Trademark Appeal Case
不正目的出願と周知性
本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。
基本情報
| 審判番号 | 異議2003−90288(T2003−90288/J7) |
|---|---|
| 審判種別 | 異議 |
| 結論 | 敗訴(請求棄却) |
理由テキスト
1 本件商標
本件登録第4661866号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成からなり、平成14年6月25日に登録出願、第15類「調律機,楽器,演奏補助品,音さ」を指定商品として、平成15年4月11日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立の理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第15号証(枝番を含む。)を提出している。
(1)商標権者は、申立人会社に在籍していたが、その後、解雇された者であり、申立人の動向を容易に知り得る立場であって、申立人が商標登録出願をするのを事前に察知し、申立人より先に当該商標の登録を図ることによって、不正の利益を得る目的、申立人に損害を加える目的をもって出願し、本件商標登録を得たものと推測される。
このような行為は、不正の目的に当たり、ひいては社会公共の利益に反し、公の秩序を乱すものであるから、本件商標は商標法第4条第1項第7号に該当する。
(2)別掲(2)のとおりの構成からなる申立人商標(以下「引用商標」という。」は、未登録であっても、市場における長年の使用により周知商標であるところ、本件商標は、かかる周知商標と同一又は類似のものであり、商品の出所の混同を招くこととなるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 当審の判断
本件商標については、当審において、商標権者に対し取消理由を通知し、その後、商標権者から意見書が提出されている。その中で、商標権者は、1974年以降、日本国内はもとより海外(特にアメリカ)において、ギターの製造販売事業を展開してきた。その後、本件商標を1978年頃よりアメリカにおいて、ギターの商標として使用を開始したところ、絶大な人気を博するようになった。次いで、1979年に、商標権者は申立人会社(株式会社ムーンコーポレーション)を自ら設立し、その代表取締役に就任し、その時点から本件商標の使用を申立人会社に認めてきた。その後、1981年に、商標権者は申立人会社を去ることになった。2003年頃、本件商標の登録手続はどうするかとの話になった際、申立人においてはその手続を行う予定がないということだったので、商標権者がその登録手続を行い、登録を受けた。しかし、申立人は、上記した事実を無視して、自らの名義で商標登録出願を行うと共に、本件商標に対し、商標登録異議申立をしたものである旨の経緯を述べている。
一方、本件商標は商標権者が最初にギターに使用を開始し、その商標がアメリカで商標権者個人の商標として高い評価を獲得し、その評判を日本国内でもギターの商標として使用する目的から、その当時申立人会社の代表者であった商標権者が、申立人会社にその使用を認めたという経緯があり、このような背景を勘案すれば、本件商標は商標権者が所有されることがもっとも自然であると共に、正義にもかなうことと考えている旨を内容とする内容証明郵便物(乙第1号証として意見書に添付)を、申立人は、商標権者宛に郵送している。
このような事情を勘案すると、商標権者による本件商標の登録出願の経緯に、著しく社会的妥当性を欠くものがあったとはいい難いものであり、また、申立人による本件商標と酷似する引用商標の使用は、正当な使用とはいい難いものといわざるを得ず、申立人の使用によって、引用商標が需要者の間に広く認識されるようになったものということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同第10号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
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