Trademark Appeal Case
e起案の識別力
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 不服2002−2622(T2002−2622/J1) |
|---|---|
| 審判種別 | 不服 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本願商標
本願商標は、「e起案」の文字を標準文字により書してなり、第9類「配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気通信機械器具,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク・光磁気ディスクその他の周辺機器を含む。)その他の電子応用機械器具及びその部品,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,磁心,抵抗線,電極」を指定商品として、平成12年11月2日に登録出願されたものである。
2 原査定の拒絶理由
原査定は、本願商標は、商標法第3条第1項第6号、及び同第4条第1項第16号に該当する旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。
3 当審の判断
(1) 当審による審尋
当審において、以下の内容の審尋書を請求人に送付した。
本願商標は、「e起案」の文字を標準文字により書してなるものであるところ、「e」の文字は、「電子の。インターネットの。」を意味する「electronic」の略称として、他の語とともに例えば、「eコマース」、「eブック」、「eメール」及び「eラーニング」のように広く使用されされており、また、各種起案が電子化された情報を利用して行われていることは、例えば、次のようなインターネットのホームページ情報あるいは新聞記事情報によって、その実情が伺われるものである。
(A)日刊工業新聞2001年3月7日(10頁)に、「SI各社、公共団体向け情報システム分野に傾注−電子自治体の構築視野」の見出しの下、「・・また日立情報システムズは地方自治体向けの電子決裁システム『ADワールド/電子決裁』の販売を昨年から始めた。財務会計業務で行われている起案・承認・決裁などのすべての伝票事務をパソコンを使って処理するためのシステム。・・・」の記載がある。
(B)毎日新聞地方版/長崎2003年6月10日(23頁)に、「『電子県庁』構築へ一歩きょうから、決裁システム一部導入/長崎」の見出しの下、「県は05年度を目標に、県民が自宅や職場のパソコンからインターネットを通じ、いつでも行政情報を入手したり行政手続きができる『電子県庁』を構築中。・・これまでは職員が起案文書を作成し、上司が決裁。関係者へ郵送などで通知し、文書を保管していた。この一連の事務がパソコンで出来るようになる。」の記載がある。
(C)電子文書管理システムを取り扱う会社のホームページにおいて、「e−TASK文書管理システムがLGWAN電子文書交換システムに対応」のタイトルのもと、「『e−TASK文書管理システム』へ総合行政ネットワーク(LGWAN)電子文書交換システムに対応する新機能を追加、5月1日より提供を開始いたします。・・・従来の『紙』文書同様にスムーズな文書の起案・受信・配付・管理などが行えます。」の表示がある(http://www.tkc.co.jp/task/html/topics2004032301.html)。
(D)同じく、電子文書管理システムを取り扱う会社のホームページにおいて、「電子文書管理−NX」のタイトルのもと、「起案機能・過去に登録した文書を検索し、新規文書として再利用することができます・起案属性情報の登録時に、起案番号が自動採番されます・起案情報登録時に起案用紙の印刷ができ、紙による決裁に対応できます・入力日をさかのぼった日付での起案ができます」の表示がある(http://portal.kumamoto-net.ne.jp/bunsyo_web/bunsyo_tokutyou.htm)。
してみれば、前記実情よりして「e起案」の文字よりなる本願商標を、その指定商品中「起案作成用のプログラムを記憶させた電子計算機用のプログラム,起案作成用の電子計算機用プログラムを搭載した電子計算機,起案作成用の電子計算機」等の上記文字に照応する商品について使用するときは、全体として「電子を利用した起案」程の意味合いを看取させるに止まり、これに接する需要者・取引者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきものである。
そうとすれば、結局、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものである。
(2)請求人の主張
請求人は、上記審尋に対し、要旨次のような意見を述べている。
(A)「e」の文字が「インターネットの。」を意味する略称として使用され、電子計算機を用いた文書等の起案システムが企業や役所などに導入されている事実は認めるが、本願商標は、「e」と「起案」で字体を異にしているとはいえ、3文字で一連・一体に構成され、称呼も「イーキアン」または「イイキアン」とよどみなく一気に称呼し得るものであり、全体から生ずる称呼が短いため、本願商標は、殊更、「e」と「起案」とに分離して、それぞれから生ずる意味合いを観念すべき必然性は存在しない。
(B)「e起案」なる語や商標が特定の意味合いを看取させるものとして使用されて事実も存在せず、取引者・需要者は特定の意味合いを有しない造語からなるものとして認識・理解するとみるのが相当である。
(C)「e」の欧文字は、ほかに「ecology(生態学者、環境)、east(東)、earth(地球、大地)、energy(エネルギー)」等の略称として使用されているから、認定しているような意味合いを直ちに 看取させるとはいえない。
(D) 「E」又は「e」と他の語との結合よりなる登録例があるから、事案を共通にするものとして、この事例は尊重されるべきである。
(3)請求人の意見に対する当審の判断
本願商標は、「e起案」の文字よりなるところ、全体として特定の意味合いを有するものでもなく、欧文字の「e」と「もとになる案や文を作ること。起草。」の意味を有する「起案」の文字よりなるものと容易に看取させるものである。
しかして、構成中の「e」の文字は、「ecology(生態学者、環境)、east(東)、earth(地球、大地)、energy(エネルギー)」等の略称として使用されることがあるとしても、これを指定商品との関係からみれば、「electronic」の略として、「eコマース」、「eブック」、「eメール」及び「eラーニング」のように、「電子的手段を利用した」の如き意味合いで広く使用されていると認められるものである。
そのうえ、我が国においては、中央政府、地方自治体などの行政機関の内部業務および住民や企業との情報のやりとりを電子化してネットワークで処理できるようにする、「電子政府」の実現をめざし、行政事務の電子化を進めており、2001年1月には、「5年以内に世界最先端のIT国家となる」ことを目標として、「e−Japan戦略」を策定、また、2003年7月には「e−Japan戦略2」も発表されている現状にある。
そして、各種起案が電子化された情報を利用して行われていることは、前記(1)の(A)ないし(D)より、その実情を伺うことができるものである。
してみれば、「e起案」の文字よりなる本願商標を、その指定商品中「起案作成用のプログラムを記憶させた電子計算機用のプログラム,起案作成用の電子計算機用プログラムを搭載した電子計算機,起案作成用の電子計算機」等の上記文字に照応する商品について使用するときは、全体として「電子的手段を利用した起案」程の意味合いを容易に看取させるものであり、これに接する需要者・取引者をして何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきものである。
そうとすれば、本願商標は商標法第3条第1項第6号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当するものであり、本願商標を登録することはできない。
請求人は、前記(2)の(A)ないし(D)において、本願商標は識別力を有するものであると主張するとともに、過去の登録例を示しているが、本願商標が自他商品の識別標識として機能し得ないものであることは前記認定のとおりであり、また、その事例は、商標の具体的な構成要件が本願とは必ずしも同じとは言い難いものであるから、それらの登録例をもって、本件の判断基準とすることは適切ではないので、請求人の主張はこれを採用することができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
次の一手につながるサービス
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。