結論テキスト
その余の指定商品についての審判請求は成り立たない。
審判費用は、その二分の一を請求人の負担とし、二分の一を被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2003−35064(T2003−35064/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
本件登録第4116047号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成7年12月28日登録出願、第25類「被服,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、平成10年2月20日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の無効の理由に引用する、平成6年商標登録願第95839号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(2)に表示したとおりの構成よりなり、第25類の願書記載のとおりの商品を指定商品として、平成6年9月21日に登録出願、同16年2月27日に「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着」を指定商品として、登録第4751422号商標として設定登録されたものである。
請求人は、本件商標の指定商品中「被服,帽子」についての登録を無効とするとの審決を求めると主張し、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
(1)商標の類似について
本件商標は、別掲(1)に示すとおり、「羽根飾りを冠した右向きのインディアンの横顔を描いた図形」(以下「本件インディアン図形」という。)から構成されている。これに対して、引用商標は、別掲(2)に示すとおり、「頭部に羽根飾りを冠した右向きのインディアンの横顔を白黒反転して描いた図形」(以下「引用インディアン図形」という。)と、該図形中に配した白抜きの筆記体欧文字「lndian」と、該図形下部に配されたゴジック体欧文字「MOTOCYCLE」とによって構成されている。
そして、引用商標は、上記のとおり図形標章と文字標章とによって構成されたものであるが、構成要素中の「引用インディアン図形」の部分は最も顕著な構成要素(主要部)というべきであり、少なくとも、主要部である「引用インディアン図形」の部分が独自の識別機能を発揮し得ることは疑いのないところである。そこで、引用商標中の主要部「引用インディアン図形」と、本件商標の「本件インディアン図形」とを対比すると、描写方法において白黒反転している点で差異があるものの、両図形は同一図形であるといっても過言でないほどに酷似している。したがって、本件商標と引用商標とは、称呼や観念を問題にするまでもなく、商品出所について誤認混同をきたすおそれのある類似商標というべきである。
(2)指定商品の同一または類似
本件商標に係る指定商品は、商品区分第25類に属する「被服,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊被服,運動用特殊靴」であるのに対し、引用商標に係る指定商品は、同じく商品区分第25類に属する「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着」である。したがって、本件商標に係る指定商品中の「被服,帽子」は、引用商標に係る指定商品と同一又は類似する。尚、本件商標に係る指定商品中の「帽子」は「被服」の概念中に含まれ(二重指定である。)、他の被服概念に含まれる商品と同様に、商品の生産者、販売者、原材料、用途及び需用者層において尽く一致若しくは深く関係するものであって、引用商標に係る指定商品と類似する。
(3)出願日
本件商標は「平成7年12月28日」に出願されたのに対して、引用商標は「平成6年9月21日」に出願されたものである。したがって、引用商標は本件商標に対して先願商標に該当する。
(4)結論
したがって、本件商標の指定商品中の「被服,帽子」についての登録は、商標法第8条第1項の規定に違反するものとして、同法第46条第1項第1号の規定により、無効にされるべきである。
(5)答弁に対する弁駁
a)商標法第8条第1項について
商標法第8条第1項は、異なった日に出願が競合した場合、最先の出願人のみがその商標について登録を受けることができる旨を規定するものであって、同条第3項の規定からも明らかなように、登録の有無に拘わらず引用商標が現に出願に継続している以上、本件商標はその適用を免れ得るものではない。
また、引用商標が登録要件を満たしているか否かは、本審判の審理とは一切関係せず、引用商標の審査及び審判の場で判断されるべき事柄である。
b)権利の乱用との主張について
被請求人は、「本件無効審判請求は、被請求人の業務を妨害するためになされたもので、権利の乱用と解すべきものである。」と主張するが、このような被請求人の主張や手法は、関連する多くの審判事件や訴訟事件においても同様になされ、それらの審判決で否定されているところである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出している。
(1)本件商標が商標法第8条第1項に該当するというためには、引用商標が登録すべき要件を備えていなければならない。然しながら、引用商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当するものであり、登録すべき要件を備えない。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に該当しない。
よって、本件商標の登録は無効とすべきものではない。
(2)引用商標は商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当するものであって、本件審判請求に理由がないことは明白であり、本件審判請求は、根拠のないことを知りながら被請求人の業務を妨害するためになされたものであり、権利の濫用と解すべきものである。
(3)引用商標が商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当することについて
a)請求人が、被請求人の周知の商標である右向きのインディアンの酋長の図形(「インディアン図形」)よりなる本件商標、特徴ある筆記体の欧文字「lndian」(「lndianロゴ」)よりなる商標、「lndian図形」中に「lndianロゴ」を配した標章(「ヘッドドレスロゴ」)よりなる商標、及び、「ヘッドドレスロゴ」の下に特徴ある筆記体の「Indian Motocycle Co.,Inc.」(「Motocycleロゴ」)を配した商標(「lndian商標」)等を使用してビジネスを行う正当な権利者である被請求人による「lndian」ブランドに対する企業努力、投資の成果に便乗し違法に「lndianロゴ」や「lndian図形」等を使用して不当な利益を得ることを目的として出願したものであるから、引用商標は公正な競争秩序を乱すものであり、公の秩序を害するものであるから、公序良俗に反し、商標法第4条第1項第7号に該当し、
b)被請求人の著名な略称「lndian Motocycle」を
含むものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当し、
c)被請求人が使用する商標として需要者の間に周知である「ヘッドドレスロゴ」よりなる商標(「インディアン図形」中に「lndianロゴ」を配したものからなる商標)、「lndianロゴ」よりなる商標及び「インディアン図形」よりなる商標と類似するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当し、
d)引用商標より先願先登録の「lndian商標」(登録第2710099号商標)(乙1、乙2)と類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当し、
e)被請求人の「lndian」ブランドビジネスを妨害し、「lndian商標」、「ヘッドドレスロゴ」商標、「lndianロゴ」商標、「lndian図形」商標等と類似しこれら商標の周知性に便乗して不正な利益を得る目的で使用するものであるから、商標法第4条第1項第19号に該当するものであり、引用商標は登録要件を欠くものである。
(4)引用商標は、被請求人が正当に行う「lndian」ブランドビジネスに使用する商標として周知である「lndian商標」、「ヘッドドレスロゴ」商標、「lndianロゴ」商標、「lndian図形」商標と類似し、また、被請求人の著名な略称「lndian Motocycle」を含むものであり、引用商標は請求人が被請求人の企業努力、投資の成果に便乗し、被請求人による「lndian」ブランドビジネスの展開を妨害し不当な利益を得るため冒用出願した商標である。
本件商標は、別掲(1)のとおり、頭部に羽根飾りを冠し、頸部にも飾りをつけた右向きのインディアンを描いた図形よりなるものである。
これに対し、引用商標は、別掲(2)のとおり、頭部に羽根飾りを冠し、頸部にも飾りをつけた右向きのインディアンを黒塗りで描いた図形よりなるものである。そして、黒塗りの羽根飾りの中央に筆記体で「Indian」の欧文字を横書きで表し、該インディアン図形の下に「MOTOCYCLE」の欧文字を横書きした構成からなるところ、上記黒塗りのインディアンの図形部分も独立して自他商品の識別標識としての機能を果たすものと判断するのが相当である。
そこで、本件商標と引用商標の図形部分とを比較するに、両商標は、前記のとおり、頭部に羽根飾りを冠し、頸部にも飾りをつけた右向きのインディアンの図形を表してなるものであり、引用商標が黒塗りで描かれたことを除けば、本件商標とインディアン図形の特徴において構成の軌を一にするものであり、酷似するものといえ、両商標は、時と処を異にした場合は、外観上互いに相紛れるおそれのあるものといわなければならない。そして、両商標は、前記したとおりインディアンの特徴を捉えて描かれてなるものであるから、これよりは、「インディアン」の称呼及び「北米原住民」の観念を生ずるものと認められる。
してみると、本件商標と引用商標とは、その外観、称呼及び観念の点を総合して考察した場合、互いに相紛れるおそれがあり、取引者、需要者が取引の場においてその出所を混同するほどに類似している商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品中「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着」は、引用商標の指定商品中「被服」の範疇に含まれるものである。
さらに、本件商標の登録出願日は、平成7年12月28日であり、引用商標の登録出願日は、平成6年9月21日であるから、本件商標の登録出願が、引用商標の登録出願より後になされたものであることは明らかである。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものといわざるを得ない。
また、引用商標は、登録第4751422号商標として登録され、本件審決時において、現に有効に存続しているものであるから、同条第3項にも該当しないものである。
被請求人は、「引用商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当するにも拘わらず、これを引用して本件審判請求をしているものであるから、権利の濫用である」旨述べている。
しかしながら、引用商標は、前述のとおり、商標権として現に有効に存続しているものであって、当該権利を引用して本件審判請求している以上、これをもって権利の濫用に当たると解することはできない。
被請求人は、「引用商標は、商標法第4条第1項第7号、同第8号、同第10号、同第11号及び同第19号に該当する」旨主張し、その理由を縷々述べている。
しかしながら、引用商標が上記法条に該当するか否かの判断は、本件審判請求においてなすべきものではなく、別途、引用商標に係る無効審判請求等でなされるべきである。
また、本件審判の請求人及び被請求人が当事者である平成15年(行ケ)第422号事件(2002年無効審判第35289号審決取消訴訟事件)においても、被請求人は、同様の主張をしているが、同事件で「引用商標が本件商標に対する関係で先願の商標としての地位を有しているかどうかは、同審判事件における審決時を基準として判断すべきであり、法8条3項に規定する事由が生じていることが明らかにならない限り、引用商標は、本件商標に対する関係で先願の商標としての地位を失わないというべきである。」旨判示している。
以上のことからも、被請求人の主張は採用できない。
したがって、本件商標は、商標法第8条第1項に違反して登録されたものであるから、同法第46条第1項第1号により、その指定商品中、結論掲記の商品についての登録を無効とすべきである。
しかしながら、請求に係る指定商品中、上記商品を除くその余の商品は、引用商標の指定商品とは非類似の商品と認められるものであるから、これらの商品についての登録は、無効とすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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