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Trademark Appeal Case

PMS商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第19144号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

第1 本願商標

本願商標は、「PMS」の欧文字を標準文字とし、第9類「電子計算機プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ」を指定商品として、平成10年5月21日に登録出願されたものである。

第2 拒絶理由

原査定は、「本願商標は、指定商品との関係から「project management system」(プロジェクト管理システム)又は「personal management system」(人事管理システム)」を認識する「PMS」の文字を普通に用いられる方法で書してなるから、これを指定商品に使用するときは、取引者・需要者が、前記システムを内容とする商品と認識するので、単に商品の品質を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当し前記以外の商品に使用するときは品質の誤認を生じさせるおそれがあるから、商標法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定し、本願を拒絶したものである。

第3 請求理由

<本願が登録されるべき理由>

1.本出願人は、本願商標が「PMS」の文字を普通に用いられる方法で書してなる事実についてはこれを認める。しかし、その余の拒絶理由については、これに同意することはできない。その理由を以下に詳述する。

(1)本願商標が「PMS」の文字からそのように認識されるためには、「PMS」が指定商品の取引者・需要者間でそのように認識されている事実があるか、又はそのように認識されことについての相当な理由が必要であると思量する。しかし、「PMS」が指定商品の取引者・需要者間でそのように認識されている事実を本出願人は承知していない。この点について明らかにするように意見書において審査官に指摘したが残念ながら回答はなかった。

(2)次に、「PMS」の文字から「project management system(プロジェクト管理システム)又は「personal management system(人事管理システム)」が認識されることについての相当な理由の存在についても本出願人はそのような理由は存在しないと思量する。この点についても審査官から明確な回答はなかった。

(3)本出願人が本願商標を採択するにいたった経緯を次に簡単に記す。即ち、本出願人はイントラネットによるコンピューター工程管理システム及びそれを記憶させた電子媒体を開発い別途御庁に特許出願中であるが、それらの名称として本願商標「PMS」を採択するに至ったものであり、これは本出願人の全く創造語である。本出願人は本願商標の出願に先立って、商標調査を実施し本願商標と同一又は類似の先願又は登録商標のないことを確認し、本商標登録出願を行ったものであり、本件審査官の今回の拒絶理由に接したことは全く予想外のことであった。

(4)本願商標の場合、本願の指定商品の取引者・需要者にとって、「PMS」の文字が、自他商品の識別力がないか、又は慣用的に広く使用されている事実は本出願人の知る限り存在しないと思われる。もし使用され、認識されているのであれば、そのような使用事実を示す資料、証拠を相当程度提示することは審査官において極めて容易であるはずである。そうすれば、出願人としても納得のいくことであろうと思われる。この点について、本出願人は意見書において審査官に指摘したが、審査官から明確な回答はなかった。

そもそも、「PMS」の文字が、本願の指定商品を流通過程に置く場合に何人にとっても必要な表示であるとは到底いえないと思量する。又、本件商標については、そのような意味合いを認識できる程度に「PMS」が一般的に使用されているという事実も存在しないと思われる。更に、将来必ず一般的に使用がされるものであるとの合理的な理由も存在しないと思われる。

仮に、本願商標の態様が「project management system」又は「personal management system」である場合には、英語が普及した今日において、「プロジェクト管理システム」又は「人事管理システム」の意味合いを有することがあり、同号に該当することになると思われる。しかし、本願商標の態様はそれでは全くない。したがって、本願商標の「PMS」のアルファベット3文字から構成される商標が、「project management system(プロジェクト管理システム)又は「personal management system(人事管理システム)」を認識するとの審査官判断は即断にすぎない。審査官は「PMS」がそのような意味合いを有することについて十分な理由を指摘しておらず、審査官の判断は正当ではない。

2.また、拒絶理由の第4条第1項第16号該当部分については、本願商標「PMS」が単に商品の品質を表示するにすぎないとはいえない以上、前記以外の商品に使用するときに品質の誤認を生じさせるおそれも全くなく、商標法第4条第1項第16号に該当しないことは明白である。

3.まとめ

以上から、本願商標は、本出願人が採択した商標であって、商品の品質を表示する商標であるとはいえず、商標法第3条第1項第3号に該当するものではなく、又品質の誤認を生じさせるおそれも全くないので商標法第4条第1項第16号に該当しないと確信する。

第4 証拠調べ通知

当審において、職権により証拠調べをした結果、本願商標については、商標法第3条第1項第3号及び同第4条第1項第16号に該当するか否かに関する証拠物件を発見したとして、出願人に相当期間を指定し、意見を求めるため通知したその内容は要旨次のとおりである。

1.「PMS」の語についての辞典類における掲載事実

(1)「PMS project management system プロジェクト管理システム:産業界で,大規模なプロジェクトを管理するためのプログラム.各作業のネットワーク管理,コスト管理,資源割振りの管理,報告処理などの機能をもつ」の記載(「情報・通信略語辞典−第2版−」日刊工業新聞社発行)。

(2)「PMS <project management system> プロジェクト管理システム」の記載(「英和コンピュータ用語大辞典 第3版」日外アソシエーツ株式会社発行)。

(3)「PMS (Project Management System) プロジェクト管理システム,PMS」の記載(「IBM情報処理用語/英和対訳集(第3版)」IBM用語委員会編)。

2.「PMS」の語についてのインターネット上のホームページ情報における掲載事実

(1)「PMS (Project Management System) プロジェクト管理システム。工程管理, 進捗管理, リソース管理などのプロジェクト管理機能を実現するコンピュータシステム。市販のPMSパッケージ, 自社開発のツールなど, プロジェクト管理の機能を実現するコンピュータシステム全般を示す。」及び「PMSパッケージ(PMS Package) 市販のパッケージソフトウェアとしてのPMS。プロジェクト管理に適用されるCOTS(Commercial Off-The-Shelf)とも定義できる。」の掲載(「構築ガイド用語説明」(http://www.ecom.jp/jecals/wwwJ/materials/ncals/glossary/ye50.htm -10k)。

(2)「PMS/project management system/プロジェクト管理システム」の掲載(「宇宙開発事業団ホーム > ライブラリー > 略語集」(http://www.nasda.go.jp/lib/abbr/abbr-p_j.html)。

(3)「プロジェクト遂行管理システム“PMS”/PMSは、プロジェクトの遂行過程において必要となる・・・管理するシステムです。日揮はPMSによって多くのプロジェクト遂行を効果的に支援し、・・・/PMSを構成するサブシステム群/・プロジェクト管理システム」の掲載(「JGC CORPORATION」(http://www.jgc.co.jp/jp/03srvs/02pjmagmnt/ - 21k )。

(4)「エンジニアリング振興協会のプロジェクト・エンジニアリング委員会において、業界の15社が参加して、平成3年度より2年間の計画で・・・PMS(プロジェクト管理システム)と関連づけてのマルチメディア文書管理、など・・・」の掲載(「エンジニアリング業におけるEOA実現の目標とアプローチ」(http://www.ipsj.or.jp/members/SIGNotes/Jpn/13/1992/040/article002.html)。

(5)「主な業務内容/1. プロジェクト管理システム(PMS)ソフトウェアの開発・販売 2. プロジェクト管理システム構築にかかわるコンサルティング 3.プロジェクト管理ソフトウェアの教育サービス」の掲載(「C−PAS株式会社ウェップアイ」(http://const.nifty.com/st2/webi/st_webi.htm - 8k)。

3.結語

以上のとおり、「PMS」の語が「プロジェクト管理システム(project management system)」を表す略語として、辞典類及び各企業が製品等を紹介するインターネット上のホームページ情報に掲載されている事実が認められるところである。そして、原審説示の「personal management system(人事管理システム)」ほか、前出「情報・通信略語辞典−第2版−」には「Portfolio Management System(ポートフォリオマネジメントシステム:株式・債権などの売買管理,シミュレーション,運用成果分析などを行うシステム.NRI((株)野村総合研究所)がトレーディングシステムの中核として1986年に一部完成.また,三菱信託銀行が社内用に開発.」、「Project Management System((株)インターナショナルソウトウェアが開発したプロジェクト管理用パッケージソフトウェア.」、「Picturephone Meeting Service ピクチャーフォンミーティングシステム:[米]AT&T(アメリカ電信電話公社)の双方向テレコンファレンスサービス.」、「Public Message Service 公衆電報サービス:アメリカのウェスタン・ユニオン社の公衆電報システム.」の掲載も認められるものであるが、本願指定商品「電子計算機プログラムを記憶した電子回路・磁気ディスク・磁気テープ」との関係からは、「PMS」の語は、「プロジェクト管理システム(project management system)」を表す略語として理解・認識され場合が決して少なくないというのが相当である。

第5 当審の判断

請求人(出願人)は、上記第4の証拠調べ通知書に対し、所定の期間を経過するも、何ら意見を述べるところがない。

してみれば、本願商標の構成文字「PMS」は、少なくとも本願の指定商品の分野における事業者等において「プロジェクト管理システム(project management system)」を表す略語として、理解・認識されているものというのが相当であって、かつ、各事業者が自己の製品などの紹介情報としてインターネット上のホームページに「プロジェクト管理システム(project management system)」を表す略語として「PMS」の語を使用している状況も窺えるものであるから、本願商標は、指定商品との関係から「project management system」(プロジェクト管理システム)を認識するものといわざるを得ない。

そうすると、「PMS」の文字を書してなる本願商標は、これをその指定商品に使用するときは、取引者・需要者が前記システムを内容とする商品と認識するもの、すなわち、単に商品の品質(システムを内容)を表示するにすぎないものと認められ、また、前記システムを内容とする以外の商品に使用するときは品質の誤認を生じさせるおそれがあるからるから、本願商標は商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する旨認定し、本願を拒絶した原査定は妥当であって、取り消すことができない。

よって、結論のとおり審決する。

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