結論テキスト
審判費用は、請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 取消2003−30922(T2003−30922/J2) |
|---|---|
| 審判種別 | 取消 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4300282号商標(以下「本件商標」という。)は、「QUEST」の文字よりなり、第9類「プロトタイプ設計の高速化・集積回路及び電子装置の機能検査・コンピュータシステムを構成する各構成装置の同時設計を可能とするための機能を備えた電子計算機,プロトタイプ設計の高速化・集積回路及び電子装置の機能検査・コンピュータシステムを構成する各構成装置の同時設計を可能とするための電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク,その他の電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成11年7月30日に設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第3号証を提出した。
(1)請求の理由
本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
(2)答弁に対する弁駁
被請求人は、使用の事実を示す書類として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出しているが、使用の事実を示す書類に示されている商標の使用は、以下に述べるように、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用とはいえない。
(ア)乙第1号証に係る商標について
乙第1号証の書類は、最上段に「1億ゲートの検証キャパシティバリアを破る、クイックターンのCoBALT Ultra登場(「Ultra」の文字は「CoBALT」の文字の右肩に小さく表示されている。以下、本審決を通じて同じ。)」と掲載されているように、「CoBALT Ultra」についての説明が掲載されているものである。
本件商標に関しては、「使いやすいソフトウェア環境」の欄において、「これまで実績のあるQuest−II・・・ソフトウエア環境を継承しています。」及び「使い勝手の良いソフトウェア環境」の欄において、「Palladiumは、・・・Quest−IIという従来のソフトウエア環境から優れた点を統合した新しいソフトウエアです。」と掲載されているのみであり、本件商標について、その請求に係る指定商品に実際に使用している事実を何ら証明するものではない。
(イ)乙第2号証に係る商標について
乙第2号証の書類は、最上段に「クイックターンのリアルタイム・エミュレーション・システム、Reale Plus/Version1.1アップグレードの紹介(「Plus」の文字は「Reale」の文字の右肩に小さく表示されている。以下、本審決を通じて同じ。)」と掲載されているように、「Reale Plus/Version1.1」の説明が掲載されているものである。
本件商標に関しては、「既存のQuestソフトウェアの統合を行い」及び図中に、「Quest」と掲載されているのみであり、本件商標について、その請求に係る指定商品に実際に使用している事実を何ら証明するものではない。
(ウ)乙第3号証に係る商標について
乙第3号証の書類において、「クイックターン製品概要」の「CoBALT ultra」に内蔵されているソフトウェアの1つとして、「Quest−II」と記載されている。写真にもあるように、新製品として掲載されているのは「CoBALT ultra」であり、「Quest−II」の商標が識別標識としての機能を果たしているとはいえない。
したがって、乙第3号証は、本件商標について、その請求に係る指定商品に実際に使用している事実を何ら証明するものではない。
(エ)乙第4号証に係る商標について
乙第4号証は、「Quickturnソフトウエア使用許諾契約書」であるが、同書類は、本件商標の使用(商標法第2条第3項)の事実を証明するものではない。
(オ)乙第5号証に係る商標について
乙第5号証は、「購入、使用及び保守に関する契約書」の取り決めに従い発行されたものにすぎない。保守サービスを提供したことが証明されたとしても、それが直ちに本件商標の使用(商標法第2条第3項)の事実を証明するものではない。
なお、「購入、使用及び保守に関する契約書」は、2000年5月10日付けで締結されており、本件審判の請求の登録(平成15年8月6日)前3年以内の使用に該当しない(甲第3号証)。
(カ)乙第6号証に係る商標について
乙第6号証は、「購入、使用及び保守に関する契約書」の取り決めに従い発行されたものにすぎない。使用権を発行したことが証明されたとしても、それが直ちに本件商標の使用(商標法第2条第3項)の事実を証明するものではない。
なお、「購入、使用及び保守に関する契約書」は、平成12年3月29日付けで締結されている。仮に、被請求人が答弁書で述べているように、使用許諾の証明により、本件商標の使用の事実を間接的に示すものであっても、本件審判の請求の登録(平成15年8月6日)前3年以内の使用に該当しない(甲第3号証)。
(キ)乙第7号証に係る商標について
乙第7号証は、「購入、使用及び保守に関する契約書」の取り決めに従い発行されたものにすぎない。保守サービスを提供したことが証明されたとしても、それが直ちに本件商標の使用(商標法第2条第3項)の事実を証明するものではない。
なお、「購入、使用及び保守に関する契約書」は、2000年3月23日付けで締結されており、本件審判の請求の登録(平成15年8月6日)前3年以内の使用に該当しない(甲第3号証)。
(ク)被請求人は、ケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィは通常使用権者である旨主張しているが、本件商標に係る通常使用権者であることについての証明は一切なされていない。
以上により、被請求人が提出している答弁書は、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかによって、その指定商品について使用されていることを立証していないものであること明らかである。
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
本件商標の使用の事実を示す書類として、2001年10月発行のニューズレター「THE SOUND OF CADENCE」Vol.52(乙第1号証)、2002年1月発行のニューズレター「THE SOUND OF CADENCE」Vol.53(乙第2号証)、2001年7月27日新横浜プリンスホテルで開催した「ケイデンス、クイックターン・プライベートセミナー」テキスト(乙第3号証)、2001年3月12日付けソフトウエア使用許諾契約書別紙(乙第4号証)、2002年4月18日付け保守サービスに関する覚書(乙第5号証)、2002年6月21日付けソフトウエア・プログラム使用許諾通知(乙第6号証)、2002年10月2日付け保守サービスに関する覚書(乙第7号証)を提出する。
上記乙号証から明らかなように、本件商標は、本件審判請求登録前3年以内に、日本国内で通常使用権者であるケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィ(通称:日本ケイデンス・デザイン・システムズ社)により、指定商品中、少なくとも「コンピュータの業務用ソフトウエア」について使用されていたものである。
なお、本件商標は、「QUEST」の文字よりなるところ、その使用態様には、「Quest」「QuestII」「Quest−II」の3種があるが、「II」「−II」は、単にバージョンを示す情報にすぎないから、いずれも本件商標と社会通念上同一のものである。
また、ソフトウエア即ちコンピュータ・プログラムは、著作物であるから、購入した商品に対する物上支配権のほかに著作物の使用範囲に制限が付されることは世上周知である。乙第4号証ないし乙第7号証は、かかる使用許諾を示す書面である。かかる使用許諾は、ソフトウェアを収納した商品が購入された事実があれば存在するものであるから、乙第4号証ないし乙第7号証は、本件商標が使用されている事実を間接的に示すものである。また、乙第1号証ないし乙第3号証は、本件商標が広告媒体において使用されている事実を直接的に示すものである。
したがって、商標法第50条第1項の規定により、その商標登録が取り消されるべき理由はない。
(1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(ア)乙第1号証(2001年10月発行のニューズレター「THE SOUND OF CADENCE」Vol.52)には、「1億ゲートの検証キャパシティバリアを破る、クイックターンのCoBALT Ultra登場」の表題のもとに、「ケイデンス、クイックターンは8月21日、最高キャパシティの検証システム、CoBALT Ultra Design Verification Systemを発表しました。・・(中略)・・CoBALT Ultraは、Quickturn CoBALTファミリの最新製品で、これまで最高の性能を提供していたCoBALT Plus製品と比較しても、劇的に機能向上が行われています。・・(中略)・・CoBALT Ultraは、CoBALT Plusにおいてこれまで実績のあるQuest−II、PowerSuite、HDL−ICEソフトウェア環境を継承しています。・・・」と掲載されていること
(イ)乙第2号証(2002年1月発行のニューズレター「THE SOUND OF CADENCE」Vol.53)には、「クイックターンのリアルタイム・エミュレーション・システム、Reale Plus/Version1.1アップグレードの紹介」の表題のもとに、「2001年4月にクイックターンの新ラインナップ製品となったReale Plus(レアルプラス)製品に関し、既存のQuestソフトウェアとの統合を行い、Version1.1としてアップグレードいたします。」と掲載されており、そのデザイン・フローの説明図中には、Reale PlusV1.1における「Quest」ソフトウェアの位置付けが表示されていること
(ウ)乙第3号証(2001年7月27日に新横浜プリンスホテルで開催された「ケイデンス、クイックターン・プライベートセミナー2001」のテキスト)には、「クイックターン製品概要」の表題のもとに、「CoBALT ultra」が紹介されており、その製品概要の欄には、ソフトウェアの1つとして「Quest−II」が掲載されていること
(エ)乙第4号証(2001年3月12日付のQuickturnソフトウエア使用許諾契約書)には、「甲株式会社とケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィ(クイックターン・デザイン・システムズの名で事業を行い、以下『乙』という。)は、米国Cadence Design Systems,Inc.(Quickturn,a Cadence Companyの名で事業を行い、以下『丙』という。)製の本契約別紙に記載するソフトウェアの使用権を甲に付与する事に関し、次の通り合意する。」とあり、その第1条(定義)には、「(1)『ソフトウェア』とは、乙が販売し、甲が購入する別紙記載のコンピュータ・ソフトウェア製品と関連資料、および後続のアップ・デート版をいう。」とあり、第2条(ソフトウェアの売買と使用権)には、「甲および乙は、本契約に基づき、ソフトウェアに対する甲の注文とこれに対する乙の承諾により、乙はソフトウェアを甲に販売し、甲はこれを購入する。・・・」と記載されており、その別紙には、品名として「QuestII For CoBALT plus Software」の記載があること
(オ)乙第5号証は、2002年4月18日付の「保守サービスに関する覚書」であり、これには「甲(乙第4号証における甲と同じであるか否かは不明である)とケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィ(以下『乙』という。)とは、甲と乙との間で締結された『購入、使用及び保守に関する契約書(2000年5月10日付)』の取り決めに従い、甲が発行した注文書に基づき乙が提供する保守サービスに関し下記事項を確認するために、本覚書を締結する。」とあり、対象ソフトウェアの欄には「QIIDBG(QuestII Turbodebug Software)」の記載があること
(カ)乙第6号証は、2002年6月21日付の「ソフトウエア・プログラム使用許諾通知書」であり、これには「平成12年3月29日付『購入、使用及び保守に関する契約書』に基づき、この度ご注文いただきましたソフトウェア・プログラムに関する使用権を下記の通り発行しましたので、通知致します。」とあり、提供ソフトウェア・プログラムの欄には「QuestII TurboDebug Software」等の記載があること
(キ)乙第7号証は、2002年10月2日付の「保守サービスに関する覚書」であり、これには「甲(乙第4号証及び乙第5号証における甲と同じであるか否かは不明である)とケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィ(以下『乙』という。)とは、乙が甲に販売した製品の保守サービスに関して、甲と乙との間の『購入、使用及び保守に関する契約書(2000年3月23日付)』の取り決めに基づき次の通り覚書を締結する。」とあり、対象ソフトウェアの欄には、「QIIDBG QuestII TurboDebug Software」等の記載があること
(2)上記(1)で認定した乙第1号証ないし乙第3号証によれば、「Quest」あるいは「QuestII」と称されるソフトウェアは、「CoBALT Plus」や「CoBALT Ultra」等の検証システムにおいて用いられているソフトウェアであり、ニューズレター等の記載からみれば、少なくとも、「CoBALT Ultra」が発表された2001年8月当時において、該ソフトウェアは、実績のあるソフトウェアであったことが認められる。そして、乙第4号証によれば、被請求人の通常使用権者と認められるケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィ(通称:日本ケイデンス・デザイン・システムズ社)は、米国Cadence Design Systems,Inc.製の「QuestII」ソフトウェアを本件審判の請求の登録日(平成15年8月6日)前3年以内である2001年(平成13年)3月12日に、甲株式会社へ販売したものと認めることができる。
しかして、乙第4号証により販売したものと認められるソフトウェアは、「QuestII For CoBALT plus Software」の文字よりなるものであるところ、その構成中の「For CoBALT plus Software」の文字部分は、該ソフトウェアの用途・品質を表し、また、「II」のローマ数字は、該ソフトウェアのバージョン情報を表したものとみるのが自然であるから、本件商標の識別機能に影響を与えるものではなく、通常使用権者の使用に係る商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる範囲内の商標の使用というべきである。
これらの点について、請求人は、乙各号証をもってしては、本件商標がその請求に係る指定商品について実際に使用されていた事実を証明するものではない旨主張している。
確かに、乙第1号証ないし乙第3号証は、その記述中に、「Quest」あるいは「QuestII」と称されるソフトウェアについて言及されてはいるが、本件商標がコンピュータの業務用ソフトウェアについて使用されていた事実を証明する証拠としては十分なものとはいえない。また、乙第5号証ないし乙第7号証は、保守サービスに関する覚書等であり、本件商標の使用の事実を直接、証明するものではなく、各書証中に記載されている「QuestII」ソフトウェアの購入の契約日も本件審判の要証期間以前のものである。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証の記述と乙第5号証ないし乙第7号証を総合してみれば、「Quest」あるいは「QuestII」と称されるソフトウェアは、本件審判の要証期間以前から、実績のある「コンピュータの業務用ソフトウェア」として取引されていたものと容易に推認することができる。そして、このような実情を前提に、乙第4号証(Quickturnソフトウエア使用許諾契約書)をみれば、その契約内容から、通常使用権者は、「QuestII」ソフトウェアを本件審判の要証期間内に甲に対して販売したものとみるのが相当である。
また、請求人は、ケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィが通常使用権者であることについての証明は一切なされていない旨主張している。
しかしながら、乙第1号証ないし乙第3号証には、被請求人の表示と認められる「クイックターン・デザイン・システムズ」の表示とともに、ケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィの通称である「日本ケイデンス・デザイン・システムズ社」の表示も併せ表示されており、また、乙第4号証(契約書)の前文の契約当事者を特定する箇所には、ケイデンス・デザイン・システムズ(ジャパン)ビー・ヴィはクイックターン・デザイン・システムズの名で事業を行う旨記載されていることからみれば、書面による通常使用権設定契約があったか否かを詮索するまでもなく、少なくとも、被請求人(クイックターン・デザイン・システムズ)から口頭ないしは黙示の承諾を受けていたものとみて差し支えないものというべきである。
(3)以上によれば、被請求人は、被請求人の通常使用権者により、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件商標の指定商品に含まれる「(電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・光ディスク等の媒体に記憶させた商品としての)コンピュータの業務用ソフトウェア」について使用をしていたものというべきである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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