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Trademark Appeal Case

著名商標と結合商標の混同

本データベースは、特許庁の審決例をAIで解析・要約したものです。拒絶理由通知に対する意見書作成や、審判請求書等の作成時の参考としてお役立てください。

基本情報

審判番号異議2003−90272(T2003−90272/J7)
審判種別異議
結論勝訴(請求認容)

結論テキスト

登録第4645207号商標の商標登録を取り消す。

理由テキスト

第1 本件商標

本件登録第4645207号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成14年6月21日に登録出願、第28類「おもちゃ,人形,スキーワックス,遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),愛玩動物用おもちゃ,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具,釣り具」を指定商品として平成15年2月14日に設定登録されたものである。

第2 申立人の主張する取消理由

これに対し、本件登録異議申立人は(以下「申立人」という。)、本件商標は商標法4条1項7号、同11号、同15号及び同19号に該当し、その登録は取り消されるべきものであると主張している。

第3 本件商標に対する取消理由

申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。

1 国際自動車連盟「Federation Internationale de l’Automobile」(以下「FIA」という。)が主催する「Formula1(フォーミュラーワン)」は、1950年にスタートして以来現在まで継続的に開催されてきたモータースポーツの頂点に立つ自動車レースであり、「F−1(エフワン)」、「F1Grand Prix(エフワングランプリ)」とも称されて親しまれていること。

2 上記自動車レースは、我が国においても鈴鹿サーキットを舞台に開催され、その模様がフジテレビを通じて放送されたほか、該自動車レース関連のビデオ、雑誌、書籍が多数販売されてきたこと。

3 申立人は、FIAから「F−1(エフワン)」に関する標章についての商品化事業を行う権限を付与され、世界各国で種々の商品について使用許諾契約を締結しており、我が国においても株式会社フジテレビジョンを通じて使用許諾がされ、キーホルダー、シャツ、帽子等の商品、特に「F−1(エフワン)」を内容とする家庭用等のコンピュータゲームの製造販売についての再許諾が多くの製造業者に許されていること。

以上の事実によれば、「F−1」及び「エフワン」の標章(以下「引用商標」という。)は、上記自動車レースを指称する語として、また、申立人ないしは同人から使用許諾を受けた者がコンピュータゲーム、帽子、シャツ等の商品に使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には需要者間に広く認識されていたものというべきである。

しかして、本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中の「ミニッツF−1」の文字部分は、一連の既成観念を有するものとして親しまれた語を表したものともいえず常に一体不可分にのみ認識されるものではなく、引用商標が著名となっていることから、本件商標構成中の「F−1」の文字部分に注意が引かれるのに加え、右側に大きく表された図形部分も「F1」の文字を図案化したものと理解し認識されるといえるから、全体として、看者に上記自動車レースないしは上記引用商標を連想、想起せしめるものというべきである。

そうすると、商標権者が本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、FIA、申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるものといわなければならない。

したがって、本件商標は、商標法4条1項15号の規定に違反して登録されたものである。

第4 商標権者の意見の要旨

1 「フオーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」と称されるのは、4輪が露出したシングルシートの自動車レース専用車のことであり、甲第3号証現代用語の基礎知識には「フオーミュラー・1・ワールドチャンピオンシップのかかったレースを走るマシーンがフオーミュラー・ワンである。」と説明され、レース用の自動車の種類(規格)を指称する言葉であることが認められ、「フオーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」と称される自動車のレースが「フオーミュラカーレース」(甲第3証)、「エフワン・グランプリ」と称されているのである。

ここで、取消理由の1によると、「国際自動車連盟が主催する『Formulal(フオーミュラーワン)』は、1950年にスタートして以来現在まで継続的に開催されてきたモータースポーツの頂点に立つ自動車レースであり...」と認定しているが、国際自動車連盟が主催する自動車レースは「スポーツカー選手権」であり、そのレースの対象車種として前記「F1」あるいは「F3000」、3」などが存在するのである。(甲第5号証)

つまり、「フォーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」は国際自動車連盟が主催する自動車レースに参加資格を有する自動車の規格を指称した語であり、レースそのものを指称する言葉ではない。

2 取消理由の3では、「甲立人は、FIAから『F−1(エフワン)』に関する標章についての商品化事業を行う権限を付与され...」と、しているが、宣誓供述書(甲第10号証)の第22項および第23項に示された許諾標章中には「F−1」なる表現は存在していない。

3 取消理由通知書には、「F−1」及び「エフワン」の標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時には需要者間に広く認識されていた旨記載されているが、甲号証のどこにも「F−1」(エフ・ハイフン・ワン)および「エフワン」が本件商標の登録出願時及び登録査定時において需要者間に広く認識されていた事実を示す証拠は存在しない。

取消理由通知は、事実認定たる前提において、「F1」と「F−1」(エフ・ハイフン・ワン)とが全く同一であると判断した所以であると考えられ、「F−1」及び「エフワン」の標章の周知性の立証が全くなされていない以上、該文字自体に著名性が化体されるわけがない。

4 取消理由通知書には、右側の図形部分も「F1」の文字を図案化したものと理解し認識されるとあるが、右側の図形部分は、一方が先細に表現され、他方がモザイク状にデザインされた逆L字図形を向かい合わせて恰も城門の如く表現をなした図案であり、当該図形から「F1」の文字が直ちに想起されるとの結論を導き出すには非常な無理があるといえる。

第5 当審の判断

商標権者の意見を検討しても、本件商標が商標法4条1項15号の規定に違反して登録されたとの先の取消理由通知の内容は妥当であると判断される。 以下、商標権者の意見に対する当審の判断内容を記載する。

1 「Formula 1(フオーミュラーワン)」の語について

商標権者は、「フオーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」の語は、レース用の自動車の種類(規格)を指称する言葉であり、この自動車のレースが「フオーミュラカーレース」、「エフワン・グランプリ」と称されている(甲第3証)と主張している。

確かに、正式には、「フオーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」の文字は、4輪が露出したシングルシートの自動車レース専用車を指称する語である(甲第3号証(現代用語の基礎知識1995年版)、同第4号証(イミダス1996年版))が、他方、甲第2号証(FORMULA−ONE GAND−PRIX COURSE(F−1グランプリコース−全16戦世界を走る) 三樹書房 1991年6月10日発行)には、「まえがき」部分に「フォーミュラーワンというレース規定が設けられたのは」、「F−1は最もプロフェッショナルな自動車レースである。」との記述がされ、また、甲第5号証(Truth In Game4 モータースポーツ レースガイド 株式会社新紀元社 1996年3月22日発行)の24頁には、「・・・そしてモータースポーツの頂点、それがF1である。」、「F1が選手権化されたのは1950年。1964〜68年のホンダの参戦、1976年と77年の富士スピードウエイでのレース・・・”遠い海の向こうで行われるレース”でしかなかった。」との記述があることが認められるところである。

してみると、「フオーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」の語(文字)は、4輪が露出したシングルシートの自動車による自動車レースを指称するものとしても、実際に使用され、一般にもそのように理解されているということができるものである。

したがって、「フォーミュラーワン」、「Formula 1」、「F1」は、レースそのものを指称する言葉ではないとの商標権者の主張は採用することができない。

2 「F1」の標章と「F−1(エフワン)」の標章について

商標権者は、「F−1」及び「エフワン」の標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時に需要者間に広く認識されていた事実を示す証拠は存在しない。取消理由通知は、事実認定たる前提において、「F1」と「F−1」(エフ・ハイフン・ワン)とが全く同一であると判断した所以であると述べている。

しかしながら、申立人の提出した、甲第2号証には、「まえがき」部分で、フォーミュラーワンレースに関して「F−1は最もプロフェッショナルな自動車レースである。」との記述がされており、この書籍の題号にも「F−1グランプリコース」との語が使用されていることが認められる。また、甲第4号証では、「F−1(エフワン)」とのタイトルで「Formula 1」についての説明がされているところである。さらに甲第8号証(フジテレビジョン事業局が作成したと推認し得るサブライセンス一覧表)によれば、36件のゲームのタイトル中「F−1」の標章が使用されているものが17件認められ、これに対して「F1」の標章を使用しているものが6件であることが認められる。

これらの甲各号証によれば、「F−1」、「エフワン」の標章(文字)は、「フォーミュラーワン」、「Formula 1」の自動車レースとの関係で、「F1」の標章(文字)と同じ意味で使用されているとみても差し支えないと判断される。

そして、この「F1」の標章(文字)は、「フオーミュラーワン」、「Formula 1」の略称として、また、申立人ないしは同人から使用許諾を受けた者がコンピュータゲーム、帽子、シャツ等の商品に使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には需要者間に広く認識されていたといえ、「F−1」、「エフワン」の標章(文字)もまた、同様の認識をされていたといえるものである。

3 本件商標構成中の右側部分の図形について

商標権者は、本件商標構成中の右側部分の図形部分について、「『F1』の文字が直ちに想起されるとの結論を導き出すには非常な無理がある」と主張している。

本件商標の右側図形部分は、水平に振られている印象を与える三角旗状の図形の背後に、右上部に突起を有する鈎状図形を配し、この図形の右側部分には、下垂したチェッカーフラッグ状の図形を描いてなるものであって、取消理由は、本件商標の該図形部分を独立させて、ここから「F1」の文字が想起されるとしたのではなく、「引用商標が著名となっていることから、本件商標構成中の『F−1』の文字部分に注意が引かれるのに加え、右側に大きく表された図形部分も『F1』の文字を図案化したものと理解し認識されるといえるから、全体として、看者に上記自動車レースないしは上記引用商標を連想、想起せしめる」としたのであって、引用商標の著名性との関係で、本件商標をみたとき、構成中の「F−1」の文字と相俟って、右側図形部分について「『F1』の文字を図案化したものと理解し認識される」としたのであり、取消理由通知は、この図形部分から「F1」の文字が直ちに想起されるとはしていない。

したがって、本件取消理由について、「右側の図形部分から『F1』の文字が直ちに想起されるとの結論を導き出すには非常な無理がある」との商標権者の主張は、取消理由通知の内容を正解しておらず、失当と言うべきである。

4 出所混同のおそれについて

申立人が提出した甲各号証を総合すれば、「F1(エフワン)」の文字は、「F−1」、「F1Grand Prix(エフワングランプリ)」の文字とともに、FIAが主催するFormula1(フォーミュラーワン)自動車レースを指称する標章として、また、申立人ないしは同人から使用許諾を受けた者がコンピュータゲーム、帽子、シャツ等の商品に使用する商標として、本件商標の登録出願時及び登録査定時には需要者間で著名となっていたものというべきである。

この点については、商標権者も、意見書「1.(2)」において、「フオーミュラカーレース」、「エフワン・グランプリ」(「F1Grand Prix(エフワングランプリ)」)レースが広く紹介されている事実については認めているところである。

しかして、本件商標は、別掲のとおりの構成からなるところ、その構成中の「ミニッツF−1」の文字部分は、一連の既成観念を有するものとして親しまれた語を表したものともいえず常に一体不可分にのみ認識されるものではなく、上記認定のように、「F1」の標章及び引用商標である「F−1(エフワン)」の標章が著名となっていることから、本件商標構成中の「F−1」の文字部分に注意が惹かれるのに加え、右側に大きく表された図形部分も「F1」の文字を図案化したものと理解し認識されるといえるから、全体として、看者に上記自動車レースないしは引用商標を連想、想起せしめるものというべきである。

そして、商標権者が本件商標を「おもちゃ,遊技用器具,運動用具」などを含む、その指定商品に使用するときは、FIAが引用商標について商品化権許諾をしていること(甲第10号証及び同第11号証)をも合わせみれば、これに接する取引者・需要者は、それが、FIA、申立人又は同人と経済的、組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、商品の出所について混同を生ずるおそれがあるというべきであり、この点を通知した本件取消理由通知を撤回すべき理由はないというべきである。

したがって、本件商標登録は、商標法4条1項15号に違反してなされたものであるから、商標法43条の3第2項により取り消すべきものである。

よって、結論のとおり決定する。

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