元:池田模範堂」の表題の下に、「...患部にぬりやすいラクぬり容器採用。」、(c)「新トクホンチール、発売元:トクホン」の表題の下に、「...においが爽やかな微香性、ぬりやすいボトルデザインです。」、(d)「パテックスID1.0%液、発売元:第一製薬」の表題の下に、「...肩や腰に塗りやすい傾斜容器を採用、手を汚しません。」(http://www.health.kenko.net/product/seibun/sei_751049.html)
以上の商品等の形状は、同種の商品等(この場合は、肩こり・腰痛・筋肉痛用液状薬剤)にあっては、その機能又は美感の観点から同様の形状にならざるを得ないことを示しており、取引上何人もその使用を欲するものであって、一私人に独占を認めるのは妥当でないというべきである。
そして、本願商標は、別掲のとおりの立体的形状よりなるものであって、液状等の薬剤を収納する容器の形状としての一形態を表すものであるから、これを指定商品「薬剤」に使用しても、取引者、需要者は、単に薬剤の収納容器と認識するにすぎないものと判断するのが相当である。
請求人は、「本願商標によって表される容器の形状は、断面を滴形とした縦長の白色本体の、上半分を斜めに絞り込んで傾け、この傾斜部上部に、90度の角度で傾斜と反対側に向けて赤いキャップを設けた構成形態をなしている点において極めて顕著な特異性を有する。」旨主張する。
しかしながら、請求人主張の前記特異性は、薬剤を収納した本願商標に係る容器の形状において、そのまま使用者自らが使用し易いようにするための機能を果たすために採用された形状であるというべきであり、本願商標が殊更特別な形状を呈しているとはいえないものである。
したがって、前記特異性をもって、薬剤の収納容器の一形態を表示するものであるとの認定及び本願商標に対する取引者、需要者の認識に係る判断を覆すには足りないというべきである。
(3) また、請求人は、本願商標に係る商品は、当該取引界において長く使用された結果、需要者の間において広く知られた状態になっていると主張するが、これを証明する証拠の提出はなく、本願商標が、取引者、需要者に広く知られるに至ったものとは認められず、この点に関する請求人の主張は、採用をすることができない。
(4)したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定の認定、判断は、妥当なものであって、取り消すべき理由はない。
よって、結論のとおり審決する。
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