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Trademark Appeal Case

地名と施設名の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35196(T2003−35196/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4604742商標(以下「本件商標」という。)は、「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字を標準文字により横書きしてなり、平成13年12月5日に登録出願、第14類「貴金属,貴金属製食器類,貴金属製のくるみ割り器・こしょう入れ・砂糖入れ・塩振出し容器・卵立て・ナプキンホルダー・ナプキンリング・盆及びようじ入れ,貴金属製の花瓶及び水盤,貴金属製針箱,貴金属製宝石箱,貴金属製のろうそく消し及びろうそく立て,貴金属製のがま口及び財布,貴金属製靴飾り,貴金属製コンパクト,貴金属製喫煙用具,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計,記念カップ,記念たて,キーホルダー」、第18類「皮革,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」、第24類「織物,メリヤス生地,フェルト及び不織布,オイルクロス,ゴム引防水布,ビニルクロス,ラバークロス,レザークロス,ろ過布,布製身の回り品,織物製テーブルナプキン,ふきん,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布,織物製いすカバー,織物製壁掛け,織物製ブラインド,カーテン,テーブル掛け,どん帳,シャワーカーテン,織物製トイレットシートカバー,遺体覆い,経かたびら,黒白幕,紅白幕,布製ラベル,ビリヤードクロス,のぼり及び旗(紙製のものを除く。)」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」及び第28類「遊戯用器具,ビリヤード用具,囲碁用具,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,マージャン用具,おもちゃ,人形,愛玩動物用おもちゃ,運動用具,スキーワックス,釣り具」を指定商品として、平成14年9月13日に設定登録されたものである。

2 請求人の引用商標

請求人の引用する登録第3066422号商標は、「ST.ANDREWS LINKS」の文字を横書きしてなり、第9類「眼鏡,眼鏡の部品及び付属品」を指定商品として、平成7年8月31日に設定登録されたものである。

請求人は、上記登録商標のほか、甲第9号証及び同第10号証に挙げる49件の登録商標を引用している(本件商標の登録査定時に商標権が消滅しているものは除いた。)。以下、これらの登録商標を一括して「引用商標」という。

3 請求人の主張

請求人は、「本件商標を無効にする。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし同第11号証(枝番号を含む。)を提出している。

(1)本件商標は、世界のゴルフの発祥の地として有名な「ST.ANDREWS」の文字とそのゴルフ場を代表する「OLD COURSE」と呼ばれる「ゴルフ・コース」の名称の文字と一般用語の「HOTEL」を単純に組み合わせた商標にすぎない。

それらの全てを総合的に考えれば、350年前、世界のゴルフ発祥の地、スコットランドの「ST.ANDREWS」ゴルフ場と何らかの関係があるような印象を受けるものである。

(2)世界的に有名なゴルフ場「ST.ANDREWS」は、現在スコットランド政府の管轄する特殊法人として、政府国会から選出した議員を中心に町の有力者や住民によって構成される「ST.ANDREWS LINKS TRUST」(セント・アンドリュースゴルフ場管理運営委員会)(以下「トラスト」という。)によって管理・運営されており、パブリック・コースとして「セント・アンドリュース」の町民に親しまれ、また町の唯一の観光資源でもある。

「ゴルフ生誕の地」「ゴルフの聖地」として世界的に有名なスコットランドの「セントアンドリュース」の町は、ゴルフに関する長い歴史を持っている(甲第1号証)。

「セントアンドリュース」のゴルフコースを管理・運営するのは、当初から町の有力者達であった。「パブリック」なコースとして市民の代表によって運営するという考え方は今も変わらない。

1894年になって始めてスコットランドで「セントアンドリュース・リンクス法」が作られた。これは住民の権利を守ると同時に外部からのビジターを増やそうとする市側と、メンバーだけの特権を得ようとする「ロイヤル・アンド・エンシェント・ゴルフクラブ」(以下「R&A」という。)との間の権利を調整することが目的で、その結果、市とR&Aの両方から委員を出してゴルフコースの管理・運営を行うことになった。

「セントアンドリュース・リンクス法」は、その後何度も改定され、最終的に1974年の「リンクス法」がスコットランドで国会の承認を得て制定された時にトラストが設立された(これらの法律はイギリス連合王国全体でも有効)。

この法律によって、トラストは、セントアンドリュースのゴルフコースの管理・運営に責任を持つものとされた。

トラスト自身は、営利団体ではなく、スコットランドで「慈善団体」として登録されている。そのため、「ST.ANDREWS」とそのゴルフコースに関連する名称、商標を所有することを唯一認められている。

以上のように、セントアンドリュースのトラストとは、町の長い歴史を受け継いだ権威のある公的な組織であり、スコットランドの公益団体として「ST.ANDREWS」のゴルフコースに関する商標を唯一所有する事を認められた、世界に対してセントアンドリュースの町そのものを代表する団体であるといえる。

よって「ST.ANDREWS」の地名はゴルフ発祥の地として日本国内でも大変有名であり、またその名前を上記トラストが管理していることも周知となっているため、被請求人は、本件商標を登録すべきものではない。

(3)「OLD COURSE」は、トラストが所有する数種類のコースの名でも最も有名であり、このコースから「ST.ANDREWS」ゴルフコースが出発している(甲第2号証)。

4年に1回行われる「全英オープン・ゴルフ・トーナメント」は、この「OLD COURSE」で行われるのが習わしとなり、「全英オープン」については、毎年「テレビ朝日」で実況放映されている。一般的に「OLD COURSE」とは、「ST.ANDREWS」の代名詞となっている(甲第3号証)。

(4)請求人は、昭和58年(1983年)4月1日に契約して以来、上記トラストの日本国内代理人の立場にある。

その代理人業務の大きな部分は、「ST.ANDREWS」、「OLD COURSE」の名称の商品化事業である(甲第4号証参照)。

(5)請求人は、トラストの代理人として昭和58年4月1日にトラストと契約して「ST.ANDREWS」、「OLD COURSE」のブランド(商標)で国内の多数のメーカーとサブライセンス契約を行い、ゴルフ関連の商品を製造し、国内の多数の小売店での販売や通信販売を行っている。その期間は現在まで20年にもなる(甲第5号証ないし同第8号証)。

(6)本件商標は、上記トラストの国内代理人である請求人が所有する多数の「ST.ANDRBWS」旧、新分類登録商標(甲第9号証)、「OLDO COUSE」登録商標(甲第10号証)と類似する。

よって、本件商標が登録になる以前より上記登録商標が存在していたため、本件商標は、登録すべきものではない。

(7)ST.ANDREWSの名前自体、さしたる産業の無い町の名前で、唯一「ゴルフ場の存在」で全世界に知られているため、「ST.ANDREWS」の名前は、そのゴルフ場を運営するトラストに所属するものといわれている。特許庁の見解も従来から同様の主張で統一されている。

以上の趣旨から、トラストの承諾が必要との判断が多くの「拒絶理由通知書」で指摘されている(甲第11号証)。

4 被請求人の主張

被請求人は、結論と同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし同第12号証を提出している。

(1)被請求人は、英国のセントアンドリュースゴルフリンクスに複数あるゴルフコースの一つで、世界的に最も知られたオールドコースに隣接して1968年に建造されたオールドコースホテル(ホテルそのものの開業は1864年)の経営をしているものである(乙第1号証ないし同第7号証)。

被請求人は、R&A及びセントアンドリュースのトラストと全英オープンゴルフの開催等についての協力関係にあるものである。

その理由は、世界中から著名なプロゴルファー及びその関係者が集まり、数日間に亘って行われるオープンゴルフを開催するためには、多数の人が宿泊できる施設(ホテル)のあることが絶対条件となるからである。

オールドコースホテルは、全英オープンゴルフの開催の際には、出場するプロゴルファーの宿泊するホテルとして、R&Aに指定されているものであるが、1999年の投資計画の遂行により、セントアンドリュースで最高のホテルであるとの地位を再び確保し、200年5月の全英オープンゴルフには、出場するプロゴルファーの宿泊施設としてR&Aに指定されているものであり、さらには、2005年に開催される全英オープンゴルフにおける宿泊ホテルとしても確定しているものである(乙第8号証)。

被請求人の経営するオールドコースホテルは、オールドコースの難コースとして知られている17番ホールのフェアウェイ横に位置していることもあって、多くのメディアに取り上げられ広く知られているところである(乙第9号証ないし乙第11号証)。

また、セントアンドリュースのゴルフリンクスは、ゴルフの聖地ともいわれ、世界中から多くのゴルファーが訪れ、プレーをすることでも広く知られているものであり、そこ(オールドコース)に隣接している被請求人のホテルは、全英オープンゴルフの際に、世界の一流プロゴルファーが宿泊するホテルとして一般人にも人気があり、そこに宿泊することがゴルファーのステータスであるとまでいわれているものである。

このようなことから、被請求人の経営するホテルは、イギリススコットランドはもとより、我が国を含む世界中に広く知られているものであるから、その名称を示す「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字よりなる本件商標は、これに接する者をして、イギリスのスコットランドのセントアンドリュースのゴルフリンクスにあるオールドコースに隣接するホテルの名称を表示する一体となった商標と理解し、認識されるというのが相当である。

(2)請求人は、請求の趣旨に記載したとおりの審決を求めているものであるが、具体的に商標法の何条に基づく請求なのかは明確に示していないものである。

商標法における無効の理由は、商標法第46条に明文の規定を設けているところであり、登録無効審判の請求に当たっては、商標法の何条に違反して登録されたものであるかを明記しなければならないと解されるものである。

しかるに、本件審判の請求は、条文の明記が無いものであるから、このような請求は、補正命令により条文の明記をさせるか若しくは不適法な請求として却下されるべきものである。

(3)請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号及び商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたと主張しているようであるので、この点について、以下のとおり答弁する。

(ア)商標法第4条第1項第11号について

請求人の引用商標は、これを大別すると(a)「ST.ANDREWS LINKS」の文字よりなるもの、(b)「スタンドリュース/STANDREWS」の文字よりなるもの、(c)「STANDREWS」の文字よりなるもの、(d)盾の図と植物の輪郭図と「LINKS」、「St.Andrews」「LINKS」、「SCOTLAND」の文字よりなるもの、(e)「STANDREWS」の文字よりなるもの、(f)「Old Course」の文字よりなるもの、(g)「Old Course Golf」の文字よりなるもの、(h)「Old Course Golf and Country」の文字よりなるもの、(i)盾型図形とリボンの図と「St.Andrews LINKS」の文字よりなるもの、(j)「St.Andrews Links Old Course」の文字よりなるもの、(k)「ST ANDREWS/The Home of Golf」の文字よりなるもの、(1)「STANDREWS/GOLF LINKS」の文字よりなるもの、(m)「STANDREWS−SCOTLAND/The Home of Golf」の文字よりなるもの、(n)「STANDREWSJASS」の文字よりなるもの、(o)「ST.ANDREWSLINKS」の文字よりなるもの、(p)「ST.ANDREWS LINKS」の文字よりなるもの、(q)「リンクス」の文字よりなるもの、(r)盾型図形とリボンの図と「LINKS」「St.Andrews」の文字よりなるもの、(s)「ST ANDREW」の文字よりなるもの、(t)「ST ANDREWSJASS」の文字よりなるもの、(u)「Golf Links of/ST.ANDREWS/ SCOTLAND」の文字よりなるものの21種類の構成の商標よりなるものである。

これらの商標の内、商標権の存続期間満了により消滅しているもの、及び、(b)「スタンドリュース/STANDREWS」の文字よりなる商標、(e)「STANDREWS」の文字よりなる商標、(n)「STANDREWSJASS」の文字よりなる商標、(q)「リンクス」の文字よりなる商標については、本件審判の請求の理由とは関係のない商標よりなるものであるから、これらの商標も本件審判の請求の理由に係る引用商標から除外されるべきものである。

そこで、本件商標と上記により除外した以外の引用商標とを比較すると、本件商標は、前述したとおり、被請求人の経営する世界中に名の知られたイギリスのスコットランドのセントアンドリュースのゴルフリンクスにあるオールドコースに隣接するホテルの名称を表示する一体となった商標として理解されるものであるから、上記(a)ないし(u)の構成よりなる引用商標とは、外観において顕著な差異を有するばかりでなく、観念においても全く別意のものと認識されものであるから、外観、観念上は相紛れるおそれのないものである。

また、本件商標は、その構成上、構成文字に相応して「セントアンドリュースオールドコースホテル」若しくは「ST.ANDREWS」が地理的表示であることから、この文字の部分は自他商品識別標識としての機能を有せず、「OLD COUSE HOTEL」の文字の部分が自他商品識別標識としての機能を果たす部分と認識され、この文字の部分より「オールドコースホテル」の称呼を生じるものである。

これに対して、引用商標は、(a)が「セントアンドリュースリンクス」の称呼、(c)が「セントアンドリュース」の称呼、(d)が「セントアンドリュース」、「セントアンドリュースリンクス」、「リンクス」の称呼、(f)が「オールドコース」の称呼、(g)が「オールドコースゴルフ」の称呼、(h)が「オールドコースゴルフアンドカントリー」の称呼、(i)が「セントアンドリュースリンクス」の称呼、(j)が「セントアンドリュースリンクスオールドコース」の称呼、(k)が「セントアンドリュースザホームオブゴルフ」、「セントアンドリュース」、「ザホームオブゴルフ」の称呼、(l)が「セントアンドリュースゴルフリンクス」、「セントアンドリュース」、「ゴルフリンクス」の称呼、(m)が「セントアンドリューススコットランドザホームオブゴルフ」「セントアンドリュース」「ザホームオブゴルフ」の称呼、(o)及び(p)が「セントアンドリュースリンクス」の称呼、(r)が「リンクス」「セントアンドリュース」の称呼、(s)が「セントアンドリュース」の称呼、(t)が「セントアンドリュースジャス」の称呼、(u)が「ゴルフリンクスオブセントアンドリューススコットランド」「ゴルフリンクスオブセントアンドリュース」「ゴルフリンクス」の称呼を生じるものである。

そこで、本件商標の称呼と上記引用商標の称呼を比較すると、上記引用商標の称呼は、本件商標の称呼における「ホテル」の音を有しないものであるから、この音の有無によりそれぞれを一連に称呼しても、明瞭に聴別され、相紛れるそれはないというべきものである。

そうしてみると、本件商標と引用商標とは、その外観、観念、称呼のいずれの点においても相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

(イ)商標法第4条第1頃第15号について

請求人は、トラストとの契約により「ST.ANDREWS LINKS」、「OLD COURSE」、「OLD COURSE GOLF」の文字の使用許諾を得、これを使用していると主張しているものであるが、本件商標とこれらの文字とは構成において顕著な差異を有するばかりでなく、本件商標は、イギリス、スコットランドのセントアンドリュースのゴルフリンクスのオールドコースに隣接する実在のホテルの名称を表示するもので、世界中のゴルファー及びゴルフファンに広く知られ、親しまれているものであることからすれば、本件商標をその指定商品に使用しても、請求人の主張に係る文字よりなる商標と混同を生じるおそれなど全くないといい得るところである。

そして、本件商標は、請求人がトラストとの契約により使用許諾を得た「ST.ANDREWSLINKS」、「OLD COURSE」、「OLD COURSE GOLF」の文字を基に商標登録をした各引用商標とは、上記したとおり非類似の商標であるばかりでなく、使用に係る商標も周知、著名なものとはいえないものであることからみても、本件商標をその指定商品について使用しても他人(請求人)の業務に係る商品と混同を生じるおそれはないものである。

また、トラストは、セントアンドリュースのゴルフコースの管理・運営についての責任を持つもので、そこに実在するホテルの名称についてまで管理・運営についての権限を持つものでないことはいうまでもないところである。

ましてや、地名である「ST.ANDREWS」そのものについての権限を有しないこと明らかである。そして、請求人とトラストとの間の契約は、単に「ST.ANDREWS LINKS」、「OLD COURSE」、「OLD COURSE GOLF」の文字の使用許諾契約であって、イギリス、スコットランドのセントアンドリュースのゴルフリンクスのオールドコースに隣接する実在のホテルの名称についてまで、その使用、商標登録を禁止し得るものでないこと明白である。

そうとすれば、請求人とトラストとの間の契約に基づき、本件商標の登録無効を主張する本件審判の請求は、その根拠がないばかりでなく、権利の濫用というほかないものである。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

(3)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。

4 当審の判断

(1)請求人は、本件審判請求書の請求の理由において、本件商標の無効理由の該当法条を記載していないが、請求の理由からみて、商標法第4条第1項第11号及び同第15号の各規定に基づいた主張として実質的に審理し得るものと解されるので、以下、本件商標がこれらの法条に違反して登録されたものである否かについて検討する。

(2)本件商標は、「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字よりなるものである。

被請求人の提出に係る証拠によれば、「OLD COURSE HOTEL」は、1864年に開業された。1968年に英国のセントアンドリュースリンクスにある6つのゴルフコースの一つである「OLD COURSE」の17番ホールに隣接してホテルが建造され、その後、数次にわたり増改築された。そして、被請求人は、1988年より同ホテルを経営している(乙第1号証ないし乙第8号証)。

また、「OLD COURSE HOTEL」の建物には「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字が大きく表示され(乙第9号証)、また、同ホテルのパンフレットに掲載されたホテルの写真の下部にも「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字が記載されている(乙第2号証)。しかして、「ST.ANDREWS」は、ゴルフ発祥の地の地名として、また、全英オープンゴルフ選手権大会の開催地の地名として、我が国において広く知られていること、及び、ホテル、旅館などの宿泊施設の名称にその所在する地名などの名を冠し、その全体をもってその宿泊施設の名称とすることが少なくない実情があることを考慮すれば、「OLD COURSE HOTEL」は、同ホテルが所在する地名である「ST.ANDREWS」の文字を冠した「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字をホテルの名称として使用しているというのが相当である。

以上からすると、「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の文字からなる本件商標をその指定商品に使用した場合、これに接した取引者、需要者は、これを全体で、英国の「ST.ANDREWS」に所在する「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」の名称を表したと認識するものというべきである。

してみれば、本件商標は、全体の構成文字に相応して「セントアンドリュースオールドコースホテル」の称呼、及び、「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」というホテルの名称の観念を生ずるものと認められる。

これに対し、請求人の引用する50件の引用商標は、その構成をまとめてみると、(ア)「ST.ANDREWS LINKS」の文字よりなるもの、(イ)「スタンドリュース」と「STANDREWS」の文字よりなるもの、(ウ)「ST ANDREW」の文字よりなるもの、(エ)「スタンドリュース」と「ST ANDREWS」(オ)盾の図と植物の輪郭図と「St.Andrews」、「LINKS」、「SCOTLAND」の文字よりなるもの、(カ)「STANDREWS」の文字よりなるもの、(キ)「Old Course」の文字よりなるもの、(ク)「Old Course Golf」の文字よりなるもの、(ケ)「Old Course Golf and Country」の文字よりなるもの、(コ)盾型図形とリボンの図と「St.Andrews LINKS」の文字よりなるもの、(サ)「St.Andrews Links Old Course」の文字よりなるもの、(シ)「ST ANDREWS」と「The Home of Golf」の文字よりなるもの、(ス)「ST ANDREWS」と「GOLF LINKS」の文字よりなるもの、(セ)「ST.ANDREWSLINKS」(ソ)「リンクス」の文字よりなるもの、(タ)盾型図形とリボンの図と「St.Andrews」の文字よりなるもの、(チ)「ST ANDREWS」の文字よりなるもの、(ツ)「Golf Links of」、「ST.ANDREWS」と「SCOTLAND」の文字よりなるものに分けることができる。

引用商標の上記構成よりすると、引用商標の(ア)、(コ)、(セ)は「セントアンドリュースリンクス」、(イ)が「スタンドリュース」、(ウ)が「セントアンドリュー」、(エ)、(カ)が「スタンドリュース」、(オ)が「セントアンドリュース」、「セントアンドリュースリンクス」、(キ)が「オールドコース」、(ク)が「オールドコースゴルフ」、(ケ)が「オールドコースゴルフアンドカントリー」、(サ)が「セントアンドリュースリンクスオールドコース」、(シ)が「セントアンドリュースザホームオブゴルフ」、(ス)が「セントアンドリュースゴルフリンクス」、(ソ)が「リンクス」、(タ)、(チ)が「セントアンドリュース」、(ツ)が「ゴルフリンクスオブセントアンドリュース」のそれぞれの称呼を生ずるものと認められる。

そうすると、本件商標より生ずる称呼と引用商標より生ずる称呼とは、構成音数、音構成に明らかな差異を有するかれこれ相紛れるおそれのないものといわなければならない。

また、本件商標は、上記のとおり「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」というホテルの名称を表したと認識されるものであるから、構成文字が明らかに相違する引用商標とは、観念において相紛れるおそれはなく、かつ、両商標は、それぞれの構成よりして外観において明らかに区別し得るものである。

したがって、本件商標は、引用商標と称呼、観念、外観のいずれの点においても類似するものではないと認められる。

(3)前述のとおり、本件商標は、「ST.ANDREWS OLD COURSE HOTEL」というホテルの名称を表したと認識されるものであって、本件商標と引用商標とは十分に識別し得る別異の商標であるから、商標権者が本件商標をその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想、想起させるものとは認められない。

したがって、本件商標をその指定商品に使用しても、該商品が請求人又は請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。

(4)以上のとおりであり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び第15号の規定に違反して登録されたものではないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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