結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35396(T2003−35396/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4190496号商標(以下「本件商標」という。)は、「CHROME HEARTS」の文字を横書きしてなり、平成8年12月11日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割器・コショウ入れ・さとう入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶,貴金属製の水盤,貴金属製の針箱,貴金属製の宝石箱,貴金属製の蝋燭消し,貴金属製の蝋燭たて,貴金属製の喫煙用具,時計」を指定商品として、平成10年9月25日に設定登録され、その後、指定商品中の「貴金属製の宝石箱」、「貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割器・コショウ入れ・さとう入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の蝋燭消し,貴金属製の蝋燭たて,貴金属製の喫煙用具」及び「時計」については、それぞれ商標登録を取り消すべき旨の審決がされ、その確定の登録が平成15年3月12日及び同年12月10日にされているものである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第55号証(枝番を含む。)を提出した。
本件商標は、その登録出願前既に、請求人の名称又は略称として著名であった標章と同一である。また、該標章について、第14類「時計」を指定商品として商標登録出願(商願平10−95325)したところ、本件商標を引用されて拒絶理由通知が発せられ、現在、審査中であり、請求人は、本件審判請求をするについて利害関係を有するものである。
(1)請求人は、1989年に米国において設立された法人であり、請求人の名称の略称である「CHROME HEARTS」(以下「引用標章」という。)のブランドネームの下に、レザーウェアとシルバーアクセサリーの製造・販売を軸に、事業を展開してきた。引用標章は、請求人の創業者の一人であり、創業以来の代表者であるリチャード・スタークによって創案された造語であって、請求人のハウスマークとしても機能しているものである。
(2)請求人の製造・販売するレザーウェア、各種アクセサリーは、引用標章創作直後より、エアロスミス、ガンズ&ローゼズ、レニー・クラビッツ、シェール、ミッキー・ローク、ナオミ・キャンベル、シンディ・クロフォード等、有名ミュージシャンや俳優、スーパーモデルを中心に圧倒的な支持を得たのであり、この米国ハリウッドにおける評判により、ロサンゼルスの一流ブティック、マックスフィールドでの販売が開始され、一気に人気ブランドとしての地位を確立した。
(3)その人気の高まりと共に、取扱商品もバッグ、ベルト、時計、ブーツ、ステーショナリー、パイプ、ファニチャー等急速に増加していった。
これらの商品は、極上の素材を用いた一流の職人によるハンドメイドであるため、量産されなかったが、高級品として、ロサンゼルスのマックスフィールド、ニューヨークのバーグドルフ・グッドマン、パリのレクレルール、ロンドンのプラウンズといった名立たる一流ブティックのみで扱われたため、かえって評判となり、引用標章は、当業界はもとより、一般需要者においても広く認知され、設立からわずか数年で、「神話的」とすら形容されるブランドへと成長したのである。
(4)各種雑誌においても、いわゆる広告としてばかりではなく、例えば、注目の商品や流行に関するグラビアの中で、他の有名ブランドの商品と合わせて引用標章を表示した請求人の取扱いに係る商品(以下「請求人商品」という。)が紹介される形で取りあげられており(甲第34号証)、これは米国ファッション業界において、引用標章が既に高い知名度を得ていることを示すことに他ならない(甲第29号証ないし甲第37号証)。
(5)請求人は、1992年全米のファッション業界で最も権威のあるCFDA(アメリカ ファッションデザイナー協議会)のアクセサリー部門でデザイナー・オブ・ジ・イヤー賞(最優秀賞)を受賞しており、これにより、引用標章の名が米国のみならず、各国のファッション業界にも広く知れ渡ったことは明白である。
なお、請求人商品が米国のみならず、欧州でも販売されてきたことは、インボイスにより明らかである(甲第40号証の1ないし6)。
(6)日本においては、パリコレクションにも参加している著名デザイナー川久保玲氏率いるコム・デ・ギャルソンの東京・青山店で、1991年に展示・販売されたのが最初である。
その後、販路に変更はあったものの、請求人商品は、度々雑誌等で紹介され、急速にその人気が高まっていった(甲第7号証ないし甲第28号証)。これらの雑誌においては、商品の紹介のみならず引用標章の成り立ち、制作方針等が頁を割いて紹介され、いわゆる特集記事として取りあげられることも多く、これは日本においても、請求人商品が急速に人気を集め、引用標章の名を広めていることを裏付けるものである。
これら各甲号証からも、当業者のみならず、一般消費者においても、本件商標の登録出願時において、請求人の名称(の略称)「CHROME HEARTS」が既に著名であったことは明らかである。
請求人商品の日本への販売金額は、1993年こそ約13万米ドル(約1500万円)であったが、翌1994年には約82万米ドル(約8700万円)を示し、さらに急激な人気の広がりにより、1995年には約307万米ドル(約3.1億円)、1996年にはクリスマス商戦前の11月の時点で既に約224万米ドル(約2.5億円)と、飛躍的な売上を示している。これらの内訳としては、1994年は、レザーウェア等の被服類が約1400点、約3500万円、アクセサリー類が約1500点、約4100万円、ベルト及びバッグ類が約170点、約970万円であり、1995年は、被服類が約4800点、約4600万円、アクセサリ類が約7800点、約2億3200万円、ベルト及びバッグ類が約560点、約2400万円であり、1996年は、被服類が約3200点、約2960万円、アクセサリ類が約9800点、約1億9400万円、ベルト及びバッグ類が約480点、約2260万円である(甲第41号証の1ないし9)。
さらに、日本における広告宣伝費は、1992年度約1億円、1993年度約9770万円、1994年度8100万円、1995年度約1億1800万円、1996年度約1億6300万円に上っている。これらの販売金額、広告宣伝費からも、引用標章は、日本において短期間で確固たる地位を築き、当業界及び一般需要者の間で著名となっていた事実が理解される。
(7)以上のように、引用標章は、本件商標の登録出願時に、既に米国及び日本、さらに欧州等の多くの国で、請求人の名称の略称として、また、請求人商品を表示するものとして著名となっていたものであり、その後も請求人商品は、継続して広く販売され、本件商標の登録査定時においても、著名であったことは、例えば、引用標章の特集を組んだ雑誌が発行されていることからも明らかである(甲第38号証及び同第39号証)。
前記2のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時に、既に米国及び日本、さらに欧州等の多くの国で、請求人の名称の略称を表示するものとして著名となっていたものであり、本件商標は、請求人の著名な略称よりなるものであって、かつ、請求人の承諾を得ることなく出願されたものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
前記2のとおり、引用標章は、本件商標の登録出願時に、請求人商品を表示するものとして、ファッションに関連する商品の取引者、需要者の間において著名となっていたものである。
したがって、第三者が、引用標章と同一商標を使用するときは、その出所の混同を生ずるおそれが極めて大きいものである。よって、被請求人がその商品に請求人の引用標章と同一の商標を付して販売した場合、取引者、消費者が、これを請求人の業務に係る製品、あるいは請求人と関連のある者の製品であると誤認することは必至である。
さらに、本件商標の指定商品中の「時計」は、服飾品あるいは装身具としての性格を有し、被服類等とコーディネイトして用いられる、いわば、ファッションに関係する商品であって、請求人が広くその商標を使用する被服類、装身具、バッグ類と、関連が深いものである(甲第52号証ないし同第55号証審決例及び判決例参照)。よって、本件商標をその指定商品中「時計」について使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その商品が請求人の業務に係る商品、あるいは請求人と関連のある者の商品であるかのように認識し、その商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
前記2で述べたように、引用標章は、本件商標の登録出願時において既に、米国、日本及びその他欧州において著名となっていたものである。
さらに、引用標章は、請求人が創案した造語よりなるものであって、被請求人が、それを真似ることなく、独自にさらに偶然に、全く同一の商標が採択されることはあり得ない。
引用標章を使用した請求人商品が平成4年(1992年)以来、日本で本格的に販売され、引用標章は、本件商標の登録出願時点においては、既に、取引者、需要者間において広く認知され著名となっていたものであり、さらに、その後加速度的に人気を得ていった事実に鑑みれば、本件商標は、請求人が本件商標の指定商品について商標登録出願をしていないことを奇貨として、その著名性に便乗し不正な利益を得るか、あるいは、請求人に高額で買い取らせるため、又は顧客吸引力を希釈化して請求人に損害を加える等の目的のもとに登録出願されたものであると言わざるを得ないものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
被請求人は、何ら答弁していない。
(1)請求人「クロム ハーツ インコーポレイテッド(Chrome Hearts,Inc.)」は、1989年に米国において設立された法人であり、設立当初は、請求人の名称の略称である「CHROME HEARTS」の文字からなる引用標章を使用して、バイクライダー用のレザーウェアとシルバーアクセサリーの製造・販売を行っていた。
また、引用標章は、請求人の創業者の一人であり、代表者であるリチャード・スタークによって創案された造語であって、請求人の名称の一部として採用されると同時に、請求人のハウスマークとして使用されている。
(2)請求人の製造・販売するレザーウェアとシルバーアクセサリーは、手作りの商品で、大量に生産される商品ではないため、個性的なファッションを求めるロックミュージシャンらの目にとまり、次第に著名なモデルなどの支持を得るようになり、顧客層が広まった。その後、ロサンゼルスの一流ブティックといわれる「マックスフィールド」での販売が開始され、これら商品に使用される引用標章は、人気ブランドとしての地位を確立した。その人気の高まりと共に、請求人の取扱商品もバッグ、ベルト、時計、ブーツ、ステーショナリー、パイプ、ファニチャー等に増加していった。
上記請求人商品は、上記ロサンゼルスのマックスフィールドのほか、ニューヨークのバーグドルフ・グッドマン、パリのレクレルール、ロンドンのプラウンズといった一流ブティックのみで扱われたため、かえって評判となり、同時に、引用標章についても、需要者間に広く認識されるに至った。
(3)請求人は、1992年に、CFDA(アメリカ ファッションデザイナー協議会)のアクセサリー部門でデザイナー・オブ・ジ・イヤー賞(最優秀賞)を受賞し、米国ファッション業界で高い知名度を得た。
(4)日本において、引用標章を使用した請求人商品は、1991年に、コム・デ・ギャルソンの東京・青山店において、展示・販売されて以来、本件商標の登録出願前までに、我が国で発行された著名な雑誌に多数掲載され、同時に、上記(1)ないし(3)に記載した請求人ないし請求人代表者に関する記事や請求人商品の製造・販売に関するコンセプトなども紹介された。そして、引用標章に関連する請求人ないし請求人商品の雑誌への掲載は、本件商標の登録査定時まで継続していた。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項の規定に基づき、その登録を無効にすべきである。
よって、結論のとおり審決する。
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