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Trademark Appeal Case

称呼の類似性と著名性

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号無効2003−35085(T2003−35085/J3)
審判種別無効
結論敗訴(請求棄却)

結論テキスト

本件審判の請求は、成り立たない。
審判費用は、請求人の負担とする。

理由テキスト

1 本件商標

本件登録第4433498号商標(以下「本件商標」という。)は、「Gray Image」の文字を横書きしてなり、平成11年7月15日に登録出願され、第35類「広告,トレーディングスタンプの発行,経営の診断及び指導,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,ホテルの事業の管理,財務書類の作成,職業のあっせん,競売の運営,輸出入に関する事務の代理又は代行,新聞の予約購読の取り次ぎ,書類の複製,速記,筆耕,電子計算機・タイプライター・テレックス又はこれらに準ずる事務用機器の操作,文書又は磁気テープのファイリング,建築物における来訪者の受付及び案内,広告用具の貸与,タイプライター・複写機及びワードプロセッサの貸与」を指定役務として、同12年11月17日に設定登録されたものである。

2 請求人の主張の要点

請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第67号証を提出した。

(1)申立ての根拠

本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号、同第15号及び同第7号に該当するものであるから、商標法第46条第1項第1号の規定により無効とされるべきものである。

(2)具体的理由

(ア)引用商標について

引用商標は、「GREY」の欧文字からなり、第35類「広告」を指定して、平成7年5月2日出願、平成12年5月26日に登録され、現に有効に存続している(甲第2号証)。

(イ)引用商標の著名性について

引用商標は、請求人(注、審判請求書には「異議申立人」と記載されているが誤記と思われる。)の所有する登録商標であり、1917年の創業以来、長年使用している著名商標である(甲第3号証ないし甲第18号証)。請求人である「グレイ グローバル グループ インコーポレイテッド」は、コミュニケーション及びマーケティング関連会社10社あまりを傘下におさめるグループ企業であり、グループ会社のうち、広告会社「グレイ アドバタイジング」は米国を代表する大手広告会社のひとつである。2000年7月1日に同社は、「グレイ ワールドワイド」に社名変更し、米国のみならず、日本においても広く新聞・雑誌に報道がされた(甲第3号証ないし甲第18号証、甲第27号証ないし甲第53号証)。日本においては、1963年に前述の「グレイ アドバタイジング」と日本の大手広告会社である株式会社大広との合弁事業として「グレイ大広」を設立し、日本の広告業界において活発な活動を行ってきたが、2000年7月にグレイ アドバタイジングが株式会社大広の持ち株を買取ったことに伴い、株式会社グレイ ワールドワイドに社名変更した。「グレイ グローバル グループ インコーポレイテッド」は創業以来順調に広告、メディア、PR、ダイレクトマーケティング、インタラクティブなどグローバルにその活動分野を拡大し、広告業界において着実な足跡を残し著名な世界企業に成長した。米国の広告雑誌「Advertising Age」の発表したところによれば、2000年における世界トップ10の広告会社のうち、「グレイ ワールドワイド」は6位にランクインし、取扱い高では1999年及び2000年の2年連続で、全米1位にランクされている(甲第21号証ないし甲第22号証)。また、これまで「グレイ ワールドワイド」の業績については数多くのメディアに注目されてきた(甲第3号証ないし甲第20号証)。「グレイ ワールドワイド」と日本の「株式会社大広」との合弁企業「グレイ大広」についてもその活動は1963年の創業以来、日本の広告業界において着実に実績を残し、数々の広告が賞を受賞しその業績が新聞・雑誌・TVなどでも紹介された(甲第54号証ないし甲第67号証)。1998年には、国内における外資及び外資系広告会社の売上高のランキングでは、「グレイ大広」は、5位にランクインされ、名実ともに広告会社「グレイ」の名は広く業界内のみならず一般需要者にとっても著名となるに至っている(甲第57号証)。

前述のとおり、「グレイ大広」が「グレイ ワールドワイド」に社名変更した際には、大々的な記者発表を行い、このニュースは広く一般新聞・雑誌、業界新聞・雑誌にとり上げられ、世界企業であるグレイ グループを背景に「グレイ」の名が広告業界においていかに関心が高く著名であるかを示すものとなっている(甲第23号証ないし甲第54号証)。また、社名変更の報道と相俟って、30年間もの間、「グレイ ワールドワイド」のトップを務めてきた「エドワード・マイヤー」の有能な経営者としての側面にスポットをあてた新聞・雑誌記事も数多く、世界企業「グレイ」とともに、「グレイ」を統率するトップの「顔」として広く紹介された(甲第3号証ないし甲第48号証)。

以上より、引用商標は、本件商標の出願時である平成11年(1999年)7月15日当時において、請求人に係る商品役務を表示するものとして、既に我が国において著名であったものと確信する。

(ウ)本件商標と引用商標の類否

本件商標は、「Gray lmage」の文字に相応して、「グレイ」あるいは「グレイ イメージ」の称呼が生じる。

これに対して、請求人の使用にかかる商標は、「GREY」の文字に相応して「グレイ」の称呼が生じる。

ここで、本件商標にかかる欧文字「Gray」及び引用商標にかかる欧文字「GREY」は外観において小文字「a」及び大文字「E」の差異しかなく、これによって「グレイ」の称呼を有することについて差異はみられない。また、前述の「Image」の文字部分は、「〜のイメージ、概念、映像」のように形容する語として使われることから識別力は弱く、請求人の使用にかかる「GREY」の文字部分の著名性に鑑みると本件商標のうち「Gray」部分が商標としての識別力を有する部分であり、その文字に相応して「グレイ」の称呼が生じる。

また、「Image」の文字部分は、前述のとおり、「イメージ、概念、映像」といった意味内容を有する外来語として一般需要者において容易に理解されるところ、かかる語は、広告対象となる商品等についての「イメージの抽出」、「イメージの植え付け」、「イメージの定着」、「イメージ戦略」といったように広告業界においては、広く頻繁に使われている語のひとつである。そして、広告会社がいかに顧客企業の広告を効果的に消費者・需要者に浸透させるかについて検討する上で、顧客企業のメッセージを顧客がその商品等に対して欲する「イメージ」と効果的に結びつけ、これを広告会社独自の手法により具体的な映像・作品などの視覚的表現に仕上げていくことが重要なステップとなるとの事情にかんがみると、指定役務「広告」との関係で識別力が弱いといえる。

さらに、欧文字「Image」の意味内容及び広告制作における「イメージ」の重要性、請求人の使用にかかる商標「GREY」の著名性にかんがみると、本件商標は、全体として「広告会社として著名な『GREY』が表現する・得意とする(広告の)イメージ・映像」といった観念を生じさせるものである。

したがって、全体としてみれば、本件商標は引用商標に外観・称呼・観念上類似するといわざると得ない。

そして、本件商標の指定役務は引用商標の指定役務と同一又は類似する。

以上より、本件商標は引用商標に類似するものであり、その指定役務も類似することから、商標法第4条第1項第11号に該当する。

(エ)商標法第4条第1項第10号について

本件商標は著名商標である引用商標に類似し、その指定役務と同一又は類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。

(オ)商標法第4条第1項第15号について

請求人の業務に係る役務を表示するものとして著名な引用商標と同一又は類似する本件商標がその指定役務に使用された場合、取引者・需要者をして、その役務が請求人の提供にかかわるものであるかのごとく、あるいは請求人と何らかの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所混同を生ぜしめるおそれがあると思料する。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。

(カ)商標法第4条第1項第7号について

世界的な広告・コミュニケーション企業である請求人のグループ企業の使用にかかる著名な引用商標と相紛らわしい本件商標を、前記著名商標と何ら関係のない他人が自己の役務について商標として採択し使用することは、本来自らからの営業努力によって得るべき業務上の信用の維持をはかる商標法の目的に反し、該名称の著名性にフリーライドするものであり、また、著名商標「GREY」に化体した莫大な価値を希釈化させるおそれがあるといわざるをえない。特に、本件商標は著名商標「GREY」の欧文字のうち、識別力を有する「GREY」部分を「Gray」と小文字で表し、さらには第3音について「E」と「a」の差異のみをもって変更を加えたものである。また、「Image」の形容詞を加えることで、著名な「GREYのイメージ」という観念を生じさせるとともに、全体として著名商標「GREY」と一見非類似と見せかけたがごとくの態様からなることから、当該著名商標に只乗りする意図が容易に見受けられるものと思料する。

したがって、本件商標は、公正な競業秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであり、商標制度の趣旨に則しないものであるから、商標法第4条第1項第7号に該当する。

(3)弁駁の理由

被請求人は、本件商標「Gray Image」について、その構成各文字は全体としてまとまりよく構成されており、その称呼も一連に称呼し得るものであると主張する。

しかしながら、本件商標は「Gray」と「Image」の間にスペースを有するだけでなく、「Image」の「I」の文字は大文字となっていること、また既に審判請求書において主張したとおり、「Image」の語は本件指定役務との関係で識別力が弱い文字というべきであること、さらには「Gray」の文字が請求人の著名な商標「Grey」と称呼上類似することから、本件商標はあくまでも分離判断されるべきであり、その場合要部となる「Gray」と引用商標である「Grey」は類似するというべきである。

そして、被請求人の商標法第4条第1項第10号及び11号該当性に対する反論は、両者が非類似であることが前提となっているが、上述のように、あくまでも両者は類似する商標である以上、かかる反論は成り立たない。

なお、両者は指定役務「広告」において同一であるから、かかる「広告」について商標法第4条第1項第10号及び11号に該当することは明らかである。

また、被請求人は、請求人の引用商標の著名性について種々反論するが、請求人が引用商標の著名性を立証すべく提出した甲第3号証ないし甲第67号証より、請求人の引用商標の著名性は明らかである。

そして、かかる著名性を考慮した場合、かかる著名な引用商標を含む本件商標がその指定役務に使用された場合、出所混同が生ずることは明らかである。

3 被請求人の答弁の要点

被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証を提出した。

(1)本件商標「Gray Image」の性質について

本件商標は、「Gray Image」の欧文字を横書きし、その構成各文字は全体としてまとまりよく構成されており、これから生じる「グレイイメージ」の称呼も格段冗長というべきものでなく淀みなく一連に称呼し得るもので、本件商標「Gray」部分に限定して称呼・観念しなければならないとする特段の事由があるとはいえないものと思料する。また、本件商標は全体として特定の観念を生じない一連の造語である。

詳述すれば、本件商標は、「Gray」(乙第1号証)及び「イメージ/IMAGE」(乙第2号証)が本件商標の「広告」を含む殆どの指定役務との関係で自他役務識別力を有するとして登録されていることからいずれも本件商標の指定役務との関係で自他役務識別力を有する「Gray」と「Image」とを軽重なく結合させてなる結合商標で、構成全体として語呂・語感・語調がよいことから被請求人が採択した単なる一連の造語である。

(2)引用商標1の著名性に対する反論

請求人は、引用商標が請求人の所有する登録商標であり、1917年の創業以来、長年使用している著名商標である等、種々述べている。

しかし、本来、ある商標が著名であるというためには、永年継続的かつ独占的に使用され、需要者の間に広くそれも周知を超える程度に広く認識されておらねばならない。これに関する請求人の証拠を見ると、請求人が1917年に創業されていること及び引用商標「GREY」を長年使用してきた証拠は見当たらず、引用商標が我が国で著名であるばかりか周知であることの証拠は見当たらない。すなわち、甲第3号証ないし甲第22号証については、米国の新聞又は雑誌の英文記事のようであるが、訳文が添付されているものは甲第3号証だけであり、その他の証拠には全く訳文が添付されていない。しかも、その各証拠の英文内容は、請求人の代表者の言動及び「Grey Advertising」「Grey Advertising Inc.」「Grey Global Inc.」「Grey Global」「Grey Global Group」「Grey Worldwide」に関する名称変更及び会社組織等への言及しかなく、前記社名又は社名の略称に関する記述が殆どであり、引用商標に関する記述はないに等しく、引用商標「GREY」が我が国で著名であることは何ら立証されていない。また、甲第27号証ないし甲第67号証については、国内の雑誌又は新聞の記事のようであるが、「グレイ大広」から「グレイワールドワイド」に社名変更された事実に関する記述が殆どであり、引用商標「GREY」に関する記述はないに等しく、引用商標が我が国で著名であることは何ら立証されていない。なお、甲第23号証ないし甲第26号証については、「グレイ大広」から「グレイワールドワイド」への社名変更の記者発表用資料であり、その中に若干引用商標「GREY」の使用が見られるが、これは請求人の主観的な資料であり、これに関連する客観的な資料であると思われる前記甲第27号証ないし甲第67号証には殆ど引用商標の使用例が見当たらないので、引用商標が我が国で著名であることは何ら立証されていない。

以上のとおり、本件商標の出願日である平成11年7月15日以前から現在に至るまで、引用商標「GREY」が著名であることは、請求人の各証拠からは到底是認できない。

(3)本件商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとの主張に対する反論

請求人は、本件商標に係る指定役務のすべてについて本号を根拠として無効を主張しているが、そもそも引用商標は指定役務が「広告」だけであり、本件商標に係る指定役務中「広告」以外の指定役務は「広告」に類似せず当然に該当しない役務であるので、本号との関係では本件商標に係る指定役務中「広告」が本号に該当するか否かが争点となる。以下に本件商標に係る指定役務中「広告」についてのみ反論する。

前記に述べた本件商標の性質から明らかなように、本件商標は一連一体の商標であり、この本件商標からは「グレイイメージ」との称呼のみが生じ、また本件商標は全体として特定の観念が生じない一連の造語である。

一方、引用商標は、「GREY」と欧文字4文字から構成されており、これより生じる称呼は「グレイ」であり、また特段の観念は生じない造語であるものと考えられる。

そこで、本件商標と引用商標とを対比すると、称呼については、本件商標からは前述のように「グレイイメージ」の称呼しか生じないのに対し、引用商標からは「グレイ」の称呼しか生じないので、両商標が非類似であることは明らかである。また、観念及び外観については、本件商標と引用商標とはいずれも造語であって両者は観念上比較し得ないものであり、各々の構成からみても外観上明確に区別できるものである。

したがって、本件商標と引用商標とは非類似であり、本件商標は本号に該当しないことに疑いがない。

なお、請求人は、本件商標中の「Image」部分は指定役務「広告」との関係で自他役務識別力が弱い旨を主張しているが、この主張に関する証拠は全く挙げられておらず、また「イメージ/IMAGE」(乙第2号証)が指定役務「広告」との関係で自他役務識別力ありとして登録されている事実にかんがみると、請求人の前記主張は失当であると考える。さらに、引用商標が著名であるとの主張は前記で述べたとおり、その主張を到底是認することはできないので、この請求人の主張も失当であると考える。ましてや、引用商標に著名性があるとしても、請求人の「本件商標は全体として『広告会社として著名な「GREY」が表現する・得意とする(広告の)イメージ・映像』といった観念を生じさせるものであります。」との主張に至っては、著名性を有しない「GREY」の存在をもって「Gray」を結合商標の一方とする本件商標が請求人の理解するがごとき概念を生ずると主張するのは、出所を表示するはずの「GREY」と「Gray」のスペルが相違すること、本件商標中の「Image」が自他役務識別力を有すること、「Gray」と「Image」が軽重なく不可一体に結合していること等を無視したことに基づく当を得ない主張であることが明白である。

(4)本件商標が商標法第4条第1項第10号に該当するとの主張に対する反論

引用商標の指定役務は「広告」のみであるので、本件商標の指定役務中「広告」のみが争点となることは前記と同様である。

前記で述べたように本件商標と引用商標とは非類似であることが明らかであり、しかも引用商標は我が国において周知であるとは到底認められないことから、本件商標は本号に該当しないことに疑いがない。なお、百歩譲って引用商標が著名であったとしても、本件商標と引用商標とは非類似であることが明らかであるので、本件商標は本号に該当しない。

(5)本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当するとの主張に対する反論

前記に述べたように、引用商標は我が国で著名であるとは到底是認できず、さらに本件商標はその外観、称呼、観念のいずれにおいても引用商標とは十分に区別し得る商標であり、さらに本件商標と引用商標とを関連づけてみなければならない特段の事由も存在しないと考えられるため、本件商標を指定役務に使用したとしても、取引者・需要者をしてその役務が請求人の提供にかかわるものであるかのごとく、又は請求人と何らかの経済的・組織的関連があるかのごとく認識され、出所の混同を生ぜしめるおそれは全くないことに疑いがない。

(6)本件商標が商標法第4条第1項第7号に該当するとの主張に対する反論

本号は、商標審査基準(乙第3号証)からも明らかなように、その構成自体がきょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形である場合及び商標の構成自体がそうでなくとも、指定商品又は指定役務について使用することが社会公共の利益に反し、又は社会の一般的道徳観念に反するような場合、あるいは他の法律によって、その使用等が禁止されている商標、特定の国若しくはその国民を侮辱する商標又は一般に国際信義に反する商標に該当する商標を拒絶する旨の規定である。

したがって、請求人の主張するフリーライドすること及び希釈化されるおそれがあることという事由は本号に該当するものではない。

本件商標は、本号に該当する事由を有する商標ではないので、本号に該当しないことに疑いがない。

4 当審の判断

(1)商標法第4条第1項第11号について

本件商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成中前半の「Gray」の文字と後半の「Image」の文字とは外観上まとまりよく一体に構成され、観念上も特定の意味合いを有しない一種の造語というべきである。

また、これより生じると認められる「グレイイメージ」の称呼も格別冗長と言うべきものでなく、よどみなく一連に称呼し得るものであり、他に構成中の「Gray」の文字部分のみが独立して認識されるべき特段の事情は見いだせない。

そうとすれば、本願商標は、その構成文字に相応して「グレイイメージ」の称呼を生ずるものと認められる。

一方、引用商標は、前記のとおりの構成よりなるところ、その構成文字に相応して「グレイ」の称呼を生ずるものと認められ、観念上も「灰色、グレー」の意味合いを把握することができるものである。

そうすると、両商標は、それぞれの構成よりみて外観上は明らかに相違し、その全体から生ずる称呼についても、両称呼は相違する音構成の差等により区別できるものであり、また、その観念については、それぞれ上記のとおりであるから比較すべくもない。

また、請求人は、本件商標の「Image」の文字部分は、指定役務「広告」との関係で識別力が弱い旨主張するが、この主張を裏付ける証拠はなく、採用できない。

そうすると、本件商標と引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標であるといわざるを得ない。

(2)商標法第4条第1項第10号及び第15号について

請求人会社「グレイ グローバル グループ インコーポレイテッド」は、世界的な広告会社であることは認められる。(甲第21号証ないし甲第22号証)

しかしながら、請求人は請求人の引用商標が広告業界において著名商標である旨主張しているところ、請求人が提出した甲第3号証ないし甲第67号証中、甲第3号証、甲第21号証及び甲第22号証以外の証拠は、殆どが本件商標登録出願後のものであり、しかも1999年8月7日付けNew York Timesの写し及びその翻訳(甲第3号証)中には、「グレイ社」、「Grey」の表示がみられるものの、単に記事中で「Grey Advertising Inc.」を省略して表示したにすぎず、また、米雑誌「Advertising Age」の提供するホームページ「世界のトップ10広告会社」(甲第21号証)、「世界の広告会社取扱高ランキング」(甲第22号証)では、1999年の「Grey Worldwide」のランキングが英語で表示され、それぞれ第6位と第1位であることが認められるが、これをもってわが国の取引者、需要者に引用商標が広く知られたものということはできない。

そうとすれば、請求人の提出した証拠からは、引用商標が、本件商標の登録出願時に、わが国の広告等を取り扱う分野において、その取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないものであるから、請求人の引用商標が広告業界において著名商標であるとする請求人の主張は採用できない。

したがって、前記(1)のとおり本件商標と請求人の引用商標は、外観、称呼及び観念のいずれについても相紛れるおそれのない非類似の商標と認められるばかりでなく、請求人の引用商標は、本件商標の登録出願時に、わが国の広告等を取り扱う分野において、その取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないものであるから、本件商標は、これをその指定役務に使用しても、需要者が請求人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのごとく認識され、その出所について混同を生ずるおそれがあるものとすることはできない。

(3)商標法第4条第1項第7号について

本件商標は、その構成自体が矯激、卑猥、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような文字又は図形からなるものでなく、これをその指定役務について使用しても、社会公共の利益・一般道徳観念に反するとすべき事実は認められず、他の法律によってその使用が禁止されているものとも認められない。

また、請求人は、著名商標に只乗りし、国際信義に反する旨主張するが、前記認定(1)のとおり、本件商標は、引用商標と非類似であるばかりでなく、請求人の引用商標は、わが国の広告等を取り扱う分野において、その取引者、需要者の間に広く認識されていたものとは認めることができないものであるから、本件商標は著名商標に只乗りする商標ということはできない。

したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号、同第10号、同第11号及び同第15号に違反して登録されたものでないから、その商標登録を同法第46条第1項の規定により無効とすることはできない。

よって、結論のとおり審決する。

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