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Trademark Appeal Case

機能表示商標の識別力

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号平成11年審判第20996号
審判種別不服
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。

理由テキスト

1 本願商標

本願商標は、「床下湿気、害虫見張ボックス」の文字を横書きしてなり、第9類「床下における害虫の生息状態の診断及び床下の温度並びに湿度を測定する機械器具」を指定商品として、平成10年7月1日に登録出願されたものである。

2 原審における拒絶理由の要点

(1)本願商標は、「床下における湿気及び害虫を診断したり測定する器具」を表したものとして容易に理解させる「床下湿気、害虫見張ボックス」文字を普通に用いられる方法で書してなるものであるから、これを本願の指定商品に使用しても、単に商品の品質・機能を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)本願に係る指定商品は、その内容及び範囲を明確に指定したものとは認められない。また政令で定める商品及び役務の区分に従って第9類の商品を指定したものと認めることもできない。したがって、本願は、商標法第6条第1項及び第2項の要件を具備しない。

3 当審の判断

(1)指定商品について

本願商標に係る指定商品「床下における害虫の生息状態の診断及び床下の温度並びに湿度を測定する機械器具」は、請求人(出願人)提出の平成11年9月29日付け意見書添付の参考資料1ないし3によると、該商品は、上下の面が開放となっている三角柱を横にし左右から害虫等が進入できるようにした三角形状の箱型(ボックス)の構造よりなるものであり、その用途、機能は、ボックス本体にシロアリ誘因物質を加えることによって、建物に侵入したシロアリを確認できること、床下におけるワラジムシ、ナメクジ、カマドウマ、アリ、ゴキブリなど主に湿気を好む害虫をボックスの粘着テープにより捕獲し、その害虫の生息と湿気状況を確認できること、ボックスのカビ発生シートに発生したカビの状況により、床下全体のカビ発生状況の確認と湿気状況を確認することのできる商品と認められる。

(2)本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当することについて

本願商標は、前項1のとおり「床下湿気、害虫見張ボックス」の文字からなるところ、一般の取引者、需要者にとっては、全体として「建物の床下の湿気や害虫の見張り(あたりを注意深く見渡して番をすること)のための箱(ボックス)」の意味合いを容易に理解できるものである。

ところで、最近、木造住宅においては、床下における湿気が原因で住宅の寿命を短くし、カビやゴキブリ、ダニ、シロアリが発生し、また畳の含水率が多くなることによりダニが生息するなど、建物の耐久性や居住者の快適性や健康に悪影響を及ぼすことが問題となり、床下の換気や湿気の除去等床下の環境管理、改善についての記事が数多く見受けられ、それに対処する床下の各種工事、関係商品が販売されているところである。

そうしてみると、「床下湿気、害虫見張ボックス」の文字からなる本願商標は、指定商品との関係及び上記記事が多数見受けられる状況からすると、取引者、需要者をして、容易に「床下の湿気の状況また害虫の有無や生息状態を確認することができる箱状のもの(ボックス)」であることを端的に表していると理解し、商品の用途、機能、形状、品質を表示しているものと認識するに止まり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当である。

請求人(出願人)は、「見張り」の語は「あたりを注意深く見渡して番をすること」又は「あたりを注意深く見渡して番をする人」のことを意味し、人のある行為を示すもので物(商品)の形態を表現するためには用いない語である旨、また、「見張ボックス」からは「ある人間が外の様子を注意深く観察するため、その姿を見られないようにした箱、見張り番専用の周囲を囲まれた席や場所」等の意味が生ずる旨主張している。

確かに、「見張ボックス」の語からは一義的には請求人の主張の如き意味合いが生ずるともいい得るが、一般的に、時間の経過と共に事象が変化する場合に、一定の事象があったことを容易に確認できること等について、その機能、品質等を表現するために擬人的に「見張(り)」等の語が使用される場合もあり、そして本願商標が「見張」の語の前後に「床下湿気、害虫」の語と「ボックス」(箱又は箱状の物)の語を連結していることから、これに接する取引者、需要者は、本願商標全体から、上記意味合いを表すものと認識し得るというべきであるから、請求人の主張は採用することができない。

もとより、商標法第3条第1項第3号が、記述的商標は商標登録を受けることができない旨規定する趣旨は、記述的商標が商品の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占的使用を認めるのを公益上適当としないものであるとともに、一般的に使用される標章であって、多くの場合自他商品識別力を欠き、商標としての機能を果たし得ないものであることによると解される(最高裁昭和54年4月10日昭和53年(行ツ)129号判決参照)から、取引者、需要者によって上記のように認識される本願商標は、自他商品の識別力を欠くものとしてその登録を認めるべきではない。

したがって、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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