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Trademark Appeal Case

商品の形状表示の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号不服2001−2473(T2001−2473/J1)
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、別掲のとおりの構成よりなり、第10類「医療用機械器具,氷まくら,三角きん,支持包帯,手術用キャットガット,吸い飲み,スポイト,乳首,氷のう,氷のうつり,ほ乳用具,魔法ほ乳器,綿棒,指サック,化学物質を塗布したシート状の患部用保温保冷具,避妊用具,人工鼓膜用材料,補綴充てん用材料(歯科用のものを除く。),耳栓,医療用手袋,家庭用電気マッサージ器,しびん,病人用便器,耳かき」を指定商品として、平成11年12月29日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶理由

原査定は、「この商標登録出願に係る商標は、『化学物質を塗布したシート状の保温保冷具』を表示したものと容易に認識される色付き図形よりなるものであるから、これをその指定商品中『化学物質を塗布したシート状の保温保冷具』について使用するときは、単に商品の品質、形状を表示するにすぎないものと認める。

したがって、この商標登録出願に係る商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるがら、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定して、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断

1 本願商標は、別掲のとおり、青色を施したやや厚みある板状の縦長長方形(四隅は丸みを帯びている)を、上辺部が右方向に、下辺部が左方向になるように斜めに配し、該上辺部のやや下の部分及び下辺部のやや上の部分において、わずかな起伏を有し、板状の縦長長方形全体がわずかに波打つように描かれているものである。また、該板状の縦長長方形は、これより約一回り大きく、輪郭部を青色で縁取りした淡い青色の長方形の上に重ねるように配され、かつ、右下の角部及び凸部が白く描かれ、光っているような印象を与えるものである。

2 ところで、当審においてした職権による調査によれば、本願商標の指定商品中の「化学物質を塗布したシート状の保温保冷具」には、体温が高いときに、熱を冷却させるシート状の冷却剤や、足のむくみや疲れなどに冷却効果のある足専用のシート状の冷却剤、あるいは目が疲れたときに使用するシート状の冷却剤などの商品が存在し、以下のように、市場に多数出回っている実情にある。

(1)1995年10月31日付け毎日新聞(東京夕刊、3頁)には、「[あいであポン!]熱さまシート・・」の見出しのもと、「体の冷やしたい部分にピタッと張れる 冷却シート。粘着性のある水溶性高分子ポリマーのジェルは70%が水分。気化熱を利用して熱を吸収、発散する。吸熱量はぬれタオルの3.5倍。皮膚温度を約3度下げ、1枚で2時間効果が持続する。」なる記事が掲載された。

(2)1996年5月16日付け共同通信には、「額に張って解熱効果 冷却シートがヒット」の見出しのもと、「冷却シートは、一九九四年に小林製薬(大阪)が先陣を切って発売。現在は・・約十社が参入・・小林製薬の『熱さまシート』は、シート部分に水分を多く含んだ物質を使い、気化熱を利用して冷やす。・・気化熱を利用するのは各社ともほぼ同じ・・」なる記事が掲載された。

(3)1998年5月15日付け毎日新聞(東京朝刊、13頁)には、「[ビジネス情報]4時間持続熱冷却シート−−ライオン」の見出しのもと、「発熱した時に額に張って使う熱冷却シートの『冷えピタ』を改良・・同シートは、内部に含んだ水分が蒸発する際、熱を奪う原理を利用しているが、より含水率を高めることで冷却時間を従来の約2時間から倍の約4時間に延ばした。」なる記事が掲載された。

(4)1999年12月12日付け毎日新聞(大阪朝刊、6頁)には、「[アイデアの泉]小林製薬 熱さまシート『おでこにコンニャク』がヒント」の見出しのもと、「きっかけは、社外から持ち込まれた『水分を含んだジェル(ポリマーでできている半固形状)を、厚みのあるシート状にする』という技術だった。・・水分を多く含んだジェルは気化するときに熱を奪う。・・表面張力で額にもぴったりとひっつき、動いても落ちない。」なる記事が掲載された。

(5)2000年1月24日付けPharmaweek(株式会社じほう発行、9頁)には、「急な発熱に冷蔵庫で冷やさず、そのまますぐに使える冷却シート『ピタッ!とクール』も発売した。冷却効果は1枚で約4時間持続する。額にぴったり貼れるので、ずれ落ちない。ジェルは肌にやさしい含水性高分子基剤を使用。」なる記事が掲載された。

(6)2002年5月5日付け朝日新聞(東京朝刊、7頁)には、「『熱さまシート』日常のひらめき次々形に」の見出しのもとに掲載された写真の説明には、「青いジェルが塗られ、裁断された『熱さまシート』が包装されるライン。」の記載がある。

(7)1997年2月3日付け読売新聞(東京朝刊、11頁)には、「[ニューセラー・ロングセラー]足専用冷却シート 悩む女性向けに急普及」の見出しのもと、「女性が『むくみ』など足の悩みやトラブルを訴えるケースが増えている。・・こうした女性の間で『簡単に張れて、すっきりした気分になれる』と静かな人気を呼んでいるのが、シップ張り薬によく似た『足専用冷却シート』だ。・・シートは、不織布に含水性基剤が張り合わせてあり、その水分が気化する際に熱をとってくれる。」なる記事が掲載された。

(8)2003年6月3日付け日刊工業新聞(23頁)には、「ライオン、ジェル状冷却シートを開発。・・」の見出しのもと、「ライオンは、樹脂の突起により足の裏を刺激するジェル状冷却シートを開発、・・シートに塗布された高含水ジェルに、ポリアクリル樹脂製の突起による凹凸を付けた。シートによる冷却と突起による足裏の刺激効果により、足の疲労回復を狙った。」なる記事が掲載された。

(9)1998年12月4日付け朝日新聞(東京夕刊、7頁)には、「プレゼント マリオン」欄の「アイケアシート」には、「パソコンや読書、ドライブなどで疲れた目の冷却シート」の記載がある。

(10)2000年8月5日付け読売新聞(東京朝刊、11頁)には、「目が疲れた時の冷却シートを発売へ/ライオン」の見出しのもと、「パソコンなどで目が疲れた時に目元に張る冷却シート・・目元に5−15分間張ると、シート中の水分が蒸発する際に熱を奪う『気化熱』の働きで、ひんやりと冷たく、リフレッシュできるという。」なる記事が掲載された。

3 前記2で示した商品、あるいはこれら商品に近似する商品が、取引の実際において販売されている商品形態は、以下のとおりである。

(1)「ケンコーコム」のホームページ(wysiwyg://376/http://www.kenko.com/product/seibun/sei_824021.html)の「冷却シート全部」の項には、請求人を含む各社の取扱いに係る商品「冷却シート」が掲載され、その多くは、青色を施した長方形である。

(2)「楽天市場 元気健康本舗『genki21』」のホームページ(http://www.rakuten.co.jp/genki21/523990/500323/496812/)に掲載された「熱とり君Coolシート」の紹介には、「ピタッと貼れば一晩中、冷え冷え!」の記載とともに、額に青色を施した長方形の冷却シートを貼った子供の顔のイラストが描かれている。

(3)「楽天市場 キラキラ倶楽部」のホームページ(http://www.rakuten.co.jp/kira-club/202348/202426/202480/)に掲載された「熱とりタックん(冷却シート)」には、その包装容器に、額に青色を施した長方形の冷却シートを貼った子供の顔のイラストが、熱の発散を表す矢印とともに描かれている。

(4)「インターウーマン トピックス」のホームページ(http://www.interwoman.co.jp/topics/2003_06/topics_2003_06_02_c.htm)及び「ライオン株式会社」のホームページ(http://www.lion.co.jp/new/mc051.htm)に掲載された「休足時間ツボ刺激ジェルシート」として、青色を施した長方形の冷却シートが掲載されている。

(5)「Sony Plaza」のホームページ(wysiwyg://216/http://www.sonyplaza.com/shopping/05/BED/80/05-BED-0080.html)には、「さわやかチロ(冷却シート)」として、「自然な清涼感が朝まで続く枕冷却シート」の記載とともに、青色を施した長方形の枕冷却シートが掲載されている。

(6)「大石膏盛堂」のホームページ(http://www.o-koseido.co.jp/products/material/onetubye.html)には、「お熱バイバイ6時間冷却/お肌にやさしい冷却ジェル状シート/COOL」の記載のもと、商品の包装箱に青色を施した長方形の冷却シートが表示されている。

(7)「ヒット商品はこうして生まれた−ヒット商品を支えた知的財産権−」(2004年1月26日、日本弁理士会発行)の「小林製薬の『熱さまシート』」(41頁)には、該商品の開発とネーミングの経緯とともに商品の写真が掲載され、商品の包装右下には、青色を施した長方形の冷却シートが表示されている。

4 前記2及び3で認定した事実によれば、含水性のジェル状高分子ポリマー等を使用し、その気化熱を利用して、体の熱を発散させるなどの効能を有する、いわゆるジェル状の冷却シートは、熱を下げる、あるいは疲れを取りすっきりした清涼感を与えるといったような目的から、使用されるジェルの色や包装容器等において、青色等の寒色が普通に使用されていること、また、額等に貼るなどの機能面から長方形の形状が採られていることなどが認められる。

そうすると、本願商標は、その構成中、青色を施したやや厚みある板状の縦長長方形は、いわゆる冷却シートとして、取引一般において普通に使用されている色彩、形状と比べ、何ら顕著なところはなく、しかも、冷却シートの多くが原材料にジェル状高分子ポリマー等を使用している実情からすれば、該商品が半固形状で弾力性を有するものであり、固形の商品のように常に一定の形状を保っているものではないから、本願商標中、その形状において波打つように表現されている部分は、冷却シートの分野において普通に使用されているジェル状のものであることを強調するにすぎないものであって、これをもって格別に自他商品を識別する機能を発揮しているものとも認めることは困難であるといわざるを得ない。

さらに、本願商標中の青色を施したやや厚みある板状の縦長長方形の下に描かれた淡い青色の長方形は、ジェル状の冷却シートを包装したプラスチック製の容器と理解されるものである。

以上を総合すれば、本願商標は、これをその指定商品中「化学物質を塗布したシート状の患部用保冷具,氷まくら」について使用しても、該商品がジェルを原材料に用いたシート状の冷却剤であることを、その需要者に認識させるにとどまるものであるから、単に商品の品質を表示するにすぎないものというべきである。その他、本願商標が、自他商品の識別標識としての機能を有するものであるとして、需要者に認識されているという格別の理由は見出せない。

5 請求人の意見について

(1)請求人は、前記2の職権による証拠調べにおける「化学物質を塗布したシート状の保温保冷具」は、本願の指定商品中の「化学物質を塗布したシート状の患部用保温保冷具」ではなく、第11類に属する商品であって、「化学物質を塗布したシート状の患部用保温保冷具」は、第10類に属する商品であるから、商品において異なるものである旨主張する。

しかしながら、請求人が第11類に属すると主張する「化学物質を塗布したシート状の保温保冷具」は、その表示のみから一概にある特定の商品区分に属すると断定することはできず、商品の用途、販売場所等取引の実情に照らして、いずれの商品の区分に属するものであるかを決すべきであるところ、前記2における「化学物質を塗布したシート状の保温保冷具」は、証拠調べでした内容からも明らかなように、体温が高いときや足のむくみ・疲れなど、あるいは目の疲れ等に患部に貼って、患部を冷却するシート状の冷却剤であって、その用途、取引系統等からみて、医療補助品の範疇に属する商品というのが相当である。そして、上記「化学物質を塗布したシート状の保温保冷具」は、本願商標の指定商品中の「化学物質を塗布したシート状の患部用保温保冷具」とは、実質的に同一の商品ということができる。このことは、本願商標を使用した請求人の商品が証拠調べをした「化学物質を塗布したシート状の保温保冷具」と同種の商品として、宣伝広告している事実からも首肯し得るところである。

また、請求人は、前記2の職権による証拠調べに係る(1)、(2)及び(6)は、小林製薬株式会社の同一商品であり、また、(3)、(8)及び(10)は、ライオン株式会社の同一商品であるから、これらの事実をもって、市場に多数出回っている実情にあるとはいえない旨主張する。

しかし、前記2の証拠調べは、例えば、小林製薬株式会社が1994年にこの種商品を開発して以来、現在に至るまで十数社が参入し、同種商品が市場に多数出回っている事実を明らかにしたものである。また、ライオン株式会社の商品は、前記のとおり、それぞれ商品の使用場所(用途)が異なるものである。

(2)請求人は、前記3の職権による証拠調べに対し、本願商標は、単に商品の形態を記述的・写実的に表したものではなく、また、単に青色の長方形という単純な態様ではなく、識別機能を発揮し得る表現態様で表されているものであるが、証拠調べをした証拠中には、本願商標と同じ表現態様のものは存在しないから、本願商標は、自他商品の識別標識としての機能を有する旨主張する。

しかし、証拠調べをした証拠中に、本願商標と同一の態様のものがないとしても、前記したとおり、含水性のジェル状高分子ポリマー等を使用し、その気化熱を利用して、体の熱を発散させるなどの効能を有する、いわゆるジェル状の冷却シートは、熱を下げる、あるいは疲れを取りすっきりした清涼感を与えるといったような目的から、使用されるジェルの色や包装容器等において、青色等の寒色が普通に使用されていること、また、額等に貼るなどの機能面から長方形の形状が採られていること、原材料にジェル状高分子ポリマー等を使用していることから、半固形状で弾力性を有する商品であることなどを総合すると、本願商標は、その形状、色彩等において、ジェル状の冷却シートの分野で、普通に採択されている商品と何ら変わるところがなく、自他商品の識別標識としての機能を発揮するものとはいえない。

(3)請求人は、過去の登録例、審決例を挙げ、本願商標も登録されるべきである旨主張するが、前記認定のとおり、本願商標は、これを「化学物質を塗布したシート状の患部用保冷具,氷まくら」について使用しても、同業他社の取扱いに係る同種の商品が普通に採択している商品の形状、色彩等と比べ、格別に顕著な特徴を有するものではなく、したがって、請求人の挙げた登録例、審決例とは事案を異にするものといわざるを得ない。

(4)したがって、上記請求人の主張は、いずれも採用することができない。

6 むすび

以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、登録することはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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