結論テキスト
審判費用は被請求人の負担とする。
Trademark Appeal Case
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
| 審判番号 | 無効2002−35185(T2002−35185/J3) |
|---|---|
| 審判種別 | 無効 |
| 結論 | 勝訴(請求認容) |
本件登録第4209923号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成4年10月26日登録出願、第25類「ベルト,バンド,スカーフ,ネッカチーフ」を指定商品として、同10年11月13日に設定登録されたものである。
請求人が本件商標の登録無効の理由に引用する登録商標は、以下のとおりである。
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第71号証(枝番を含む。)及び参考資料1ないし7を提出した。(なお、本件において、当事者双方から提出された証拠を表示する場合、枝番の全てを引用するときは、その枝番の記載を省略した。)
(1)商標法第4条第1項第8号違反について
請求人は、イタリアの服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)の同意を得て、同人のデザインに係る各種の商品を製作、販売しており、「VALENTINO GARAVANI」あるいは「VALENTINO」の欧文字からなる商標を上記各種商品について使用している者である。上記「VALENTINO GARAVANI」の氏名は単に「ヴァレンティノ」(VALENTINO)と略称されており、この略称も本件商標の登録出願日前より著名なものとなっている。
すなわち、「VALENTINO GARAVANI」は、17歳の時パリの「パリ洋裁学院」でデザインの勉強を開始し、1959年ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年にはデザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー」(Fashion oscar)を受賞し、ライフ誌、ニューヨークタイムズ誌、ニューズウィーク誌など著名な新聞、雑誌に同人の作品が掲載された。これ以来同人は、イタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、フランスのサンローランなどと並んで世界三大デザイナーとして知られている。上記「ファッションオスカー」は、白を基調にまとめた「白のコレクション」に与えられたものである。同人のデザイン活動は婦人用、紳士用衣服を中心にネクタイ・シャツ・ハンカチ・マフラー・ショール・ブラウスなどの衣料用小物、バンド・ベルト・ネックレス・ペンダントなどの装身具、バッグ・さいふ・名刺入れその他のかばん類、その他サングラス、傘、スリッパなどの小物からインテリア装飾にも及んでいる。
我が国においても、ヴァレンティノ・ガラヴァーニの名前は、1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、その作品はVogue(ヴォーグ)誌などにより継続的に日本国内にも紹介されている。昭和49年には三井物産株式会社(千代田区大手町1−2−1)の出資により同人の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンティノヴティックジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、同人の作品は我が国のファッション雑誌にも数多く掲載されるようになり、同人は我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。
以上のとおり、ヴァレンティノ・ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして、本件商標の登録出願時には、既に我が国においても著名であった。同人の名前は「VALENTINO GARAVANI」、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」とフルネームをもって紹介されることが多いが、同時に新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に「VALENTINO」、「ヴァレンティノ」と略称されてとりあげられた(甲第7号証、甲第8号証ないし甲第10号証、甲第13号証の2、甲第15号証の2及び3、甲第16号証の2、甲第22号証の2、甲第25号証の3、甲第30号証の2、3及び5、甲第48号証(なお、甲第30号証の3及び5は提出がない。))。
しかるところ、本件商標は、文字と図形とが観念上及び構成上、一体のものとして認識しなければならない格別の事由はないので、該図形部分及び文字部分はそれぞれ独立して自他商品の識別機能を果たすものである。そして、その構成中の「バレンチノ ネルビーニ」の片仮名文字及び「VALENTINO」「NERVINI」の欧文字の記載よりみて、該「VALENTINO」の文字部分が「ヴァレンティノ」と称呼されるものであることは明らかであるから、本件商標は、「VALENTINO GARAVANI」の著名な略称を含む商標であり、その者(他人)の承諾を得ずに登録出願されたことは明らかである。
(2)商標法第4条第1項第11号違反について
本件商標中の図形部分及び文字部分は、前記したとおり、それぞれ独立して自他商品の識別機能を果たすものである。そして、その構成中の「バレンチノ ネルビーニ」の片仮名文字及び「VALENTINO」「NERVINI」の欧文字は、全体が一つの語として知られているものではなく、その全体を称呼するときは「ヴァレンティノネルビーニ」の長音を含む10音にも及ぶ冗長なものとなるばかりでなく、「ヴァレンティノ」と「ネルビーニ」との間1文字程度間隔があること及び「VALENTINO」と「NERVINI」の各文字が二段に表示されていることもあって、「ヴァレンティノ」と「ネルビーニ」とがそれぞれ段落をもって称呼されるものであり、しかも、上記デザイナー「VALENTINO GARAVANI」の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることも相俟って、これに接する取引者、需要者に親しまれている「バレンチノ」、「VALENTINO」の文字に相当する「バレンチノ」、「ヴァレンティノ」の称呼をもって、取引に当たる場合が決して少なくないものとみるのが自然である。
したがって、本件商標は、「バレンチノ」、「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものといわざるを得ない。
これに対して、引用商標AないしDは、いずれもその指定商品について使用された結果、全世界に著名なものとなっている。引用商標A、Cは、「VALENTINO」の文字よりなるから、「ヴァレンティノ」の称呼を生ずるものであることは明らかである。また、引用商標B及びDは、これらより生ずる全体の称呼が「ヴァレンティノガラヴァーニ」と冗長なものであり、また、「VALENTINO GARAVANI」の氏名が「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて著名なものとなっていることとも相挨って、引用商標B、D、Eは、その構成文字中、前半の「VALENTINO」の文字に相応する「ヴァレンティノ」の称呼をもって取引に資されている場合も決して少なくないから、いずれも「ヴァレンティノ」の称呼をも生ずるものであるといわざるを得ない。
してみると、本件商標は、引用商標AないしDと「ヴァレンティノ」の称呼を共通にするか又は「バレンチノ」と「ヴァレンティノ」の称呼において類似の商標であり、本件商標の指定商品は、引用商標AないしDのそれと抵触するものであることは明らかである。
(3)商標法第4条第1項第15号違反について
甲第9号証ないし甲第62号証により、引用商標BないしEは、婦人服、紳士服、ネクタイ等の被服、バンド、バッグ類、ライター等について使用されていること、各引用商標が本件商標の登録出願日前より全世界に著名なものとなっていることは明らかである。
そして、本件商標と引用商標B、Dがその称呼において共通又は類似の商標であることは、上述のとおりであるから、同様の理由により、本件商標と引用商標Eとは、類似する商標である。また、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている上記商品は、いずれも服飾品の範疇に属する、いわゆるファッション関連の商品である。
したがって、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品があたかも請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係にある者、すなわち、姉妹会社等の関係にある者の業務に係る商品であるかのように、その出所について混同を生ぜしめるおそれがあるものである。
(1)被請求人は、本件商標の商標権の使用許諾を株式会社キングアート(以下「キングアート」という。)に与え、商品「ベルト類」について使用され、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)商標、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標と混同されることなく、明確に区別されて平穏に商取引がされている現状にある旨主張する。
しかしながら、被請求人の上記の事実(現状)は何ら立証されていない。
(2)商標法第4条第1項第8号について
被請求人は、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)といえば、直ちに「ヴァレンティノ ガラヴァーニ/VALENTINO GARAVANI」を指称し、同人の略称をいうものとして認識されるものではない旨主張する。
しかしながら、「VALENTINO GARAVAN1(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」は、著名なデザイナーとして我が国において認められ、また、「VALENTINO GARAVANI」商標も、少なくとも被服等について使用された結果、著名になっているところ、通常、著名なデザイナーブランド(designer brand)の場合、特に外国人のデザイナーにあっては、そのデザイナーの略称により、そのデザイナーのデザインに係る商品を指すとともに、そのデザイナー自身を指すことがファッション関連商品を取り扱う我が国業界においてよくみられる取引の実情である。例えば「ココ・シャネル」を「シャネル(CHANEL)」,「ジョルジォ・アルマーニ」を「アルマーニ(ARMANI)」、「クリスチャン・ディオール」を「ディオール」等は夙に知られるところである。そして、「VALENTINO GARAVAN1(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)」は、著名なデザイナーであり、上記著名なデザイナー同様に、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)と略称されて、そのデザインに係る商品を指すとともに、デザイナーの略称として我が国の取引者、需要者間に周知、著名である。この事実は請求人の提出に係る証拠に照らせば、明らかである。
(3)商標法第4条第1項第11号及び同第15号について
被請求人は、「VALENTINO」の文字を商標中に取り入れている多数の商標が引用商標とは類似しないとして有効に登録されている点からしても本件商標が引用商標に類似するというのは誤りである旨主張する。
しかしながら、「VALENTINO」「Valentino」の文字を含む結合商標が他に登録されていても、それらが、取引者、需要者によりイタリアの服飾デザイナー「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO」と明確に区別され、「VALENTINO GARAVANI」とは関係のないものとして取引されているという事実はない。すなわち、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO」(「Valentino」、「ヴァレンティノ」)の商標が「ヴァレンティノ」と呼ばれて、周知・著名である事実に照らせば、取引者、需要者が、「VALENTINO」の語を含む結合商標について、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品を示すものであって、それの付された商品を、周知・著名な「VALENTINO」(「Valentino」、「ヴァレンティノ」)ブランドないしはその兄弟ブランドであるなどと誤解している可能性も十分にあるというべきである。
のみならず、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO」(「Valentino」、「ヴァレンティノ」)の商標が「ヴァレンティノ」と呼ばれて、周知・著名である事実に照らせば、「VALENTINO」の文字を含む商標であって、これと区別して認識されているものが、仮にあったとしても、そのことは、本件商標によって「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品の出所の混同のおそれの事実を何ら左右するものではないというべきである。
なぜならば、仮に、他の結合商標が、周知・著名な「VALENTINO」(「Valentino」、「ヴァレンティノ」)ブランドと区別され、出所を異にするものとして理解されているとするならば、そのことは、「VALENTINO」の文字を含む商標が、「VALENTINO」とそれ以外の他の特定の文字とが結合したものとしてよく知られ、かつ、「VALENTINO GARAVANI」とは関係のないものとしてよく知られるに至っている等の特段の事情があることを意味するのであって、そのような場合にこそ、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品に使用される「VALENTINO」(「Valentino」、「ヴァレンティノ」)の商標と区別されるといい得るのである。
ところが、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が、「VALENTINO」とそれ以外の他の特定の文字「NERVINI」とが結合したものとして取引者、需要者においてよく知られ、かつ、「VALENTINO GARAVANI」とは関係のないものとしてよく知られるに至っている等の特段の事情は、全く認められないのである。
したがって、前記「VALENTINO」の文字を商標中の構成に取り入れている多数の商標が登録されていることによって、本件商標について「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品との出所の混同のおそれが減少するものということはできないのである。
なお、請求人は、本件に関する事情として「VALENTIN0(ヴァレンティノ)」商標の周知・著名性を認定した審決を参考資料1ないし7として提出する。
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は、同法第46条第1項第1号に該当し、無効とされるべきものである。
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第8号証(枝番を含む。)を提出した。
商品「ベルト」に使用する上記「VALENTINO NERVINI」、「バレンチノネルビーニ」商標の使用例は、「02年ベルト企画書」(乙第3号証の1の1ないし3)、ベルトに使用するタッグ(乙第3号証の2)に示すとおりである。
そして、上記商品は、商取引の実際において、請求人が主張するところの「VALENTINO」(ヴァレンティノ)商標、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標と、取引者、需要者に混同されることはなく、明確に区別されて平穏に商取引がなされているのが現状である。
請求人は、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニは、世界のトップデザイナーとして、本件商標が出願された当時には、既に我が国においても著名であった。新聞、雑誌の記事や見出し中には、単に『VALENTINO』『ヴァレンティノ』と略称されてとりあげられた。」として、甲第7号証ないし甲第10号証、甲第13号証の2、甲第15号証の2及び3、甲第16号証の2、甲第22号証の2、甲第25号証の3、甲第30号証の2、甲第48号証をあげている。
しかしながら、以下の理由により、請求人の主張は理由がない。
(1)甲第7号証は、「ヴァレンティノ・ガラバーニ」のフルネームが明記されてあり、その記事中に「ヴァレンティノ」の文字が用いられているものである(このうち、甲第7号証の26は、「VALENTINO GARAVANI」と欧文字のフルネームの記載がある。)。
甲第9号証及び甲第10号証は、前記1で述べたとおり、本件商標は、商取引の実際において「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」商標あるいは「VALENTINO/ヴァレンティノ」商標と明瞭に区別されて取り引きされているものである。
甲第13号証の2は、「V.GARAVANI/ヴァレンティノ・ガラバーニ(イタリア)」のフルネームが明記されてあり、その記事中に「ヴァレンティノ」の文字が用いられているものである。
甲第15号証の2、甲第15号証の3、甲第16号証の2についても、「VALENTINO GARAVANI/ヴァレンテイノ・ガラヴァーニ(イタリア)」のフルネームが明記されてあり、その記事中に「ヴァレンティノ」の文字が用いられているものである。
甲第22号証の2は、「Valentlno Garavanl」のフルネームが明記されてあり、その記事中に「ヴァレンティノ」の文字が用いられているものである。
甲第25号証の3は、「ヴァレンティノガラヴァーニ」のフルネームが明記されてあり、その記事中に「ヴァレンティノ」の文字が用いられているものである。
甲第30号証の2は、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ プティック」として、「ヴァレンティノ」の文字が用いられているものである。
甲第48号証は、【ローマ27日=AP】「リズの花嫁衣装はバレンチノ」とした特定の報道記事について「バレンチノ」の文字が用いられているものである。
そして、これらは、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ/VALENTINO GARAVANI」の姓名(フルネーム)のもとにおいて、「ヴァレンティノ」「VALENTINO」と用いられているものであって、このことは、「ヴァレンティノ」「VALENTINO」といえば、直ちに「ヴァレンティノ ガラヴァーニ/VALENTINO GARAVANI」を指称し、同人の略称をいうものとして認識されるものではない。
(2)ところで、「VALENTINO」という姓は、イタリア国においては、広く用いられているところであって、「VALENTINO」といえば、直ちに「VALENTINO GARAVANI」を指称するものではない。
そして、本件商標は、これに接する取引者、需要者をして、特定の姓名を表したものとして一体として把握され認識されるものであるとするのが自然である。それ故、本件商標は、これを構成文字中の、「VALENTINO」「ヴァレンティノ」の文字部分のみを殊更に分離し、抽出して、「VALENTINO GARAVANL/ヴァレンティノ ガラヴァーニ」の略称を有してなるものと認識され得るものではないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当するものではない。
(3)ちなみに、「Valentino Franchini」の文字よりなる商標は、特定の姓名として一体に把握され、「Valentino」の文字部分を「ヴァレンティノ ガラヴァーニ(VALENTINO GARAVANI)」の略称とはみられないものであるから、商標法第4条第1項第8号に該当するものではないとした登録異議の決定(乙第4号証)が存する。
(1)本件商標を構成する片仮名の文字部分「バレンチノ」と「ネルビーニ」の文字間が一字程度間隔があるとはいえ、また、たとえ、全体の構成音数が10音であるとしても、これら両語は、同じ書体で、まとまりよく構成されているものであって、一連に「バレンチノネルビーニ」と称呼され得るものといえる。
また、「VALENTINO」と「NERVINI」の欧文字が二段に分離して表記されているとしても、最上段に「バレンチノ ネルビーニ」の片仮名文字があるため、該「VALENTINO」と「NERVINI」は一体のものとして把握されるものである。それ故、本件商標から生ずる自然的称呼は、「バレンチノネルビーニ」であるというべきである。
(2)引用商標A、Cからは、「ヴァレンティノ」の称呼を、また、引用商標B、Dからは、「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼を、それぞれその構成文字に相応して生ずるものである。
(3)本件商標から生ずる「バレンチノネルビーニ」の称呼と引用商標A、Cから生ずる「ヴァレンティノ」の称呼を比較すると、両称呼は、その構成音数に相違があるため、明瞭に聴別され得るものである。また、本件商標から生ずる「バレンチノネルビーニ」の称呼と引用商標B、Dから生ずる「ヴァレンティノガラヴァーニ」の称呼とを比較しても、両称呼は、構成音に相違があるため、明瞭に聴別され得るものである。
また、本件商標と各引用商標とは、その構成からして、外観、観念においても明瞭に識別され得るものである。
してみれば、本件商標と各引用商標とは、外観、称呼、観念のいずれの点からしても相紛れることのない非類似の商標というべきものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
(4)ちなみに、対比される商標がその商標の構成文字中に「VALENTINO」の文字を共通にするとしても、全体としての構成音において差異がある場合には、非類似の商標であると判断された審決例が存する(乙第5号証ないし乙第8号証)。
請求人は、引用商標BないしEは、婦人服、紳士服、ネクタイ等の被服、バンド、バッグ類、ライター等について使用され、本件商標の登録出願前より全世界に著名なものとなっている。そして、本件商標と引用商標B、Dがその称呼において共通又は類似の商標であるから、同様の理由により、本件商標と引用商標Eとは、類似する商標である。また、本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている商品は、いずれもファッション関連の商品である。したがって、本件商標は、これを商標権者がその指定商品に使用した場合、その商品があたかも請求人の製造、販売等の業務に係る商品であるか又は同人と経済的若しくは組織的になんらかの関係にある者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ぜしめるおそれがある旨主張する。
しかしながら、本件商標と引用商標Eとは、前記2で述べたとおり、本件商標と引用商標AないしDとは非類似の商標であるという理由と同様の理由で、非類似商標というべきものである。
また、請求人は、「本件商標の指定商品と各引用商標が使用されている商品は、いずれもファッション関連の商品であるから、混同を生ぜしめるおそれがある。」旨主張するが、本件商標と各引用商標とは、明瞭に識別される非類似商標であることから、相紛れるおそれはないものである。
そして、本件商標は、上記1で述べたとおり、商取引の実際において、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)商標、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標と混同されることなく、明確に区別されて平穏に商取引がなされている実情からしても、本件商標をその指定商品に使用しても、請求人の業務に係る商品であるか又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係にある者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ぜしめるおそれはないというべきである。
したがって、本件登標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
甲第7号証の4ないし32、甲第13号証ないし甲第20号証、甲第22号証及び甲第23号証、甲第26号証ないし甲第44号証、甲第47号証ないし甲第56号証、甲第63号証、甲第64号証及び甲第66号証ないし甲第71号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴアーニ)は、1932年(昭和7年)イタリア国で生まれ、17才の時パリの洋裁学院でデザインの勉強を開始し、その後フランスの有名なデザイナー「ジャン・デッセ」、「ギ・ラローシュ」の助手として働き、1959年(昭和34年)ローマで自分のファッションハウスを開設した。1967年(昭和42年)に、白一色のコレクションを発表して、著名な新聞、雑誌等に大きく取り上げられ、デザイナーとして最も栄誉ある賞といわれる「ファッションオスカー(Fashion oscar)」を受賞し、一躍その名を高めた。これ以来、同人はイタリア・ファッションの第1人者としての地位を確立し、国際的なトップデザイナーとして知られるに至っている。
(2)我が国においても、「VALENTINO GARAVANI」、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の名前は、前記1967年(昭和42年)のファッションオスカー受賞以来知られるようになり、昭和50年年代の初めには、同人のデザインに係る被服、ネクタイ、ベルト等が、「VALENTINO GARAVANI」、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」等の表示と共に、ファッション雑誌である「世界の一流品大図鑑」、「anan臨時増刊FALL&WINTER1976−’77」、「アイリスマガジン」、「EUROPE一流ブランドの本」などに紹介された。また、昭和51年9月から10月にかけて、我が国で同人のデザインに係る作品のファッションショーが開かれたことに関する記事が全国紙、地方紙等を通じて、「ヴァレンティノ・コレクション」、「ヴァレンティノのショーから」、「バレンチニ作品展から」、「無地が売り物のヴァレンティノ」などと紹介された。その後も、「VALENTINO GARAVANI」、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の名前及びそのデザインに係る被服等について使用される表示は、本件商標の登録出願日に至るまでに継続的に紹介されていた。
昭和49年に、三井物産株式会社の出資により同人の日本及び極東地区総代理店として株式会社ヴァレンティノヴティツクジャパンが設立され、ヴァレンティノ製品を輸入、販売するに至り、ヴァレンティノ・ガラヴァーニの作品は、我が国の著名なファッション雑誌などに数多く掲載されるようになり、同人は、我が国においても著名なデザイナーとして一層注目されるに至っている。
また、同人のデザインに係る被服等の商品群に表示される商標は、「VALENTINO GARAVANI」、「valentino garavani」、「ヴァレンティノ ガラヴァーニ」として紹介されることが多いが、同時に、単に「VALENTINO」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」と表示して紹介されていることも少なくなく、「VALENTINO GARAVANI」、「valentino garavani」、「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の表示及び「VALENTINO GARAVANI」の名前のファッション関連の商品分野における世界的著名性を考慮すれば、「VALENTINO」、「ヴァレンティノ」、「バレンチノ」といえば、同人のデザインに係る被服等の商品群に表示される商標及び同人を指すものとして、この種商品の取引者、需要者の間に広く認識されるに至っているというべきである。そして、その著名性は、本件商標の登録査定時においても継続していたと優に認め得るところである。
本件商標は、別掲のとおり、最上段に欧文字の「V」状の図形2つを横並びに描き、その下に「バレンチノ ネルビーニ」の文字を横書きし、さらに、該「バレンチノ ネルビーニ」の文字の下に、1行程度の間隔をあけて「VALENTINO」と「NERVINI」の各文字を二段に横書きしてなるものであるところ、「V」状の図形部分と文字部分は、これを常に一体のものとして把握しなければらないほど、観念上密接な関係を有するものとは認めることはできないから、それぞれ独立して把握、認識されるものである。
そして、本件商標中の文字部分は、全体をもって、我が国においてよく知られた氏名等を表すものとはいい難いのみならず、全体を称呼した場合の「バレンチノネルビーニ」の称呼も、長音を含め10音とやや冗長にわたるものである。また、「VALENTINO」と「NERVINI」の各文字は、「V」状の図形及び「バレンチノ ネルビーニ」の文字から、やや離れて書され、独立して看取されやすいばかりでなく、二段に書されていることも相俟って、本件商標に接する需要者は、該「VALENTINO」と「NERVINI」の各文字のうち、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る被服等の商品群に表示され、本件商標の登録出願前より、その需要者の間に広く認識されている「VALENTINO」と同一の綴り文字よりなる「VALENTINO」の文字部分に注意を強く引きつけられるばかりでなく、その読みを表す「バレンチノ」の文字部分にも注意が向けられるというのが相当である。
加えて、本件商標は、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係り、その関連会社が製造、販売に係る被服等と同様のファッション関連の商品について使用されるものであるところからすると、本件商標をその指定商品について使用した場合は、その需要者をして、該商品が「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品又は同人と組織的、経済的に何らかの関係がある者の業務に係る商品であるかのように誤認させるか、あるいは「VALENTINO」、「NERVINI」及び「バレンチノ ネルビーニ」の文字から、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品を直ちに連想させ、その姉妹品か、兄弟ブランドであるかのように誤認させ、商品の出所について混同を生じさせるおそれがあるというべきである。
(1)被請求人は、本件商標を使用した商品「ベルト類」と「VALENTINO GARAVANI」若しくは「ヴァレンティノ・ガラヴァーニ」の表示よりなる商標又は「VALENTINO」、「ヴァレンティノ」の表示よりなる商標を使用した「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品群とは、その出所について混同を生じさせるおそれがないとして以下のように主張する。
本件商標と「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標及び「VALENTINO」(ヴァレンティノ)商標とは、非類似の商標であり、また、被請求人は、キングアートに対し、本件商標の商標権の使用許諾を与え、キングアートは、商品「ベルト類」について本件商標を使用しているが、上記商品は、商取引の実際において、「VALENTINO」(ヴァレンティノ)商標、「VALENTINO GARAVANI」(ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)商標と明確に区別されて平穏に商取引がなされている現状にある。
(2)しかし、商標法第4条第1項第15号は、「他人の業務に係る商品又は役務と混同を生ずるおそれがある商標」は、商標登録を受けることができないと規定しているところ、本件商標は、前記認定のとおり、その構成中に、「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品群を表示するものとして、本件商標の登録出願時より、ファッション関連商品の需要者に広く認識されている「VALENTINO」と同一の綴り文字を含むばかりでなく、その片仮名表記の一つである「バレンチノ」の文字をも含むものである。
そうすると、被服をはじめとするベルト類等のファッション関連商品の主たる需要者といえる一般の消費者が本件商標を使用した「ベルト類」に接した場合、商品「ベルト」が「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品群の一つに存在することを考慮すると、本件商標中の「VALENTINO」の文字部分及びその片仮名表記の一つである「バレンチノ」の文字部分に強く印象づけられ、該「ベルト類」が「VALENTINO GARAVANI」のデザインに係る商品群の一つ、あるいはその兄弟ブランド等を使用した商品であろうと誤認、混同するおそれが高いことは明らかであり、これに反する証拠は見出せない。
したがって、本件商標は、「混同を主ずるおそれがある商標」に当たるというべきであるから、被請求人の主張は、採用することができない。
以上のとおりであるから、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、同法第46条第1項の規定により、無効とすべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
Next Action
類似審決の追加調査から中間応答、新規出願の費用確認まで、この審決を起点に次のアクションへ進めます。
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